進化し続ける組織を目指す――サービス開発統括部の“カルチャーデック”に込めた想いとは

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Netflixをはじめ、LinkedInやSpotifyなど、成長著しいメガ・ベンチャーが導入することで話題となっている“カルチャーデック”。いわゆる企業文化や行動規範を定めたカルチャーガイドですが、2020年10月に、サービス開発統括部が、独自のカルチャーデックの作成に着手し、すでに運用を開始しています。そもそもどうしてカルチャーデックを作ることになったのか、どのような効果を規定しているのか。二人のキーマンに話を聞きました。

※2020年11月に取材を行い、撮影時のみマスクを外しています。

“カルチャーデック“を導入したワケ

――サービス開発統括部において、新たなに“カルチャーデック”を設置することになった背景から教えてください。

三口:サービス開発統括部を立ち上げる際、チャレンジングな目標を持ちましょうという話になりました。従来のMBOではなく、OKRを設定した方が、より高みを目指して自走できるということで、会社ミッションと接続した目標設計としてOKRを導入し、根付かせるために色々と取り組んできました。しかし1年が経ってみると、OKRは僕たちの組織に合っていないということに気づきました。主な理由としては、大型な組織改編が多いという点があげられます。ミッションが組織に紐づいて個人につながるので、組織が変更されると難しいということで、OKRを諦めたのですね。

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エンジニアリング統括部 エグゼクティブマネジャー 三口 聡之介

しかし、OKRを諦めたとして、もともとやろうとしていたチャレンジングな目標であったり、チームで作っていくことに対して統一した行動規範や考え、ルールなどは持つべきだろうと考えました。そんな折に、ちょうどNetflixで話題になっていた“カルチャーデック”が合うかもしれないと思い、我々独自のものを、3カ月ほどで作り上げました。最初は結構、時間がかかりましたが、最終的にはキュッと仕上がりましたね。

 

――“カルチャーデック”が合うかもしれないと考えたポイントはどこにあったのでしょうか?

三口:組織に所属するうえでの義務と言いますか、お作法みたいなものがありますよね。例えば組織内でアンケートに答えてもらうことがありますが、ほとんどの方は答えてくれるものの、答えてくれない人がちらほら目立つようになってきました。しかし、そういう人たちは、自分たちが悪いことをしている意識がないので、それを理解してもらう必要があるという話が以前からあったのですね。

そこに対してカルチャーデックは、Netflixの例を見ると、「合わない人は去れ」という過激な考えがベースにあります。そこまで厳しくは言えませんが、それをマイルドにしてエッセンスとして入れようと考えたのですね。自分たちが考えている方向性に賛同してくれる人や、今まで意識しなかった人も気づけるようなものを作った方がより良くなるのではないかと考えたのです。

 

――それは、単なる“ふるい”ではないですよね。

三口:そうですね。もともとやりたくない人は去ってもらっていいと思いますが、気づいていないという人が多いですね。組織にいること自体でかなり恩恵を受けているところがあると思いますが、恩恵を受けているにもかかわらず自分は義務を果たさないという「フリーライダー」がいます。この「フリーライダー」の特徴は、自分がフリーライダーであると自覚していません。その人が悪いということではありませんが、それに気づかせるためにカルチャーデックを作ることで、“自分はやっていなかった”と気づいてくれるのではないかと思いました。

 

――当初OKRを通じて会社ミッションと紐づいたチャレンジングな目標を立てることを意識していたところから、カルチャーデックの少し足元の話に変更になったと思います。もともと計画していたチャレンジングな目標とどのようにつなげたのでしょうか?

三口:カルチャーデックを作るときに、“僕たちは何を組織として正しいとするのか”というところで、その要素を持ってきました。接続していないわけではなく、まずサービス開発統括としてどうあるべきか、僕たちがやるべきことは何かということは、本来のミッションにリンクするような形で置いています。そして、それを実現しやすいカルチャーとは何かというところをスタート地点にしています。

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最初に時間がかかったというのは、まずその“カルチャーとは何か?”というところから入り、みんなが考えるカルチャーとは何かを知るために、価値観を50個ほど出して、それを大切だと思う順に並べてもらいました。みんなが一致していればそれがカルチャーとなりますが、結果は一致していませんでした。それから分かったことは、みんなそれぞれ価値観が違い、その違いを受け入れて、なおかつ進む方向は同じにしていくことが必要だということでした。それからチームの話になり、チームとしてのあるべき姿を考えていくと、どんどん話が進んでいきました。

 

――三口さんと一緒にカルチャーデックを創り上げてきた岡本さんは、入社前後で何かギャップを感じることはありましたか?

