dodaエージェント事業の最も身近なパートナーに。新生プロセス&システムデザイン部とは

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パーソルキャリアの中枢であるdodaエージェント事業部を支えてきたエージェントBITA部が2020年4月、新たに「プロセス&システムデザイン部(以下PSD部)」へと名称を変更。その名称変更のウラガワにはどのような課題感があったのか。どのような思いが込められているのか。名称変更と同時にゼネラルマネジャーとなった佐々木貴浩に、PSD部の現在地と未来を聞いてみました。

「プロセス&システムデザイン部」という名前に込められた思いとは

――佐々木さん、techtektは初出演ですよね。まずは簡単にこれまでの経歴を教えてください。 

佐々木:よろしくお願いします。前職は製造系の企業で10年以上IT周り、特にSCMを統制するような仕事をしていました。さまざまな経験を積める環境ではあったのですが、どうしても有形商材ありきだったので、ITのプライオリティが高い環境の中で仕事をしたいと考えて、当時のインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社しました。2011年ですね。その後2012年にBITA組織が立ち上がり、その立ち上げにも参画してました。

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入社してからは、主にエージェント事業を中心にビジネスとITをつなげて、事業成長を後押しすることを担ってきました。基幹システムのベンダーコントロールから、開発エンジニアのマネジメントなどを経験していますね。

 

――入社してからずっと「BITA統括部」にいたんですね。そんな佐々木さんが今年の4月に、エージェントBITAから新生PSD部に名称変更したとうかがいました。その意図するところを教えてください。

佐々木:もっとミッションに紐づくような組織名にしたほうが良いかな、と思ったのが一つです。「BITA」という名称は、パーソルキャリアの社員であれば、何をやっているか想像がつきますが、外部から見たら、ちょっとわかりづらいですよね。BITAに込めた思いはたくさんあって、その思いに共感しこだわれる方々に数多く入社してもらいました。ただこのタイミングでよりミッションを意識させたいと思って変更を決意しました。

また、最近はテクノロジー本部にさまざまな技術や考え方を持つエンジニアが多く入社してきてくれているので、その方々にもこの組織が何をしているのかが分かりやすい組織名称にしたいという意図もあります。

 

――役割自体は基本的には同じだけれども、色々な人材が融合して力を発揮していくために理解しやすく、腹落ちしやすい名前にしたということですね。プロセス&システムデザインという言葉を使って表現した、この新しい部署のネーミング対する思いはどのようなものでしょうか。 

佐々木:私たちの仕事は、言われたことをやるというより、事業課題があった時に、そのプロセスをどのように変えていくかを考えることです。そこからどのようなソリューションにしていくかを考え、形にしていきます。

「こうしてください」という明確な要求があるというよりは、ふんわりとした要望のほうが多いので、それを形にしていく時に、“何のために、どのように、それを作るのか?”、をプロセスからひも解いていく必要があるのですね。

そもそも、私たちはITやシステム周りが担当なので、プロセスを描くことを重視してきましたし、私自身、「BITAという組織は、言われ仕事ではなくプロセスを描くことがミッション」と言われ育ちましたので、今回、本来あるべく形で、そのど真ん中に組織を据えたという感覚です。

 

――確かに立場的には難しいですよね。事業側からは、「俺たちこうやりたいから、こうやって」となりがちですし、言語は多少違う世界観ですよね。しかもエンジニアという、さらに言語が違う人がいるわけで、旧BITAの組織というのはすごく大変だなと思っていたのですが…。

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佐々木:私は自分の組織のメンバーに「共通ワードを見つけよう」という話を、ことあるごとにしています。私自身の経験から得た知見ですが、同じ目線で、同じ画面を起点にすれば会話が広がっていきます。

システム側に立って考えると、一見、要求は充足しているようにみえて、まったく拡張性のないシステムができあがったりしますから、やはりテクノロジーとビジネス側、両方の組織の目線が必要です。人によっては私たちを単なるメッセンジャーと捉えている人もいますが、単にハブになるだけでは全く答えにならなくて、そのインプットを基に、どう咀嚼して、どのような形にしていくかデザインするのが重要であり、それが私たちの仕事の本質です。

 

――ビジネスを捉えて、どのようにプロセスやシステムをデザインするのか、を考えるのがPSDなんですね。現在、どのような業務を担当されているのか、少し具体的に教えてください。 

佐々木:今期のテーマとして掲げているのが、“徹底的に自動化を図る”ことと“増能化”の二つです。自動化は既知の通りですが、「増能化」というのは、私たちの造語です。判断しやすい情報を集約して、ツールや仕組みとして展開、標準化することで、お客様に対するセールス力を底上げするという取り組み。この二つのキーワードで施策を動かしています。

「自動化」に関しては、コロナ禍以前から注目されていましたが、コロナの影響によってさらに促進されたような気がします。今の世の中は、単なるシステムだけではなく、RPAを導入して、操作を簡略化するという流れになっていますし、情報が集約できているのであれば、それを組みわせて商品を作ればよいと言う発想も生まれます。まずは、その一歩として、人手がかかっていた業務に対し、極力効率化を図るという取り組みから始めています。

 

――PSD部が関わっていく案件はさまざまあると思いますが、どういう基準で、どこから着手するという、その意思決定のポイントはどのように設定されているのですか?

