機械学習を活用したキャリアカウンセリング予約基盤刷新プロジェクトとは?

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転職サービス「doda」は、転職希望者様のご経験や希望に合わせて、最適なキャリアアドバイザー(以下、CA)をアサインしています。今後、はたらく環境や雇用形態が多様化していく中にあっても、転職希望者様に伴走できる最適なCAを素早くご案内するためには機械学習の活用も必要になってきます。そこでまずは基盤を刷新するプロジェクトがスタートしました。

今回は、取り組みを主導する小林と齋尾、寺本にインタビュー。プロジェクトの現在地と、それぞれに強みを持つ3部署の連携について聞きました。

※キャリアカウンセリングは、dodaからご紹介できる求人が用意できない場合、求人が出るまでお待ちいただく場合もございます。

 

機械学習を活用し、求職者様とCAのベストなマッチングを目指す

 

――まずはプロジェクトの概要から教えてください。

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BITA統括部 エージェント_プロセス&システムデザイン部 カスタマープロセスデザイングループ コンサルタント 齋尾 健将

齋尾:もともとは、機械学習を活用することで、転職希望者様とCAのベストなマッチングを実現しよう、というプロジェクトです。いきなりそのゴールに向かうのは難しいため、まずは現状の課題を解決しながら基盤を作ろうという点からスタートしました。

 

小林:これまでと比べれば、既存のシステムでも大きく状況改善されているものの、時代やサービスの変化に対応できる環境を用意したい、という会話から、カウンセリングの予約基盤の刷新を進めていこうとなりました。

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dodaエージェント事業部 エージェント企画統括部 デジタル企画部 プロセス企画グループ マネジャー 小林 大地

 

――既存のカウンセリング予約基盤では、どのような課題があったのでしょうか。

 

齋尾:転職希望者様のご経験やスキル、またお客さまに合ったご支援を実現するために「doda」のCAは、業界や職種をはじめとした複数グループに分けられています。これまでは、転職希望者様にご登録いただいた内容をもとに、dodaサイトのシステム上で最適なCAのグループをマッチングする仕組みになっていました。

しかしシステム化がなされているとはいえ、より最適なマッチングを判断するための条件分岐や閾値の設定などは人の手で行われており、今後これらをより高度に実現するのは難しい状況でした。

また、どのグループでご支援させていただくかがシステム上では判断できなかった場合に、サイト側のシステムではなく、社内基幹システム(以下、ARCS)側にあるロジックを使って再度判断し直す時間が必要となり、スムーズにカウンセリングにお進みいただけない、という点も課題として上がっていたのです。

 

――そうした課題の解決に着手されたプロジェクトの、現在地を教えてください。

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デジタルテクノロジー統括部 デジタルソリューション部 CODグループ リードエンジニア 寺本 孝太

寺本:最終的なゴールに向かう道すじはさまざまあるのですが、今回の取り組みは最初の一歩、ステップ1をスタートした、というところです。齋尾さんにお話しいただいた課題のうち、まずは後者を解決するために、現状ARCS側にあるマッチングのロジックを「doda」サイト上に取り入れることで、判断までのリードタイムをなくしてすぐにカウンセリングにお進みいただけるような仕組みの開発を進めています。

 

齋尾:加えて、前者の課題を解決し、最適な条件を自動で設定できる状態をいずれ実現するために……現状の仕組みとは別に新たなモデルを任意のタイミングで作成して検証できる「機械学習スペース」も、ステップ1で作っています。

 

寺本:もともとARCS側の基盤の一つでは、機械学習にバッチ方式を採用しており、学習用データをもとに予測モデルを作成→予測モデルに予測用データを渡し予測を実施→予測結果をデータベースに格納する、という処理が行われています。この方式では、大量のデータを一度に処理することができるのですが、それをそのまま「doda」サイトに入れることはできません。もし入れてしまうと、処理に時間がかかりすぎてサイト上でボタンを押しても何も反応がない状態になってしまいます。

この課題を解決するには、「一人ひとりのデータを処理して予測するモデル」を別途作成してライブラリ化、もしくはAPI化するなど、1回の処理に必要な時間=レイテンシーを小さくする対応が必要です。そこでこのモデルを別途作成・検証できる環境を新たに作ろう、という取り組みですね。

 

現場や事業が変化するのは大前提。どのような変化にも対応できる土台づくりが重要に。

 

――プロジェクト全体をいくつかのフェーズに分けて進められているということですが、次のステップではどのような取り組みをされるのでしょうか。

 

齋尾:具体的な次の取り組みについては、現在検討中です。最終的に転職希望者様とCAのベストなマッチングを目指す、という方向性はあるものの、それを実現するためにはCAの特性をデータとして保有する、などさらに詰めていかないといけない点が多く存在します。コンパスはあるけれど、地図はないという状態だと捉えています。

 

