ERPシステム「NetSuite」導入――各事業を横断して繋ぐ“全社BITA”の仕事とは

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請求・会計領域における業務効率化を目指し、タレントシェアリング事業部で導入されたERPシステム「NetSuite」。現在は、2021年4月に組成された全社IT・テクノロジー推進組織「全社BITA(Business IT Architect)」の主導で、dodaエージェント事業部、転職メディア事業部など大規模組織への導入が進められています。

今回は、NetSuite導入プロジェクトを担当する全社BITAの中村、矢崎、伊藤の3名にインタビュー。全社を見渡す視点が求められる取り組みの苦労や醍醐味など、リアルな思いを聞きました。

 

※撮影時のみマスクを外しています。

事業部それぞれで請求・会計業務をなぜ全社共通化するのか

 

――現在、Oracle社のERPパッケージ「NetSuite」の導入を全社的に進めているとのことですが、まずは導入に至った背景をお聞かせください。

 

BITA統括部 プロダクト開発部 タレントシェアリング_BITAグループ コンサルタント 中村 友美の写真

BITA統括部  タレントシェアリング_BITAグループ コンサルタント 中村 友美

中村:「NetSuite」の導入自体は、タレントシェアリング事業部が提供するアドバイザー紹介サービス「i-common」からスタートしました。請求書にまつわる膨大な業務工数を削減するため、システムリプレイスのタイミングで導入を決めたと聞いています。
この導入を主導した私の上長によると、「いずれは請求・会計領域の業務を全社で共通化していきたい」という構想があったそうです。

 

――業務の全社共通化の構想の背景には、どのような課題があったのでしょうか。

 

中村:どの事業においても売上管理領域における多くの作業を人の手で行っており、徹底された運用で問題なく進められてきましたが、業務を可視化してそこにテコ入れをする人がいない状態に、上長は危機感を感じていたのだと思います。

BITA統括部 エージェント プロセス&システムデザイン部 コンサルタント 伊藤 有紀の写真

BITA統括部 エージェント_プロセス&システムデザイン部 カスタマープロセスデザイングループ コンサルタント 伊藤 有紀

伊藤:dodaエージェント事業部でも、同じように、人の手で “どうにかなっている” 状態でした。
データの抽出・確認・加工調整・読み込みの作業を4組織で分担してそれぞれ手動で行っていたり、社内基幹システム「ARCS」では出せないデータを手作業で集計していたり。当然どこか一つのミスでも手戻りが発生しますし、各組織が「自分たちが行っている作業の後続作業は何か」「最終的にどのような形になるのが正解で、実際にうまくいっているのか」を理解しづらい状態でした。
転職メディア事業部はどうでしたか?

 

矢崎:実は、転職メディア事業部では社内基幹システム「BAKS」が請求に関してはある程度自動化していて、課題に残っている部分は逐次改修していたんです。他の事業部とは異なり、大きく差し迫った危機感があった訳ではありませんでした。ただ、長期的にみて、請求プロセスの標準化や「BAKS」の刷新を見据える上でのジャブ、短期的には請求書Web化を進めるために、導入するメリットがあるだろうという感覚でした。

 

 

――それぞれのやり方でうまくいっている中で、全社で共通化を進める意義はどのような点にあるのでしょうか。

 

中村:売上管理担当者が触るシステムが一本化されれば、メンバーの経験や感覚に依存した、属人化した業務を標準化・マニュアル化できます。タイミングを見計らう必要はあるものの、全社共通化は進めた方がよいと捉えています。

 

――共通化に向かう手段としてさまざまなERPパッケージがある中で、「NetSuite」を選択した理由を教えてください。

 

中村:パーソルキャリアの事業規模や今後海外とのお取引も拡大していくことを見込んで、国内開発されているパッケージシステムの中でも、国際会計基準に対応したものを選んだと聞いています。

 

 

