【ディップ×パーソルキャリア 対談】変わりゆくインフラ環境を共に考える #インフラトーク Vol.2

トップ画像時代によって変わりゆくインフラ環境について、ゲストをお招きして一緒に考えていく「#インフラトーク」シリーズ。

第2回となる今回は、人材サービスとDXサービスを手がけるディップ株式会社 商品開発本部システム開発部システム基盤課課長・藤原様にお話を伺いました。聞き手は、パーソルキャリアでAWS推進グループを率いる月島と、デジタルテクノロジー統括部 インフラエンジニアの小川が担います。

 

求められる「全社統一」と「開発組織ごとの最適化」のバランス感覚

 

月島:本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、まずはディップ社のインフラ組織体制から教えてください。

ディップ株式会社 商品開発本部システム開発部システム基盤課課長 藤原 朋広氏

ディップ株式会社 商品開発本部システム開発部システム基盤課課長 藤原 朋広氏

藤原:現在は「バイトル」や「はたらこネット」を中心とする人材サービス領域・DXサービス領域・社内のDX推進領域の3部門、それぞれに基盤と開発体制が分かれています。私が管轄する人材サービス領域のシステム基盤課は社員が15名ほど、協力会社さんが10名ほどの体制です。

全社的に積極的にエンジニア採用を行い、内製化を進めています。

 

月島:内製エンジニアとアウトソースのハイブリッドで管理しつつ内製化を進めている点や、インフラ組織の規模を見ても、体制面ではパーソルキャリアと共通点が多い感覚です。組織的な面で課題として感じられていることはありますか?

 

藤原:インフラ組織同士の連携ですね。現在は3部門のインフラ組織が、同じインフラ部隊としての役割を担いながらも、基本的にはそれぞれの管掌範囲で最適化を目指し、独立して設計運用を行っています。もちろん困った時は互いに話をしながら進めてはいるものの、基本は別組織という形なんですよね。

そうした中で、セキュリティポリシーや事業継続計画、ITインフラの整備など全社で統一すべきものが、各領域独自の運用になってしまっていることに課題を感じます。今後横串で連携を取りながら、あるべき姿を作っていきたいなと思っているところです。

パーソルキャリアさんとしても複数のプロダクトがあり、それぞれにシステムやアーキテクチャ、運用も異なるのではと思いますが、横の連携はどのようにされていますか?

 

月島:私たち基盤提供側と各プロジェクトの皆さんとの連携はある程度できているものの、プロジェクト間で見ると縦割りの部分が大きいのが現状です。スピーディに、効率的に答えに辿り着くためにも、互いの情報共有は今後の大きな課題だと思っています。

環境の視点でいうと、プロダクトのほとんどが「パーソルグループ共通の基盤にのっている状態」から、現在は内製組織で「パーソルキャリアに最適化されたインフラ」を作っている段階で、システムや組織体制も今後整えていく必要があります。

その中で、セキュリティやIT統制など全社で寄せるべきところは寄せつつ、とはいえ各事業部の開発体制やアーキテクチャを全社統一すべきかというとそうではないのかなと思うので、各開発チームと連携しながらバランスをとっていけたらと思います。

 

取り組みの軌跡や知見をいかに蓄積し、スキルの標準化につなげるか

インフラ基盤統括部 システム共通BITA部 AWS推進グループ マネジャー 月島 学

インフラ基盤統括部 システム共通BITA部 AWS推進グループ マネジャー 月島 学

月島:組織課題についてお聞きしましたが、現場での課題感はどのようなものがありますか?

 

藤原:スキルの標準化の必要性を感じています。インフラ環境としてはAWSとオンプレがメインで、基本的にはInfrastructure as Codeを推進しているので、TerraformやAnsibleを使ったコード管理・デプロイを行っています。ただ、どうしてもツールの扱いについてメンバーごとに得意不得意があり、みんなが満遍なく同じレベルで作業できる状態には行き着いていません。

現状は困ったらメンバー同士で助け合いながらやっていますが、世の中には次々に新たな技術が出てきて覚えることも増えるので、スキルの標準化のための取り組みを考えていかなければいけないと思っています。

 

デジタルテクノロジー統括部 シニアエンジニア 小川 由輝

デジタルテクノロジー統括部 シニアエンジニア 小川 由輝

小川:確かにメンバーごとのスキルのばらつきは生まれやすいですよね。さらに言えば、クラウドから入り、ツールに頼りすぎているが故に、例えばOSのレイヤーの詳細設定など深いところまで理解して触っている人も減ってきているなと言う印象です。昨今ではそこまで必要に迫られるケースは少なくなりましたが、知識や技術の引き出しが多い方が応用が利きますよね。

 

藤原:パーソルキャリアさんで標準化のために取り組まれていることや工夫されていることはありますか?

 

月島:解決策は組織やシステムの状態によるのかなとは思いますが、新たに出てきた技術を覚えるのはもちろんのこと、「ここではこの構造で、このようにした方が良い」と考えて設計できることがエンジニアとしては大事であると考えています。私のチームではツールや言語の選定にあたって選定理由をしっかりと問い、ドキュメントを残してもらうようにすることなどは意識して行っています。

 

小川:私のグループも同様です。

私も質問したいんですが、TerraformやAnsibleで設定を高度化されているというお話で、世の中的にも昨今主流になってきているとは思いますが、技術面や運用面のナレッジ蓄積はどのように行われていますか?

