ニューロマジック社から学ぶ――サービスデザインスプリントによる新たなソリューション創造を体験!

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こんにちは、techtekt編集部です。

サービス企画開発本部 サービス開発統括部では、デザインスプリントを用いて、スピーディーに「転職以外の、“はたらく”を自分のものにするためのサービスを創る」ことを役割として、日々仕事をしています。

サービスデザイナーも加わり、今期はより多くのチャレンジを行うために、2020年6月、サービスデザイングループを有するニューロマジック社の協力のもと、デザインスプリントを体系的に学ぶ「サービスデザインスプリント ワークショップ」を開催しました。techtekt編集部もこっそり潜入し、今回の研修の目的や学びのポイントを共有します!

2つのデザインスプリントの特性を理解して、議論できる土壌づくりを――

ワークショップの前に、まずはDay1レクチャーとして「サービスデザインスプリント」を体系的に学ぶ研修を実施しました。

今回はニューロマジック社でサービスデザイナーやデザインスプリント開催時にはファシリテーターとして活動をしている永井氏を講師としてお迎えし、「サービスデザインスプリントとは」という点からスタートします。

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株式会社ニューロマジック 永井 菜月 氏

そもそも、デザインスプリントには、元Google Venturesのジェイク・ナップ氏が提唱する「プロダクト・デザイン・スプリント」とLIVEWORK社ラテンアメリカ支部、元CEOのテニー・ピニェイロ氏が提唱する「サービスデザインスプリント」の2種類あると永井氏は言います。

この2種類はそれぞれに得意・苦手な分野が存在しますが、どちらもサービス開発に有用な概念です。そこで、今回の研修を通じて、各手法が持つ得意・苦手分野を理解して、どの手法をいつ使うのか、を学び、リーンなサービス開発に活かしていきましょう。

今回、パーソルキャリアからの参加者はサービス企画開発本部のメンバーを中心に、サービスデザイナー、UI/UXデザイナー、エンジニア、グロース担当、サービス企画担当など、新規サービスの開発に関わる社員が参加。

ワークショップは選抜7名での参加でしたが、Day1レクチャーでは、2回に分けて約50名弱の社員がオンライン上に集まりました。

 

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永井氏は続いて、サービスデザインの概念についても触れています。

ユーザー目線で「モノ」ではなく、「体験」をデザインし提供すること

この概念に基づいた、手法の紹介やデザイン思考などの考え方も含めて2時間みっちりレクチャーを受けてきました。

サービスデザインスプリントの体験ワークショップ

Day1のレクチャーが終わった翌週に、参加者がサービスデザインスプリントを具体的に体験できるワークショップが開催されました。ワークでは引き続きニューロマジック社永井氏のリードにより、「日本のとある田舎町へ外国人観光客を呼び込むためどのように改善すればよいか」という課題のもと新たなソリューションサービス構築のため、①情報収集②アイディエーションの2つのパートに分かれてカリキュラムを進めていきました。 

情報収集――

サービスや製品の情報を集め、思考と現在の状況を整理する<タイムマシン>。仮想のターゲットユーザーへの<ショートインタビュー>動画を閲覧、その後<ヒーロープロファイル(ペルソナ)>によりチームが解決すべき課題に関わるユーザー理解を進め、

それぞれのユーザー分析に対する意見交換をしていきます。

今回はDay1,Day2共に、オンラインホワイトボードサービス「Miro」やZoomのブレイクアウトルームで2グループに分かれてのセッションなど、オンラインでも滞りなく、進んでいきます。

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“ペルソナ”を作成したあとは<ヒーロークエスト>というカスタマージャーニーを作っていきます。作成したペルソナのユーザーがどのような過程を経て行動(今回は旅行)をし、その体験を通じて、どんな感想を持つのか、を考えていきます。今回は時間の都合もあり手法の紹介のみとなりましたが、通常デザインスプリントでは “認知”“購買”のように、どのようなステップを踏むのかを考えポストイットなどで簡易的に要点を絞ってアウトプットしていきます。そしてステップを決めたら工程ごとに

  • 「どのようなツールが使われるのか?」
  • 「どういうアクションをおこしているか?」
  • 「どういう感想をもっているか?」

を埋めていきます。

例えば日本に来るという“認知“をするツールとして“Instagram”があり“いいね”をする、“感想を書き込む”というのがアクションになります。

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感想の部分が非常に重要で「わくわくする」となれば行きたくなるプラス要素になりますが、「遠そう」となればマイナス要素に変わります。この感想をきちんと書き込むことで、簡易的なカスタマージャーニーでも、

  • どの部分でユーザーがドロップしてしまうのか
  • どのポイントで「わくわく」してプラスのポイントになるのか

が、わかるので感情の部分ははっきり書くようにと永井氏は注意を促していました。

企業によっては複雑な“カスタマージャーニー“を作成するところもありますが、デザインスプリントでは短い時間で要点を絞って作成することが可能とのことでした。 

アイディエーション――

まずは個人のアイデアを「Miro」上のキャンバスへ思いつく限り書き出していくアイデア発散をして、グループでのブレイクアウトを行いました。それぞれのアイデアを発表するだけでなく他の参加者が“相乗り”を行い、アイデアを組み合わせて新しいアイデアへと昇華させていきます。

 

