パーソルキャリアとパーソル総合研究所(以下、パーソル総研)は、マーケットデータに基づいた「ジョブごとの報酬水準」を企業に提供するサービス「Salaries.jp(以下、「Salaries(サラリーズ)」)」のローンチを2021年春に予定しています。
マーケットに準拠したフェアな処遇の実現を目指し、「企業やはたらく人々にとって、より良いはたらき方を検討するきっかけを作りたい」という願いが込められたこのサービス。プロジェクトの核として活躍するパーソルキャリアのメンバーに、開発の経緯や「Salaries」にかける想いを取材しました。
※大地は退職していますが、本人の同意を得て、掲載を継続しています。
転換期を迎える日本の労働市場で、今こそパーソルができること。
――まずは、Salariesを開発するに至った背景を教えてください。
正能:“同一労働同一賃金”や“ジョブ型”、“働き方改革”に“人生100年時代”というキーワードをニュースでも耳にするように、日本のはたらき方は今、大きな転換期を迎えています。
そんな変わるはたらき方に対して、私たちに何かできることはないかと考えたのが今回の開発のきっかけですね。今後、日本型雇用と言われる雇用形態から「ジョブ型」へと変化する企業が増えていくだろうと言われる中、はたらく個人には「キャリア自律」が求められ、そうした個人を雇う企業には「どのようにフェアな報酬を実現するか」の検討が求められていくでしょう。私たちは、今後変化していく社会において、はたらく個人と企業がフェアにあれるようなお手伝いをできればと考えています。
――そうした社会的背景を踏まえ、パーソルという会社がSalariesという事業に取り組む理由について、正能さんはどのようにお考えですか?
正能:私は、パーソルキャリアが掲げる「人々に“はたらく”を自分のものにする力を」というミッションがとても好きで、事業を通して、このミッションを実現していきたいと考えています。そして、キャリア自律が求められるこれからの時代において、人々が“はたらく”を自分のものにできる社会を実現する方法の一つに、先にお話ししたような「フェアな処遇の実現」があるのではないかなと。
パーソルキャリアには、転職サービス「doda」を通して蓄積してきた、マーケットの相場観を把握できるデータがある。そんな、既存事業での財産を強みに、世の中に新たな価値を提供していけたらという思いです。
――Salariesの概要を教えて下さい。
正能:Salariesは、マーケットデータに基づいた、「ジョブごとの報酬水準データ」を企業に提供するサービスです。「ジョブごとの報酬水準」は、現状では「doda」が有する実データのうち、直近数年分の約100万件のデータをベースに作っています。また、今後は、Salariesのご利用企業様のデータを統計化して加えていきますので、ご利用くださる企業さまが多いほど、リアルな今のマーケット水準をお客さまにお届けできるようになっていくという発想です。
サービスは、例えば、採用活動の場面で「このような業種・職種・グレードの場合はいくらか」ということを知りたい時にご活用いただけます。マーケットに準拠したフェアな処遇を企業が把握することができれば、転職希望者に妥当なオファー額を提案できるので、優秀な人材を採用する一助になるのではないでしょうか。
また、既存社員に対する処遇や報酬制度の見直しにも、ぜひご活用いただきたいです。優秀な人材が、給与面での不満を理由に退職してしまうことをどのように防ぐのか。給与と役割に乖離があるケースを、どのように解消していくのか。雇用の流動化が進む中でも自社に優秀な社員を留めておくには、マーケットに準拠したフェアな処遇が必要だと私たちは考えています。
――Salariesにはどんな特徴がありますか。
正能:こうした報酬調査サービスは、他にもいくつかあるのですが、Salariesの大きな特徴は、「使い方が簡単で、日常的に使っていただける」ということです。特に、機械学習を使ったデータの自動振り分けは画期的なのではないかと私たちは考えています。従来の報酬調査サービスでは、ジョブグレードの振り分けを企業人事が行っていたため、負担がとても大きなものでしたが、Salariesでは機械学習によって、グレードを自動で振り分けることが可能です。
分析が完了すると、2種類の表示方法で、結果を確認できます。
1つは「報酬レンジグラフ」と呼ばれるもので、マーケットと自社の報酬レンジのデータを、グラフで並べることで直感的に比較・分析できる表示です。例えば、同業種・同職種・同グレードの場合でも、マーケットデータに比べて自社データのレンジが低ければ「退職を考えるきっかけとなる可能性があるので、給与面を見直した方が良いのでは?」という議論のきっかけになりますよね。
もう1つは、「散布図」と言われるもので、こちらは自社社員のグレードやパフォーマンスごとの給与分布が可視化できるため評価制度の見直しなどに活用できます。
他にも、dodaのデータを活用したコンテンツを用意しているところなので、人事の方には、報酬制度や人事制度の見直しに使っていただきつつ、そうしたコンテンツも日常的にご活用いただけたらという気持ちです。
――ここからは開発現場のお話を伺っていきたいと思います。Salariesはどういった流れで現在の体制に決まったのでしょうか?
