サービスデザイングループ マネジャーである高橋は、パーソルキャリアで新規事業創出におけるユーザー体験設計やプロジェクトマネジメント、ファシリテーションなどを担い、数多くのプロジェクトに参画してきた経験の持ち主です。
入社から3年が経ち、社会の流れや組織のあり方も変化してきた中、彼が今考える “パーソルキャリアにおいてサービスデザインに求められる役割” とは。そして彼自身が今後挑戦したいこととは――高橋の率直な思いを聞きました。
- 社会にある非常に複雑で大規模な問題を、多様なバックグラウンドを持った人々と一緒に解決したい
- 入社から3年――サービスデザインに求められる役割” の変化
- より早く答えに辿り着くために「“私” から “私たち” へ」
社会にある非常に複雑で大規模な問題を、多様なバックグラウンドを持った人々と一緒に解決したい
――まずは、高橋さんのこれまでのキャリアについてお聞かせください。
高橋:フリーペーパーの編集からキャリアをスタートした後、サイトの制作・運用やデジタルマーケティングといったさまざまな “現場” の仕事から、PCスクールでの “教える” 仕事まで、Webの領域で幅広く経験を積んできました。途中5回の転職を経験し、また大学院で学ぶ期間も経て、6社目でパーソルキャリアに入社しています。
根底には変わらず “何かを作ること” への興味があり続けながら、その時々で1番面白いと思うものを直感で選び取ってキャリアを築いてきた感覚がありますね。
――仕事に対して、どのような思いやスタンスをもって臨んできたと振り返られますか?
高橋:もともとは、1人でじっくりと考えて1人でものを作ることが好きで、そのように仕事と向き合っていたと思います。深海に息が続く限り潜って、宝を取って上がってくるようなイメージですね。
ですが、Webプランナーとしてお客様やデザイナーさんと関わる中で、自分1人で考え抜くことの意義に疑問が生まれて――それよりもお客様と一緒に探索から行ったり、メンバーと一緒になって作っていくことの方が大切で、世の中の流れにも合っているのではないかと思うようになったんです。
そこから大学院に入ってデザイン思考とシステム思考を学び、チームでのサービスづくりを経験したことが、仕事に対する私のスタンスを大きく変えました。
大学院の先生の言葉を借りれば、「社会にある非常に複雑で大規模な問題を、自分だけでなく多様なバックグラウンドを持った人々と一緒に解決する」ことが、基本的なスタンスになったかなと思います。その中で、自分のスキルを研ぎ澄ましていきたいという感覚ですね。
――人材業界へ目を向けられたきっかけとは、どのようなものでしたか?
高橋:私自身のバックグラウンドに文学があり、人の思考や、思考と行動とのつながりに対して強い興味を持っていることが大きかったと思います。
当時強く意識していた訳ではありませんが、今考えてみると…さまざまな欲求を解決する手段として仕事があり、またさまざまな人との関わり合いの中に仕事がある。そういった意味で、仕事や人生に関わる人材業界は、人の思考や感情が重要なキーになる領域であり私の興味に近かったのかもしれません。
実際に、そんな興味からジョインしたPCスクールで「今後のキャリアを考えて、スキルを身につけてデザイナー/エンジニアになりたい」と未経験からの転職を実現されている方々を目の当たりにして。目の前で人のキャリアが変わっていく瞬間に立ち会えたことは、私にとって大切な原体験になっています。
――新たな活躍の場として、パーソルキャリアを選ばれた理由を教えてください。
高橋:自分のライフビジョンとして、“人の成長を支えること” と “社会に取り残された人を作らないこと” を持っており、これらはPERSOLの由来でもある「“人”の成長を通じて(PERSON)社会の課題を“解決”する(SOLUTION)」という考えがマッチするなと。ここで、人の “はたらく” や感情をテーマに取り組むのが面白そうだなと、入社を決めました。
入社から3年――サービスデザインに求められる役割” の変化
――パーソルキャリアに入社されるにあたり、高橋さんに期待される役割はどのようなものだと自覚されていましたか?
