パーソルキャリアは2022年9月1日より、当社初の海外開発拠点となる「PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITED(パーソルキャリア テックスタジオ ベトナム)」の営業を開始しました。
これまでも、サービス開発部ではオフショア開発を中心とした体制を構築してきましたが、さらなる顧客体験価値の向上を目指して体制を強化すべく、今回ベトナム・ホーチミン市に拠点を立ち上げる運びとなりました。
「今後3年間で100名以上の現地IT技術者の採用を目指すとともに、人材、文化交流も積極的に行い、日本とベトナムのさらなる技術力向上にも取り組んでいく」――そんな目標を掲げる新拠点設立の背景と、今後の展望とは。CTOの岡本と「PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM」の現地法人社長(General Director)を務める菊池に話を聞きました。
- パーソルキャリア初のHRテックに特化したオフショア開発組織を新設
- 働きやすさ・働きがいのある環境をつくるためのルール・仕組み整備
- PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM発のサービス立ち上げを目指す
※撮影時のみマスクを外しています。
パーソルキャリア初のHRテックに特化したオフショア開発組織を新設
――まずは、現在の「PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM」の様子から教えてください。
菊池:パーソルキャリア初の海外開発拠点として、5月の中旬ごろから設立に向けての本格的な業務が始動し、9月1日に営業を開始しました。
現在は、私に加えてとベトナムでのオフショア開発経験がある志田、現地スタッフであるバックオフィスのマネジャー現地のエンジニア1名・リクルーター1名の4名体制でスタートしています。
――実際に現地に足を運ばれて、どのような印象をお持ちですか?
岡本:10年ほど前にベトナムでオフショア開発拠点を立ち上げたことがありますが、そのときと比較すると進化に驚きました。現地発のスタートアップにも非常に勢いがあります。たとえば、宅配サービスやECプラットフォームなどのインターネットサービスは日本とほとんど変わらないなと感じます。
菊池:想像していた以上に、成熟してきていますよね。町の様子にしても、想像以上に活気がある印象です。
――現地法人社長(General Director)として着任される菊池さんは今、率直にどのようなお気持ちですか?
菊池:幼少期にイギリスに住んだり仕事でアメリカに赴任したりと、海外生活の経験もある程度してきたので、そういった意味で海外自体を大変だと感じることはあまりありません。一方で、初の海外拠点として一から会社を立ち上げるというのは非常にチャレンジングな取り組みですね。手探りのなか、さまざまなことを考えていかなければいけないことがあるなという感覚です。
働きやすさ・働きがいのある環境をつくるためのルール・仕組み整備
――ベトナムと日本、それぞれの開発組織が担う役割のすみ分けなどはどのように考えられていますか?
岡本:オフショア開発は、日本の内製エンジニアと、現在ご一緒させていただいている外部パートナーさんと、その並列の位置にくるものとして捉えています。これまで内製開発組織の構築を進めてきましたが、内製100%を目指すつもりはありません。
あくまで、それぞれのバランスを取りながら開発体制を強化していきたいという考えです。
――パーソルキャリア所属エンジニア、外部パートナーさん、ベトナム拠点と三者が連携していく中で、PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAMではサービス開発におけるどのフェーズを担われるのでしょうか。
菊池:まずは開発から着手しますが、いずれは研究開発、QAや企画フェーズにも携わっていきたいと思っています。日本でやっているサービスの一部の開発を任されるのではなく、企画などの開発初期から積極的に携わっていく体制を作りたいです。
それを実現するためにも、自分達が開発に携わるサービスについて、どれだけお客様が喜んでくださっているかや、そこに自分がどれだけ貢献できているかをしっかり現地メンバーへフィードバックを行っていきます。そんな仕組みを現地で作っていかなければいけないと思っています。
――エンジニアの方々の働きやすさ・働きがいという観点で、他にルールや仕組みについて考えられていることがあれば教えてください。
菊池:現地の方々の生活習慣や価値観をみながら、手探りではありますが……。働き方としては、まずは週3出勤・週2リモートで進めます。
コロナ禍で増えたリモート中心の働き方もふまえつつ、みんなで顔を合わせて食事をすることが好きという文化も汲んで、ハイブリッドで様子をみていきたいなというところです。既に採用面接を始めていますが、実際にベトナムの方々は、リモートではなくオフィスで皆と一緒に働きたい、とコメントされる方が本当に多いです。ルールとしてはリモートを導入しますが、実際は皆出勤している、ということがあるような気がしています。
また毎週水曜は全員出社としてケータリングをとって企画のディスカッションをしたり、チームボンディングのための費用を支給したり、そういった日本のIT業界にみられるような施策も取り入れていこうと考えています。
そのほか、「どのような経験や技術習得の場を提供できるか」「昇給などのインセンティブはどのように設けるか」など、転職率の高い環境の中で “ここではたらき続けたい” と思ってもらえるような環境づくりをしていきたいと思っています。
PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM発のサービス立ち上げを目指す
――開発においては、“パーソルキャリアならでは” を反映した共通のルールなどを設けていかれるのでしょうか?