吉次:サービス開発の全体像としては、パーソルキャリアのサービス企画統括部、サービス開発統括部とデジタルテクノロジー統括部(以下、DT部)、パーソル総研が関わっています。僕はお客さまである企業人事が触るWebアプリケーションの開発とPM、インフラやフロントエンドの実装などに携わっています。
海谷:私はデザイナーとしてプロジェクトに参加しています。このメンバーの中では私が最初にジョインしました。2019年12月頃に話が来て、2020年の1月から入り、当初は企画側の描いているものをモックとして作りました。
吉次:まず海谷さんが作ってくれたモックを見て、見せ方を大まかに決めました。
DT部でもデータを見てグレード分けのイメージを調査していました。半年間で要件がもろもろ固まり、7月から大池さんに入っていただきました。
大池:そうですね。私は推論基盤に携わっていて、チームのPMと開発を行っています。推論基盤というのは、具体的には従業員情報とジョブグレードの紐づけをAIではじき出すという部分ですね。
正能:私は、パーソルキャリアに転職をしてきた2020年7月から、企画メンバーとして携わっています。Salariesはパーソル総研との共同事業となっているのですが、パーソル総研側はお客さまである人事目線で使い方や機能要件を考えるがメインの役割、一方パーソルキャリア側はそれをどう実現していくのかを決めて作り込んでいくという役割分担になっています。
――モックからプロジェクトが始まったということですが、このプロジェクトがデザイナーから始まった理由はなんでしょう?
吉次:サービス開発統括部で取り扱うプロジェクトに関しては、どちらかというとデザイナーから動きます。最初にモックを作り、ユーザー調査などやりたいことが出来るかどうかを確認して、その検証があって初めてプロジェクト化されます。Salariesもその流れに則りました。
海谷:まずは企画側から作りたいイメージを聞いて、「このページでは何がしたいか」ということを詳しく詰めていくという方法でモックを作っていきました。
吉次:モックが完成した後に開発側へ話が来て。実現には機械学習が必要だ、ということで、DT部や当社のデータ基盤やデータ推進を担うデータ共通BITA部にも相談をして現在の体制を作りました。
情報保護と情報精度を追求するバランス感覚
――エンジニアとデザイナー、それぞれの役割でこだわったポイントを教えてください。
大池:スタート時点では、適切に許諾を得たうえで、dodaの利用者データを活用してマーケット情報を作っていますが、この先はSalariesを利用する企業からも情報をいただいて、マーケット情報を拡大していく。この発展性がサービスの狙いです。
情報をいただく際に、企業が最も懸念すると予想されるのが情報の扱い方。個人情報はもちろん好き勝手に利用して良いわけではありません。「どうやって内部でデータを利活用していくのか」というところが争点でしたね。検討の結果、適切な統計情報とした上で分析を進めていく仕様にしました。粗く統計を出してしまうと、今後の分析には使えませんし、細かいと個人情報も入ってしまうので、そのバランスをどう取るかという点が難しかったですね。
――統計化する際は、具体的にどこまで粗くしたのでしょうか?「年齢×社会人年数×職種大分類」では粗すぎますか?
大池:その情報では機械学習に利用しても、データとして活用するのは難しいです。実際には統計の情報として、スキル情報なども使っています。
吉次:「企業サマリ」というデータがダッシュボード上に保存されるのですが、ここではデータ件数や職種の割合、各グレードの比率、年収などの情報を表示しています。社会人経験年数もありますね。
大池:はい、まさにその情報を統計情報として機械学習に利用しています。こうした情報を出すことで見えてくる「データの偏り」をマーケット情報として反映する流れが組めないかと考えました。ポイントは、今ある学習モデルからはじき出したという点です。機械学習には学習の仕方があり、どのような変数を食わせるのかが決まっています。その変数をおおよそ正しい値で復元できる「最低限の統計情報」という点を主眼に置いて考えました。この部分はこれから作りこむので、実際にマーケット情報としてリアルに使えるかどうかは今後見えてくるところです。
――なるほど。海谷さん、デザイナーとしてこだわった点をお願いします。
海谷:デザイナーとしては初めてに近い仕事だったのですが、最初は色に迷いました。本サービスの性質や個性を考えるワークショップに参加した際に、企業とこのサービスは「ビジネスパートナー」だという答えに至りました。そうなると、信頼感を与える落ち着いた色合いが良いだろう、と。前例のないサービスなので、類似するサービスを分析できず大変でした。次のステップではユーザーの声が聞けるといいですね。
――データの取り扱いに慣れていないと見方がわからない場合もあると思いますが、グラフなどのデザインも気にされましたか?
