パーソルキャリアのエンジニア、デザイン、データなどを担うテクノロジー本部。キャリアオーナーシップを育む社会を創造するべく「Be Professional with Creativity ー自分らしく仕事をしようー」というテーマを掲げ、8統括・約400名が仕事に臨んでいます。
8統括それぞれに対象とするサービスや成し遂げたい目的が異なることから、各組織において独自のカルチャーが形成され、それを表現・体現するための取り組みも行われてきました。
今回は、転職サービス「doda」のエージェントサービスをIT・テクノロジーで支える、プロセス&システムデザイン部(以下、PSD部)の取り組みをご紹介します。
2022年4月、管理職・メンバーが一体となって制定されたPSD部の共通ポリシーには、どのような想いが込められているのでしょうか。関係者のみなさんに話をききました。
- ものごとの判断軸や進め方の指針、共通目標としてポリシーを掲げ、組織としてのパフォーマンス最大化を目指す
- 組織を知り、メンバーの思いを知って作り上げた共通ポリシー
- 改めて問わなくともポリシーが “暗黙知” として浸透した組織へ
※加藤は退職していますが、本人の同意を得て、掲載を継続しています。
ものごとの判断軸や進め方の指針、共通目標としてポリシーを掲げ、組織としてのパフォーマンス最大化を目指す
――ポリシーについて詳しくうかがう前に、まずは現場で働くメンバーの皆さんから組織に根付いる文化について教えていただけますか?
金城:エージェントPSD部は、成果に対するコミットが強く求められる組織だと感じています。企画時からプロジェクトの振り返りをするところまで、成果につながるかどうかを考え抜くことが根付いていると思います。
もちろん他の会社でも、決裁をとるにあたって投資対効果の観点が求められるのは同じだと思いますが、そこに対する厳しさや検討の精度の高さを感じます。
伊藤:承認フローやレビューで受ける指摘、日常の対話の中にも、“暗黙知” としてその文化は反映されていますよね。私自身も自ずと「この決定に対して意思を持っているか」を考えることができてきたのかなと思っています。
澤田:dodaプラスサービスを取り扱うプラスPSD部についても、同様の印象です。例えばプロジェクトを立ち上げるときに「どのようなロジックで、どのような効果が生まれるのか」を客観的に述べるよう常に求められることなど、成果へのコミットを意識するポイントがありますね。
――成果へのコミットが強く求められる、そんな文化を現場の皆さんとしてはどのように受け止められていましたか?
澤田:正直なところ、入社したばかりの頃はここまで求められるのかと驚きや違和感を覚えることもありました。ですが、今では本当に大切なことだなと感じています。
会社にとって、やったことを無駄にしない・より適切な進め方や高い成果につなげるために大切であるのはもちろんのこと、「こういう成果を出すためにしっかり進めよう」と根拠を持って “自分ごと化” するという意味で、自分にとっても必要なことだと感じています。
金城:現場の要望や企画の方が考えたものを案件としていただく、クライアントワークに近い仕事が多い中で、それを人のものではなく “自分のプロジェクト” にしていくために大切なプロセスですよね。
加藤:成果へのコミットが強く求められるからこそ、「プロジェクトを成功させよう」とする意識も生まれていると感じます。
現場・企画からの要望をただ鵜呑みにするのではなく「どうしたら効果が出るのか?」を主体的に考え、その成果を出すための提案を積極的に行い、そして、プロジェクトの成功に向けて前に進めていく意識に繋がっていると感じています。
――シニアコンサルタントとして組織をリードする古野さん、組織マネジメントを担う一橋さんのお二人にお聞きします。“暗黙知” としての組織文化があったところから今回のポリシー策定に至った背景には、どのような課題感があったのでしょうか。
古野:チームプレーではなく、個々人がパフォーマンスを発揮している印象がありました。一人ひとりが活躍していてその成果の積み重ねはあるのですが、「組織としてどのような方向性を持ち、どのような成果をあげているのか」が見えなかったんですよね。
一橋:細かいプロジェクトが複数走っていて、それぞれで進めている感覚がありましたよね。「成果にコミットする」ことに対する会話は確かにレビューなどでなされていますが、それだけでは、日々の活動で同じ方向を向いて進むところまでガバナンスを効かせるのは難しいと感じていました。
また新卒入社や中途入社、他職種からの異動……と多様なバックグラウンドを持った方々がいる組織なので、皆さんがこれまで培ってきたものの違いもあり、一つの方向性を提示するのも難しいなと。
古野:そうですよね。一人ひとりの「よりよい事業・サービスにしたい」という思いは一緒なはずですが、このままでは組織としてのパフォーマンスやアウトプットにいずれ限界がきてしまうだろうというのが、当時持っていた課題感です。
パフォーマンスを最大化するには、何かを「やろう」と思ったときの判断軸や進め方の指針、目指すべき目標として、組織の共通認識を持つ必要があるだろうと考え、今回の取り組みを始動するに至りました。
組織を知り、メンバーの思いを知って作り上げた共通ポリシー
――ポリシー策定をどのように進められたのか、プロセスについて教えてください。
金城:まずはPSD部の前身であるエージェントBITA(Business IT Architectの略称)の立ち上げに関わられた方から、「エージェントBITAやPSD部ってなんでできたんだろう?」という成り立ちや歴史をうかがうことから始めました。そこから「今やっていること・できていること」「私たちの組織に期待されていること」「ありたい姿」などを含めて定義を検討していきました。
――PSD部の成り立ちにまで遡ってポリシーを検討しようと考えられたのはなぜですか?
