企業と転職希望者との出会いの場としてパーソルキャリアが提供する、doda 転職フェア。新型コロナウイルス感染拡大下においても企業・転職希望者の双方に寄り添い、“新たな日常”での転職 / 採用活動をサポートするために、新たに「doda 転職フェア オンライン」として開催することとなりました。
今回は、イベントのオンライン移行にあたって行われたUXリサーチ〜UI/UXデザイン設計の過程にフォーカスし、ディレクションを担った植田、UI/UXデザイナーの松屋、UXリサーチャーの坂部、瀧本の4名にインタビュー。「企画×リサーチ×デザイン」の連携の様子を詳しく聞きました。
- 企業・転職希望者にとって最適なUXを0から作り上げるために、「企画×リサーチ×デザイン」の連携が始動
- 本当にユーザーが使いやすいものを作る。そのために大切なのは、“引き算”の考え方
- 皆に共通していた「UXをよいものにしたい」という強い思いが、プロジェクト推進の鍵
※撮影時のみマスクを外しています。
※坂部、瀧本は退職していますが、本人の同意を得て掲載をしています。
企業・転職希望者にとって最適なUXを0から作り上げるために、「企画×リサーチ×デザイン」の連携が始動
――まずは今回のプロジェクトが始動した背景から教えてください。
植田:パーソルキャリアでは「doda 転職フェア」という業界最大規模のイベントを実施していたのですが、コロナ禍でオフラインでの開催が難しくなったことを背景に、オンライン開催への移行が進められていました。
ただ、当初導入された外部システムが展示会用のつくりになっていたため、マッチングに適したUI/UXにするためにもシステムを自社開発したい、というご相談を転職フェアを担当する方からお話をいただきました。私たちサービス企画統括部でお手伝いさせていただこうとジョインすることになりました。
――そこから皆さんはどのような経緯でジョインされたのでしょうか。
植田:転職フェア事業部のサービスオーナーに目指す像がしっかりとあったので、dodaのシステムをそのまま踏襲するのではなく、改めて最適なUI/UXを考えて0から作った方がよいのではないかと考え、UI/UXデザイナーをアサインしたいと私から提案したんですよね。事業部の方としても「ぜひ」ということだったので、まずは松屋さんをアサインしました。
その後二人で、UXリサーチャーにも協力してもらいたいと話したことをきっかけに、リサーチグループにもお声がけさせていただいた流れです。
――お二人が、UXリサーチャーの力が必要だと思われた訳をお聞かせください。
松屋:0から設計していくのであれば、その素材となるユーザーの声を「正確に」拾える専門家がいないと始められないだろうと考えたのが始まりです。
また一般的な開発現場ではリサーチを外部に依頼することが多いのですが、見積もりを取ってご依頼し、結果をお戻しいただくまでにどうしても1ヶ月単位で時間がかかってしまうんですよね。リサーチチームの力を借りることで、同じ部門内にいるからこそクイックな連携ができ、また同じ担当者に要件定義からリリースまで一貫して担当してもらえるという点は、強い武器になるだろうという思いもありました。
植田:ユーザーの声を「正確に」拾うというのが大切ですよね。もともと私も事業部側にいたのでわかりますが、リサーチの専門的な知見がない状態での開発の場合、「こうだろう」と思いながらもそれを裏付ける方法がない中で作っていくので、だんだんとズレが大きくなってしまう部分があります。
サービス企画統括部に異動してきてUI/UXデザイナー・UXリサーチャーの存在を初めて知り、知見と裏付けをもとに方向性を一緒に考えてもらえることに非常に魅力を感じたからこそ、ぜひジョインして欲しいなと思いましたね。
本当にユーザーが使いやすいものを作る。そのために大切なのは、“引き算”の考え方
――リサーチグループにお声がかかりジョインされてからは、どのようにリサーチを進めていかれたのでしょうか。
坂部:リサーチグループが必ず最初に行うことは、プロジェクト状況の把握です。ヒアリングをした際に、プロジェクトを進めていくために、「マーケティング」、「UX」と「UI」のそれぞれに課題があると判断しました。課題に応じて適切なリサーチを提供していきますが、マーケティングについては私の方で企業様に対するアンケートのデータ分析を行いました。「UX」と「UI」に関しては、瀧本にリサーチの実行をリードしてもらっています。
――リサーチを進めるにあたり、視点や進め方などで意識されたことがあれば教えてください。
瀧本:イベント企画を担当される事業部側の皆さんは、長い間同じ商品を見続けられている方が多いと植田さんから伺っていたので、プロジェクトの鍵は「ユーザー視点に切り替えた時に、どう見えるか」という情報になるだろうと考えました。そこで、当初導入された外部システムで開催されていたイベントの「UX」課題を探るべく、一人のユーザーとしてイベントに参加しました。これをプロジェクト内で、「潜入調査」と呼んでおり、参加する側もワクワクしました。参加の際は、企業様とのやりとりの様子などの情報をおまとめして報告しました。
坂部:UXリサーチャーは、単にUIの「使いやすさ」だけではなく、UX、つまり、「なぜこのような体験を届けようと思ったか」「どんな体験を届けられたことで違和感を覚えたのか」などという視点でもサービスを見ています。ユーザーが実際に、サービスを利用していて困ったことと、その要因も報告することで、プロジェクトの方も手を打ちやすくなりますよね。
瀧本:その過程では、単に得た情報をすべてお伝えするのではなく「どの情報を優先度高く届けるべきか」「どういった情報があればUI/UXデザイナーさんが改善につなげやすいか」などを考えながら、リサーチが活用して貰えるように意識して臨んでいました。
――リサーチ結果を受け取られて、植田さんとしては率直にどのような印象を持たれましたか?
