
0. はじめに
こんにちは!戦略デザイン部の奥田と、クライアントプロダクトデザイン部の金子です。
2026年6月23日、クライアントプロダクトデザイン部と戦略デザイン部の2部署による「合同合宿」を企画・開催しました。本記事では合同合宿のレポートをお届けします。
1. 合宿企画の背景
今回の合宿には、例年のような固定のテーマ(「業界理解」や「ドメイン理解」など)が用意されていませんでした。そのため、まずは「今、私たちの組織に必要な課題解決とは何か?」を問い直すことから企画がスタートしました。
私たちが所属する組織はリモートワークが中心で、プロジェクト制の働き方をしているため、同じ職能であっても対面で顔を合わせる機会が限られています。また、ここ数年は組織体制・プロダクト開発体制の変更も重なっていました。
その結果、日常的な雑談や気軽な相談・壁打ちの機会が減り、「役割や職能(外的キャリア)のみでつながっている状態になってしまっているのでは?」という課題意識もありました。

2. 課題設定と目的設定
このような組織の現状を踏まえ、私たちは現状の課題を以下の2点に整理しました。
課題①:お互いのつながりの薄さ
課題②:気軽な対話や壁打ち機会の不足

これらの課題を乗り越えるべく設定したのが、以下の合宿目的です。

当日は普段と異なる"非日常的な空間"で、あえて普段交わらないメンバー同士が交わるようにチームを編成しました。また、ワークショップは「職業人(専門家)としての強み・こだわり」と「生活者としての素顔」の双方がワークプロセスの中で自然と滲み出るような形を目指して、テーマ設定とプロセス設計を行いました。
3. ワークショップのコンセプト
コンセプト:失われがちな「創造力」と「身体性」を取り戻す

効率や合理性が優先されがちなオンライン環境では、デザイナーたちが本来持っている「身体性」や「自由な創造力」を解放する機会が減ってしまいがちです。
また、人材サービス会社に所属する私たちは、日々の仕事で「転職活動」や「企業と転職希望者のマッチング」といった人生における非日常体験に向き合ってばかり…。
合宿のワークでは、メンバー同士の「はたらく(非日常体験)」と「くらし(日常体験)」を交差させ、純粋に空想や創造を楽しむ時間を設計することを意図しました。対話を重ねながら手を動かすことで、凝り固まった思考を柔らかく解きほぐすアプローチを目指しました。

4.ワークショップのプロセス

当日のワークショップは以下のような3つのプロセスで進行しました。
1.テーマ設定
【はたらくワード】と【くらしワード】を掛け合わせ、チームごとにオリジナルの仮テーマを設定。




2.現状と理想の整理(As-Is / To-Be)と課題の抽出
設定したテーマに対する「現状(As-Is)」と「理想の状態(To-Be)」を可視化・言語化。

ギャップから生じる課題を洗い出し、チームとして向き合いたい本質的な課題を特定。
3.ソリューションアイデアの検討
特定した課題に対する解決アイデアを発散し、議論を通じて収束させていく。



5. 終了後のアンケート結果
今回の合宿は、総合満足度95.5%、相互理解100%、ワークショップ全体満足度95.5%、実施会場の総合満足度100%と、主要指標がいずれも高水準でした(回答数:22名)。
「対面での関係構築・相互理解」という当初の合宿目的は達成できたと評価できます。
アンケート主要指標まとめ

FA:ワークショップの感想・改善点(一部抜粋)
- 日頃の価値観やモヤモヤなど業務に関わる会話もしつつ、発想の自由度の高いワークテーマで気を抜いて意見しあえたのが楽しかったです。付箋やボード、スライド等丁寧に準備いただいてありがとうございました!
- 同じチームのメンバーの考えていることがよくわかって面白かったです。ワークに使われていたイラストもかわいかったです。司会の奥田さんがとても落ち着いた雰囲気で安心してワークに集中できました。
- 対面だからこそできる認識の合わせ方や、誰かの話を生で聴くという体験ができたと思った。突拍子のない意見が歓迎される場としてオフラインという体制がいいなと感じた。
- ご準備・運営いただきありがとうございました!楽しくやりながら、皆さんの普段の仕事やキャリアに関するモヤモヤについて共有し合う機会にもなりました。
- すごくスムーズな進行で時間も多すぎず、足りなすぎずちょうど時間で進めることができました。
- とても楽しかったです!アサインチームとの仲はとても深まりました!
- 楽しく相互理解ができる良いワークでした。企画・運営ありがとうございました!
- ワークショップの内容も難しすぎず、チームメンバーの皆さんと雑談も交えつつ、楽しく発散できました!
- 皆さんとの親睦が深められたように思います。
- 普段交流のない方と打ち解けられてとても嬉しかったです!
- 時間が短かったけど、そのワチャワチャ含めて仲良くなれたような気がする。
- 自己紹介が少し難しかったですが、内省するいい時間になりました
- 今回はテーマの影響なのか、収束させるのが難しかったです。
- 楽しいワークでした!AIとかもっと使いたかったです!
FA:会場・設備に関する感想・改善点(一部抜粋)
- 会場も学校のような雰囲気で、過去の合宿とはまた違った印象で良かった。Wi-Fiがストレスないのは凄く良い。ワークもプライベートの軸があって、良い感じに関係性を深められたように思う。
- 予算の中で素敵な会場で感動しました!会場探し大変だったと思うのですが、ありがとうございました!
- 駅近くかつ綺麗で広い会場で全くストレスなく快適にワークができました。
- 無機質な会議室ではなくて、おしゃれで綺麗な空間で気持ちが上がりました。Wi-Fiなども不便なく使うことができました。
- 会場が広くて、ちょうどソファ席チームだったこともあり、ゆったりと過ごせました。合宿運営チームの皆さん、ご準備&当日運営まで本当にありがとうございました!
- おしゃれなスペースで非日常を味わえました。
- 駅から近く、広く、ソファなどゆったりとしていてリラックスした雰囲気でとてもよかったです!
- 特に不満はなく、素敵なところだと思いました!
- 実施時間が送迎しても可能な時間帯でとても助かります。
- オシャレな会場でした!
- 交通アクセスが乗り換えが多いので、もう少したどり着きやすいところだと嬉しいです。
- 少し寒く前回のように暖かい飲み物などあるとありがたいかもです。(これは当日の気候などによるかと思いますが)
今後に向けて
以下2点を改善項目とします。
(1)ワーク設計の微調整:発散と収束のバランスを調整し、アイスブレイクの難易度を軟化させます。また、AIなどのツール活用の余白を明示します。
(2)会場オペレーション:Wi-Fi品質の事前確認、アクセス案内の丁寧化、気候に応じた飲み物等のホスピタリティを標準化します。