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小林:同じく抽象度の高い話になってしまいますが、可能性を最大化するということがテーマになると思います。CAの特徴を踏まえ、どのCAをアサインすると転職希望者様は動きやすくなるのか、登録いただいた内容からどのようなカウンセリングを希望されているのか、を読み解きカウンセリングの時間を“より意味のあるものにする”などが実現できないかを検討している段階です。

 

齋尾:中でも「技術的にどう実現するか」が重要なポイントになるかと思いますが、ステップ1で「doda」サイト側でも精度の高いロジックを使えるようになり、また検証スペースもできたので。このステップ1を経た結果をふまえて、技術的なポイントを検討していければと思います。

 

――道すじが明確に決まっていない中で、現状を見て先のことを予測しながら進めていく、というのはプロジェクトとして非常に難易度が高い印象ですが……。

 

寺本:そうですね。現場の方やデジタル企画部などさまざまなステークホルダーの事情や状況があり、それは常に変化していくものなので、非常に難しいプロジェクトであるとは思います。

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ですが、「変わる」ことは大前提だと捉えているので、あまり気にしてはいません。この変化に対応していくためにも、「どのような変化が今後あったとしても対応できるような土台を作る」ことがステップ1の意義だと考えます。検証スペースという試せる環境ができたことで、これから詳細を詰めていきやすくなりますし、またデジタルテクノロジー統括部の立場からも「こうしたら良いのでは」と提案をしやすくなるはずです。

そういった意味で今後さらに難しいステップに踏み込むことになりますが、土台を作れている手応えはありますよ。

 

――難易度の高いプロジェクトを推進されるにあたり、現場側の立場も知る小林さん、齋尾さんが意識されていることなどはありますか?

 

小林:僕のバックボーンとしてCA組織に直近まで所属していたこともあり、CA現場の受け取り方という点は常に意識をしています。デジタル化を進める中で、必ず訪れる「よくわからないことへの不安」を加味しながら事業や現場に説明するようにしていました。反面、デジタル企画を名乗りながらも僕自身がデジタル素人ということもあり、なるべく齋尾さんや寺本さんに迷惑が掛からないようシステム観点も理解しようとはしましたが…正直ついていけなくて意識が飛びそうになったことは多々ありましたね。かなりお二人にサポートいただきました。

 

齋尾:さまざまな変化に対応していかなければいけないので、プロセス&システムデザイン部で管理する基幹システムなどは「設計やアーキテクチャから可変性を持った作りにしていこう」という方針をベースにしています。

ガッチリした大きなシステムではなく、細かい機能ごとに区切ってAPIベースで組むことで、パーツごとの組み替えもしやすいですし、他との連携も容易になりますから。この考え方を前提として持った上で、常に開発や改修に臨もうという点は意識しています。

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特に現場の方や企画の方々からの要望だけを聞きすぎると、システム側でロジックが複雑になりすぎたり、引き継ぎが行えなくなったりしてしまうので……できるだけ現場の要望を実現させる姿勢は持ちながらも、先のことも考えて「シンプルな作りで要望を実現できないか」を考えていきたいと思っています。

 

デジタライゼーションの土台づくり〜進化の過程を、最前線で主体的に率いていけることが醍醐味

 

――今回3部署が協業する形でプロジェクトを進められていますが、それぞれどのような役割を持って連携されているのでしょうか。

 

寺本:まず大きな連携のあり方でいうとデジタル企画としては、現行の業務やそのプロセスに対してデジタルを活用して改善していくために、施策や企画を打ち立てていく役割を担っています。私自身はデジタルテクノロジー統括部であり、技術面での支援としてデジタル企画部を兼務しているので、技術的な側面と施策を打ち立てることを双方担当しました。既存のシステムの運用を担われているのが、齋尾さんの部署です。

 

小林:僕がPMとして企画立案から全体の進捗管理、事業への報告といったことを担当しています。とはいえ、実際に作るというフェーズに関してはプロセス&システムデザイン部とデジタルテクノロジー統括部を中心に対応してもらっているため、要件定義以降はある意味、応援団的な動きになっています。

 

齋尾:事業視点が強い部署なので、「事業としていかに上手くシステムを使っていくか」を考えて管理する部分には、プロセス&システムデザイン部で責任を持っています。そこに専門的な技術力を持ったデジタル企画の皆さんと連携しながらシステムを良くしていく、というイメージです。

 

寺本:そうですね。今回のプロジェクトでは具体的に、小林さんが現場の要望を汲み取って企画の内容や要件を決定。そこから「システム的にどうすべきか」について、マッチングロジックについては私が、ARCS側のロジックについては齋尾さんが中心になって考える、という役割分担です。

我々デジタルテクノロジー統括部がやりたいことを勝手に進められるわけではないので、「ここで改修を行うと既存のシステムにどのような影響が出るか」などは細かく齋尾さんと調整させていただいています。

 

――連携する中で難しさを感じられる場面などはありますか?