植田:普段、リサーチを自分たちで行った際は、ユーザーの声を拾い上げるにあたり、一人の意見をまるで全員が言っているかのように受け取るといったミスが起きかねません。そのなかで、ただ「使いにくい」と漠然としたユーザーの“感覚”が寄せられるのではなく、今回はリサーチャーを介したことで、「ユーザー視点で見ると〜〜である」と論点を整理してお返しいただけたので、施策を採用する・しないの判断がしやすかった印象です。非常にありがたかったですね。
――論点が整理されたリサーチ結果があることで、UI/UXデザイナーの松屋さんとしてのやりやすさはいかがでしたか。
松屋:まずはデータがとても整っているので、私が単独で皆さんから意見をもらい、結果を精査してまとめて……と動くのと比べ、大きく工数を削減できたというのがもちろんあります。
加えて、いただいた潜入調査とイベント後インタビューの結果を、企画側の持っている作りたいサービス像と合わせて見ることで「どのような人に使ってもらいたいか」「どのようなフローになりそうか」が見えてきます。そこから簡易的にプロトペルソナを作って、想定される体験フローを流した上で、リサーチ結果から見えたユーザーの困りごとをタイムライン上に載せるといった情報を整理を行ったのですが、全体のUX設計の際に注力すべきポイントが浮かび上がるような感覚だったんですよね。肝となるポイントに集中的に時間をかけられたのも大きかったなと思っています。
また進めやすさだけでなく、サービスの質、ユーザー体験という観点からも、リサーチの皆さんがいてくださってよかったと思う点はたくさんあります。UXリサーチの方の視点からレビューを実施いただいた後に、プロジェクトメンバー全員で課題点を出し合うワークショップがあって。初めはそれぞれの立場によって視点が異なっていましたが、ワークショップを通して視点をユーザーに揃えることができました。そこで共通認識ができたことが、その後の要件整理から情報・画面設計にまでよい方向に影響していったなと思っています。
植田:私や松屋さんの立場上、プロジェクトに詳しくなればなるほど「あれもこれも必要なのでは……」とつい機能を入れ込みたくなってしまいますが、そこで呼び戻していただけたのもありがたかったですよね。
松屋:そうですね。初めてみるユーザーの視点として「機能としてはいいけれど、読み飛ばしてしまう」「情報量が多くてわかりづらい」などの意見もいただきました。リサーチ結果をもとに各ページで出す情報や機能を充実させたというよりは、絞り込めた、引き算のデザインができたという点が重要なポイントだったかなと思います。
皆に共通していた「UXをよいものにしたい」という強い思いが、プロジェクト推進の鍵
――企画×リサーチ×デザインの連携、かつ事業部との共同開発で、新規サービスとは異なる進め方だったのではと推測しています。その中でも今回のプロジェクトを推進させられたポイントを、それぞれの立場から教えてください。
松屋:今回doda側との共同開発は初めてでしたが、サービスオーナーをはじめとした皆さんの「UXをなんとかしたい」という強い思いがあったからこそ、非常によい雰囲気で開発ができたと思っています。その思いに応えたいという気持ちで私も頑張れたので、皆さんのおかげですね。
またUXリサーチャーが入ってくださったおかげで、開発段階で迅速にリサーチができました。リリース後にユーザーが引っかかりそうな点を予め潰せたことで、よいと思うものを自信を持ってリリースまで持っていけたというのも大きな強みだったと思います。
植田:松屋さんのおっしゃる通り「本当によくしたい」という思いとこだわりを持った少数精鋭のメンバーで回したプロジェクトなので、判断もクイックで進めやすかったですね。UXリサーチの方々にご提示いただいた情報を4人で見て、ユーザーのために「反映するか/反映しない」のかをすぐに判断する、というサイクルがうまく回って素早く動けていた印象です。
――リサーチグループのお二人としてはいかがですか?
