この記事はtechtektアドベントカレンダー2021の9日目の記事です🎄
こんにちは!
テクノロジー本部 UXデザイン部 UI/UXデザイナーの高井です。
今回は、組織横断プロジェクトに参加して得た気づきや知見について、まとめていきたいと思います。
はじめに
組織横断プロジェクトは複数の部門が協業することで、より付加価値の高いサービスが作り出せる一方、上手く進行しないケースも多く存在しています。
そこで、これまで複数の組織横断プロジェクトに参加する中で何が成功の要因となったのか、成功事例をベースに振り返りを行いました。
この記事が、これから組織横断プロジェクトに参加する方の参考になれば幸いです。
どんなプロジェクトだったのか
「応募要件定義サービス」という、リクルーティングコンサルタントが法人営業で使うBIツールの開発プロジェクトを、転職メディア事業部、BITA統括部、デジタルテクノロジー統括部、パーソルプロセス&テクノロジー社との協業により開発しました。
部門やグループ会社を横断したプロジェクトとなるため関係者も多く、また、デザイン担当として所属部署からは1人でアサインされていたこともあり、参加当初はとても緊張していた記憶がありますが、とてもスムーズに合意形成がなされたプロジェクトでした。
対象ユーザーの利用率も約80%と成果が出ており、すでにフェーズ2の開発も始まっています。
プロジェクトの詳細についてはこちらの記事をご参照下さい。
組織横断プロジェクト成功のポイント
当プロジェクトには、組織横断プロジェクトで言及されることの多い「プロジェクト設計」「メンバー設計」「チーム運営」が、初期の計画段階から織り込まれていました。
デザインパターン
プロジェクト設計 | プロジェクトの目的が明確 |
メンバー設計 | メンバーに期待する成果が明確 |
チーム運営 | 会議体がシンプルで適切な進捗共有が行われている |
具体的には、下記のような項目が実践されていました。
プロジェクト
- 目的の明確化
- ステークホルダーの明確化
- 精度の高い見積もり
- 効果測定の実施
- 成果物の定義
- クオリティの定義
- ツールの選定
メンバー
- 適切なスキルセットを持つメンバーのアサイン
- 率直な意見交換
- 担当の明確化
- 関係者全員でのレビュー
チーム
- スリムな会議体
- 適切な情報共有
- コミュニケーションラインの整理(SOとPdMに情報を集約)
- 読み合わせの実施
一方、上手く機能していないプロジェクトでは、これらのポイントが欠落しているケースが多いと感じました。
アンチパターン
プロジェクト設計 |
・プロジェクトの目的が曖昧 ・ステークホルダーを巻き込めない |
メンバー設計 | ・メンバーに期待する成果や役割を決めない ・スキルセットが合わない |
チーム運営 | ・進捗の共有がされない ・計画性に乏しい ・現在のステータスが分からない |
一見すると、一つ一つは改善できそうな印象がありますが、実際にプロジェクトが走り出してしまうと、修正したいと思った時には影響範囲が広がり非常にコストがかさんでいきます。(中には初めからやり直した方が早い場合も)
軌道修正が多いプロジェクトは目的を見失いがちなため、組織横断チームをうまく機能させるためには、初期の計画が重要な鍵となりそうです。
組織横断プロジェクトに参加する中で得た気づき
さらに、このような観点も計画当初から想定されていたものでした。
オペレーションまで含めた長期的な運用・保守
サービスをリリースすればユーザーが使用してくれるとは限らないため、広い視点で長期的な普及を行なっていく必要があります。
特に、扱う情報が機密情報を含む場合、取り扱いには細心の注意が必要となります。
当プロジェクトでは、取り扱いミスを防ぐユーザビリティの観点でのUI改善を行なっただけでなく、ユーザーに対しても直接オペレーション面での支援を行うことで、オフラインでの仕組み化も行なっていきました。
これまでは、できたらいいけどそこまで工数を避けないだろうと無意識に除外していましたが、ここまでしていいんだ!と新たな気づきがありました。
また、ツールの統一のために時間をかけるよりも、多少の使いづらさはあれど共通のツールで進めることで情報の分断を防げていたことに気づきました。
今後の運用を考えた際、関係者全員が使用できるツールで進めたことで、自分の手から離れた時にも運用を続けていただくことが可能となりました。
定期的な読み合わせの実施
読み合わせを実施する中で、同じキーワードを使用していても、各職能でイメージしているアウトプットが異なるケースが発生することがありました。
1つ例を挙げると、情報設計では体験設計と機能設計があるように、デザイナーが欲しい遷移図とエンジニアが欲しい遷移図が違うことがありました。
職能の違うメンバー間で共通認識を揃えるためには視覚化・ドキュメント化が重要になりますが、定期的に読み合わせを実施することで、なるべく認識齟齬の少ない合意形成を行うことができました。
また、担当や領域が曖昧な部分のため誰も責任を持たない問題が起こりがちですが、担当する領域を超えてチームで取り組むことで、成果とプロセス両方の面で期待値以上のものが成し遂げられたと感じました。
お互いの職能を認め合いながらも、活発に意見交換ができる環境も良い刺激になりました。
最後に
成功する組織横断プロジェクトは初期の計画が重要
私が駆け出しのデザイナーだった頃、先輩から「いきなりデザインに着手するのではなく、手を動かす時間以上に計画に時間を使って下さい。まずは、リファレンス集め・コンセプト決め・完成形をイメージすることが重要です。」とよくアドバイスを頂いていましたが、今考えると、今回の経験とも通じるものがありました。
サービスを一本の線として創り上げるためには、専門性の高さと共に、今後ますます横断や越境が重要になっていきそうです。
組織横断プロジェクトチームに参加させていただいて得た知見を、今後は別のプロジェクトでも活用してきたいです。
明日のアドベントカレンダーは、エンジニアのmaokiさんによる "テスト管理ツール「Qase」を導入した話" です。お楽しみに👋
髙井 良美 Yoshimi Takai
エンジニアリング統括部 UXデザイン部 デザイン第1グループ リードデザイナー
コミュニケーションデザインの受託制作会社を経て、事業会社でインハウスデザイナーとしてUI設計に従事。2020年に新規事業領域のデザイナーとしてパーソルキャリア入社。UXデザイン部にて後進育成や採用活動も行う。
※2021年12月現在の情報です。