自社開発プラットフォームを活用したdoda転職フェアオンラインがスタート――その後の反響に迫る

自社開発プラットフォームを活用したdoda転職フェアオンラインがスタート――その後の反響に迫る

パーソルキャリアでは、2020年7月よりオンライン上で企業と転職希望者をつなぐ「doda転職フェア オンライン」を開催してきましたが、さらに採用・転職活動がしやすいイベントにするべく、プラットフォームの自社開発に着手。2022年5月30日~6月7日の開催より、自社プラットフォームでの運用がスタートしました。

今回はプロジェクトのキーマンとなる3名、転職フェアをはじめ法人企業向けの商品企画を担う伊藤、本プラットフォームの開発・プロジェクトマネジメントを担う箱崎、UX側のディレクション・企画を担う植田にインタビュー。参加された法人企業様、転職希望者様の反応やこれまでとの違い、そしてイベントを終えたからこそわかった今後の課題について話を聞きました。

※撮影時のみマスクを外しています。

 

dodaとの連携でさらに顧客体験価値を高めるために、イベント用プラットフォームの自社開発に着手

 

――前回、本プロジェクトをもとにしたUXリサーチやデザインの取材を行いました。今回はイベントを振り返りながら、お話をお聞きできればと思います。改めて今回プラットフォームの自社開発を行うことになった背景を教えてください。

 

伊藤:もともとイベント企画グループでは、多くの法人企業様と転職希望者様が、直接会って話せる「doda転職フェア」というリアルイベントの商材を手がけていました。しかしコロナ禍でオフラインでの実施が難しくなったことを背景に「doda転職フェア オンライン」の立ち上げに向けて取り組んできたという経緯があります。

採用ソリューション企画本部 企画統括部 商品企画部 イベント企画グループ エキスパート 伊藤 丈博

採用ソリューション企画本部 企画統括部 商品企画部 イベント企画グループ エキスパート 伊藤 丈博

実現可能性を高め・スピード感を持って立ち上げるためにも、昨年1年間は外部のソリューションを使っての開催となっていたんです。実際に進める中で、外部サービスであるが故に、情報やシステムの連携に制限がかかってしまい、お客様に十分な体験価値をご提供できないことが課題として挙がっていたのです。この課題を解消するために自前でプラットフォームを作ろうと始動したのが、今回のプロジェクトでした。

 

――自社開発を進めるにあたっては、どのような課題があったのでしょうか。

 

箱崎:一つは、リリース日がすでに決められている中で、既存システムの改修を行うべき範囲が非常に広かったことです。イベント開催中に使うシステムを含めて全部で4つのプラットフォームがある上、さらにそのプラットフォーム間の連携を行うためのバッチやAPIなどの改修も含まれており、かなりのボリュームがありました。

またそれぞれのプラットフォームによって使う言語や母体となるフレームワークが異なることも、懸念点の一つでしたね。

 

――それらの課題をどのようにして乗り越えられたのですか?

プロダクト開発統括部 第1開発部 dodaサイト開発グループ リードコンサルタント 箱崎 政人

プロダクト開発統括部 第1開発部 dodaサイト開発グループ リードコンサルタント 箱崎 政人

箱崎:知見やスキルを持ったメンバーで進めなければ、スケジュールが遅延するリスクが高くなるだろうと考えて、パーソルキャリアでの開発経験をお持ちの方にも入っていただくことで学習コストを減らす必要があると感じてました。

また、大きいPJTであればあるほど、認識の齟齬が増えていき、開発後期に仕様変更が発生→納期が延びたり、スコープ縮小・・・という流れになりがちです。

そのため、早い段階から意図的に企画・エンジニアで直接話して解決する場を作り、相互で理解を深めるように心掛けたため、計画と大きな差異もなくスムーズに進められたかなと振り返ります。

 

対話を重ね、スピーディな決断と共同作業を繰り返す。密な連携でプロジェクトを推進

 

――前回の取材で、UXリサーチやデザイン側のディレクション・企画サポートとして植田さんが入られたと伺いましたが、今回のメンバー間ではどのように役割分担や連携をして進められたのでしょうか。

 

植田:役割が重なる部分があるなという認識があったため、最初の段階で伊藤さんと何度か1on1を行っていました。悩んだ時の最終判断はオーナーの伊藤さんがする、プロダクト観点やUX観点で決めなければいけないことは私で巻き取る、とあらかじめ役割を整理しました。

サービス企画統括部 サービスオーナー部 ゼネラルマネジャー 植田 香織

サービス企画統括部 サービスオーナー部 ゼネラルマネジャー 植田 香織

ただその他には、細かく役割の棲み分けを決めることはなかったように感じています。私たちとデザイナーさんを含む4名で、毎日ミーティングをしながら一緒に進めていった感覚です。

 

伊藤:話しながら “その場で決めて・その場で作って” という形で、作業自体もそれぞれが単独で進めていくフェーズはほとんどありませんでしたね。

 

――連携が上手くいった要因はどのような点だと振り返られますか?

 

植田:企画の人数が少なかったことは、一つ大きなポイントかなと思います。この3人しかいない状態なので、一人ひとりの裁量は大きくなりますが、コミュニケーションコストがかからなかった印象です。

 

箱崎:あとは伊藤さんが事業部との調整などを全て担ってくださり、また決断スピードも速かったおかげで、やりやすかったなと。

 

植田:そうですね。私としても、伊藤さんのおかげで、お客様視点でのプロダクト作りという求められる業務に専念できたなと思っています。

自社開発プラットフォームを活用したdoda転職フェアオンラインがスタート――その後の反響に迫る

伊藤:私たちが作りたいと言ったからには、決断や意思決定はやります、って言ったんです。そして大きなコストをかけて作っていくものだからこそ、アカウンタビリティは果たしにいきます、と。。そういった当たり前のことをクリアしながら進められたかなとは思いますね。

 

植田:今回とても良い連携ができたので、次のプロジェクトもお二人をアサインさせていただくことにしました(笑)。「こういう企画を考えてるんだけど、どう思う?」と対等にブレストしながら決めていける、同じ視点でお話ししてくださるお二人は、パートナーのような存在ですね。

 

今後の継続開発においても「プロダクトとして成功させるために何が最適か」を考え続け、改善を重ねたい

 

――2022年5月から6月にかけて実際に「doda転職フェア オンライン」を開催されて、手応えやお客様の反応の変化としてはいかがでしたか?