坂部:やはり皆さんがユーザー視点で仕事をしてくださったというのが、一番大きなところだと思います。アンケートや調査の結果を共有した際にも、「そういうユーザー体験は届けてはいけない」「自分たちがユーザーだったとしたら嫌なはず」と真っ直ぐに受け止めてくださったんですよね。客観性や再現性を持たせた情報を届けようと意識していますが、そういったユーザーの声の大切さがきちんと伝わったのだと思います。
瀧本:私としても、皆さんの強い思いがこちらにまで伝わってきたことが印象的で、その思いにしっかりと応えたいという気持ちがありましたね。
また「UX」と「UI」に関するリサーチは私がリードしましたが、「正しい視点になっているか」「プロジェクト側に現段階で伝えるべき情報か」などを精査し、質を担保するようなレビューはエキスパートの坂部さんが担ってくださっていました。その役割分担がうまく噛み合ったからこそ、しっかりとプロジェクトで活かしていただけるリサーチになったのかなと振り返ります。
――ありがとうございます。それでは最後に、今後チャレンジしたいことをそれぞれお聞かせください。
松屋:重ねてにはなりますが、リサーチチームが身近にいてくださったおかげで情報設計の密度が高まり、プロトタイプ作成からリサーチをもとにしたリライトまでのサイクルをうまく回せましたし、その結果、改善を加える度に、作っているサービスのユーザー体験が向上できていると実感しました。なので今後も、このように専門家の方と一緒にものづくりができる環境で、さまざまな事業に挑戦していけたらと思います。
植田:今回かなり上流の段階からUI/UXデザイナー・UXリサーチャーに入っていただいたことで、作り始めて手戻りするといったタイムロスが短く、プロジェクトが進んでいる感覚がありましたし、気軽に相談できる雰囲気をリサーチの方々が作ってくださったことも、とても心強かったなと感じていて。今回の成功体験をふまえて、次のプロジェクトもご一緒させていただくことが決まっています。
こういった関係性を事業部全体で作れていることは大きな価値だと思うので、今後もさまざまなプロジェクトで一緒にやっていけたら嬉しいですね。
坂部:今後は「リサーチャー」という職種にこだわらず、“ユーザーのことを深く知れる人”、“ユーザー起点でものごとを考えられる人”を増やしていきたいです。そういった人が増えた先で、「この人に相談すれば、ユーザー課題を解決して前進できる」という関係性が広がっていけばいいなと思っています。
また私たちUXリサーチグループとしても、適切なリサーチを提供するためにも個人ではなくチームでパワーアップして。またご依頼をいただけた時に、楽しく仕事ができるような環境を作っていけたらと思います。
瀧本:坂部さんのおっしゃったように、サービス開発に携わるすべての方が「ユーザーの持つ課題を明らかにできる力」を身に付けていくことで、私たちUXリサーチャーはより難しいリサーチやより大きな課題がある場面で価値発揮できるはずです。そんな世界観を目指して、ユーザーが豊かになれるようなサービス開発の一端を担う立場として、扱える領域をどんどん広げていけたらと思います。
――ありがとうございました!
(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=小野綾子)
植田 香織 Kaori Ueda
サービス企画統括部 サービスオーナー部 ゼネラルマネジャー
新卒入社後、転職メディア事業部のdodaの法人向け広告営業に従事。その後、営業企画部にて営業戦略・BPR・販促などに携わる。 2019年からサービス企画に異動し、SOやPMとして新規サービスの立ち上げに従事。
松屋 有紀 Yuki Matsuya
エンジニアリング統括部 UXデザイン部 デザイン第1グループ リードデザイナー
UI・UXの勉強×実践の日々。休日は「あつ森」に夢中。
坂部 佑磨 Yuma Sakabe
エンジニアリング統括部 UXデザイン部 UXリサーチ第1グループ プロデューサー
マーケティングリサーチ会社に勤めた後、IT企業にてECサイトのUXリサーチを担当し、複数のプロジェクトを経験し2020年にUXリサーチチームのリードディレクターとしてパーソルキャリアにジョイン。サービス開発統括部が関わるサービスのリサーチをすべて担当し、リーダーの役割も担い、複数のメンバーの育成も担う。デザインスプリントやワークショップなどの適切な手法を通じて、新規サービスの意思決定のためのデータ提供ができるチーム作りに取り組んでいる。現在は退職。
瀧本 はろか Haroka Takimoto
エンジニアリング統括部 UXデザイン部 UXリサーチ第2グループ リードディレクター
前職のITベンチャー(CtoCマッチングサイトプラットフォーム)では新規事業立ち上げ・事業開発に従事。非リサーチャーへのリサーチ知見共有・育成にも携わり、リサーチチームの社内・外への広報やPRにも力を入れている。現在は退職。
※2022年3月現在の情報です。