岡本:本人を前にして言うのも言いづらいですが(笑)、2020年6月に入社して、事前に三口さんとたくさん話をしました。組織の課題や良い点、悪い点についてそこまでのギャップはありませんでしたね。僕と三口さんが似ているところは、面接の時点で良い点も悪い点も伝えるということを大事にしている点です。良いところばかりを伝えても、実際に入社して違っていたらお互いに不幸になるので、悪い点もしっかりと聞いていました。お互いがオープンに話し合いましたね。

 

――岡本さんが考える“エンジニアに適した組織”とはどのように考えていますか?

岡本:エンジニアは職人気質なので、それをこの大きな会社でも、レバレッジを効かせて、何かを変えられるような組織であれば面白いと思います。どちらかというと古い体質の会社ではあるかと思うので、それをどう変革していくかによって大きな影響力を与えられるようになると思います。そのレバレッジにどこまでエンジニアが関わっていけるかが重要ですね。

 

――その観点から見たときに、今の組織をどう評価しましたか。

岡本:まだ発展途上にあると感じています。理由は、サービスを爆速で作ったり、ユーザーに誰よりも早く問いかけてサービスリリースすることが僕たちのミッションですが、2019年のサービスリリースのスピードを見ると実際には、そこまでたどり着けてはいません。

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サービス開発統括部 エグゼクティブマネジャー 岡本 邦宏

チームがころころと変わるときに、OKRは目的と結果が対になっています。チーム内に腹落ちをさせたうえで浸透させるのがOKRですが、その数値目標や定性的なモデルの部分は、僕たちからも推進ができていなかったと思います。実はその前段が大事で、ゴールの設定は会社の都合もありますが、そこの伝え方は僕たちが変えなければならないということで、カルチャーを大事にしようという話になりました。

カルチャーは育てていくものなので、チームが変わったらカルチャーもまた変化していく、もしくは育てていくことが必要です。結局はゴールに近づけるということで、カルチャーデックを作り始めたということですね。いわば目線合わせのひとつです。

 

――チームが変わる、というのは携わるプロジェクトが変わるということですかね?

岡本:そうですね。プロジェクトごともそうですが、弊社の場合は組織構造も変わってしまうので、なかなか難しいと思いました。せめて1年くらい続けばいいのですが、半年ほどの短期間で変わることもあり得ますからね。OKRの定着は難しいと僕も思いました。

 

――サービス開発統括部の組織について伺いましたが、会社全体を見たときにサービス開発の立ち位置や役割をどのように感じていますか?

岡本:会社全体も想像していたよりは確かにギャップは少なかったのですが、正直、やはり面倒に感じる部分もありました。事業そのものの社会的意義が大きく、また会社の図体も大きいですし、影響力も大きいので、何かあったときの反動が小さな会社と比べて、かなり大きなものになることが予想されます。レバレッジを効かせることも大きいですが、逆レバレッジも大きいこともあり、なので個人情報の保護や情報を扱うことにとてもセンシティブになっていると思います。

それに対して三口さんは、挑戦的になろうとまさに変革するために立ち上げてくださったと思うので、まさに過渡期ですね。サービス開発統括部は、今まさにベンチャー1、2年目のイメージです。正直、社員の入れ替わりも激しくなる時期ですよね。しかし、ベンチャーのように猪突猛進で闇雲に進んでいくわけにはいかないくらいに社会的な影響力が大きすぎて、また個人情報保護などもセンシティブなので、そのギリギリを攻めている感じがします。

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また、他の大きな人材会社に比べて技術的だなと感じるのは、その過渡期を爆速で作っている中途のメンバーが、モダンな設計をしている点です。それはおそらく、色々な業界を経験したプロフェッショナルが集まっているからだと思います。普通であればシードからシリーズAに行くまで3~4年ほどかかりますが、それを3~4カ月で行っているので結構しんどいと思います。なので、それに合ったアーキテクチャが必要になりますね。

 

――その状況の中でどのように考え、三口さんと相談してきたのでしょうか。

岡本:僕に限らずマネージャー陣で毎週のように議論を重ねました。

チームというのは、共通目的がなければただの集団となってしまい意味がありません。最終的に問いかけるのはユーザーのため、会社のためでもありますが、自分たちのため、その成長がチームや会社のためになり、その先にプロダクトの成長があります。本質は曲げないようにして、ではその順番をどうしようかという話をたくさんしてきました。