ドキュメントの更新ルールなどを設けても、時が経つと形骸化して「ドキュメントと実機で中身が違う」ということも起こりやすいのかなと思いますが…

 

藤原:ドキュメント更新は各々に任せられているので、基本設計書と実態が異なるという現象はうちでも起こってしまうことがあります。

ただシステムの変更管理フローを定めており、「システム上でどのサーバを対象にどのような設定変更をするのか」という手順を届け出て、承認を受けてから作業する仕組みになっています。少なくとも、いつ・誰が・何のために・どこを変更したのかは、過去に遡って追える状態を作ることは意識していますね。

 

小川:システム変更の管理フローを定めているのですね。では、運用監視の体制や方法についてもお聞かせください。システムの障害対応は自社内で行われているのでしょうか。

 

藤原:人材サービス領域では、データセンターやAWS DirectConnect など一部は業者の方にお願いしつつ、AWSやクラウドについては自社内で管理しています。基本的にはシステムでサイトを24時間365日監視し、夜間にサイトダウンになる場合などは監視システムから基盤課のメンバーに連絡がくるようになっており、誰かが応答から復旧に向けた対応をする形です。

障害対応については、サービス稼働率をメンバーの目標にまで落とし込み、一人ひとりが責任を持って対応する体制を作っています。

 

新たな技術が登場しインフラのあり方が変わる中、次に取り組むべきこととは

 

月島:ここからは、「これからの技術や仕組みをどのように取り入れるか」をテーマにお話を伺えればと思います。新たな技術を取り入れる際には当然リスクもありますが、ディップ社ではその判断をどのように行われていますか?

 

ディップ株式会社 商品開発本部システム開発部システム基盤課課長 藤原 朋広氏

 

藤原:明確な判断基準をルールとして設けている訳ではありませんが、コスト・スピード・安定性を伴っているかを検討した上で、問題がなければ挑戦してみようというパターンが多くなっています。

 

月島:導入は積極的に進められているのですね。新しい技術が次々登場し世の中的にもインフラのあり方が変化していく中で、今後導入したいものや取り組みたいことなどがあれば教えてください。

 

藤原:マルチクラウド・マルチプラットフォームというのがこれから主流になるとは思いますが、当社ではAWSとオンプレ中心、一部GCPなども扱っている中で、AWSが占める割合がかなり大きくなっています。その中でサービスを継続していくためには、ベンダーロックインのリスク対応や事業継続計画などを改めて考えていかなければ、というのが今後への思いですね。現在は環境が東京に集中しているので、他のリージョンにも用意して切り替えられるようにするなど、仕組みづくりが必要なのかなと思います。

パーソルキャリアさんとしてはどのような取り組みを検討されていますか?

 

小川:私の部署で現在動いているプロジェクトは、アナリストが作成したデータ分析ロジックを読み解いてサーバ向けに改修を行う際や、Docker Composeを使ってサービスを構築・実装する際の、作業ウエイトが大きいことに課題を感じています。この辺りの開発フローを改善する仕組みを模索中で、今後注力していきたいところですね。

 

月島:AWSを主軸として置きつつもGCPやAzure、Salesforceなども使っているので、今後これらを活用していくためのルールや認証基盤、セキュリティ基盤の整備に取り組んでいきたいというのが一つです。またコンテナ化をインフラの管轄として提供していくのか、セキュリティを守る取り組みをどう共通化していくのか、などの視点から「パーソルキャリアとしてのインフラとは」を考え、実現していきたいと思います。

 

ここまで課題感から展望まで幅広く伺ってきましたが、事業体としてもインフラとしても共通する部分がたくさんあるなと改めて感じますね。今後、インフラ面に限らず互いに協力しながらコミュニケーションを取っていけたら良いなと思いました。

それでは最後に、お二人からも感想をいただいて今回の「#インフラトーク」を締めたいと思います。

 

小川:私としても、どの事柄についても共感することばかりで、今後もこういった情報交換が密にできたら良いなと思いました。直接お会いしてまたお話を伺える機会を楽しみにしています。

ディップ株式会社 商品開発本部システム開発部システム基盤課課長 藤原 朋広氏

藤原:今回はこのような場を設けていただき、ありがとうございました。他社様とインフラ目線でお話しすることはあまりないので、やはり大きな括りでは抱えている課題が非常に似ているのだなと、楽しくお話しさせていただきました。

今後もぜひまた連携させていただきたいですし、中でもセキュリティ対策についての知見を共有しあえると良いなと思います。

 

月島:引き続きよろしくお願いいたします。本日は、ありがとうございました!

 

 

ディップ株式会社 藤原 朋広

藤原 朋広 Tomohiro Fujiwara

ディップ株式会社 商品開発本部システム開発部システム基盤課課長

インフラ基盤統括部 システム共通BITA部 AWS推進グループ マネジャー 月島 学の写真

月島 学 Manabu Tsukishima

インフラ基盤統括部 システム共通BITA部 AWS推進グループ マネジャー

デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジー ソリューション部 エンジニアリンググループ シニアエンジニア 小川 由輝の写真

小川 由輝 Yoshiteru Ogawa

デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジー ソリューション部 エンジニアリンググループ シニアエンジニア

 

※2021年12月現在の情報です。