
こんにちは!ITアーキテクチャ統括部 品質推進部の武山です。普段は開発現場での品質向上や品質に関する取り組みの推進に携わっています。
品質を支える工夫や改善は、プロダクト開発に欠かせない一方で、日々の機能開発の陰に隠れて見えにくいことも少なくありません。そんな“普段は光が当たりにくい品質活動”にスポットライトを当てる場として、今回、社内オンラインイベント 「Quality Champions 〜隣のチームの隠れ品質ヒーロー〜」 を開催しました。
本記事では、品質推進部が主催した本イベントの様子をレポートします。
どのようなテーマで開催され、各登壇チームの現場ではどのような課題感や工夫が共有されたのかを登壇内容や参加者の反応、運営としての振り返りも交えながらお届けします。
開催概要
- イベント名:Quality Champions 〜隣のチームの隠れ品質ヒーロー〜
- 開催日時:2026年2月24日
- 開催形式:オンライン
- 参加者数:30名程度
- 主催チーム:品質推進部
開催の目的
日々のプロダクト開発では、新機能の追加やリリースの話題に注目が集まりがちです。
一方でバグを未然に防ぐ工夫やテストの仕組みを整える地道な改善、将来を見据えた品質向上の取り組みが現場を支えていることは言うまでもありません。しかし、そうした品質活動は成果が見えづらく、チームの外まで共有されにくいという側面があります。
そこで今回は、各チームで行われている品質改善の取り組みを 「隣のチームの隠れ品質ヒーロー」 として紹介し、チームを越えて学び合える場をつくることを目的にイベントを企画しました。