次はアイデアのグルーピングからラベリングを行い、サービス原理を導くワーク、<サービスプリンシプル>を実施。グループのメンバーでアイデアの種を集めることで共通のサービス原理にまとまっていく様子が見てとれました。

 

また<サービスプリンシプル>によってアイデアを収束させることにより、再度自身のアイデアをまとめるワーク<スワップアイディエーション>では参加者がスムーズに自身のアイデアを絵とキャッチコピーにアウトプットできました。グループワークでは、メンバーにスムーズに伝えることができました。alt

その後、チーム内の投票でコアアイデアを1つ決定。このコアアイデアにこれまで出揃ったアイデアを組み合わせながら、絵とキャッチテキストでアウトプットを行う<スーパー・アイディエーション>のワークを実施。最後に、チームでまとめたアイデアのストーリーとユーザーの行動や感情を可視化する<MVS(ミニマムバリアブルサービス)ジャーニー>のワークを行いました。

ユーザー利用のステップを最大6つのステップに分け、それぞれ“感情”と“動作”に分けて表現をブレイクダウン、マップ化して各チームのサービスソリューションの発表をもって終了となりました。

 

今回は一部省略化したデザインスプリントのワークでしたが、最終的にそれぞれのチームから異なるソリューションが生まれ、非常にアクティブなワークショップとなりました。

サービスデザインスプリント レクチャーを終えて――

今回、このレクチャーを企画したサービスデザイナーの長谷川はこの研修を通じて、このような学びを得たと話しています。

新規事業を企画開発する弊部署にとって、誰でもデザイン思考やサービスデザインの手法を取り入れてアイデア発想やテストができるデザインスプリントという手法は非常に有効かつ魅力的です。

しかし、思考停止して教科書通りに進めるだけでは、スプリントのメニュー理解も薄く、どんなアウトプットを得たいがために、なぜこのメニューを行っているのか、ということを無視することになり、結果として期待したアウトプットが出ないということが頻発します。自分たちも実際、デザインスプリントの本質や起源を理解せずに、内容の設計やファシリテーションを行ってしまっていました。その結果、スプリントメンバーに各メニューを行う意図が伝わらず、良い議論も出来ず、結果としてユーザー課題を本質的に解決するような、革新的なソリューションも出てこない。そんな状態に陥っていました。当然、危機感は抱いていたので、サービスデザインの分野でも国内最先端のニューロマジック社にご相談させて頂き、一連のレクチャーを頂きました。

レクチャーを通して、デザインスプリントにはジェイク・ナップ氏が開発したフレームワークだけでなく、よりユーザーを巻き込み、理解するデザインスプリントの流派があることを理解しました。そして、その特徴や強みを理解し、実際に体験することで、サービスデザインスプリントの有効性を身をもってして感じることができました。

レクチャー後には、2つの流派を組み合わせたカスタマイズスプリントをニューロマジック社と構築し、さらに部内でデザインスプリント を運用するサービスデザイングループを中心に、以前よりも幅広いフェーズに対応できるデザインスプリントを設計・ファシリテーションを行えるようトレーニングを行い、各員が再現性の高いスプリントを毎回行う下地を整えました。これからは、進化したデザインスプリントを各プロジェクトに提供し続け、はたらく6000万人が『「はたらく」を自分のものに』するサービス開発に貢献していく所存です。

また実際に参加したメンバーからも以下のような視座を得られたようで、有意義な時間になりました。

サービスデザインスプリント、良かったです。最終的なアウトプットの粒度もゼロイチで考えるにはちょうど良い内容で、今後スプリントを行う際にも、細かい部分をどこまで気にするかなどを考えるきっかけになりました!(エンジニア) 

デザインスプリントWS、面白かったです!個人的に自分でも使ってみたいサービスアイデアが生まれてうれしかったです!(デザイナー) 

デザインスプリント研修を通じて、今進めているプロジェクトでもガイドを基にやってみようと思いました(サービス企画)  

ご協力いただきました株式会社ニューロマジック 永井様、また関係者のみなさま、本当にありがとうございました。

そして受講された社員のみなさまも、おつかれさまでした!

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(インタビュー・編集=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/執筆=The Text Factory(エーアイプロダクション)/撮影=古宮こうき)

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永井 菜月 Natsuki Nagai

2018年ニューロマジック入社。サービスデザイナーとして、ユーザーインタビューなどの調査企画・実施を担当。 また、アパレル企業の採用サイトや学習塾のパンフレットなど、調査結果を元にしたユーザー視点でのプランニングも手がける。
デザインスプリント開催時はファシリテーターとしても活動し、欧米向けに開発されたサービスデザイン・メソッドを日本企業向けにローカライズするなど、日英二か国語を活かし業務に従事する。

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長谷川 椋平 Ryohei Hasegawa

サービス企画開発本部 サービス開発統括部 UXデザイン部 サービスデザイングループ ディレクター

学生時代より、エンジェル投資家へ弟子入りして2度の新規事業企画、個人事業主としてモバイルアプリの企画/開発、グルメテック領域での起業など、0→1に従事。その後、2020年1月にパーソルキャリアへ参画。「価値ある体験を生み出し、持続するビジネスの仕組みを作る」をミッションに、幾つものプロジェクトを横断し、サービスデザインに取り組む。

 

※2020年8月現在の情報です。