dodaのパフォーマンスやユーザビリティをさらに高める――システムアーキテクト部、新設のワケ

転職サービス「doda」の開発を担うプロダクト開発統括部は、サイト開発、アプリ開発、アーキテクトなどさまざまなグループで組成されていました。そこで2023年4月より、組織内を大きく2つに分け、「システムアーキテクト部」としてdodaの開発を支える組織が新設され、その部門責任者に地家が着任しました。

QAなど新しいグループも含めた今回の組成には、どのような想いをもって作られたのでしょうか。また部をけん引する地家はどのように仕事と向き合ってきたのでしょうか。

たっぷり話を聞きました――

 

 

成長し続けるためには“同じことをやり続けない”――

 

――まずは地家さんのこれまでのキャリアからお聞かせください。

地家:パーソルキャリアに新卒で入社して現在のBITA組織に配属され、未経験の状態からIT領域でのキャリアがスタートしました。

プロダクト開発統括部 システムアーキテクト部 ゼネラルマネジャー 地家 伶人

まずはアルバイト求人情報サービス「an」において、システムの運用保守やプロジェクトマネジメントを2年ほど経験した後、エンジニアに転身して「an」のスマホアプリのシステム開発を担当。

その後、同じく「an」アプリの開発や「doda」アプリのシステム刷新などにおけるプロジェクトマネジメントやスクラムマスターとしての経験を経て、「doda」アプリ・サイトの開発を行うエンジニア組織でマネジメントを担うようになりました。そして今回、4月に新設された「システムアーキテクト部」のゼネラルマネジャーに就任したという流れです。

 

――未経験で挑戦されたIT領域においてキャリアアップを実現されているのが印象的ですが、ご自身のキャリアを描くにあたって意識されてきたことはありますか?

地家:まずはやはり上司をはじめ周りの方に恵まれたことが大きいと思いますし、また “論理的に考えてものごとを整理し、行ったアプローチに対して明確な結果が出る” という仕事が、性に合っていたというのもあると思います。

その前提のもと、自分自身が特に意識していたことといえば、“同じことをやり続けないこと” でしょうか。

半年ごとに取り組みを振り返って自身の成長が鈍化してきたと感じたら、環境を変えるために自分からアプローチをしてきました。

エンジニアに転身したのも、3年目でプロジェクトマネジャーとして一定規模のプロジェクトを回せるようになった頃に「環境を変えて新しい経験を得たい」とマネジャーに発信したのがきっかけでしたから。その環境で得られることを意識して、自分から動くようにしてきたかなと振り返ります。

 

――新たな環境や学びを重視される地家さんが、新卒入社以来パーソルキャリアではたらき続けるワケとは?

地家:“人” がいいことが、まず一つ大きなポイントだと思います。

もちろん、それでも「自分が成長できる環境だ」と思えなければ離れる選択もあり得たと思いますが……自分の成長に合わせて役割が得られ、新しいことを学び取れますし、また会社自体も変わり続けています。5年前ではできなかったようなことが今ではできるようになってきているんです。そういった変化の面白みが感じられる環境が、同じことをやり続けたくない自分に合っているのかなと感じますね。

 

“縁の下の力持ち”として、システムの短期的な課題解決と中長期的な抜本改善に取り組む「システムアーキテクト部」

 

――今回新設された「システムアーキテクト部」の責任者に着任されたとのことですが、この組織改変の背景や新たな組織体制についてご説明いただけますか。

地家:以前のプロダクト開発統括部内には「プロダクト開発部」という大きな部が一つあるのみで、この部でサイト・アプリの開発からCRM、アーキテクチャ、フロントエンドまで扱っていました。これでは部としての管掌範囲がかなり広いため、役割に応じて二組織に分けることになりました。

一つが、ユーザーの方々への価値提供を主目的としてプロダクトの成長を追求する「グロース開発部」で、「doda」のアプリ・サイト開発と、CRMの役割を担います。例えば「サイトやアプリにおける、転職希望者様の登録数/応募数を増やす」ことなどをミッションとした施策を企画・実行することで、ビジネスに貢献していく組織です。

対して、もう一つの「システムアーキテクト部」は、「doda全体のシステム課題の解決や開発プロセスを高度化していく」ことを主なミッションとする組織です。既存システムのパフォーマンス改善など足元の課題に対して短期的な改善を行うとともに、システムとしての戦略を描き、中長期的な目で見た抜本改善にも取り組んでいくことが求められます。

ビジネスへの貢献が目指されるのはもちろんですが、ユーザーの目に見えやすい施策を打つグロース開発部と比べると間接的なアプローチをとるという意味で、“縁の下の力持ち” に近いイメージですね。

 

――システムアーキテクト部は、グロース開発部とどのように連携していくのでしょうか。

地家:グロース開発の取り組みにおいてシステムに起因する課題がボトルネックとなっている場合に、各チームと連携しながら改善方法を一緒に考えていきます。規模によっては、継続開発と並行して各チームで対応してもらうケースもあれば、プロジェクトとして切り出して協働するケースもあると想定しています。

 

――また今回システムアーキテクト部内に「QAグループ」が新設されましたが、これにはどのような背景があるのですか?

