2022年4月、パーソルキャリアに専任CxOが設置されました。これまで、ITの知見をもって事業をけん引する「BITA統括部」を管掌してきた片山がCIOに、そして内製開発組織「エンジニアリング統括部」を管掌し、社内の開発体制を強化してきた岡本がCTOに着任します。
パーソルキャリアがミッション推進に向けてさらにIT/テクノロジーの活用を進めていくにあたり、それぞれがどのような役割を担い、どのような未来を描いていくのでしょうか。着任して1カ月が経った2名に話を聞きました。
- CxO設置は「IT/テクノロジーの重要性を認識し、意思を持って強化していく」という会社としてのメッセージ
- CTO・CIOの視点で考える「パーソルキャリアで働くエンジニア、ITコンサルタントに大切にしてほしいこと」
※撮影時のみマスクを外しています。
CxO設置は「IT/テクノロジーの重要性を認識し、意思を持って強化していく」という会社としてのメッセージ
――今回CTO・CIOが設置されましたが、お2人から見たときにどのようなメッセージだと捉えていらっしゃいますか?
片山:CIO・CTOが設置されたのは、会社として「IT/テクノロジーの重要性を認識し、意思を持って強化していく」というメッセージであり、期待であると捉えています。
かつて各組織がバラバラに取り組んでいたところから3年前にテクノロジー本部が設置され、そこから部署ごとの連携や横断的な取り組みも生まれてきました。そこからさらにもう一段力を入れていくために、責任を明確にするという象徴的な出来事だったのではと思います。
岡本:そうですね。これまで営業が強い組織であったところから、テクノロジーを活用してアジリティと品質を高めていくことで、更なる成長につなげていくという強い意識なのだと私も感じています。組織がある程度醸成されてきた中、次期中計の前段となるこの1年が、動き出すべきタイミングだったのだと理解しています。
――この役割を受けて、率直にどのように感じられましたか?
片山:CIOはあくまで役職でしかなく、これまでも情報システム全般をしっかりと見ていかなければいけないという感覚を持って取り組んできたので、そこまで大きな変化は感じていません。ただ、役職が明示されたことで責任が明確にはなりますから、それによってやりやすさがこれから出てくるのではと捉えています。
岡本:私も同じような感覚です。それぞれ、組織のマネジメントを担いながらも片山さんは情報セキュリティを、私は内製化やグローバル戦略を、と両面で取り組んでいくことにはなりますが、どこに軸足をおくかが明確になりますからね。プレッシャーが100%ない訳ではありませんが、片山さんのおっしゃるようにやりやすくなったという印象が強いですね。
また誰がその領域に責任を持つかがはっきりすると、「ものごとを動かす際に最初の窓口として誰に相談すべきか」がメンバーにとってもわかりやすくなるはずです。データやセキュリティ、コンプライアンス関係は片山さんに、技術選定やフレームワークなどについては私にまず聞いてみようと、進めやすくなるのではないでしょうか。
――CTO・CIOはそれぞれ具体的にどのような役割を担うのでしょうか。
岡本:技術やフレームワークの選定などの判断はもちろんのこと、エンジニアを採用して育成し組織を醸成するための方法やプロセスの決定、それを開発のプロセスに落とし込むための配置方法など……開発におけるあらゆる観点を組織単位ではなく横串で見て、最終的な決裁を担うのがCTOの主な役割です。
他の企業と少し異なるかもしれないのは、これまで片山さんが各事業とITをつなぎこむITコンサルやインフラの部分は見てくださっているので、現時点では片山さんが継続してみてくれています。一方で今後は開発の部分については僕も見るようにしていきたいと思っています。
またデザイン・クリエイティブの領域も管掌範囲なので、実現方法を考えてエンジニアリングやデザインなどのクリエイティビティを配置し、技術的な観点を持ちながら伴走していくイメージです。
片山:CIOとしては、基本的には情報システム全般、つまり社員が使うものから各事業の先にいる法人・個人のお客様が使うものまでの全システムに対して、セキュリティを含め責任を持つのが主な役割となります。ただその中で実際に開発をしていく部分については、新規/既存サービスに関係なくCTOの岡本さんもしっかりと見てくださっている、と分担がありますね。
岡本:そうですね。テクノロジー本部全体を横断して管掌する2人として、エンジニアリング・インフォメーションテクノロジー観点をもってうご居ていくイメージですね。
CTO・CIOの視点で考える「パーソルキャリアで働くエンジニア、ITコンサルタントに大切にしてほしいこと」
――パーソルキャリアのエンジニア・ITコンサルタントにはどのような考え方や姿勢が求められるのでしょうか。顧客に価値を提供することは大前提として、+αでそれぞれの職種を取りまとめるお2人の視点から、ポイントや基準を教えてください。
片山:今期からテクノロジー本部では、ありたい姿として「Be Professional with Creativity 自分らしくシゴトをしよう」を掲げています。一人ひとりがプロフェッショナルとして得意領域や専門性を持ち、創造性を大切にしながらよい仕事を自分らしくしていこうという意味を込めています。
