パーソルキャリアは2022年9月より、当社初の海外開発拠点となる「PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITED(パーソルキャリア テックスタジオ ベトナム)」の営業を開始しました。
これまで2度の取材を通じて、CTOや現地法人社長(General Director)、PCT社のメンバーと共にプロジェクトを進めるパーソルキャリアのサービス開発部ゼネラルマネジャーらに話を聞き、立ち上げ背景からその裏に隠されたエピソード、組織作りの様子までを深掘りしてきました。
第3弾となる今回は、現場をリードする日本人エンジニア志田にフォーカス。場所にとらわれずに主体的に “はたらく” を選択してきた彼のキャリアと、その経験を活かした現場“ならでは”のチーム作りの工夫について話を聞きました。
どこで暮らしていても自分が「はたらく」を選べる環境を自分で作りたい
――本日はよろしくお願いします。まずは、志田さんがエンジニアという仕事に興味を持ったきっかけからお聞かせください。
志田:高専で機械工学から情報、電気、電子などまで幅広く学んでいた中で、Webアプリケーション開発に惹かれたのがきっかけです。
もともとはロボコンに出たいという思いで高専に進むことを選んだのですが、部活の大会期間との兼ね合いでロボコンには結局出られなくて。
高専でさまざまな分野のエンジニアについて学んでいる中で自分はどの分野のエンジニアになりたいのか改めて考えたときに、Web系エンジニアに興味が湧きました。学生だったのでお金もそんなにないですし、色々試したりするのに材料費などでお金のかかるハードより、時間をかければ試行錯誤のしやすい(と個人的に思っている)ソフトの方が魅力に感じたんですよね。
――高専時代に留学もされたと伺いました。何かきっかけはあったんですか?
志田:はい。フランスの大学とタイの大学にそれぞれ半年ほど行っていました。この時はWeb系とは関係なく物質系の研究室に入ったんですが、きっかけは海外に興味があった、というくらいですね。英語を話せるようになりたくて、勉強もしていたので最初はフィンランドに行きたかったんですが、倍率が高くて――。当時の先生から「志田はフランスでも大丈夫だろう」と言われてフランス行きが決まりました(笑)
この時に思っていたのは、将来の仕事につなげたいというよりも、自分の人生の中で「ここは行ったことがある」みたいな経験が欲しかったような気がしています。
――そこから、どのような経緯でエンジニアとしてのキャリアをスタートさせるに至ったのでしょうか。
志田:高専でさまざまな分野を浅く広く学んでいる自分の実力では、Web系を専攻している人たちと比べてスキル不足だろうと考え、先の就職活動も見据えてまずはベンチャー企業でインターンを始めることにしました。2週間ほどインターンをした後、会社からお声がけいただいてアルバイト勤務となり、卒業後はそのままその会社に就職する、という流れでWeb系エンジニアとしてのキャリアがスタートしました。
当時は自分のキャリアプランをはっきりと描けていた訳ではなく、インターンの頃からお世話になっていた先輩社員の技術力や人柄に惹かれ、この方のもとで2,3年勉強して次のステップを目指したいという思いで進路を選びましたね。
――その後はどのようなキャリアを歩まれたのですか?
志田:卒業後に正社員として働いてから2ヶ月ほど経った頃、ベトナムで子会社の立ち上げに携わらないかという話をもらいました。単身でベトナムに渡って現地に住むCTOの方と合流し、そこからの3年ほどで登記、ベトナム人エンジニアの採用、日本のエンジニアチームとの連携のリードなどを経験しました。
――入社早々にベトナム赴任とは…!不安はなかったんですか?
志田:不安はありましたけど、ベトナムでの仕事は2年くらいかなって思っていたんです。そんなに短い期間では人生において取り返しのつかないことは起きないと思っていましたし、当時23~25歳で日本のエンジニアチームとベトナムエンジニアのハブになって一緒に開発し、リードする役割を担える経験は大きいと思っていました。
――志田さんの環境適応能力が高いというか…しなやかに生き抜いている感じがしているんですが(笑)その能力はどこから来ていて、ご自身の「はたらきかた」にどのように紐づいたのでしょうか。
志田:もともと寮生活で環境の変化に柔軟に対応するチカラは身についていたと思います。先輩後輩の間で起きる理不尽なものと合理的なものの中で、うまく適応しながら生活をしていたので、何かあっても「そんなもんかな」って思って受け入れられる自分がいるのかもしれません。
それが働き方にうまく紐づいたのは、その前職でのベトナム赴任を経験して「社会や組織の変化スピードって思ったより早いし、誰かが何かをしてくれるわけじゃないんだな」って思ったんです。
初めて社会に出て早々、普通なら得られない経験をしたこともあって、会社に対して上下関係というよりも、対等な関係であるものなんだな、ってちょっとひねくれながらも思っていました(笑)
――そのベトナムでのご経験を経て、2020年6月にパーソルキャリアにジョインされたのでしたね。
志田:そうです。前職でのオフショア開発の体制作りに区切りがつき一時帰国したタイミングで、ベトナムでパーソルキャリアの開発拠点の立ち上げを任せたいというお話をいただき、業務委託としてジョインすることになりました。
当時は子どもも産まれていたのですが、この偶然いただいたご縁で、ベトナムで子育てをしながらはたらきたいという思いが叶ったんです。
――パーソルキャリアではたらく中で、はたらき方やキャリアに関する価値観に変化はありましたか?