難易度はとても高いです。僕たちの部署が関わっているサービスは、複数ある中での組織横断での情報共有はなかなか難しいし、サービスごとにそれぞれの色があり、結局ユーザーが求めるゴール設定もサービスごとに異なります。その中で僕たちはチームを作っていかなければならないので、見ている方向性は同じでないといけないですよね。

 

――複数のサービスにはそれぞれの色がある中で、それをサービス統括部が無理矢理ひとつに束ねるのは難しいのではないでしょうか。

三口:そんなこともないと思います。カルチャーデックの中で、グループの目的を定めますよね。結局はミッションを達成するために、僕たちはクリエイターやエンジニア、デザイナーだったりするので、作っていくということの中に必要な要素があるので、それを抽出していけば良いのです。

それに加えて、新規サービスというカテゴリー自体がそこでぎゅっと狭まっていて、新しいものを作るということ自体は同じです。そこの部分でのカルチャーデックなので、例えば多様性を重視したり、イノベーティブでなければならないので、異なった考え方をそれぞれの良いところを切り出してやるのか、または、はみ出した部分をどのようにして包み込むのかというインクルージョンする力を養うのが大事になってきますよね。

多様性というのはカルチャーデックには書いていませんが、とても難しいものです。多様性を受け入れるとバラバラでも良いのかとなりますが、バラバラではいけません。新しいものを作るときに、みんながある程度同じ方向を見るということが重要で、例えば“やらなくても良いのでは”と考える人がいると、できるものもできなくなってしまいます。

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最初のうちは「二階建て」と表現していたんです。ベースとなるカルチャーがあり、その上でそれぞれのチームがあり、そのチームはベースが一致しているものが多ければ多いほどやりやすくなります。一方で全く同じではイノベーティブでなくなります。

と、考えるとカルチャーは、集まった人たちで作っていくものだという表現の仕方を最初はしていました。そのベースの部分は、新規サービスを作るという我々にとって共通している部分を抽出しています。共通しているものがなければ伝えられないので、まずはベースとなるカルチャーを作ろうということが、今回のカルチャーデックの目的です。

 

――ベースになるカルチャーとその上にあるチーム。それは双方に関係しあっているということですね。

三口:そうですね。大事にしているのは共通言語や共通体験です。例えば、人と話をしていると共通項が出てきますよね。僕たちはそれを共通体験と呼んでいますが、その共通体験をしているということで、お互いに分かった気持ちになりますよね。例えば、同じ出身地だったり、それがレアであるほどお互いに知った気持ちになり共通イメージが沸きますが、その共通イメージが沸くと、同じ言語で話しているという扱いになります。なので、できるだけ同じ体験を“これは同じ体験だ”と感じられたら、その枠は必ず一致するはずです。

 

――三口さんは、内製開発を推進するエンジニアリング統括も管掌していますが、このカルチャーデックは新規サービスを開発する組織に向いているものなのでしょうか?

三口:そんなことはないと思います。それぞれで大事にするものがありますよね。例えば、既存のものであれば、すでに使っているお客様が割合的にも大きいので、その信頼や信用がとても大事になってきます。つまり、今のお客様をどれだけ満足させるかという点に比重が大きくなるので、それを考えたカルチャーにする必要があります。既存の場合であれば、どんどん変えていこうというカルチャーは合いません。

 

部署独自のカルチャーデックとは?

 

――今回のカルチャーデック、の基本方針を教えてください。

岡本:大きくは6つのカルチャーをベースとして定義しています。

 

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ひとつめの「ユーザーを向いて仕事をする」というのは先ほど言ったことです。2つめの「チームの目的をはっきりさせる」というのは、個人の成長を言っている人もいるでしょうし、チームの成長を言っている人もいると思います。

三口:結局、個人でできることというのは少ないということがベースにあります。なので僕たちはチームで作らなければならないということが前提にあり、ではチームとは何かという話の中で先ほどの話に繋がります。

 

