1チームからdodaに関わる全開発者に改善活動の幅を広げる――今だからこそアーキテクトが面白いワケ。  

1チームからdodaに関わる全開発者に改善の幅を広げる――今だからこそアーキテクトが面白いワケ。   

転職サービス「doda」は、その長い歴史の中でさまざまな機能・サービス開発によって進化してきたものの、その分開発作業の難易度は高くなり、また障害が起きやすい状況になってしまっていた――3年前、当時「doda」のシステムリフォームでPMを務めていた石川は語りました。

3年の時を経て、2022年10月より、石川がdodaアーキテクトグループのマネジャーとしてシステムアーキテクトを管掌することになりました。

体制を一層強化しながら、効率的な開発と最適なシステム構成で「doda」サイトのサービス品質を高めることに挑戦している当該グループ。今回は前回からの取り組みの進化と、今だからこそ経験できるアーキテクトの醍醐味について話を聞きました。

 

喫緊の課題への対処が完了し、より良いシステムを目指すフェーズへ

 

――まずは「doda」のシステムリフォームの現在地から教えてください。

石川:システムとして100点満点中10点や20点になってしまうような、明らかに問題のある要素の改善は一通り完了し、さまざまな物事がよくなって水準が上がってきました。

プロダクト開発統括部 システムアーキテクト部 dodaアーキテクトグループ マネジャー 石川 篤

プロダクト開発統括部 システムアーキテクト部 dodaアーキテクトグループ マネジャー 石川 篤

そうするとまた視点が広がり、これまで見えていなかった「ここもやっぱり微妙だな」「そこまで緊急ではないけれど将来を見据えて取り組みたい」という新たな気づきや課題感が生まれてくるんですよね。現在は、そういった課題に着手して60点のものを80点にまで高めていく、というフェーズにあると認識しています。

 

――60点から80点を目指すにあたって、今具体的に取り組んでいるテーマとは?

石川:例えば、データベースの改善が一つのテーマとして挙げられます。以前は頻繁に止まってしまうなど運用に差し障る問題がありましたが、ここまでの取り組みで何とか運用できる状態までは改善できているので、さらにプラスアルファでどう良くしていけるかを考えています。

開発環境についてはずっと以前から変わっておらず、開発自体はできるもののエンジニアファーストの環境だとは言えません。やはり開発環境は採用やロイヤリティにも大きく関わるものなので、より良い環境を作っていきたいところです。

またすでにオンプレからクラウドインフラへの移行を行いましたが、クラウドネイティブへの最適化はまだ途上にあり、ベストプラクティスに合う形でこれから作り替えを進めていかなければいけないなと思っています。

 

――そういったさまざまな課題の解決に向け、今はどんな体制で取り組んでいるのですか?

石川:3年前には2,3名だったdodaアーキテクトグループは現在8名の組織へと拡大し、さらに「doda」のリビルドを専門とする部署(リビルドグループ)も新設されるなど、体制を強化しながら取り組みを続けています。

※リビルドグループの記事はこちら

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やはりリフォームを続ける間にも技術はどんどん新しくなり、開発効率が高くセキュリティ面でも性能の良いものがさまざま出てきますから、より高くなっていくゴールに向けて、組織力を増す必要がありますね。

 

dodaに関わる全開発者がサービスを自分ごと化し、改善の視点を持って取り組む組織文化づくりを

 

――前下期よりdodaアーキテクトグループのマネジャーに着任されましたが、これからグループとしてどんな役割を担っていくのでしょうか?

石川:先にお伝えしたように、明らかに問題のある部分を切り出して少数の専門家が直していく、というフェーズが終わりました。まだ取り組んでいくべき課題が数多くありますが、アーキテクトグループの人数がこの先も増え続けていくというのはあまり現実的ではありません。

そこでここからのフェーズでは、改善活動を私たちのような特定のグループ内にとどまらず、dodaに関わる開発者全員に広げていきたいなと。

普段の開発の中で気がついたところを直す。2〜3割の工数をとって、KPIに直接は繋がらなくともサービスとしての “あるべき” に対して何かアクションを起こす。そんな状態を作っていきたいと思っています。

1チームからdodaに関わる全開発者に改善の幅を広げる――今だからこそアーキテクトが面白いワケ。   

そういった「dodaに関わる全開発者がサービスを自分ごと化し、後続のために改善の視点を持って取り組む」という組織文化を作っていくこと、そして1スクラムではできないような横断的かつ大規模な課題については私たちが変えていくことが、アーキテクトグループとしての役割だと認識しています。

 

――サービスの自分ごと化を進めるために、具体的に取り組んでいることはありますか?