志田:卒業してから新たに飛び込んだ企業で、心地よい生活が送れる環境を作りながら成果をあげることで、「別の場所(企業)で同じことをしてほしい」というお声がかかり、また新しい場所に行くことができて――そんな繰り返しの中で「どこで暮らしていても自分が “はたらく” を選べる環境を自分で作りたい」という思いが育まれてきたと振り返っています。
そしてこれらの経験やキャリアを重ねる中でだんだんと、今は他の方にもそうなってほしいという思いが生まれてきました。
「場所に縛られずにはたらきたいけれど、どうしていいか分からない」という方が望む環境を手に入れられるよう、私の経験を活かしてお手伝いができれば嬉しいですし、皆さんがさまざまな環境で活躍されるようになれば、私自身も、そういう働き方がしやすくなるのかなと思います。
また、そうやって従業員一人ひとりが「はたらく」を自分のものにする力を持つことは、パーソルグループのビジョンの達成だと言えますから。そんな、みんながwin-winの状態を目指して、海外ではたらくことに興味がある方がいれば積極的に協力していきたいなと思っています。
エンジニアの目線から “楽しくはたらけて、しっかりと評価される” 会社のあり方を考え、土台を築く
――「PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITED」には10月から新しいメンバーが6名ジョインされたとのことですが、どのようにチームづくりや開発を行われているのでしょうか?現在地を教えてください。
志田:今いるメンバーは全員、キャリア診断サービス「PERSOL MIRAIZ(パーソルミライズ)」のプロジェクトに入っており、日本語が話せるBridge SEの2名を中心に日本側とやりとりをしながら開発を進めていただいています。
ただ、フロントエンド・バックエンド共にリーダーレベルからメンバーレベルの方まで揃った組織体制にはまだなっていないため、「点と点がつながってチームとして機能しているか」「円滑に開発が進められているか」が分かるのはこれから、というところですね。
――今後、チームの皆さんとのコミュニケーションや組織づくりをどのように進めていこうとお考えですか?
志田:現在は不定期で行っている勉強会を、徐々に定期開催にしていきたいなと考えています。また人数が増えてくるとそれぞれ別のプロジェクトにアサインされるようになるため、日本のサービス開発部と同様に、プロジェクト間の気づきを共有できる場を設けたいという構想もあります。
加えて、そういった内部のチームビルディングを行うにあたっては、基本的にベトナム語を使用してチームの皆さんが第一言語でコミュニケーションを取れる場を残したいと思っています。これまでの名残もあって今も英語を中心にやり取りをしていますが、英語が苦手なメンバーがいたりするので、彼らの第一言語であるベトナム語でスムーズにやり取りしてもらった方がいいですよね。
ベトナム人エンジニアどうしの連携がしっかり取れていなければ、日本との連携も上手くいきません。日本側とのプロジェクトは英語でやり取りをしたり、ドキュメントも英語や日本語で残していますが、PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAMのチームビルディングはベトナム語で行ってみようかと考えています。初めての試みではありますが、情報共有や学習のハードルを下げられるよう工夫していきたいなと思っています。
――これまでさまざまな新しい環境に適応して活躍されてきた、志田さんらしい視点ですね。それでは最後に、志田さんのお立場から見て、このフェーズの「PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITED」ではたらく醍醐味や面白さを教えてください。
志田:今は会社ができたばかりで、社風や採用基準、評価制度をどうしていくか、と一つひとつ考えながら作っていく途上にあります。
「エンジニアがしっかりと評価される会社、制度にしたい」「エンジニアが楽しくはたらける環境を作りたい」とエンジニアの目線で会社の下地を作っていくことに興味がある人にとっては、面白さを感じられる良いフェーズなのかなと思っています。
また、ベトナム人エンジニアと日本側のチームと一緒に開発もしながら、マネジメントや会社作りも経験できる点も、面白さの一つだと思います。
エンジニアとしてのキャリアを積むことと会社に求められるマネジメント業務をやり切ることを両立できるように、自分でルールや仕組みを作っていくことを楽しめる方に入ってきていただけたら嬉しいですね。
――素敵なお話をありがとうございました!
PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAMの現地の様子は、Facebookで随時更新しています。ご興味をお持ちの方はぜひ御覧ください。
https://www.facebook.com/persolcareertechstudio
(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈)
ありがとうございました!
志田 共晶 Tomoaki Shida
PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM リードエンジニア
民泊サービスのスタートアップ在籍時に、開発リソースを増強する目的で渡越。ベトナム現地法人を立ち上げ、日本の開発チームと連携しながら、ベトナム人エンジニアと共にWebアプリケーションの開発に従事。一時帰国中にパーソルキャリアでのサービス開発の話を聞き、どこで暮らしていても自分が「はたらく」を選べる環境を自分で作りたいと思い、当初は業務委託契約の形で参画。その後、2022年にPERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAMが発足し、現在はベトナム人エンジニアをマネジメントしながらパーソルキャリアの複数のプロジェクトで開発に従事している。
※2023年1月現在の情報です。