海谷:私自身も統計学に詳しくなくて。最初の頃は、お恥ずかしながら「パーセンタイルってなに?」と思っていたくらいなので、さまざまなグラフを使ったサービスを見比べて参考にしました。フィルター部分のデザインもとても悩みましたね。人事の仕事が自分とは遠い存在なこともあり、感覚をつかむのが難しかったです。周りに意見を聞いたり、人事担当者が使うWebサイトを調べてみたり、いろいろ試行錯誤しました。
専門領域の違うメンバーとの相互理解の大変さ
――ではWebアプリケーション開発などを担当した吉次さんはいかがでしょうか?
吉次:開発の基本的な部分には、できる限り気を遣いました。インフラ周りのセキュリティの担保や開発しやすい環境、システムを更新する際にトラブルが起こりづらくする工夫などですね。正直なところ、パーソルキャリアの厳しいセキュリティ要件を満たすように作ることに苦労しました…。個人情報を取り扱うので、アクセス制御やネットワーク設計などは特に気を遣いましたね。
――安全な要件での設計が重要ですもんね…。
吉次:そうですね。パーソルキャリアとしてのセキュリティ要件を満たし、且つ、開発のしやすさとの両立も考えて…という感じですね。個人情報を預かることは緊張感があり、胃が痛い時期もありました。
そのほかに苦労した点で言うと、システムを作ることよりもコミュニケーションやタスク管理の方が大変でした。今回のプロジェクトはステークホルダーが多くて専門領域もバラバラなので、知識のギャップが大きかったですね。
特に今回のような機械学習を使うサービスは、非エンジニアの方には理解が難しい部分が多く、理解度を高めるために、僕が翻訳するような形になりました。データ領域の専門家と企画、デザイナーとの間で理解の齟齬がないかを見極めて、上手く取りまとめるようにしましたね。データ周りの専門的な知識だけではなく、要件の部分や企画側からの話もまとめて情報整理をする点が大変でした。
――関わる人が多いからこそ、全員の目線合わせが大切ということですね。
吉次:そうですね。大事にしているのは、サービスに関わる人が全員で一緒に作っていくというスタンスです。さまざまな職種の方が関わる中で、モノづくりに対する理解のギャップを埋めるのは大変でした。「こういうことがしたい」という要望に僕らが回答しても、正しく理解されているのか疑問符がつくこともあって。意図を汲み取ったつもりで管理画面とマニュアルを作ったのですが、想定外のフィードバックがあったこともあります…。
システム開発の現場から遠い方とのコミュニケーションがうまくいかない部分は、企画の方に間に入ってもらって進めました。ビジネスとしてやりたいことも大切ですが、Webサービスをどう作るかも大切です。ステークホルダーがそれぞれの重要性を理解することが、コミュニケーションの成立に必要だと感じました。
――他の皆さんも苦労があったと思いますが、同じエンジニアの大池さんはいかがですか?
大池:手戻りが予想以上に多くあったことですね。スケジュール的に先が見通せない状況だったので、開発が着手できるところは先行して内部で動いていました。ところが実際にプロジェクトが動き出すと、いろいろな問題が出てきたんですね。具体的には予定よりも機能群を落とす必要があったので、調整や組み込みの面でエンジニアの方々が苦労されていました。
手戻りが多くなってしまったのは、私の読み違いがあったと思います。ずっとエンジニアやPMとして働いてきましたが、機械学習を担当したのは今回が初めてでした。そのため、特性やプログラム上にどのようなクセがあるのかを完全には把握できていなかったんですね。今回はサーバーレスで作ろうとしたものの、実際に技術様式を組み込んでみるとそのままでは作れないことがわかり、軽く作った基盤をいったん捨てました。リスクヘッジとしてスケジュールにバッファを置いていたので、最終的には予定通りのバッファラインにギリギリには何とか納まりました。
――dodaでご登録いただいている情報は、必ずしも今回のジョブ型やジョブグレードにフィットしたものではないですよね。この辺りの表現はどのようにされていたのですか?