全社共通パッケージ導入は、“コピーして横展開”ではなく“ノウハウの連携”

 

――今回のプロジェクトで、皆さんはどのような役割を担当しています

 

中村:伊藤さんはARCS、矢崎さんはBAKS、私がその他のシステムを担当しており、プロジェクトを推進する役割自体は3人に共通しています。

 

――皆さんがプロジェクトにジョインされた経緯について教えてください。

 

中村:全社BITAが2021年4月に組成されてから、明確に役割を担うようになりました。私の場合は、元々タレントシェアリング事業部でNetSuiteが導入されており、改善や連携テストを行っていたので、その経験を踏まえてアサインされたと認識しています。

 

BITA統括部 デジタル業務推進部 メディアBITAグループ リードコンサルタント 矢崎 まなみの写真

BITA統括部 デジタル業務推進部 メディアBITAグループ リードコンサルタント 矢崎 まなみ

矢崎:私はBAKSの売上管理部分を担当している背景から、NetSuiteを導入するからやってみないか?と上司から声をかけられてジョインしたのをきっかけに、いつの間にか全社BITAに参画していたという感覚ですね。前職からパッケージ導入に携わりたい気持ちがあり、経験値を積むためにも関われたらと思いました。

 

伊藤:私は全社BITAができてからアサインされました。エージェント事業自体のプロセス全体を理解していることから声をかけていただいたとのことです。その場では詳しく内容を聞かないままでしたが、やってみたい!と思ったので参画しました。

キャリアチャレンジ制度を使って2020年1月にBITAに来て、1年以上経つ頃だったので「事業BITA(※)の代表として行って欲しい」と送り出されたのが率直に嬉しかったですね。

(※)事業BITAとは…人材紹介事業や転職メディア事業を支えるIT戦略・企画開発部門の総称を指す社内用語。

 

 

――成長期にある「i-common」で導入したシステムを成熟期以降の事業に横展開することは、簡単ではなかったのではないでしょうか。全社BITAの立場からそれぞれの事業を支援する中で、大変だったことや気を付けた・工夫たポイントがあれば教えてください。

 

中村:「i-common」の場合はNetSuiteとの中間にあるプラットフォーム内にシステムを構築しているので、プラットフォーム内でデータを作ってNetSuiteに渡す構造上、導入しやすさはあったと思います。一方でARCSやBAKSを経由するとなると、複雑性が増してしまう部分はありますね。

 

矢崎:転職メディア事業では第二陣として導入を進めましたが、消費税の求め方など細かな部分が「i-common」とは異なるので、やり方をそのままコピーできずに苦労しましたね。また運用面でも、一つの業務に対して作業者が複数に分かれているために、作業者を振り分ける検索条件が必要で仕様変更を行いました。そのまま横展開、という訳にはいきませんでした。

伊藤:連携するために必要な情報の項目が揃っている訳ではないので、「i-common」で送っている情報がARCSでいうとどの情報にあたるのか、業務上使われている項目名がデータ上のどのカラムを指すのかなどを細かくすり合わせるのに苦労しました。
またエージェント事業は請求書発行数が多く、不具合があった場合の事業インパクトも大きいので、不安を感じながらの取り組みではありましたね。リリース後に不具合が起きてもお客様に誤った情報をお渡ししないよう、すぐに代替案を出してリカバリーできる形で着地させることは特に気をつけたなと振り返ります。
ただお二人から「こういうところは気をつけた方がいいよ」と情報を事前にいただいていたので、その点には気をつけながら進められましたし、お二人に都度状況をご報告してアドバイスをいただけたのもありがたかったです。

 

 

――今回みなさんが起点となって始められたプロジェクトではない中、状況をキャッチアップして進めるやりづらさもあったのではと思いますが、それでも前に進めていくモチベーションはどこから来ていたのでしょうか。

 

