法人顧客それぞれにカスタマイズされた採用活動を実現する――doda CONNECTリニューアルの軌跡

法人顧客それぞれにカスタマイズされた採用活動を実現する――doda CONNECTリニューアルの軌跡

2023年5月、パーソルキャリアは中途採用支援システム「doda Assist」のサービス名称を「doda CONNECT(デューダ コネクト)」に変更し、リブランディングおよびサイトリニューアルをを行いました。doda CONNECTでは、dodaの各種サービスにおける進捗状況が一元的に可視化できることに加え、doda以外のサービスへの接続についてもユーザビリティ改善を行っています。

本リニューアルのウラガワには、どのような課題とその解決に向けた奮闘があったのでしょうか――当プロジェクトのPMを担った三村と、開発をリードした青山に話を聞きます。

 

各種サービスとの“繋がり”を強め、法人顧客の多様なニーズに応える

 

――まずは「doda CONNECT(旧・doda Assist)」とはどんなシステムか、概要から教えてください。

BITA統括部 プロジェクトBITA部 システムPMグループ シニアコンサルタント 三村 亮太

BITA統括部 プロジェクトBITA部 システムPMグループ シニアコンサルタント 三村 亮太

三村:「doda CONNECT」は、「doda」の各種サービスを活用して中途採用を行う法人企業様向けの採用支援システムです。

各種サービスの利用・管理を一元化して採用業務の効率化をサポートするために、応募者情報や面接情報・選考結果などの管理、求人原稿の確認、メール連絡といった多様な機能をご提供しています。

 

――今回プロジェクトが始動した背景には、どんな課題があったのですか?

三村:発端となったのは、旧・doda Assistのユーザビリティ上の課題です。これまでも機能の使い勝手を高めるためにUIやデザイン性の変更などを重ねてきましたが、お客様から「サイト上のどこで何をしたらよいか分からない」といったお声をいただいていたのです。日々の小さな改善だけでなく、メイン画面の刷新のような大きな一手を打つ必要があるだろうと、今回プロジェクト化して取り組むことになりました。

 

青山:またパーソルキャリアが提供するその他の法人企業様向けサービス、例えば求人要件の作成を支援する「HR forecaster」やオンボーディングを支援する「HR Spanner」などとの “繋がり” が上手く表現できていなかったことも、課題の一つです。

BITA統括部 クライアントサービス開発部 法人プロダクト開発グループ リードコンサルタント 青山 遼

BITA統括部 クライアントサービス開発部 法人プロダクト開発グループ リードコンサルタント 青山 遼

「調べないと他のサービスが出てこない」「旧・doda Assistと他サービスの間で、シングルサインオンができない」という状況に、動線やログイン基盤の改善が必要だと感じていました。

 

――課題を解決するために、本プロジェクトでは具体的にどんな取り組みをされたのですか?

三村:主な取り組みとして、まずは一番の課題であったメイン画面を「総合トップ」として刷新しました。

当初はdoda人材紹介サービス・doda求人広告サービス・doda Recruiters(定額制スカウトサービス)・doda Request(完全成功報酬型スカウト配信サービス)という4つのボタンが並んでいるのみだったところに、利用しているサービスや、選考の進捗、今やるべきことのリストなどを一覧表示する機能を追加し、「総合トップに入れば何をすべきかが分かる」状態にアップデートしています。

法人顧客それぞれにカスタマイズされた採用活動を実現する――doda CONNECTリニューアルの軌跡

他サービスとの “繋がり” という課題に対しては、いずれ他サービスとアカウント体系を揃えて本質的な繋がりを生むための第一段階として、今回は裏側のログインの仕組みをモダンな作りに変更。また暫定的な対応として、他サービスに遷移するリンクをつける形で動線を設けました。

そして、これら各課題への対応を行い、心機一転新たなサービスとして出発しようという思いで、“繋がり” の意味を込めた新名称「doda CONNECT(デューダ コネクト)」へのリニューアルも併せて実施しています。

 

――お二人の、本プロジェクト内でのお役割を教えてください。

青山:三村さんは全体のPMとして、各事業との調整や全体の取りまとめ、進捗・課題管理、リリース計画などを、私はリニューアルにおける開発のリードを担当しています。

 

関係者の多い大規模プロジェクトをスムーズに進めるカギとは

 

――法人企業様向けサービス全般に関わる大きなプロジェクトだったと思いますが、どのように進めていったのでしょうか。

三村:納期が限られていたため、フルパッケージの取り組みを進めて100点をとりにいく方法は合わないだろうと判断し、まずは今できること・できないことを見極めて進めることを決めました。その上で、「このスコープなら、この納期で第一段階としてやりたいことを実現できます」「今回できない部分は次のフェーズで、このくらいでリリースします」と関係者と期待値調整を行い、合意を得て具体的な取り組みに移りましたね。

法人顧客それぞれにカスタマイズされた採用活動を実現する――doda CONNECTリニューアルの軌跡

今回は「doda Assist」という名称が入っているあらゆる箇所、例えばホームページやメディア媒体、メール本文、営業資料などで修正を行ってもらう必要が生じます。

そこで、まずは各基幹システムをどの事業が担っているのか調査し、各担当者さんに対して「何の修正をいつまでにお願いしたいか」「管轄の重複があるシステムはどの組織にお願いするか」など協力依頼とスケジュール調整を進めていきました。

ご協力いただく方々は各事業のプロジェクトをお持ちなので、実際の修正作業は空いた時間を使って行ってもらうことになります。最終的に、総勢80名ほどの方々に3週間かけて全システムを一気に直していただくという、大掛かりなプロジェクトになりました。