――チームを再定義しようとなったときに、共通目的が大事となったわけですね。

三口:グループワークの基本ですが、目的が無ければただの通りすがりの人です。そして、それぞれの役割が大事なので、分担ができていなければいけません。ここで言っているグループとは、同じ行動をみんなが取ります。そしてチームというのは、みんながそれぞれ違う行動を取り、1つのやるべきことを実行します。チームではみんなが違うことをする、ということが役割になります。そして共通体験が相互支援に繋がります。共通イメージがあるからお互いに支援ができるのですね。

岡本:カルチャーを作る前に、そもそも「チームとは何か」という話をしましたね。

三口:なのでこの6つの指針のうち4つはチームの話になっています。

 

――今回チームの定義づけをしたのは、当時のサービス開発統括の中でもチームに対する考えにズレがあったからここで定義づけをしたのでしょうか。

三口:課題感は少しありました。僕たちもそうですが、「このようにしましょう」という枠組みなどが用意されていたので、それに乗っかっている人が多くて、乗っかればそれなりに上手く行くようにしていますが、そうすると自分で考えない人が多くなります。自ら考えて動くのではなく、その会にただ招待された人になってしまうので、目的がはっきりしていない人がかなり多くいました。そこから、そもそもチームが何か?を分かっていないという話になり、チームが大事だということを改めて話をさせてもらいました。

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岡本:役割があるということは、それぞれが必要とされる役割を持っているということです。そこで自分ゴト化をして、自主的に意思決定をし、役割を果たしていかなければ、そもそもその人の存在価値がありません。なので改めてみんなでチームや役割の定義をしたわけですね。

 

――それは例えばミーティングなどでも自分が主体的に参加するのであれば、ただいるだけではなく、そこに対して自分の思いや考えをぶつけていこうという前提のもとで、先ほどの課題を感じていたということでしょうか

三口:大体は合っていますね。目的や自分の職能、グレードもなんとなく理解をしているのですが、真の意味では分かっていないという印象がありました。なぜそのグレードが定義されたのか、デザイナーは本来何をすべきなのか、といったことを、なんとなくの理解で仕事をしている人が多くなってきたという印象でした。

なので、その枠は超えていただいて構いませんよという話です。“なんとなく”の定義であれば外れるような場所にボールが落ちることが増えてきました。“なんとなく”なので、“これは僕の仕事だ”という意識がありません。しかし本来ならば目的として、そのボールをきちんと処理をすることがあった上で、たまたま今は役割として分けているけれども、役割として存在しなければ自分でやらなければいけません。その意識が少なかったですね。

岡本:自分の関わっているプロジェクトを自分ゴト化として捉えるということですね。例えば野球でも、ライトとセンターの間にボールが落ちたときはどちらも取りに走りますよね。そしてその行動を取ることによって観客が熱狂します。それはプロとして勝つためであり、エンターテイメントとして喜ばせるためというイメージです。なので落ちてくるボールをじっと見て、“これは自分の仕事ではない”と思うのはおかしな話です。職能もプロなのですから。

三口:その範囲内でやってしまっているということですね。

岡本:そうですね。加えて先ほどのチームの考え方としては、そのポテンヒットを見ているだけではいけません。エンターテイメントとしてユーザーが喜ぶことをするべきです。

 

――それは、例えば1年前と比べて、人員が増えて組織が拡大してきたことにも関係していますか。

三口:それもあると思います。初期メンバーの近くで働いている人の中には分かっている人がいたり、より濃くDNAを受け継いでいたり、というイメージがありますが、それが徐々に薄くなっている印象です。なので今ここで、もう一度しっかりと定義しようということです。

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カルチャーデックの最初に定義をしていますが、これはあくまで今のカルチャーのベースであり、みんなが当たり前のように感じてくると、また違うものがカルチャーとして取り入れられることもあります。カルチャーというのは引き継ぐものでもありますが、それを変えてはいけないというものではありません僕は人が重要だと思っていますが、そのときに集まった人によって変わっていくものだと思います。

 

カルチャーデック浸透のための秘策とは?

――最初にこのカルチャーデックを統括部メンバーに話した時の反応はいかがでしたか。

三口:思ったよりも受け入れられたと思います。なんとなく理解をしていたけれども、言われて改めて“そうだな。自分はやっていなかったな。チームとして考えていなかったな”と改めて意識をした人が多かったと思います。チームの三大原則の点でも“目的をはっきりとさせていなかったな。なんとなくミーティングに参加していたな”という人たちが結構いたと思います。

 

――発表が10月でしたが、効果はいかがですか?