 

寺本:デジタルテクノロジー統括部の視点から、「こうすればいいじゃない」と現場の運用を考えずに言ってしまうことが多いのではと思っています。もちろんオブラートに包んでいるつもりではありますが、間に立っていただく立場として齋尾さんに申し訳なさはありますね。

 

齋尾:感じる時はあります(笑)。現場の方とシステム側で意見が異なってしまう場面は、往々にしてありますからね。どちらの言っていることもわかるので難しい部分ではありますが、目指すゴールは同じなので、丁寧に議論してやり方を模索していければと捉えています。

 

――このプロジェクトを進める中で感じる、やりがいや醍醐味をお聞かせください。

 

小林:実現させたい思想に関しては事業からの期待も大きい領域でもあるので、物事が前に進むシーン毎に面白さを感じています。現場経験としての転職支援業に関してはそれなりに理解をしているつもりではありましたが、システム回り含めて全体を見たときに、サービスそのものがこんな形に進化できるかもしれない、という局面に出会えることもあり、それが本プロジェクトの醍醐味かもしれません。

 

齋尾:まずはやはり、転職希望者様とCAの最初の接点をつくるという、事業において非常に重要な部分に関わるプロジェクトであることが大きなやりがいになっています。

またそれぞれ専門や個性も異なるメンバーと連携して一つのプロジェクトを推進できるのは、難しくもありますが、面白いですね。多様な人が集まっていないとできないことだと思うので、醍醐味を感じています。

 

寺本:私としても、ステークホルダーが非常にたくさんいる中で、プロジェクトメンバーで一緒に「なんとかしていく」ことにはやりがいを感じています。

また今回のプロジェクトにおけるステップ1は、DXという文脈でいう「デジタライゼーションの土台づくり」のようなところかなと思っているんですね。ここから、顧客体験の価値向上や業務プロセスの最適化を進めていく――そういった「進化」を間近で主体となって推進していけることは、大きな醍醐味なのではと思います。

 

――ありがとうございます。それでは最後に、みなさんが今後チャレンジしたいことを教えてください。

 

小林:今回もそうですが、やはりデジタルと現場の融合に関してはもっと突き詰めていきたい領域です。総論では「いいよね」となっても、いざデジタル化を進めるとなると「それってどうなの?」というネガティブな反応が出るのはデジタル化あるあるだと思います。その心理も判るからこそ、デジタルでできることの本筋を現場に理解できるように翻訳し、よりよい価値提供につなげていくための橋渡しとして動いていきたいと考えています。

 

齋尾:今後は、自分で考えて企画したことをプロジェクトとして推進して、結果を出してみたいです。これまではお話をいただいてプロジェクトにジョインさせていただいてきましたが、「こうやったらいいんじゃないか」と自分で考えてみる経験はなかったので。3,4年目に向けてチャレンジしていけたらと思います。

 

寺本:デジタルテクノロジー統括部というブランドを、全社的に広げていきたいですね。特に今回のプロジェクトは「デジタルテクノロジー統括部が持つシーズや技術」と「デジタル企画部が持つニーズ」がうまく交わった例であり、私のように両部署を兼務しているメンバーがいるのは、この連携をしやすくするためだと思っています。今後はこういったプロジェクトを事業レベル、全社レベルで増やして、統括部としての価値発揮をしていければと思います。

 

――ありがとうございました!

 

(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈)

dodaエージェント事業部 エージェント企画統括部 エージェント_プロセス&システムデザイン部 カスタマープロセスデザイングループ コンサルタント 齋尾 健将の写真

齋尾 健将 Kensho Saio

dodaエージェント事業部 エージェント企画統括部 エージェント_プロセス&システムデザイン部 カスタマープロセスデザイングループ コンサルタント

2019年4月新卒入社。IT初心者ながら現在の部署でキャリアをスタート。転職希望者様が『doda』に会員登録されてからカウンセリング実施されるまでの様々な業務システムの保守運用を経験した後、現在はカウンセリング予約システムに関わるプロジェクトを担当しながら、dodaサイトに関わるプロジェクトも担当する。休日はeスポーツを観戦して過ごす。

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小林 大地 Daichi Kobayashi

dodaエージェント事業部 エージェント企画統括部 デジタル企画部 プロセス企画グループ マネジャー

2008年に新卒入社後、一貫して転職支援領域に携わる。キャリアアドバイザー、リクルーティングアドバイザー(法人担当)をそれぞれ経験した後にマネジメントとしてキャリアアドバイザーの新規部門組成を経験。2020年10月よりエージェント事業のDX化を推進するデジタル企画部の立上げに参画し現在に至る。

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寺本 孝太 Kota Teramoto

デジタルテクノロジー統括部 デジタルソリューション部 CODグループ リードエンジニア

独立系SIerにてプログラマからキャリアをスタートし、B2C系のWebサービスを中心にサーバーサイドの開発に従事し、SE・PL・PMを経験。その後、ECサイト開発や販売管理システムの刷新に携わり、2020年4月にパーソルキャリアに入社。現在は、エージェント領域を中心とした複数プロジェクトのマネジメントやデータ利活用の推進を担当。

※2022年3月現在の情報です。

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