岡本:パーソルキャリアで行っている開発のやり方が必ずしも正解だとは思っていないので、それをベースとしたルールを作ることはないと思います。
むしろ、私たちにはない視点が欲しいので、スタートアップやベンチャーのように動いていただきたいんです。既存の顧客体験価値を大きく変えるような、新たな良い風をパーソルキャリアへ輸出してもらえたら嬉しいですね。
菊池:そうですね。開発についてはやり方を押し付けることなく、ただ根幹になる部分――「顧客体験価値の向上をテクノロジーで図る」という考え方と「外向き」「自分ゴト化」「成長マインド」というパーソルキャリアのバリューは、ぶらすことなく共通で追っていければと思います。
――顧客体験価値の変革を期待されるとのことですが、他に今回の取り組みの先で目指されることがあれば教えてください。
岡本:開発力やスピードを高めたいのはもちろんのこと、未来のパーソルキャリアへの期待として研究開発を促進していきたいという思いもあります。
また今後は会議をすべて英語にしてみようと考えており、現在日本のメンバーは英語学習にも取り組んでいるんです。それは “ダイバーシティ” を掲げている人材会社として取り組むべきことでもありますし、メンバーに成長機会を提供することでもあると思います。
そういった環境の変化や文化の交わりから、メンバー自身の人間力やチーム力、カルチャーにも変化が生まれていけば良いなと思っています。
――ありがとうございます。それでは最後に、今後に向けた展望をお聞かせください。
菊池:この取材を受けている時点では日本からルール・仕組みづくりなどを進めていますが、これはあくまで日本にいるからこその見え方であり、現地に行って一緒にはたらくことで見える景色も変わってくるはずです。実際に運用していく中で、柔軟にカスタマイズして環境を作っていければと思います。
岡本:成長機会を菊池さんや私が考えて提供していく中で、新しい面白いことや人が集まってくれば良いなと思っています。
その先で、PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM発のサービスを立ち上げたいと考えています。いつになるかはわかりませんが、皆さんの力やフットワーク、熱量を結集して実現できたら面白いなと思います。
――ありがとうございました!
(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=古宮こうき)
岡本 邦宏 Kunihiro Okamoto
パーソルキャリア株式会社 CTO(Chief Technology Officer)兼 エンジニアリング統括部 エグゼクティブマネジャー
ADSL通信事業社にてシステム開発に従事したのち渡豪し、旅行・留学の会社にてプロダクト開発および広告事業を立ち上げ分社化。事業を売却し帰国。SoftbankグループではBBTV/ BBラジオなどのBBシリーズのリードエンジニアとして新規事業立ち上げを行う。CYBIRDにて複数のモバイルコンテンツ事業責任者兼シニアエンジニアリングマネージャーとして子会社のCTOを務める。レコチョクにて、定額制音楽配信サービスDヒッツを立ち上げ。数百億円以上を売り上げるサービスへの成長に寄与する。その後、ヘルスケアスタートアップの取締役CTO、スキルシェアサービスのココナラでは技術統括を努め、Rails移行のPDMやVPofEの役割も担う。音声ベンチャー、不動産テックなど複数社の技術顧問などを担い、現在に至る。
菊池 俊勝 Toshikatsu Kikuchi
PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITED General Director
新卒でシティバンク銀行に就職し、営業を経験したあと、マネジャーとして店舗開発やコンビニエンスストアでのATM利用提携プロジェクトなどを推進。コナミデジタルエンタテインメントでは、サッカー漫画IPのゲームアプリ開発ディレクションを努め、Konami Digital Entertainment, Inc. (米国)へ転籍。米国ではシニアプロダクションマネジャーとしてPS3などの家庭用ゲーム機向けタイトル制作及びマネジメントに従事。帰国後、デジタルコンテンツ事業を展開する会社のゲーム子会社取締役副社長などを務める。パーソルキャリアでは、ゼネラルマネジャーとしてテクノロジー本部の組織開発を牽引し、企画部マネジャーも兼務。2022年9月よりパーソルキャリア初の海外開発拠点であるPERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAMの現地法人社長に就任し、現在に至る。
※2022年10月時点の情報です。