doda Developer Group Advent Calendar 2024 21 日目の記事です。
はじめに
皆さんこんにちは、プロダクト開発統括部 doda システムアーキテクト部 doda アーキテクト第 1 グループの大竹です。
本日はこちらの絵についてお話しようと思います。
誰でも一度は画像を見たことがあるのではないでしょうか。オランダの画家レンブラントの代表作品です。
元は上の（）内の名前で呼ばれていましたが、絵の表面に使われていたニスが時間を経て黒く変色したことで、通称 "夜警"（英語だと The nightwatch）となったそうです。
元の姿
実はこの絵画、描かれた当時はもう少しサイズの大きい作品でした。
点線の外側は過去に切り取られてしまった部分です。描かれてから 73 年後の 1715 年、アムステルダムの市庁舎に作品を移動した際、壁に飾るのにサイズが合わないという理由で四方が切り取られました。
本来は左側に 2 人の人物がいて、また中央に位置する黒い服の人物と白い服の人物はもう少し右に寄って描かれていたことが分かります。
レンブラント本人が描いた欠損部分はいまだ発見されていませんが、AIによって復元しようというプロジェクトが 2021 年にアムステルダム国立美術館で実施されました。
復元の方法
描かれた当時、作品中央の黒い服の人物であるフランス・バニング・コック隊長は、レンブラントとは別の画家に《夜警》の模写を依頼していました。
現在ロンドン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されているその作品が、欠損部分に何が描かれていたかを知るヒントになったのです。
このルンデンスによる模写とレンブラントの《夜警》を比較し、構図と色、様式などを AI に学習させることで、ルンデンスの絵をレンブラントの画風により近くなるように変化させ、欠損部分の図像を再現しました。
この図像はパネルに印刷され、それぞれ《夜警》の四方に据えられた状態で数ヶ月間公開されました。
オリジナル（切り取られる前）の《夜警》はもう見ることができないので、この印刷された絵が忠実に再現されているかどうかは分かりませんが、「当時はこのサイズで、このような絵が描かれていたのだろう」という予想が AI の技術でできることは面白いなと思いました。
おわりに
今回は復元の話でしたが、画家の作品を複数分析し、AI に学習させることで、長年真贋判定が難しかった作品が贋作と判明した例も存在するようです ↓
AIが特定！ラファエロの名画『バラの聖母』の一部は別人による贋作だった | TRILL【トリル】 (trilltrill.jp)
AI とアートというと、アーティストによる作品の著作権侵害の問題や、AIによって作成された絵にどう価値をつけるかという話が注目されがちで、あまり良くないイメージもあるかもしれません。
しかし、今回のレンブラントの例のように、過去のアーティストの画風を学習させることで美術史の研究が進んだり、絵画鑑賞の新しい楽しみ方が増えたりすることもあります。 AIの適切な利用によってアート界がさらに盛り上がり、新たな可能性が広がることを期待しています。私自身も、業務でAIを使用する際には適切な扱いを心がけ、活用していきたいです！
参考
アムステルダム国立美術館公式サイト：Rijksmuseum, hét museum van Nederland
ロンドン・ナショナル・ギャラリー公式サイト：The National Gallery, London
産経新聞（2021/06/24）：レンブラントの傑作「夜警」、ＡＩで復活 - 産経ニュース (sankei.com)
美術手帖（2021/06/24）：レンブラントの《夜警》、300年ぶりに本来の姿に。AIで欠損部分を復元｜美術手帖 (bijutsutecho.com)
AFPBB News（2021/06/29）：動画：AIで復元、レンブラントの「夜警」 約300年ぶりオリジナル構図に 写真1枚 国際ニュース：AFPBB News
大竹 咲弥 Saya Otake
プロダクト開発統括部 doda システムアーキテクト部 doda アーキテクト第 1 グループ
2024年4月に新卒でパーソルキャリアへ入社。
※2024年12月現在の情報です。