三口:発表後すぐに、アンケートの回収率は上がってきましたね。我々は毎月、組織の状態を把握するためや、欲しいプロジェクトについてなどのアンケートを取っていて、そのアンケートは義務のようなものですが、これまではいつまで経っても回答しない人が結構いました。

その人たちには「プロジェクトを一生懸命にやっているから」という理由があって、悪気はありません。しかし、その人たちも組織にいて、他のみんながアンケートを答えた結果による恩恵を受けているのに、自分だけ無視をして自分だけが得をする行動を取っているわけですよね。今回、このカルチャーデックを発表することで、実はそれはみんなに迷惑をかけている行為だということ改めて伝えることになりました。アンケートにも「自分は思っていなかったけれども、フリーライダーだったのかもしれない」というコメントが何件かありましたね。

 

――どのように浸透させていったのでしょうか。

三口:最初は資料を作り、僕が一方的に話しました。その後アンケートを取ってみると反応が良かったのですが、浸透させていかなければならないと思い、2週間に1度ワークショップを開催。1回目は「変則じゃんけん」をしました。僕がゲーム好きなので、ボードゲームのようにしてみたのです。

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詳しい説明は割愛しますが、何回かじゃんけんをして相手からポイントを奪ったり、奪われたりします。「どうなれば勝ちなのか」というルールを決めて、何回か行いますが、最初の利益だけを取りに行くか、長期的な利益を取りに行くかのゲームです。これは長期的な利益を取る方、つまりチームの方が得をする、ということが理解できるように設計されています。

最初は相談もなしに始めると、自分が勝ちたいので相手から奪おうとしますが、お互いに奪おうとするとお互いに0ptで終了してしまいますから、最初は、自分のポイントがなくならない程度に相手に与えるということが正解です。

 

――それは、一方的に伝えたり、文章を読んだりするだけでは足らないと感じたから、ゲームで行ったのですね。

三口:そうですね。一方的に話すだけではなく、体験として必要だと思っています。先ほどのチームとしての考え方と同じですが、共通イメージや共通言語を作らなければなりません。そのためには”共通体験が必要”です。それをひとつワークとして行うことで、みんなが「変則じゃんけん」と聞くと「長期的にやった方が利益になるもの」というイメージがつきます。そうするとチームは「変則じゃんけん」で、結局は自分が犠牲になったとしても相手を活かした方が得をすると理解できます。「変則じゃんけん」を知っている人は、長期的にやった方が得をすると解釈し、“相手から奪うことはもったいない”という共通認識が生まれます。

岡本:オンラインならではのワークショップの典型だと思います。リアルではよく話し合ったりするワークショップがあると思いますが、それが限られた空間と時間で大人数が集まったときに、いかに効率的に理解させるかを考えると、とても良くできたゲームだと思います。

 

――ユニークな取り組みですね。そういったネタはどこから持ってくるのでしょうか。

三口:僕が大学生のときにグループワークに触れて、感動したことがベースとなっています。自分が何かアクションをして人を動かすのではなく、ルールを決めてそれに沿って人が動くので、そのルールの中でやりたいようにやらせるということが、僕の好きな考え方です。その辺りがグループワークの理解で、それをするとみんなが何を感じてどう動くのかということを最初に理解して、それをルールとして投入しています。

岡本:僕も以前マネジャー同士でボードゲームをやったのですが、そこで僕と三口さんの攻め方が似ていたり、思考が全く同じだということが分かりました(笑)。

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三口:勝つための考え方が一緒だったんだよね(笑)。それぞれが同じ数字を持っていて、一斉に出したときに一番大きな数字を出した人が勝ちで、同じ数字が出た場合は次に小さい数字を出した人が勝ちになるというものがありました。面白いことに、僕たちは毎回同じ数字を出していましたね。

岡本:とてもやりづらかったですね(笑)。

三口:僕は岡本さんが同じロジックを使っているということで、近しい思考を持っていることがわかって安心しましたね。正攻法があるわけではなく、その場で考えたものなのに全く同じでした。外そうとしたロジックまでも同じだったので面白かったですね。

 

――アンケートの回収率が上がったのは、その体験の共有をしたあとでしょうか。

三口:最初の説明だけで回収率は上がりました。しかし反復練習のようなもので、継続的にやる必要があります。毎回同じじゃんけんではなく、違う角度でカルチャーの話をしていきます。基本的に伝えることは同じですが、違うゲームを通じて理解度を高めていこうと思います。

 