大池:元の情報を適切に加工して表現しています。dodaの利用者が実際にはどこのグレードに位置しているか、というデータは存在していないので、まずは教師データとして、1件1件確認しながら手動で割り振らなければいけませんでした。それはデータアナリストの方が担当したのですが、学習モデルに使うために8,000件程の対応が必要で。そうした膨大な作業もあってスケジュールが押してしまいました。個人の具体的な能力、つまりスキルの切り出しは今後の課題だと考えています。資格や職種に応じた細かいスキルもあり、報酬面に反映しやすいものもあります。スキルの分類や深さをさらに掘り下げられるとサービスがもっと活きてくるのではないかと思います。
――海谷さんはいかがですか?
海谷:実際に大池さんにデータを作っていただいたり、吉次さんに画面を実装していただいた 後から気づくことも多くあり、「作っては壊す」ことが多いプロジェクトでした。デザイナーとしてはまだまだなので、ついていくのが大変でしたね。1つの機能に3パターンのデザインを作ったこともありますし、さまざまなUIを見ながら、とにかくたくさん作りました。私が遅くなってしまうとフロント側の作業も遅れてしまうので、みなさんに迷惑をかけたなと思います。単純にデザインだけの話ではない、ということに苦労しましたね。
新しい価値の創造と、社会貢献の実感
――プロジェクトを通して、ご自身の中で感じた変化や気づきはありますか?
吉次:プロジェクトマネジメントがいかに重要かを再認識しました。企画だけ良くてもダメですし、技術だけでもダメ。いろいろな専門領域の人が集まって作るので、自分のチームの視点だけで考えるのではなく、全体最適の視点で立ち回らないといけないと感じました。
あとはどんどん決めていくというスピード感ですね。多忙な方が多いので、開発担当やデザイン担当が仮決めをして、100%を目指すよりもとにかく前に進めていくことが必要だと思いました。承認を待っているだけではプロジェクトは進まないので、PMの立場を活かして自分が決断して進めるようにしていました。最終的に認識合わせをすれば大丈夫だろう、というイメージでしたね。決断の重要性を感じるプロジェクトでした。
ビジネスサイドとしては「こちらがダメならこちら」と動けるように選択肢を考えたいと思うのですが、不確定要素が多すぎるとシステムを作れません。気持ちを理解しつつ、少し強引に進めていました。納得してもらえるかどうかはお互いの関係性もありますし、日ごろの行いも影響しそうですね(笑)。
大池:もともと私がパーソルキャリアにジョインした理由は、人に貢献するようなサービスを作りたいという思いからでした。今回のプロジェクトはBtoBではありますが、企業の従業員である個人にも、価値を提供できるサービスです。プロジェクトにアサインされた時、我々が持つ転職市場のデータに価値を見出しサービスに繋げていくという点がとても良いと思いました。実際に具現化してサービスインしたことで、組織と社会にしっかりと貢献できていることを実感しています。今後はサービスをパワーアップさせて、個人のスキルや報酬に貢献できるものを生み出したいですね。
新しい場所を切り拓くことが好きなので、パーソルの新たな価値として残せるものに携わり、とても嬉しいです。今後もこうした活躍ができるよう、精進していきたいと思います。
海谷:当然かもしれませんが、このようなサービスは1人では作れないですよね。企画や開発の方とも密に話さなければ、きちんと作れないということを改めて感じました。あとは吉次さんも言っていたように、トライ&エラーで作っていくことが大切ですね。80%のクオリティで進めて、どんどん改善していくのが良いと考えるようになりました。
――今回のプロジェクトは、見ている景色の違うステークホルダー同士の連携が重要だったと思います。企画側としてはどのように感じていましたか?