イベント冒頭では、今回の狙いとして次の3つが共有されました。
- ロールモデルの発見
「これなら自分にもできそう」と思える身近な実践を見つけてもらうこと - 称賛と感謝
見えづらい品質活動に対して、組織としてしっかり光を当てること - 改善の連鎖
他チームの工夫を知ることで、自チームでの次の改善アクションにつなげること
参加者アンケートでも、
「他チームの取り組みや品質改善の事例に興味があった」
「自身の業務や品質活動に活かせそうだと思った」
といった参加動機が多く、今回のイベントが単なる情報共有ではなく、“他チームの工夫を自分たちの現場に持ち帰るきっかけ” として期待されていたことがうかがえました。
当日の流れ・発表内容
当日は、品質をテーマにしながらも、探索的テスト、アジャイルCoE、AI活用、LLM評価、自動テスト改善など多様な切り口から5本の発表が行われました。
発表後には参加者からの質問やインタビューもあり、取り組みの背景や課題、今後の展望まで含めて共有されたことで単なる事例紹介にとどまらない時間となりました。
「探索的テストを導入してみた」酒井さん
探索的テストを試験的に導入し、通常のシナリオベーステストでは捉えにくい重大な不具合を発見した事例が共有されました。
発表では探索的テストの特徴やどのような観点で不具合を見つけていったのかに加え、チーム内へ浸透させていく際の難しさについても率直に語られました。また、生成AIを壁打ち相手として使いながら観点を広げていく工夫にも触れられ、今後の品質活動の広がりを感じる内容でした。
参加者コメント
- 「日頃の“違和感”を起点にしているのがリアルでおもしろい」
- 「自分でも試してみたいと思える内容だった」
- 「観点の伝え方や心理的ハードルの話、どこのチームでも共感できる」
「アジャイルCoEによる品質・生産性向上」川又さん
dodaサイト開発におけるアジャイルCoEの活動として、テスト観点マトリクスの見直しやテスト仕様書の再利用、QAスキル研修など、品質を支える基盤づくりの取り組みが紹介されました。
特に印象的だったのは、単に観点を増やすのではなく、曖昧な表現を減らし、誰が見ても同じ理解ができるように整備する という考え方です。
派手な改善ではなくても現場の迷いを減らし、品質を安定させるための土台として大きな意味を持つことが伝わる発表でした。
参加者コメント
- 「観点の曖昧さを減らす工夫はすぐ現場に持ち帰れそう」
- 「派手ではないけどこういう基盤が品質を支えていると感じた」
- 「他部署にも横展開してほしい内容」
「AIエージェントに“記憶”を持たせる仕組み」浦山さん
AIエージェント活用における課題として、“AIがすぐ文脈を忘れてしまう” 問題に向き合った取り組みが紹介されました。
Git worktree と DVC を活用し思考・実験履歴・コードを同期させることで、AIと人間が共通の文脈を持ちながら作業できる環境をつくるという内容です。特に、機械学習や分析の文脈では過去の試行錯誤をたどれることが重要であり、そのための再現性や履歴管理の考え方が共有されました。AIを便利に使うだけでなく、AIと一緒に仕事をするために人間側がどのように環境を整えるか という視点が印象的でした。
なお、本テーマについては、以下の記事でも詳しく紹介されています。
参加者コメント
- 「AIの“忘れる問題”は現場でもあるあるで共感した」
- 「実験履歴の管理はどのプロダクトにも刺さりそう」
- 「仕組みは複雑でも“快適さ”が伝わってくる発表だった」
「LLM出力の品質をどう評価するか」鈴木さん
求人票リライト機能に対し、LLM-as-a-Judge を用いた全量評価基盤を自前で構築した取り組みが紹介されました。
生成AIが起こしがちな情報の欠落や不要な補足といった傾向を可視化し、改善につなげている実践事例です。「出力して終わり」ではなく、生成結果を継続的に観測し、品質改善のループをつくるという考え方が印象的でした。
なお、本テーマについては、以下の記事でも詳しく紹介されています。
LLM出力をどう評価するか?LLM-as-a-Judgeを使った実運用の話 #PERSOL CAREER Advent Calendar2025 - techtekt
参加者コメント
- 「生成AIのクセを“見える化”できるのは非常に実践的」
- 「評価ループを仕組みとして組み込んだのが素晴らしい」
- 「他プロダクトでも応用できそうな知見」
「E2E自動テストの“Non-Passed”と向き合う」千代島さん
E2E自動テストのスキップやフェイルを“負債”として捉え、1件ずつ整理・改善していった取り組みが紹介されました。
スキップされたテストをそのままにせず向き合うことで、テスト理解の深化や実行時間短縮、副次的な改善テーマの発見にもつながったとのことです。一見すると地味な改善活動ですが、“誰でも使える自動テスト”に近づけるための土台づくり として非常に示唆のある内容でした。
参加者コメント
- 「地味だけど品質の信頼性に直結する取り組み」
- 「スキップを“見なかったことにしない”姿勢が印象的」
- 「改善に必要な知識を探しにいくプロセスがリアルだった」
参加者・登壇者の声
参加者アンケートでは、以下のような声が寄せられました。
- 「自分の担当領域以外の取り組みを知る貴重な機会だった」
- 「現場ならではのリアルな話が聞けて参考になった」
- 「自組織にも応用できそうなヒントがあった」
特に、きれいに整理された成果だけでなく、導入の背景や苦労、試行錯誤のプロセスまで語られていたことが学びにつながったというコメントが目立ちました。全体として、他チームの取り組みを知る場として有意義だったという受け止めが強く、実務に近いテーマ設定や現場感のある発表が満足感につながっていたようです。
一方、登壇者アンケートからは、発表が自分たちの活動を振り返り、整理する機会になった という声が寄せられました。これまでやってきたことを改めて言語化することで、次に進みたい方向が見えてきたというコメントもあり、アウトプットの場が聞き手だけでなく話し手にとっても価値のあるものになっていたことが分かります。
また、準備負担についても比較的参加しやすかったという声があり、こうした場が新しい発信のきっかけになっていることもうかがえました。
品質推進部の取り組み紹介

品質推進部としては最終的には特定の役割だけではなく、プロダクト開発に関わる全員が品質に責任と自信を持てる状態をつくりたいというメッセージで締めくくられました。今回のイベントも、そうした品質文化の醸成につながる取り組みの一つとして位置づけられるものだったと感じます。
運営メンバーの振り返り
運営として今回手応えを感じたのは、「他チームの取り組みを知る場としての価値」 がしっかり参加者に届いていたことです。
品質改善の取り組みはチーム内に閉じやすいテーマでもありますが、今回のイベントを通じて、横の学びを促す場としての意義を改めて感じました。
一方で、アンケートからは今後に向けた課題も見えてきました。
- もっと気軽に参加しやすい形式のほうがよいのではないか
- 「品質」というテーマが広いので、次回は少しテーマを絞ってもよいのではないか
- 発表後に、もう少し深掘りできる対話の時間があるとよさそう
コンテンツ自体の評価は高かった一方で、参加導線やテーマ設計、発表後の対話の場づくりには改善の余地がありそうなご意見をいただきました。
今後もこうした実践知がチームを越えて共有され、次の改善の連鎖につながっていくことを期待しています。

武山 翔平 Shohei Takeyama
ITアーキテクチャ統括部 品質推進部
組み込み系開発における品質保証からキャリアをスタートし、その後はQAエンジニアとしてWeb系開発の品質保証にも従事。2025年にパーソルキャリアへ入社。
※2026年3月現在の情報です。