――アンケート以外で、実際に仕事のシーンで効果を感じたことはありますか。

岡本:カルチャーデックにも記載していますが、プロダクトを早く出す、ユーザーに問いかける、最速対話をするということは、エンジニアが率先しています。リリース日をなんとか守るという意識改革もされていますね。その意識は企画メンバーよりも強いと思います。

三口:前からぼんやりと“そうだよね”と言っていましたが、さらに明確に意識をしてきて団結してきたという印象ですね。これまでフリーライダーという自覚が無かった人たちも変わってきました。9割くらいの人はちゃんとしてくれていましたが、1割の人がいるせいで、きちんとやってくれている人が損をする、という状態になりつつあったので、それが徐々に改善されていっています。他の人たちも、その人たちに対して何も言えませんでしたが、今はフリーライダーという言葉も浸透してきました。

 

――今回のカルチャーデックを通じて、チームや組織で働くことや、チームとして大事にすることを改めて明文化をして、組織で働くことについてのメッセージを作ったということですね。

三口:今はそれが大事なので、その点を中心に話しています。みんなが当たり前に理解をすれば、改めて説明することでもありません。そうするとカルチャーデックの役割が変わってきます。

 

――今後の組織づくりについて、岡本さんがお考えになっていることを教えてください。

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岡本:良い意味で社内外に影響力のある組織を作りたいと思います。そのためには今の段階で大事なものを共有しますが、組織が次のフェーズに進んだときには、また別の考え方を共有していきたいと思います。

自分たちが良いチームを作ったとしても、それがユーザーにとって良いプロダクトではなかったとしたら、ただの自己満足になってしまいます。なので良いプロダクトを作り、それを使っていただき、社内外からも“良いチームだ”と分かってもらいたいですね。

そして「カルチャーデックがいい」という話が広まれば、他の組織でも始まるかもしれません。全てがフィットするかどうかは分かりませんが、大きな組織でもやり方次第で可能だと思います。

 

――最後に、カルチャーデックを通じて、これから入社する方に向けたメッセージをお願いします。

岡本:今いるメンバーもそうですが、これから私たちの部署に入社する人には、自部署だけに留まらない方がいいですね。複業ももちろんOKです。外で得た知見を活かせばいい話ですからね。

困っていること、課題に感じていることをどう変えていくかは、他部署のことを理解し、自分ゴトとして考えることができるといいと思います。小さな組織で閉じこもっていても仕方がありません。外に出て問いかけていった方がいいです。外に目を向けるということです。本人ができなければ、上の人間を使ってくれていいです。その巻き込み力も覚えてほしいですね。

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――サービス開発統括部のカルチャーについて改めて理解が進みました。素敵なお話をありがとうございました!

(インタビュー・編集=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/撮影=古宮こうき)

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三口聡之介 Sonosuke Mikuchi

エンジニアリング統括部 エグゼクティブマネジャー

京都大学在学中に、株式会社ガイアックスの設立に参画。その後、KLab株式会社で携帯アプリケーションの開発に従事したのち、楽天株式会社に入社し、プロデューサーとしてMyRakutenなどを担当した。2013年から株式会社百戦錬磨に参画、取締役に就任。2013年にとまれる株式会社を設立、代表取締役社長に就任した。その後、ベンチャー企業複数社を経て2018年2月からパーソルキャリア株式会社に入社。サービス開発統括部のエグゼクティブマネジャーを務めている。

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岡本 邦宏 Kunihiro Okamoto

サービス開発統括部 エグゼクティブマネジャー

ADSL通信事業社にてシステム開発に従事したのち渡豪し、旅行・留学の会社にてプロダクト開発および広告事業を立ち上げ分社化。事業を売却し帰国。SoftbankグループではBBTV/ BBラジオなどのBBシリーズのリードエンジニアとして新規事業立ち上げを行う。CYBIRDにて複数のモバイルコンテンツ事業責任者兼シニアエンジニアリングマネージャーとして子会社のCTOを務める。レコチョクにて、定額制音楽配信サービスDヒッツを立ち上げ。数百億円以上を売り上げるサービスへの成長に寄与する。その後、ヘルスケアスタートアップの取締役CTO、スキルシェアサービスのココナラでは技術統括を努め、Rails移行のPDMやVPofEの役割も担う。音声ベンチャー、不動産テックなど複数社の技術顧問などを担い、現在に至る。

※2020年11月現在の情報です。

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