正能:企画としては、開発チーム・デザインチームの皆さんにご協力いただきながら、ただひたすらに、パーソル総研の皆さんとサービス企画を進める毎日ですね。ただ実際には、エンジニアやデザイナーの方々に、無理なお願いをしてしまうことも多く、毎日「申し訳ないな、ありがたいな」という気持ちで働いています。「事業としてチャンスを逃したくない。世の中のはたらき方を少しでも前向きにしたい」と真剣に考えると、結果的に無理なお願いをすることになってしまうことも多くて。
日々無理なお願いをしている自覚があるので、どんなお願いであれ、Slackやメールの語尾に「いかがでしょうか?」とつける癖がつきました。企画のメンバーには、「いかがでしょうかおばさん」とイジられています(苦笑)。
と、こんなお願いばかりしている私が言えることではないのですが、サービスって、人と人との関係があって初めて、良いものが作れると思うんです。優れたスキルを持つエンジニアさんやデザイナーさんがいること以上に、メンバーがメンバーをどう思いやり、それぞれのカードを惜しみなく出して、サービスを前に進めていくのかということの方が、よっぽど大事だと思います。Salariesは、私にとって入社後初のプロジェクトだったのですが、パーソルキャリアで働く毎日は、楽しいです。
――Salariesをより良くするために、予定していることはありますか?
正能:今後すぐにやっていきたいと考えているのは、まず何より、ご利用企業様のデータを統計化して反映し、よりリアルなマーケットデータに近づけていくことです。
さらに、メインの機能とは少し離れますが、スキルや経験と、給与の関係についても、Salariesの強みであるデータを使って、紐解いていきたいとも考えています。Salariesでは、例えば、ある業種・職種・グレードにおいて、どのようなスキル・経験が、給与をアップさせるのかがわかります。給与をアップさせるスキルや能力を明らかにすることは、人事にとって、人材育成や、兼務・異動などの配置転換の検討をするきっかけになるのではないでしょう。「給与を上げること」だけが、幸せなはたらき方を実現する方法ではないということはしっかり理解しながらも、必要な情報を、必要な人に提供していくことで、はたらく個人がキャリア選び取れる時代になったらいいなとも考えています。
――今後のSalariesについて展望を教えて下さい。
吉次:今はパイロット版として、いくつかの企業にご利用いただいている状況です。今後はフィードバックを得ながらサービスを改善して、日本中の企業に広がる良いサービスにしていけたらと思います。
正能:目指すは、「はたらく個人と企業がフェアな立場にあり続けられる社会を実現すること」です。今後ジョブ型が広がっていくであろう社会において、はたらく個人が、企業からフェアな処遇を受けることをサポートできる存在になれたらと考えています。そのためには、1社でも多くの企業様にこのサービスを採用していただき、Salariesの持つデータを、よりリアルなマーケットの情報に近づけていきたいです。
――今回のプロジェクトでは、それぞれの専門家がしっかりと役割を果たし、技術的にも新たなチャレンジをしながら生み出されたサービスであることが理解できました。フェアな処遇ができる社会によって、大きく変化していく雇用市場にSalariesができることを考えると、これからが楽しみです。本日はありがとうございました!
(取材=伊藤 秋廣(エーアイプロダクション)/文=杉野 遥)
正能 茉優 Mayu Shono
サービス企画統括部 サービス企画部 プランニンググループ
慶應義塾大学在学中に株式会社ハピキラFACTORYとしての活動をスタート。新卒で株式会社博報堂に入社、2016年10月にソニー株式会社へ転職。新規事業・新商品を企画しながら、自社の経営にも携わる。2020年7月にパーソルキャリア株式会社に転職。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任助教や内閣官房 まち・ひと・しごと創生会議の有識者委員なども務めている。
吉次 洋毅 Hiroki Yoshitsugu
サービス開発統括部 エンジニアリング部 第2グループ シニアエンジニア
2014年に高専専攻科を修了後、飲食店検索サービスを提供するWeb企業に入社。PHPをメインにバックエンドの領域の開発やプロジェクトマネジメントに従事。2016年にインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。「doda AIジョブサーチ」の開発等を経て、現在はSalariesの開発を担当している。
大池 伊織 Iori Oike
デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジー ソリューション部 エンジニアリンググループ リードエンジニア
前職はSIerで、様々な企業のWebシステム開発を行う。SEとして要件定義・設計・プログラムからインフラやミドル・フレームワーク選定なども担当。2020年にパーソルキャリアにジョインし、COD(クロスオーバーディレクター)として複数のプロジェクトを推進している。現在は退職。
海谷 麻里衣 Marie Kaiya
サービス開発統括部 UXデザイン部 UI/UXデザイン第2グループ デザイナー
結婚、出産を機に、アパレル販売員からWebエンジニアに転職。自社サービスの開発や、Ruby on RailsとReact.jsを使用した受託開発業務を経験した後、パーソルキャリアにジョイン。フロントエンドエンジニアとしてVue.js/Nuxt.jsでの開発を経験後、UI/UXデザイナーとして転身。現在はSalariesのデザインを担当している。
※2021年3月現在の情報です。