石川:グロース開発の各スクラムにアーキテクトグループのメンバーが一人ずつ入り、改善活動のサポートを行っています。

具体的に行うのは、クォーターごとの計画を立てる際に、お困りごとやシステム課題を洗い出し、「その改善の第一歩をどうするか」を一緒に考えていくことが中心です。

「やってください」と完全に任せることはせず、またこちらが主導するのでもなく、“中長期的に良くしていきたいところ” を自分たちで意思決定してもらえるように、サポートをしていくスタンスをとっています。こういった取り組みを通して、グロース開発の中でシステム改善ができるメンバーを育てていきたいですね。

 

――現段階で見えている成果があれば教えてください。

石川:これまであまり関わりがなく、情報共有もほとんどしていなかったさまざまな組織との連携が生まれました。案件についてのやりとりも少しずつできるようになり、お困りごとの相談もしていただきやすくなったのかなという感触があります。

具体的な改善活動としての成果はまだ明確には挙がっていませんが、このグロース開発における改善プロジェクトは成果にコミットするのではなく、まずは「やろう」という気持ちを皆さんに持っていただくことをゴールとしています。そのためにアクションを起こすという観点では、着実に取り組めているのかなと思いますね。

 

――取り組んでみての手応えや感想としてはいかがですか?

1チームからdodaに関わる全開発者に改善の幅を広げる――今だからこそアーキテクトが面白いワケ。   

石川:開発者の方々とお話ししてみると、やはり皆さんモヤモヤして、困っていたんだろうなと感じます。入社時には違和感を覚えていたとしても、時を経て既存の環境に慣れてしまい、「仕方のないこと」「そういうものだ」と受け止めていたのでしょうし、困っていても「自分はこうしたい」と言える場がなかったんだろうなと。

今回こういった取り組みを始めて、その声をあげられる場を定義できたこと、違和感なく取り組みを進められていることは、まず第一歩としてよかったかなと思っています。

 

システムの状態に責任を持ち、客観的に意味のあることをやり続ける組織でありたい

 

――今後に向けて、課題だと捉えていることがあれば教えてください。

石川:インフラ領域において、例えば「AWSとオンプレ環境をつなぐ複雑なネットワーク構成を、安全で安定的な運用のためにどう改善するか」「クラウドアカウントに移行した先でどのようなルールに則って管理していくか」など、いくつかの取り組むべきテーマがあります。

ここに対して、インフラ領域を深く理解した上でプロフェッショナルに “あるべき” を語れていないことが、グループとしての課題だと思っています。

現在グループにはITコンサルタントとアプリケーションエンジニアのメンバーがいますが、どちらも強みをアプリケーション領域に持っており、インフラについては「一通りわかるものの、この領域に特化しているわけではない」状態にとどまります。

 

――その課題に対して、グループとしてどう取り組んでいくのですか?

石川:最終的に、プロジェクトマネジメントとアプリケーション、インフラの各領域に強みを持つ方がそれぞれ在籍し、みんなで物事を動かしていけるような状態を目指して、採用に取り組んでいきたいと思っています。

1チームからdodaに関わる全開発者に改善の幅を広げる――今だからこそアーキテクトが面白いワケ。   

 

――具体的に、どんな方を求めていますか?

石川:インフラの知見やスキルを持ち「本来どうあるべきか」を理解した上で、さらに「ビジネスインパクトやリスクをどう考えて、既存のシステムにどう落とし込むか」「既存システムに関わる方々とどう合意を形成するか」までサービスに責任をもって考えられる方が、仲間に加わってくだされば嬉しいなと思っています。

「決められた要件や設計通りに、決められたスケジュールでやり切る」のではなく、「“良くする” とは何か」から自分たちで考え、周囲の理解を得て、一から体制を立ち上げて……と、自分の裁量でシステムを変えていける環境で、他にはない経験をしていただけるのではないかなと思います。

 

――ありがとうございます。それでは最後に、dodaアーキテクトグループをどのような組織にしていきたいか、今後の展望を教えてください!

石川:長く続く慣習や会社としての事情などにとらわれず、「関わるサービスやプロダクトを最善の状態にもっていくことが自分たちの責任だ」という気持ちで、客観的に意味のあることをやり続ける組織でありたいと思っています。

またdodaアーキテクトグループのメンバーたちが、パーソルキャリア特有のスキルを身につけるだけでなく市場価値を高めていけるような機会を提供していければと思います。

1チームからdodaに関わる全開発者に改善活動の幅を広げる――今だからこそアーキテクトが面白いワケ。   

――ありがとうございました!

 

(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=古宮こうき)

プロダクト開発統括部 システムアーキテクト部 dodaアーキテクトグループ マネジャー 石川 篤

石川 篤 Atsushi Ishikawa

プロダクト開発統括部 システムアーキテクト部 dodaアーキテクトグループ マネジャー

2016年12月にパーソルキャリアに入社。前職は病院の社内SEとして病院独自のソフト開発や営業、導入支援に取り組む。現職では、システムアーキテクトとしてdodaのシステムリフォームを行っている。

 

※2023年9月現在の情報です。