地家:「doda」のプロダクト領域において2020年頃からスクラム開発を取り入れてきた中で、特にサイトは規模がとても大きく、また追うKPIによってチームが分かれているため、全体感を把握するのが難しいことが課題でした。

「この機能を開発したらどの範囲まで影響が及ぶか」「この機能を作るにあたって、どのようなユーザーのパターンがあり、どこまでテストしなければいけないか」などは歴の長いメンバーに依存する形で品質を担保していたんです。

このままでは、案件ごとの個別最適になって全体での整合性もとれなくなってしまいますし、新しく入社して情報をキャッチアップするメンバーやレビューを行うリーダーの負担も大きくなってしまいます。

こうした課題をふまえて、今後さらに開発をスケールさせていく中でもチームが安心して機能開発を行えるように、生産性を主に追い求める役割とは別に “品質を守る役割” が必要だろうと、QAグループを設けることになりました。

“品質保証の専門家” として「プロダクトの品質とは何か」「テストを含めた開発のプロセスがどうあるべきか」を考えていく役割を期待し、現在採用を進めるのと並行して、すでにパートナー企業様のお力を借りながら取り組みもスタートさせています。

 

レガシーなシステム環境を、“自慢したくなるモダンな環境”へ。ワクワクしながら変化を起こしていける組織を目指す

 

――ゼネラルマネジャーとして新たな組織づくりを進められる中、地家さんが特に大切にされていることを教えてください。

地家:マネジメントになると、どうしてもメンバーとの距離は遠くなりやすいものですが、その中でもメンバーとの目線のずれをできる限り小さくするために、取り組みの背景や目的を言語化することを大切にしてきました。

特にQAのように新しく始める取り組みが、メンバーにとって “マネジメントが決めて勝手に始まったもの” になるのは望ましくないことですから。全員が「組織を強化していくために必要なことだ」と理解し、納得感を持って臨めるように時間をかけて言葉を尽くしてきましたし、これからもまだまだ伝え続けていかないといけないと思っています。

また一方的に伝えるのでなく、メンバー自身で時間をとって考えてもらう、一緒に考える、というスタンスを大切に、そのきっかけを作れるような問いかけをマネジメントとしてやっていきたいですね。

 

――システムアーキテクト部において価値発揮し続けていくために、メンバーに求められることはありますか?

地家:やはり部としての取り組みがトップダウンのものにならないように、パーソルキャリアのValueの一つでもある“自分ゴト化” を大切にしてほしいという思いがあります。

例えば、現状の「doda」のシステム環境が開発者にとって100点満点ではない中で、「ここを変えたい」という思いも当然開発を進めていると出てくるはずです。そのとき、どのように課題設定をするかが大切です。

「数ある課題の中からなぜそれを選び、そこを変えるためにはどのようなアプローチをどのような順番でとるべきなのか」「変えたことで結果として何が起き、どのような状態になるのか」……こういった点を、事業会社で開発を担うエンジニアとしてしっかりと考え、自分自身で言語化できるようになってもらうことを期待しています。

トップダウンでシステム改善をやっていては、偶然それが自分の持つ課題感と一致しない限り、楽しさを感じられないと思うんです。せっかくやるからには楽しくやってもらいたいですし、「自分たちがこの改善を行うことでシステムがこんなに良くなる」と夢を持ってワクワクしてほしいですから。

今の環境に囚われず「どのようなシステムであれば楽しく快適に働けて、人に自慢したくなるか」を考え、適切に課題設定をして取り組むことで、「“dodaのシステムはそういうもの” ではなく、変えていけるんだ」という成功体験を得ていっていただきたいです。

 

――ありがとうございます。それでは最後に、今後このシステムアーキテクト部をどのような組織にしていきたいか、描く組織像についてお聞かせください。

地家:ここまでお話ししてきた心がけとメンバーへの期待のまとめになりますが……「dodaのシステムはこういうものだから」を取り払って「世の中全体で見て、自慢のシステムだと思えるか」という物差しを持ち、自分たちで戦略を描いて課題提起しながらレガシーな環境をモダンに変えていける。そんな力を持ったメンバーの集まる組織になっていきたいと思っています。

そしてその中で、“システムをよりよくするための” はもちろん、「“一人ひとりがエンジニアやITコンサルタントとして学びや成長を得るための” やりたいこと」にも挑戦できるようなカルチャーを育んでいければと思います。

 

――ありがとうございました!

 

(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=古宮こうき)

地家 伶人 Reito Jike

プロダクト開発統括部 システムアーキテクト部 ゼネラルマネジャー

2014年にパーソルキャリア(旧インテリジェンス)に新卒入社。アルバイト求人情報サービス『an』でプロジェクトマネジャーを経験したのちエンジニアとしてanのスマホアプリ開発に従事。その後anアプリや業務システム、dodaアプリのスクラムマスターやプロダクトオーナーを務め、2023年4月からシステムアーキテクト部でdoda全体のシステム・プロセスの高度化を担当。

 

※2023年5月取材時点の情報です。