金城:PSD部は企画側の領域にまで踏み込んで仕事をしている印象を持っており、そういった踏み込み方が根付いた背景にある “何か” を探りたいなと思ったからです。現在は、中途入社の方や他部署から異動されてきた方など立ち上げ当時のことを知らないメンバーが多いので、大事なプロセスだったなと振り返ります。
――策定に主に携わられた伊藤さん、金城さん、加藤さん。ポリシー策定のプロセスを経て得られた学びや気づきがあれば、教えていただけますか?
伊藤:ほとんどお話をしたことがないプラスPSD部の方々とも一緒に策定を進めたのですが、「事業にもたらす効果」や「お客様にもたらす影響」というところに対して、思っていた以上に皆さんが関心や意見を持たれていたことが印象的でした。
私や一緒に仕事をする身近な方が暗黙知として同じ思いを持っていることは理解していましたが、今回のプロセスを経て「みんな同じ気持ちだったんだ」とわかったことは、大きな気づきだったなと思います。
金城:営業からこられた伊藤さんをはじめ、さまざまな背景を持った方々がいる多様性のある組織でありながら、共通項が出てきたことが印象深かったですよね。私も安心感を覚えましたし、組織の方向性はぶれないだろうなと感じました。
加藤:そうですよね。それぞれが持っている想い・価値観を出し合いながら、共通項を探していくプロセスの中で、「それ自分も一緒!」と思える価値観が多数出てきたのが印象的でした。明文化されていないながらも、みんな同じ価値観を持って働いていることを知れたのは大きな気付きでしたね。
――出来上がったポリシーをご覧になって、古野さん、澤田さんは率直にどう思われましたか?
澤田:まず一番に持ったのは、「私たちがしている仕事って、言語化すると確かにこういうことだ」と腹落ちする感覚でした。
また “誠実に” というワードが入っているところがとても素敵だなと。仕事をする中でできないことや難しいこともありますが、誠実さを大切に取り組んでいきたいなと改めて思いましたね。
古野:初めに私から表現したいことの軸として素案をお出ししたのですが、皆さんがそれを温めて、素案の堅めのフレーズを耳触りのよい素敵な表現にまとめ直してくれたのを見て、率直にすごいなと思いました。
このポリシーは作って終わりではなく、メンバーが理解した上で日々仕事に取り組んでいくことが大切なので、わかりやすく・ふと思い出しやすい内容に作り上げていただけたことがよかったと思っています。
改めて問わなくともポリシーが “暗黙知” として浸透した組織へ
――現場の皆さんは、今回ポリシーが明文化されたことがご自身の仕事にどのように影響するとイメージされていますか?
澤田:普段は、「doda」をご利用いただくお客様やそのお客様と向き合っているキャリアアドバイザーや法人営業の方と直接やりとりをすることはほとんどありませんが、「そういった方々に良い影響を与えるような仕事をしなければいけない」ということがこのポリシーに表れていると思います。
日々忙しい中でついつい忘れがちなことではありますが、それを意識していることで、提案の仕方や仕事の進め方などに大小を問わず良い影響が出てくると思うので。常にポリシーを頭のどこかに置いて仕事に取り組んでいかなければ、と思っています。
伊藤:今回ポリシーとして明文化された内容は、思いとしては今までも皆さんが持っていたもので、かつ制度やレビューにも反映されています。ただ、企画などの対外組織に対して、どれだけそれを表現して振る舞ってよいのかがわからず、やりきれなかった部分もあったのかなと思うんです。
私は今企画と兼務させていただいているので、「PSD部はこんなポリシーを持っていて、だからこそこういうコミュニケーションを取っているんだ」と伝えるなど、PSD部の皆さんがポリシーを自然に体現できるように組織外への働きかけも行っていきたいと思います。
――このポリシーを胸に、今後チャレンジしていきたいことを教えてください。
金城:現在は今までになく関係部署が多いプロジェクトを回しており、その中で全体の合意形成を取っていくことが、自分にとってチャレンジングな取り組みだと思っています。そのプロジェクトがうまく帰結し、成果がROIとして目に見える形で出てくるよう、引き続き頑張っていきたいと思います。
伊藤:今期は、実作業者による兼務が中心の組織で企画者がいない中大きなプロジェクトを動かすことが多いので、まさにポリシーの見せどころなのではないかと思っています。「実作業者が快適か」「システムとして・企画としてどうしていくべきか」を考えていく過程を、しっかりと意思を持って進めていければと思います。
澤田:現在、ある部署の業務効率化を目的とした新たなシステムの立ち上げに向け、プロジェクトの立ち上げ準備を進めています。