佐々木:PSDも企画組織の一部として事業の企画組織内で議論し、売り上げ拡大や工数削減などの業績効果が高いもの、セキュリティやコンプラ視点などの事業継続上、必ず対応が必要なものから優先度をつけてアプローチします。例えば、キャリアカウンセリングからはじまる業務プロセスの中で、人が介在せずにテクノロジーの活用で変化をおこす仕組みを実現することで、外部委託している作業のキャッシュアウト削減につなげるような取り組みですね。

 

互いに理解しあい、信頼関係を構築することで生まれる仕事の“やりやすさ”

――効果が大きいところから順次対応していますが、その判断基準や順番のつけ方って難しいですよね。。。

佐々木:今は検討のタイミングから入っているので、その判断を見誤ることは少ないかと思います。事業側も困っているところは、やはり改善することで効果が上がりやすいので、私たちとの共通認識が生まれやすいです。

もちろん、こちらから提案してコンセンサスを得たという例もあります。また、検討段階でいくつかの選択肢が生まれた場合、改修のしやすさだとか、継続的に改修を進めていく上で、共通化を図った方が良い部分があれば、そういった提案をしていきます。

 

――事業側では気が付かない部分も提案していく…そうするとPSDで受け持つにあたって効率的に取り組む必要がありそうですね。

佐々木:そうなんです。事業を効率化していくという目標がありますし、事業側にとって価値のある仕事をやることは間違いないのですが、その過程の中で、自分たちが進めやすいように効率よく進めるという目線も忘れてはならないですね。

極論、私たちのやり方に必要以上の干渉は不要なのですが、それは、まず信頼関係があってこそのこと。信頼関係があれば、私たちに任せますという流れになります。事業目線でいうと、「実現したい世界観さえ伝えたら、気づいたらそうなっている」、本質的にそこまでいけたならと思います。

 

――基幹システムやそれに付随するDBなどシステムも多岐にわたりますし、その歴史も長いです。PSD部では技術的な観点で、どんな取り組みをしているんですか?

佐々木:当然ながらドラスティックに変えよう思えばできないことはないのですが、それにはビジネス上の判断も必要になってくるので、全事業のコンセンサスが必要です。足並みを揃えるのはなかなか難しいですね。

ここ3~4年かけて基幹システムを刷新しましたが、注力したのはUIと機能の分離です。特にDBの複雑性や影響範囲の広さからドラスティックな変更は難しい状況でしたが、各情報源を分かりやすい単位で集約し、操作しやすい単位でまとめる(機能のAPI化)ことで機能の拡張性と再利用性を高めることを実現しました。いわゆるレガシーな仕組というのは、UIもそうだし、機能も全部DBに癒着していましたので、システム改修の複雑性が増します。これを機にUIと各機能を切り離し、機能はすべてAPI化する。そうすれば、開発者はそのAPIをどう操作するか、それを作っていけばよくなるので、そのようなモダナイズ化のベースになるものを作ってきたわけです。これから先は、その中にさらに昨今、主流になっている自動テスト、自動リリースを進めたりしながら、最近、ようやく形になってきたところです。

 

――さまざまな要望を受けながら、能動的に前に進めるために、皆さんはどんな取り組みをしているんですか?

佐々木:“取り組み”という言い方からは少しずれるかもしれませんが、企画組織(ミドル部門)がそこをちゃんとコントロールできるようになっているのは、大きいかもしれません。何でもかんでもみたいな要求は、直接こちらまで届かなくなってきています。組織も成長しているということですね。また、仕組みの難しさは誰もが、良くも悪くも理解をしてくれるので、そこは一つフィルターにはなっていると思います。

 

――それは文化を合わせる、浸透させるには時間がかかるという話でしたよね。佐々木さんは、事業側に対して何をやってきたからこその目線が合ってきたと考えますか。

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佐々木:シンプルに、一緒に苦労も成功もしてきたからだと思います。結局、我々だけでという事はありません。企画と常に一緒ですからね。うまくいったときは、どういう取り組みをしたのか、振り返りをちゃんとしていたりするわけですよ。その辺の文化がようやく根付いてきたので、反省もできるようになってきていますね。

 

我々にはコア事業を支えているというプライドがある

――結構、地道にやっていかないとならないお仕事ですし、すぐに効果が大きく出るような華々しいものでもないかと思います。それでも頑張ってこれるモチベーション、こういう仕事を続けてこれるモチベーションの原点は、いったいどこにあるのでしょう。

佐々木:正直、メンバーにはどこまで浸透しきっているかは置いておいてお話をしますと、昨今、テクノロジー本部で、新しいサービスを立ち上げる部が立ち上がって、色々なチャレンジができるようになりました。とても華々しい事だと思います。その一方で、実は会社の売り上げの8割以上を既存ビジネスが支えているという事実があります。