 

青山:修正・変更を行った箇所については、第三者に毎週全ドキュメントをチェックして全画面を触ってもらい、「実際に触って違和感がないか」「誤った遷移などの問題がないか」を確認して品質を担保しています。

法人顧客それぞれにカスタマイズされた採用活動を実現する――doda CONNECTリニューアルの軌跡

 

――プロジェクトを進めるにあたって、特に気をつけたことや工夫されたことがあれば教えてください。

三村:関係者が非常に多いプロジェクトなので、みなさんの理解を得て進められるよう、合意形成には特に気を遣いました。まずはBITA(※)のマネジャー層と対話し、懸念点を払拭した上で理解を得て、開発者を集めていただく。さらに開発側に企画側と繋いでもらい、企画の方々と対話することで事業の合意を得る、という流れを意識したかなと振り返ります。

(※BITA:Business IT Architectの略称。各事業におけるIT企画やITプロジェクトの推進、ITサービスの運用保守を担うシステム部門)

 

青山:私は各事業の開発者やBITAの方々と対話をする中で、相手の事情を汲んで寄り添うよう留意しました。事業や立場によって使う言葉も文化も少しずつ違ってくるため、丁寧なコミュニケーションが求められるなと感じます。

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三村:あとは、リスクヘッジの観点でしょうか。今回は納期が限られている上、ドキュメント化されていない情報も多い中での取り組みになるため、個々人の負担が大きくなって漏れが生じてしまいかねません。

そのため、まずは要件漏れのリスクがある前提で関係者との期待値調整を行い、その上でできる限り漏れのないよう、第三者にドキュメントと画面のチェックをしていただく・営業資料など企画側の資料は青山さんにチェックしていただく、というクロスチェックの体制を敷きました。通常は工程ごとにプロジェクト内でレビューを行うため、今回はイレギュラーな対応でしたね。

 

――スムーズにプロジェクトを進めるために、さまざまな工夫をされているんですね。中でも特に、パーソルキャリアでのプロジェクトマネジメントにおいて重要なことは何だと思いますか?

三村:一般的なPMの観点で見ても、この会社では「ステークホルダー・マネジメント」、「コミュニケーション・マネジメント」、「スコープ・マネジメント」、「課題管理」の4つが重要になると思います。

まずは関係者の方々のやりたいことや事業として目指すことを知り、それをもとにスコープを設定して同意を得て、そのスコープにおける課題を明確にして、と繋げていくことを特に意識しています。

法人顧客それぞれにカスタマイズされた採用活動を実現する――doda CONNECTリニューアルの軌跡

青山:私たちは各事業や組織を繋いでいかなければいけない立場ですからね。今回、相手の事情を知って合わせていくことの大切さを、三村さんの動きを見ながら改めて学べた感覚です。

 

サービス利用率の向上に、ユーザビリティ改善の確かな成果を実感

 

――現段階で見えているプロジェクトの成果があれば教えてください。

青山:先日出ている数値結果によると、リニューアル前と比べて、サービスの利用率が伸びたと聞いています。また今回設置した動線から各サービスへアクセスいただき、「HR forecaster」をはじめとしたサービスへの新規お申し込みにも繋がっていることが分かっています。

 

――ありがとうございます。それでは最後に、お二人が今後チャレンジしたいことを教えてください。

青山:このプロジェクトの継続開発では、より適切にサービスのご紹介ができるように、バナーや記事による訴求の仕方を工夫していきたいと思っています。

法人顧客それぞれにカスタマイズされた採用活動を実現する――doda CONNECTリニューアルの軌跡

また所属する法人プロダクト開発グループは組織としてまだ若く、「現状の開発を俯瞰して課題を洗い出し、プロジェクト化していく」という改善の流れを作りきれていないように感じます。今回のプロジェクトを通して課題がまだまだあると分かったため、今後継続開発に改善を盛り込んだり、その上で作ったルールを組織に根付かせたりと、法人領域の開発そのものをきれいにしていくことにも挑戦したいと思います。

 

三村:今後も「doda CONNECT」に関わり続けながら、PMのポジションは別のメンバーに徐々に移し、私自身は今後doda Recruitersの領域でも大きなプロジェクトに関わっていくことを予定しています。こちらも事業横断で進めるもので、今回以上に難しいプロジェクトになりそうだなと見えているため、今回とはまた異なる手法でなんとか課題解決に繋げていければと思います。

法人顧客それぞれにカスタマイズされた採用活動を実現する――doda CONNECTリニューアルの軌跡

――ありがとうございました!

 

(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=古宮こうき)

 

BITA統括部 プロジェクトBITA部 システムPMグループ シニアコンサルタント 三村 亮太

三村 亮太 Ryota Mimura

BITA統括部 プロジェクトBITA部 システムPMグループ シニアコンサルタン

2018年4月にパーソルキャリアに中途入社。前職では、鉄道系SIerで様々なシステム開発と運用保守を経験。 現在は、シニアコンサルタントとして法人向けプロダクトに関する様々なPJTにPMとして参画。

 

BITA統括部 クライアントサービス開発部 法人プロダクト開発グループ リードコンサルタント 青山 遼

青山 遼 Ryo Aoyama

BITA統括部 クライアントサービス開発部 法人プロダクト開発グループ リードコンサルタント

2021年12月にパーソルキャリに中途入社。前職ではバス・鉄道用電装機器メーカーで顧客と直接会話してIoT機器に関する要件定義から開発の一連の流れを従事する。現職では、リードコンサルタントとして法人向けプロダクトに関する様々なPJTにPMとして参画。

※2023年9月現在の情報です。