中村:お金にまつわる領域は、知っていることで基幹システムの改修や改善にも活かせますし、会社として非常に重要な領域と考えています。自分自身の知識として蓄えて、きちんと考えた上で取り組みたいという思いが強いですね。導入が主目的というよりは、この領域に関われること自体がモチベーションになっている感覚です。

BITA統括部 プロダクト開発部 タレントシェアリング_BITAグループ コンサルタント 中村 友美の写真

 

矢崎:私の場合は、もともと売上管理領域に携わりたいと思っていたこと、ERPシステムのハウツーを得たいという思いがあったことがモチベーションになっていました。

伊藤:ARCSは一般的でない独特な作りをしていて、そういった環境で自分にとって初めてのIT経験を積んでいるので、NetSuiteという、世界で使われるパッケージの導入に携われることは大きな魅力です。大変なこともありますが、単純に面白いな、やってよかったなと思っています。

 

 

自由度が高い組織だからこそ、意思を持ってバックオフィスの業務最適化に取り組める

 

――ここからは、全社BITAではたらく “リアル” にフォーカスしてお話をうかがいます。まずは改めて、全社BITAが担う役割について教えてください。

 

中村:全社横串のIT企画やテクノロジー活用を推進し、課題解決を行うことが軸となるミッションで、その中でも私たちは請求・会計領域の業務最適化を主な役割として活動しています。
まずは現在のNetSuite導入プロジェクトを完遂することが直近の課題で、その先で「請求・会計領域をどうしていこうか」と議論をしていくことが求められると捉えていますね。

 

BITA統括部 エージェント_プロセス&システムデザイン部 カスタマープロセスデザイングループ コンサルタント 伊藤 有紀の写真

伊藤:そうですね。せっかくNetSuiteを導入しても、事業部が各々のやり方で業務を進めてしまっていては、結局縦割りの構造であることには変わらなくなってしまいますから。それぞれの事業の都合をふまえながら「i-commonでこうしているなら、ARCSでもこうしてみようか」「ARCSのやり方にBAKSも揃えたらいいのでは」と横で連携をとって、できる限りフローを寄せていく必要があるのだと思います。

 

 

――全社BITA発足から1年ほどが経ちますが、事業横断で連携する横の視点を大切に取り組まれてきた中で、得られたことなどはありますか?

 

中村:プロジェクトの進め方や、その中で合意形成一つをとっても、事業部ごとにやり方が全く違うなというのは、明確に感じました。同じシステム導入でも難易度が違うのだろうなという印象です。

矢崎:設計や企画という観点からも、「i-common」では要所要所でポイントが押さえられていて、ドキュメントがしっかりしているというのも発見でした。自分たちの事業でも、こういうことをやりたいなと思わされますね。

 

 

――「自分たちのやり方が必ずしも正解ではない」と知れるのは、大きなことですよね。そこを知ることで、危機意識や「この先どうしていこうか」という対話が生まれるのだろうなという印象です。

 

中村:大まかな方針やゴールは共有されるものの、ロードマップまでが引かれている訳ではないので、自分たちで意思を持ってそういった対話をしていかないと、迷子になりそうな組織ではあります。

 

伊藤:とても自由度が高い分、メンバー間での議論がより重要になりますね。

 

 

――特定の事業を担当する視点と全体最適の視点を持ち合わせながら、主体的に課題を見つけて改善していく、全社BITAでの業務に携わる中で感じる苦労や醍醐味について教えてください。

 

BITA統括部 デジタル業務推進部 メディアBITAグループ リードコンサルタント 矢崎 まなみの写真

矢崎:最終的にはバックオフィスの業務が共通化され、やりやすく・またコストも削減される、という理想は見えるものの、今はまだ創成期だからこそ非常に長い道のりだな、というのが率直な印象です。また全社BITAとしての立場と、転職メディア事業部のBITAとしての立場で、帽子のかぶりわけをしながら進めていくことに、悩みや葛藤はありますね。

 