 

伊藤:大きく変化した点としては、イベントで面談を実施された転職希望者様がそのまま採用管理システムに連携され、後の工程までスムーズにやりとりしていただけるようになったことを高くご評価いただけました。

採用ソリューション企画本部 企画統括部 商品企画部 イベント企画グループ エキスパート 伊藤 丈博

また「doda」の会員情報をプロフィールとして利用できるようになったことで、これまで転職希望者様にご入力いただくのが難しかった職務経歴などの情報も反映されています。

転職希望者様の解像度が高まり、法人企業様から毎回いただいていた「情報が少なくて、アプローチをかけるべきか判断しかねる」とのお声が今回0件になりました。

今後は、職務経歴以外の部分で転職希望者様の魅力をお見せしていく仕掛けづくりなど、両者にとって高い体験価値を提供していくことを中心に据えて、継続開発に取り組んでいきたいなと思っています。

 

――ありがとうございます。それでは最後に、このプロジェクトを通じて見えたKPT(Keep, Problem, Try)をそれぞれお聞かせください。

 

植田:私はプロジェクトを離れてしまいましたが……営業の方と連携しながらしっかりと売上をあげて、継続開発できるような体制をキープしていくことが重要なのかなと思います。

サービス企画統括部 サービスオーナー部 ゼネラルマネジャー 植田 香織

また、オフラインでの体験に価値を感じる方もいれば、効率的で時間や場所を問わないオンラインでの体験を重視される方もいらっしゃいます。

まだまだ賛否はありますが、オフラインではなかなか出会えない方や企業様と出会え、応募を前提とせずカジュアル面談ができる場としてとても魅力のある商品だと思っているんです。今後もさまざまな取り組みでその魅力を伸ばしていけるのではと、とても期待しています。

 

箱崎:今回プロジェクト始動後にUXリサーチを入れることになり、関係者が多い中でのスケジュール調整には非常に苦労したのですが、「プロダクトとして成功させるために何が最適か」を考えて進められたことがよかったと思っています。

この視点と、考える時間を確保することは今後もキープしながら、まだ生まれたてのプロダクトを継続開発の中でより安定して使いやすい商品にしていきたいですね。

プロダクト開発統括部 第1開発部 dodaサイト開発グループ リードコンサルタント 箱崎 政人

また私個人としては、今後もさまざまなシステムを触りながら知見を持つ仲間を増やし、コミュニティや関係性を作っていくこと、企画側にまで踏み込んでより幅広い領域を見ていくことに挑戦できればと思います

 

――ありがとうございます。伊藤さんからもお願いいたします。

 

伊藤:まずは前提として、せっかく出来上がったプロダクトを継続的に発展させる体制を維持するためにも、売上を作って事業としてのポジションを高めていきたいと思っています。

また、今回最良と思える形でリリースできたものの、実際に開催してみることでお客様の動き方などから細かな課題が見えてくるので、継続開発の中で改善し続けていきたいですね。

Tryとしては……もともと「“オンライン版の” 転職フェアを作る」のではなく、「オンラインでイベントを通じて“マッチングの空間” を作る」という発想で動き出しており、だからこそ「doda」の中に作る価値があるのだと思っています。

今後は転職フェアという枠組みにこだわらず、法人企業様と転職希望者様がマッチングできるプラットフォームとして、新たな商品の形も模索していければと思います。

自社開発プラットフォームを活用したdoda転職フェアオンラインがスタート――その後の反響に迫る

――ここからのdoda転職フェアの進化が楽しみです。ありがとうございました!

 

(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=古宮こうき)

 

採用ソリューション企画本部 企画統括部 商品企画部 イベント企画グループ エキスパート 伊藤 丈博

伊藤 丈博 Takehiro Ito

採用ソリューション企画本部 企画統括部 商品企画部 イベント企画グループ エキスパート

WEB制作会社や事業会社でのWEBプロデューサー・ディレクターとしてのキャリアを経て、2019年1月に中途入社。アルバイト求人サイト「an」の商品企画に携わる。2020年より『doda転職フェア オンライン』を立ち上げ、POとしてサービスのグロースに従事。

プロダクト開発統括部 第1開発部 dodaサイト開発グループ リードコンサルタント 箱崎 政人

箱崎 政人 Masato Hakozaki

プロダクト開発統括部 第1開発部 dodaサイト開発グループ リードコンサルタント

デザイナー・マークアップエンジニアからキャリアをスタート。前職ではシステム開発のディレクター、プロジェクトマネジャー。dodaではサイトのリニューアルやリブランディングなど、PMとして様々なプロジェクトに携わる。

サービス企画統括部 サービスオーナー部 ゼネラルマネジャー 植田 香織

植田 香織 Kaori Ueda

サービス企画統括部 サービスオーナー部 ゼネラルマネジャー

新卒入社後、転職メディア事業部のdodaの法人向け広告営業に従事。その後、営業企画部にて営業戦略・BPR・販促などに携わる。2019年からサービス企画に異動し、SOやPMとして新規サービスの立ち上げに従事。

 

※2022年10月時点の情報です。