ITコンサルタントの業務に照らし合わせると、「多様性」という捉え方をしています。
誰もが最新の開発言語や技術トレンドに詳しくなければいけないのではなく、技術に詳しい人もいれば、業務プロセスや事業に精通している人もいて、データ活用やビジネスアナリシスが得意な人もいる。その上でチームとして良い取り組みを生み出していきたいという考えですね。
これをふまえて、まずは一人ひとりに自分の得意領域や専門性を持っていて欲しいです。そしてそこに、プロジェクトマネジメントのスキルと「事業をスケールさせるために手段としてのIT/テクノロジーをいかに活用するか」という意識を持ち合わせて、取り組みをしっかりと推進できる人を増やしていきたいと考えています。
――組織体制の変更や今後の中継を踏まえると、ITコンサルタントにはどのような期待がありそうでしょうか。
片山:これまでと大きく変わることはないですが、事業横断のプロジェクトや複雑で難易度の高いプロジェクトを推進し、より事業やサービスをスケールすることが求められます。そのため、ITコンサルタントのエキスパートであるシニアコンサルタントを増やしていきたいと考えています。
育成についてもこれまで力を入れていきましたが、この辺りはさらに力を入れながら組織運営をしていかないといけないな、と思っています。
――岡本さんとしてはいかがですか。
岡本:「Be Professional with Creativity 自分らしくシゴトをしよう」というのは、優秀な技術者が集まってよいものを作るだけではありません。私が重要視しているのは、Professionalとして、お客様と仲間に対して “期待以上のこと” ができること、そしてCreativityとして常にそれらを“創造的に価値を創り出す事”です。
お客様に最高の体験を届けるには、toBもtoCも考えなければならないですし、顧客の最前線に立ってくれている営業の皆さんをはじめとした社内の仲間の体験も高めなくてはいけません。
そのために、事業や環境づくり、育成の観点を持って「ミッションの達成に向けてテクノロジーを活用するにはどうすべきか」「このフレームワークが適切か」「どうしたら技術負債が残らない仕様になるか」などと考えられること、考えた上でレスポンシビリティを持って自走したり権限委譲したりできることが重要なのかなと思います。
――ありがとうございます。それでは最後に、ミッション推進に向けてお二人がどのように連携を強化していくのか、展望を教えてください。
岡本:CTO・CIOそれぞれに役割があるものの、おそらく互いの役割が重複する部分もいずれ出てくるはずです。例えば、QA管理やデータセキュリティの領域では、お互いの連携が必須になるでしょう。
ただ、お互いがお互いの仕事を知っておくのはとても大切なことですから、役割が重なるのは逆にそれでいいと思っています。組織やサービスの縦の区切りがある中で、エンジニアリング観点とインフォメーションテクノロジー観点を持つ2人が横に動くイメージで、しっかりと連携していきたいですね。
現在は、これまでも行ってきた1on1を継続しながら、私が取り組んでいるグローバル戦略などのトピックについてフィードバックを行っている他、データ活用について今後どうするかという未来の話も少しずつし始めています。
片山:そうですね。次期中計も含めて未来の話をしつつ、足元の部分で「技術負債をどう解消するか」などの連携も深められているので、今後うまくものごとを動かしていけのではと思っています。引き続きよろしくお願いします。
――ありがとうございました!
(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=古宮こうき)
片山 健太郎 Kentaro Katayama
パーソルキャリア株式会社 CIO(Chief Information Officer)兼 テクノロジー本部 BITA統括部 エグゼクティブマネジャー
1998年にITコンサルティング会社でシステムの開発、運用保守、BPRに伴うパッケージシステムの導入を実施。 IT化構想策定など、上流案件も実施し、14年間務める。 一つの企業の経営にもっとしっかり携わりたいと考え、2012年2月にパーソルキャリアに入社。 人材紹介・転職メディア事業のIT責任者を務め、2015年からIT組織(BITA統括部)を管掌。
岡本 邦宏 Kunihiro Okamoto
パーソルキャリア株式会社 CTO(Chief Technology Officer)兼 エンジニアリング統括部 エグゼクティブマネジャー
ADSL通信事業社にてシステム開発に従事したのち渡豪し、旅行・留学の会社にてプロダクト開発および広告事業を立ち上げ分社化。事業を売却し帰国。SoftbankグループではBBTV/ BBラジオなどのBBシリーズのリードエンジニアとして新規事業立ち上げを行う。CYBIRDにて複数のモバイルコンテンツ事業責任者兼シニアエンジニアリングマネージャーとして子会社のCTOを務める。レコチョクにて、定額制音楽配信サービスDヒッツを立ち上げ。数百億円以上を売り上げるサービスへの成長に寄与する。その後、ヘルスケアスタートアップの取締役CTO、スキルシェアサービスのココナラでは技術統括を努め、Rails移行のPDMやVPofEの役割も担う。音声ベンチャー、不動産テックなど複数社の技術顧問などを担い、現在に至る。
※2022年6月現在の情報です。