伊藤:dodaエージェント事業は歴史ある領域なので、保守との連携時のフローやARCSに改修を加える際の対応などがしっかりと決まっていますし、過去の事例を参照して動ける部分が大きいのですが……全社BITAでは何もルールがなく、また過去事例もないのでNetSuiteでどういうことができるかもわからないところが難しく感じます。
ただ逆にそこが楽しいところでもあります。プロジェクトの順序や進め方も自分たちで決められますし、その過程で相対する総務側のマネジャー層と「こういった順序でやっていくのがいいのでは」と議論することもあります。そういった意思決定は、エージェント事業部の中ではおそらくリーダー陣の仕事ですが、ここでは裁量を持って自分たちで決めていくことができます。貴重な経験だとポジティブに捉えていければと思っています。

 

中村:主務と全社BITAの仕事を兼務することで、導入前の課題・要件出しを行う際にも視座が高くなりますし、早めに課題感をキャッチアップしてプロセスを検討できます。それによって、これまで運用回避せざるを得なかった状況を最初の段階で食い止められることは、大きなやりがいになっていますね。

 

 

――ありがとうございます。それでは最後に、みなさんが今後チャレンジしたいことについてお聞かせください。

 

矢崎:ゆくゆくは、転職メディア事業部の売上管理領域にとどまらず、パーソルキャリア全体の何かに関わっていけると良いかなと思っています。

 

伊藤:せっかく全社BITAに参画したので、ARCSとNetSuiteを繋ぎ切っておしまいではなく、「全社としてARCSの仕様をどうするべきか」「バックオフィス業務をどうしていこうか」といった話をするところまで、解散せずにやっていければ嬉しいです。

 

中村:近い目標としては、現段階でNetSuiteを使いこなせていないという課題があるので、検証を進めながら何かしらのアクションが取れる状態に持っていきたいと思っています。
またこの1年で各事業部の状況のキャッチアップができてきたので、その先で「他に共通化できるところはないか」など議論を進めて、改善に取り組んでいければと思います。

インタビューを受ける、矢崎、中村、伊藤の写真

――ありがとうございました!

 

(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=小野綾子)

BITA統括部 プロダクト開発部 タレントシェアリング_BITAグループ コンサルタント 中村 友美の写真

中村 友美 Tomomi Nakamura

BITA統括部  タレントシェアリング_BITAグループ コンサルタント

新卒で中小出版社向けのバックオフィスシステム開発会社にてSEとして勤務。お客様にシステムを提供していく中で有効利用できないケースを目の当たりにし、内から活用していく側になりたいという思いでパーソルキャリアに2018年9月中途入社。未経験の業界且つ職種で日々誠意奮闘中。

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矢崎 まなみ Manami Yazaki

BITA統括部 デジタル業務推進部 メディアBITAグループ リードコンサルタント

大学にて経営工学・統計学を学ぶ過程で、ITの効率化・データ化に興味を持ち、IT業界に入る。国内Sier、ベンチャー、外資系ITベンダー、学術系サービス事業にて、バックオフィス業務に関するシステムを中心に基幹システム構築や運用保守業務を経験。人生の岐路を支援する事に貢献したいと考え、2021年1月パーソルキャリアに入社。

BITA統括部 エージェント_プロセス&システムデザイン部 カスタマープロセスデザイングループ コンサルタント 伊藤 有紀の写真

伊藤 有紀 Yuki Ito

BITA統括部 エージェント_プロセス&システムデザイン部 カスタマープロセスデザイングループ コンサルタント

2017年新卒入社。キャリアアドバイザーに配属となり、その後2019年末まで金融機関ご出身者の方のご支援に携わる。キャリアチャレンジ制度にてエージェントプロセス&システムデザイン部に異動し、CA/個人顧客に関わるPJTを担当。昨年猫を飼い始め、在宅ワークの満足度が上がった。

※2022年2月現在の情報です。

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