ですので、我々はコア事業を支えているというプライドがありますし、そこは他の何よりも私のなかで大きいですし、支えるためには現状維持では駄目だとも思っています。どんどん変わっていかないとならない、変えていかないとならない、これだけやれることがたくさんあるということを、私としては色々言葉を駆使ながら組織のメンバーには話しています。ただ、「仕事が多すぎる」とみんなからいろいろ言われますが(笑)。

 

――世の中的にも、例えばITバブルの社長は一見華やかに見えますが、社会の根幹を支えているのは、実はその他たくさんの地道にやっている事業者です。この会社の中には、その縮図があるということですね。

佐々木:その価値はとても大きいと思うのですね。だからまさに地味で、対外的に打ち出す時にブランディングが弱いというのは事実としてありますが、実態としてはそれほど弱体ではないと思っています。

 

――これからの未来のお話になりますが、こういう役割を自覚され、この会社が未来に進んでいくために色々な取り組みをしていますね。そのベースを担うのは佐々木さんが率いるチームだと思いますが、会社の中でどういう力をつけどういう存在になっていきたいとお考えですか。 

佐々木:これまでの話の中にも既に色々と織り込みましたが、やはりこの事業を支えるという大きな目的は変わらないと思っています。現在、使っている技術は3年後にはレガシーかもしれないという世界観の中で、まずは今の世の中の流れをきちんと見据えたうえで、最適な投資をしながら最適に変えていく必要があります。ただ、それだけでは誰も納得しないので、スピードの向上が次のステップになります。アジャイルがいいとか、スクラムがいいとか、そういうことにこだわってはいなくて、より早く、何かを実現するような組織体制や文化を作れれば良いと思っているので、そのための仕組みであることを大切にしています。スピードを重視して最適解を求め続けるしかありません。

私は根っからのITコンサルなので、せっかくこれだけ技術力の高いメンバーが社内に揃い始めているので、彼らをどうやってアピールするか、そこはまさに私たちの腕の見せどころだと思っています。ですから、中途半端な融合ではなく、ちゃんと成果につなげたいと思っています。だから一緒にやろうよというメッセージを打ち出していけたらと思います。

アジャイル、スクラムで大事なのは組織文化を変えることだと思います。結局、意思決定をする人たちがどれだけ早く意思決定できるかが、モノづくりの基本だと思っています。

 

――形にこだわるだけでなく、本質を理解しつつ、ツールと組織論を理解して初めてスピードという形になるということですね。

佐々木:もちろん形も大事で、そういうやり方をまずやってみるところからはじまります。単純にやれているという思いだけではだめで、しっかりと振り返って、PDCAが回るような形をとれていたらベストですよね。

 

――佐々木さんは、役職的にいつも一番大変なところにいるイメージがあります、期待が大きいがゆえに、そうだと思っています。2011年からかれこれ10年近くいるなかで、なぜこんなに頑張れたのでしょうか。

 

佐々木:私のモチベーションの原点は、メインストリームの事業に関わり、成果の最大化につなげることにあります。その希望は明確に打ち出してきました。コストや影響範囲など、大きなリソースを動かしながら、結果にコミットする(多少強引にでも)。その辺は強みかなと思ったりしています。当然プレッシャーはありますが、この達成感はほかの人にはなかなか味わえないものです。

 

――プレッシャーがあるからこそ、その達成感が大きくなり、質が変わりますよね。まさにコア事業を支えるという力強いメッセージだと受け取りました。

佐々木:おっしゃる通り、正直、プレッシャーも大きくて、それはメンバーも一緒です。これだけ影響がある事業をやるというプレッシャーがあって、終盤になってくると色々な問題が生じるというケースもあります。

誇りを持つことは大切ですが、必要以上にプレッシャーをかけても良いものはできないので、自分自身の失敗談を話しながら、「大丈夫だから、とりあえずやってみよう」と言いながらやってきました。着実に成果につながっています。

 

――最後に、現在のPSD部を一言で現すと、どのような感じになるでしょうか。

佐々木:そうですね。「誠実」だと思います。みんなとても真面目ですし、助け合う絆も深いです。有機的につながりながら、一人一人がプライドを持って、責任を持ってやってくれているという点が組織として強いところだと思っています。

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――営業現場と一緒に、PSD部が既存事業を大きく後押しする存在になっていくことをひしひしと感じました。ありがとうございました!

(取材・文=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/撮影=古宮こうき)

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佐々木 貴浩 Takahiro Sasaki

dodaエージェント事業部 エージェント企画統括部 エージェント プロセス&システムデザイン部 ゼネラルマネジャー

製造系企業でSCMを中心としたIT戦略、企画、システム設計を担当し、2011年インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社。BITA統括部の立ち上げメンバーとして、人材紹介事業を中心に基幹システムのIT企画、システム構築を担当。その後マネジャーとして業務システムの開発エンジニアの組織を担当し、2020年4月より現職。

※2020年11月現在の情報です。