このフェーズから携わるのは私にとって初めてであり、またシステムについて難しい要望をいただくこともありますが……しっかりと使っていただき業務効率化の成果を還元できるシステムになるよう、ポリシーを意識しながら取り組んでいきたいと思います。
――ありがとうございます。それでは最後に、古野さん、一橋さんから「このポリシーを活かして今後どのような組織や文化を作っていきたいか」をお聞かせいただいて締めたいと思います。
古野:今回、可視化できたポリシーを軸に他業種から異動してきたIT経験がまだない方や若いメンバーの教育を進めて、テクノロジーの力で事業に貢献できるメンバーを一人でも多く増やしていきたいですね。
それによって、私たちの組織を中心に「フロント職をやっていた方もITのフィールドで活躍できる」世界観を実現することが、IT人材の需要が高まる時代において、他社にないパーソルキャリアの強みになっていくのではと思っています。
一橋:まずはこのポリシーをもとに、社内外へ向けて「PSD部という組織がどのような考えを持ち、何を大切にしているのか」を示していきたいと思っています。
また「どのような領域で能力を伸ばす必要があるのか」「どのような姿勢でプロジェクトに臨むべきか」を一人ひとりが具体化できるような、判断の拠りどころになるようなものとして運用を進めて。最終的には、改めて「ポリシーってなんだっけ?」と問わなくても組織に浸透している、ポリシーが暗黙知になっている状態を目指したいと思います。
――素敵なお話をありがとうございました!
(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈)
一橋 範哉 Norichika Ichihashi
エージェントプロセス&システムデザイン部 ゼネラルマネジャー
オブジェクト指向技術を使ったソフトウェア製品の技術サポートからキャリアをスタート。その後、ITコンサルティング会社にて、主に製造業向けに生産管理・SCM分野においてビジネス分析などの上流からシステムのデリバリーまで一貫して行うプロジェクトに従事。事業会社に転じた後は受発注などの基幹系システムやECサイトの再構築プロジェクトを経て、IT組織のマネジメントを経験。2021年1月にパーソルキャリアに入社、2022年4月より現職。
古野 順一 Junichi Furuno
BITA統括部 プロジェクトBITA部 システムPMグループ シニアコンサルタント
六本木の飲食店に「住む」というブラック勤務を経験し、ふと我に返りIT業界にジョイン。その後Sierを8年ほど経験、稼働時間がとても高く、ふと我に返り「何が違うんだっけ?」と思ったがそのまま働くことにする。主にPG、インフラのエンジニア、PM、営業を経験し、ペット保険の事業会社にジョイン。4年半ほどシステム部門をリーディング。パーソルキャリアジョイン後は基幹システムのPMとして従事。
伊藤 有紀 Yuki Ito
エージェントプロセス&システムデザイン部 エクスペリエンスデザイングループ コンサルタント
2017年新卒入社。キャリアアドバイザーに配属となり、その後2019年末まで金融機関ご出身者の方のご支援に携わる。キャリアチャレンジ制度にてエージェントプロセス&システムデザイン部に異動し、CA/個人顧客に関わるPJTを担当。昨年猫を飼い始め、在宅ワークの満足度が上がった。
澤田 智子 Tomoko Sawada
プラスプロセス&システムデザイン部 プラスプロセスデザイングループ コンサルタント
前職は人材サービス会社のシステム部門に所属し、基幹システムの運用保守に携わる。2020年5月にパーソルキャリアに入社。入社後はdodaプラス事業におけるT原稿制作業務やスカウト配信業務のシステム改修プロジェクトに携わる。
加藤 祐也 Yuya Kato
プラスプロセス&システムデザイン部 プラスプロセスデザイングループ リードコンサルタント
新卒でSIerに入社し、自社のERPパッケージの開発業務を経験。プログラマ、SE、PMを経験した後、2020年4月にパーソルキャリアに入社。入社後はdodaプラス事業部における、Salesforceの開発、スカウト配信システムの改善に従事。現在は退職。
金城 祐建 Yuken Kaneshiro
エージェントプロセス&システムデザイン部 ビジネスプロセスデザイングループ リードコンサルタント
SIerにてプログラマ、SE、PMを経験した後、人材紹介サービスの社内SEに転職し基幹や集客などの業務システム全般の運用保守に携わる。2021年3月にパーソルキャリアに入社。入社後はエージェント事業部における、Salesforceの開発、基幹システムの改善に従事。
※2022年9月現在の情報です。