高橋:入社当時は、「新規事業開発に注力していくための土台をいかに築くか」を模索している状況であったと伺っています。そうした中で、サービスデザイナーとしてデザインスプリントを導入・実践し、新規事業開発の土台づくりをリードしていくこと、そしてその先で新規事業を増やしていくことが私の役割だと自覚して入社しました。
――この3年で実際に携わられたお仕事について教えてください。
高橋:初めの1年半ほどは、在籍するサービスデザイナーは私を入れて2人のみで、また「サービスデザイナーやUI/UXとはどのようなものか。何をすべきか」も明確になっていなかった時代でした。
そのため、まずはデザインスプリントの手法を月に2回ほど回しながら、企画・デザイナー・エンジニアのみんなでゼロからサービスを立ち上げて形にするための土台作りを行いました。この期間に関わった新規サービスは、キャリアマネジメントツール「PERSOL MIRAIZ」や求人要件作成支援サービス「HR forecaster」をはじめ多岐にわたります。
その後、2人でやっていたところから1年ほどで10名超にまで組織が急拡大したことを受け、私の役割はプレイヤーからマネジメントへと変化し、組織文化作りや評価体制のブラッシュアップなどに携わってきました。
――高橋さんが入社されてからの3年間で、サービスデザインをめぐる動きや考え方にはどのような変化があったのでしょうか。
高橋:社会的な変化やトレンドとしては、大きく4つのトピックスがあると思います。
- 「デザイン経営」の広まり
2018年 経済産業省・特許庁の宣言を機に生まれた「経営や事業の戦略としてデザイン(広義)を活用しよう」という動きが、この1年ほどでようやく、単なるトレンドに終始しない “当たり前” の考えとして定着してきた印象です。 - 「公共」の領域にサービスデザインを取り入れる動き
サービスデザインの発祥であるイギリスなどに遅れをとる形ではありますが、デジタル庁にCDOとして浅沼氏が入られ、「公共のデザインをいかによくしていくか」を考えていく体制ができたことは大きな展開だと捉えています。 - 「環境課題」の解決への注力
人に寄り添って考えるデザイン思考と ものごとを起点とするシステム思考を重ね合わせた「システミックデザイン」によって、気候変動や海洋プラスチックの問題といった複雑な環境課題の解決を目指す動きが生まれています。 - 組織の「行動変容」の重要性の高まり
リモートワークや複業の広まりによって “会社” の立ち位置が変化した中で、会社にジョインすることの魅力をいかに訴求するか。テクノロジーが劇的に変化していく中で、人が価値発揮すべき場所をどのように考えるか――組織として考えるべきことが複雑化しており、この課題がサービスデザイン領域で扱われるようになってきています。
特に4番のトピックがパーソルキャリアとの関わりが深い部分ですね。 “はたらく” にまつわる事業を提供するにあたって、こうした世の中の変化を無視することはできませんから。「人の考え方やはたらき方の変化に組織としてどう対応すべきか」を意識しながら、新しい “はたらく” を提供していくことが大切になると思います。
――パーソルキャリアの社内の変化、という意味ではいかがでしょうか。
高橋:入社当時、新規サービス開発に積極的に取り組んでいく流れがあったところから、実際にさまざまなサービスが誕生しました。今でももちろん新規サービスにも取り組むものの、「既存サービスの強化に注力し、それらの組み合わせによってさらなる価値発揮を」という姿勢に変化してきています。
――そのような社会や社内の変化に伴って、高橋さんに求められる役割も変化しているのでしょうか。
高橋:そうですね。チームとして引き続き新規事業開発に取り組みながらも、プロダクト部分はメンバーに任せ、私やゼネラルマネジャーはその延長線上で “事業や経営における方向性・戦略にデザインを反映していくこと” を担っていかなければいけないと考えています。
こういった舵取りの判断の部分は、これまで経営層や管理職層が主に担ってきたものですが、今後はここに私たちがしっかりと入っていって「社会に、人々に、受け入れられるためにはこのような側面でやった方がいい」「その視点だけでは足りないので、この視点も入れていきましょう」と橋渡しをしていくことで、より価値発揮ができ、組織としても強くなっていくと思います。
より早く答えに辿り着くために「“私” から “私たち” へ」
――この3年間で、高橋さんご自身の仕事に対する思いやスタンスに変化はありましたか?
高橋:ありましたね。入社してから “チームで一緒に” というスタンスで仕事に臨みながらも、追いかけてきたのは自分のスキルを研ぎ澄ませることで、目指していたのはサービスデザイナーとしてトッププレイヤーになることでした。
しかしメンバーが増えたり役割が変わったりする中で、自分だけでトップを目指すことよりも「自分の経験を他のメンバーに渡し、反対に自分も受け取りながら、みんなと一緒に上がっていく」ことの方が、結果として自分や周りの成長につながるのではと考えるようになりました。そんな思いを込めて、自分自身の向こう3年の目標・方針における軸は「“私” から “私たち” へ」としています。
まだまだ深海に潜って1人で考える部分もありますが、サービスデザインは自分だけで潜っても答えが見つからないケースが多いものですから…自分でも考えつつ、さまざまな視点を持ったメンバーの考えももらう、というバランス感覚で答えに早く辿り着こうという姿勢に変わってきている感覚です。
――ありがとうございます。それでは最後に、今後挑戦したいことをお聞かせください。
高橋:これまで会社に必要な事業作りや、他のメンバーが立ち上げたサービスのサポートに携わってきた中で、自分の事業も作ってみたいという思いが生まれています。
昨年から準備を進めてきた新規事業創出プログラム「OWNERS」をこの4月にリリースし、さまざまな人が自分の事業を作れるような仕組みは整ったので、まず今年は他のメンバーのサポートやプログラムの運営に携わりながら、早ければ来年あたりから自分でも事業化を目指す道を探索していければと思います。
――ありがとうございました!
(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=古宮こうき)
高橋 靖正 Yasumasa Takahashi
デザイン推進統括部 戦略デザイン部 サービスデザイン第2グループ マネジャー
2020年3月にテクノロジー本部エンジニアリング統括部UXデザイン部サービスデザイナーとして入社。 前職は、デジタルマーケティング企業にてプランナー、UXディレクターとして勤務。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)にて、デザイン思考とシステム思考アプローチのイノベーション研究、組織心理学をベースとしたチームパフォーマンスの研究を行う。アカデミックと実践における両輪のアプローチを得意とする。
※2023年7月現在の情報です。