6. ワークショップ企画を終えての感想
初心者ゆえの葛藤と「相互理解」から始まったチームビルディング
今回のプロジェクトは、QCD(品質・予算・期限)における予算(C)と期限(D)がほぼ決まっており、実質コントロールできるのは品質(Q)のみという状況でした。
ワークショップ企画未経験なりに他のプロジェクトがある中で、「いかにクオリティを高められるか?」「どこを優先し、どこを妥協すべきなのか?」とワークショップ企画初心者なりに日々悩みながら進めました。
進行の中でまず注力したのが、企画メンバー同士の「徹底的な相互理解(ラポールの構築)」です。合宿目的が「相互理解」である以上、まずは自分たちが体現者にならなければいけないと考えました。
合宿目的を定めていく過程で仕事や組織に対するモヤモヤ、プライベートな話も積極的に開示しあいながら、「安心してオープンに発言できる」場を築くことができました。

強みによる役割分担。しかし、初心者ゆえの「判断基準」の壁が…
ワークプロセスごとのアウトプット(成果物)の形を考えたり、何かをビジュアル化したりする"具体"の部分を得意とする金子に対し、奥田は情報の整理・構造化をしながら全体像を示す"抽象"の部分を担当しました。お互いの強みを活かした補完関係で企画を進行することができたと感じています。
…とはいえ、企画の道のりはスムーズではありませんでした。
『問いのデザイン 創造的対話のファシリテーション』(安斎勇樹・塩瀬隆之著、学芸出版社、2020年)などの書籍でワークショップ設計を学びながら手探りで企画を進めたものの、ワークのアイデアが次々と発散するにつれて進行が停滞しました。
初心者ゆえに「クオリティを担保するための判断基準」がわからず、「本当にこれでよいのか?」とあらゆる場面で決断に迷いが生じてしまいました。たくさんあるアイデアの細かい部分で発散を繰り返し、なかなか収束しないまま時間を消費してしまうこともありました。
このピンチを救ってくれたのが、ワークショップ企画経験が豊富なサービスデザイナーたちの助言でした。有識者の視点から「判断基準の言語化」を手伝っていただいたり、「参加者が悩まずにワークを進めるための工夫」等をアドバイスいただきました。
また、合宿開催前にサービスデザイナーとUIUXデザイナーを巻き込んで「プレテスト」を実施し、有識者目線・一般参加者目線の双方からフィードバックを得るようにしました。その結果、時間をかけるべきプロセスと削るべきプロセスが明確になりました。

大切にしたいアイデア・企画はたくさんありましたが、現実的にすべてを詰め込むことはできません。最終的には、企画したワークの1つを削るという「やらない決断」を下しました。これにより、合宿全体で余裕のある時間設計が実現でき、無事にクオリティを高めた状態で当日を迎えることができました。
手探りの挑戦でしたが、周囲の専門家を頼りながら「ワークショップ設計における判断基準」と「引き算の決断をする重要性」を学ぶ貴重な経験となりました。

奥田晶彦 Akihiko Okuda
クライアントプロダクト本部 テクノロジー統括部 戦略デザイン部 ビジネス・組織デザイングループ
UXリサーチャー兼マーケティングリサーチャー。領域問わず定性・定量リサーチを担当。

金子ゆり Kaneko Yuri
クライアントプロダクト本部 テクノロジー統括部 クライアントプロダクトデザイン部 デザイン第1グループ
表面を整えるだけのデザインだけではなく、思考しながら手を動かしていくことを大切にしています。本を読むことが好きです。
※2026年9月現在の情報です。

