パーソルキャリアの本棚/『未来を実装する――テクノロジーで社会を変革する4つの原則』(英治出版)

こんにちは! techtekt編集部です!

パーソルキャリアの社員が読んでいる本を紹介する「パーソルキャリアの本棚」。今日はエンジニアリング統括部 サービス開発部のリードエンジニアである鈴木さんに『未来を実装する――テクノロジーで社会を変革する4つの原則』について寄稿いただきました!

※緊急事態宣言前に撮影。撮影時のみマスクを外しています。

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鈴木 大地さんのプロフィール

新卒でSIerに入社し、産業系のシステム開発等を経験後、2021/2にパーソルキャリアに転職。サービス開発の環境改善や"はたらく未来図構想"内の新規サービス開発に従事。

―紹介する本

『未来を実装する――テクノロジーで社会を変革する4つの原則』馬田隆明(英治出版)

―本書を読んだきっかけ

自分自身が新規サービス開発を手掛ける組織に所属し、多くの方に利用してもらえるようないいサービスを0から1を作ることに対して、改めてどの様な視点や行動が必要かを見直すきっかけとして本書を取り上げさせて頂いた。

さまざまな社会情勢も関連して、ほぼ全ての産業においてデジタル技術のビジネスへの導入・推進は急務となっている。今やWebなどの純然たるデジタル領域を超えて、既存の産業やパブリックセクタへ展開するにあたり、さまざまなステークホルダーや規制との調和が必要になっており、またSDGsのような社会課題が営利活動と直接結びつきつつあるため、ビジネス拡大のためにも解決すべき課題に対してどのようにステークホルダーを巻き込み、合意をとりつつ進めていくかは不可避である。

その様な課題に対して具体例や示唆を与えてくれるのが本書となっている。表題では社会を変革することを前提としたテーマになっているが、企業や学校など既存の組織内のステークホルダーに対しても共通な課題はあるため、幅広い方々にも参考になるものと思われる。

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―本書の概要

筆者はマイクロソフト社での実務やスタートアップ支援の経験を経て、東京大学の本郷テックガレージでスタートアップや協創をテーマに活動されている。本書でも社会実装(本書ではテクノロジーが真価を発揮できるような社会の営みを指す)における課題や実装時のポイントについて4つの原則が説明されており、ここでは私見を交えて紹介させて頂く。 
4つの原則を語る上で大前提となる、デマンドの重要性を筆者はまず述べている。

デマンドとはテクノロジーを用いた(用いなくても良い)サービスやソリューションに対して、ユーザが本当に価値がある(課題が解決される)と感じるかどうかである。このデマンドが明確で無いサービスは必ず失敗する。

自分自身もサンフランシスコでのスタートアップと活動した際、デザイン思考をベースとして課題を探していくことでユーザのデマンドが何であるかを考えることの重要性を実感している。対象となるユーザのあらゆる言動や背景をもとに仮説・検証を繰り返し、既存の前提とは異なる思想や課題をもつことを意識しながらデマンドやそれにつながるインサイトを見つけていくのである(ここでは詳細は割愛させて頂く)。

次からはデマンドをもとに、社会実装をする上で必要な原則を簡単にご紹介する。

  1. 成功するための4つの原則:インパクト
    サービスやソリューションの結果もたらされる長期的な影響や目的、いわゆる理想がインパクトが明確になっており、そこに至るまでの道筋を示すことができるようになっていることが重要であると筆者は述べている。
    ご存知の方もいるかと思われるが、アマゾンが新規サービスを説明する際にプレスリリース形式で行っていることはこれの最たる例である。
    インパクトに関してあくまで自分の印象であるが、会社や組織の方針においては理想だけか次の具体的なステップだけのどちらかに寄っている場合が少なくないと感じている。

  2. 成功するための4つの原則:リスク
    インパクトには必ずしもプラスの面だけでなく、マイナスの面もあることは想像に難くない。
    筆者は実装しないリスクも鑑みながら、実装した場合のリスクとまたリスクに関連する倫理の重要性を述べている。最近のトピックとしては、コロナ禍を受けての監視や管理社会に対する是非がそれの1つと考えられる。本文中で印象的だった点としては、リスクを許容するために何をすべきかを倫理を含めてアップデートする必要があると述べている点である。

  3. 成功するための4つの原則:ガバナンス
    ガバナンスは統治や管理体制のことであり、制度や法令を意味するコンプライアンスと似ているが異なる概念である。
    アプリケーションの例で言えば、機能そのものでは無く、それを形作るためのアーキテクチャにあたるものとして説明されている。デジタル技術による新しいビジネスは新たな問題を提起するため、それに柔軟に対応できるような仕組みやアップデートを行っていくことがこれから更に重要になるが、それを民間が主導していくためのヒントが提示されている。

  4. 成功するための4つの原則:センスメイキング
    最初に様々なステークホルダーを巻き込む必要性に触れたが、各人が自分の所属する組織に能動的に関われるようにすることが必要であるとされる。
    筆者の経験によれば、現状の課題認識について相互理解が不足しており、その結果理想(インパクト)が上手く共有できない例があると述べられている。議論を行う中でディシジョンメイキングをどう行うかに注目が行くがちであるが、その前に必要性や課題に対する強いセンスメイキングが重要であることを忘れずにいたい。 

―一読のすすめ
★4.5
本書を通してサービス開発に携わるものとして、複雑に絡んだ課題やステークホルダーとの関わり方について、何が課題かを認識する上で今一度整理や視点を加えることきっかけになった一冊と感じている。組織の枠を超えて、これから課題解決を行う人へ必ず助けになるものと思っている。

また、ここでは字数の関係で載せることができなかったが、社会実装の例として電気の普及は非常に理解しやすいものであったことと具体的なツールについての紹介が参考になった点を付記しておく。

 

ありがとうございました!

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鈴木 大地さんのプロフィール

エンジニアリング統括部 サービス開発部 第3グループ リードエンジニア

※2021年5月現在の情報です。

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