dodaの求人広告を利用する法人顧客のために――メディアBITA部の“現在地”

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2020年6月、パーソルキャリアのメディアBITA部にゼネラルマネジャーとして正金秀規が着任。フランスのベンチャー企業やスタートアップ、コンサルティングファームなど、数々の経験を重ねてきた正金がパーソルキャリアを選んだ理由、メディアBITA部のカルチャーや価値観などを紹介しながら、組織のリアルに迫ります。

これからも求め続けられる企業としてパーソルキャリアを選択

――まずは、正金さんがパーソルキャリアに転職するまでの経歴を教えてください。

正金:前職は、データ統合/データ完全性のためのクラウドアプリケーションのサービスを持つフランスのベンチャー企業に10年ほど関わりました。日本に支店を出すための調査を1年ほどして、実際に日本支社立ち上げに携わりました。紆余曲折がありましたが、IPOができ、会社もグローバルで成長しました。日本支社も最初は少人数でしたが今では30人を超えました。会社が成長するまで関わり、IT業界で自分が出来ることはもうやった、と感じました。

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企業経営、日本企業、外資系企業、コンサルティングファーム、証券会社など様々な業界を経験したので、「ITそのものがゴールとなるビジネスはもういいかな」と思いました。ITしかできませんが、IT業界ではなくて、ITのスキルを使うけれども、人間の生活に直接結びつくようなことが、ビジネスのゴールになる事業体で働きたいと考えました。

自分の幸せの一つは、仕事です。パーソルというグループ体は、人が働くことに介在する事業ですよね。調べていくうちに「面白いかもしれない」と思い始めました。また、様々な働き方その全てにパーソルグループを通して関われるということは、とても価値の高い会社だと思いました。

企業にとっての経営資源というのは「ヒト・モノ・カネ」ですよね。いわゆる事業資金の調達は銀行や証券に相談しますよね。その大事な経営資源のひとつであるヒトに関して相談する先は、この業界なんですよね。そう考えると、この業界は企業にとってとても大事です。しかしまだ未成熟な気がします。製造業や小売業のように、ベストプラクティスが固まっていません。まだ発展途上な、余力がある業界でありながら、人間の生活そのものに密着しています。そう考えてジョインしたいと思っていたら、縁がありオファーをいただいたので入社しました。

 

――入社して、これまでのデータマネジメントのスキルはどのようにして役立てられるとお考えでしょうか。

正金:人が持っているスキル、経験したことのデータなど、その人がどの組織体に属しているのかを連続して管理することが出来れば、その中から企業の情報との最適なマッチングが提案できるようになると思います。それを考えたときに、元となるデータを持っていなければ、机上の空論で終わります。いちばん重要なデータという資産、働いてきたという情報資産を持つことにより、非常に価値の高いサービスを社会に還元できると思います。

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 ――実際に入社してパーソルキャリアのデータ状況などを見たときに、どのように感じましたか。

 正金:正直、あまり綺麗にまとまっていない印象を受けましたね。不変性も足りないと感じました。当社で管理するデータは、金融の世界だと保険のデータに近いです。生命保険などは契約者1人のデータを何十年と持ち続けます。保険の証券は不変のIDになっていて、そこに変更の異動履歴をつけていき、それが何十年と継続して管理されるので、履歴をずっと辿ることができます。これを逆転させるだけで全く見え方が違ってきますが、それをするにはお金も労力も必要です。この状況を見た時には“やってやるぞ!”、という気持ちになりましたが、現在、担当しているのはメディアBITAなので、いずれ自分が役に立てることがあればやりたいとは思いますね。

情報の流通に頼るのではなく、人間力を介在させる

――実は、このtechtektではこれまでメディアBITA部を取り上げる機会がなかなかなかったので、改めてメディアBITA部がどんなことを行っている部署なのか教えてください!

 正金:メディアBITA部は、転職メディア事業の業務部門を支えるIT周りの戦略やシステム保守などを担当しています。転職メディア事業というのは、求人広告事業なので、お客様は「ヒト」を採用したいと考えている企業です。dodaのサイトに掲載している、または検討している企業を担当する法人営業が僕たちのカウンターパートになります。dodaサイト自体は事業戦略本部のプロダクトやマーケティングのチームが見ていますが、私たちメディアBITAはあくまで転職メディア事業に所属する法人営業を支える基幹システムやIT整備の担当ですね。

 

――具体的に担っている役割や、正金さんが与えられているミッションについて、教えてください。

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正金:メディアBITA部のチームをマネジメントするということが一番のミッションです。法人営業が求人広告を受注してきたら、それをシステムに入稿し、法人顧客に原稿を確認してもらう流れがあります。それらの業務基盤となるシステムを管理・監督・運用を担当します。また当社の代わりにdodaを販売してくれるパートナー企業様に、契約上公開しても良い求人と、そうでない求人があります。その出し分けをシステム上で行っているのがメディアBITA部です。掲載されてからの売上管理システムの管理、監督、運用もメディアBITA部が行っています。

 

――その仕組みについてどう思いますか。

正金:ワクワクしましたね。初期設計が10年以上前のものですが、設計後10年以上もっているということは、やはりきちんとした初期設計があるのだと思います。しかし今のやり方から考えると、ベストだとは思えません。

10年前の設計思想が今となっては足を引っ張っていることも多いと思います。それは何かというと、事業側から要件追加、要件変更、改修などの案件が日々まわってきますが、僕から見ると、それの実現、実装に時間がかかりすぎます。時間をかけてしまうことに対して、誰からも文句を言われないというのは、「そういうものだ」と皆さんが思ってしまっているからだと思いますが、僕からしたらそれはどうなのかと思います。

 

――それはクイックに変えたいと思っても、レガシーなシステムだから、なかなか難しいということですかね…?

正金:そういう側面はあるかと思います。ですが、JOINしてから最初の1、2ヵ月で気がついたことの1つに、この会社は全体的に人間力を捨てていないという点で、これはとても良いところだと思いました。

当社は情報産業に属しているとも言えますが、やはり人材サービス業です。そう考えると、すべてを情報の流通に頼りがちですが、当社はその中で人間力の介在というものを捨てていません。人力で何とかする文化というのではなく、最後に人を動かすのは、あくまで人であるということ、人間力の発揮が大きな力になることを信じているということは、素晴らしいと思っています。

 

――それはどんなときに感じたのでしょうか。

正金:社内の資料を見ていて感じました。法人営業の仕事紹介欄を読んでいて「こんなことをやってくれるのか」と感動しました。前職で採用に関わっていましたが、応募者集めにとても苦労していて、採用に関して素人なのでどうしても人を集める方法が2、3つしか頭に浮かびませんでした。その経験があったので、「RCはこんなことをしてくれる」を読んでいて感動がありましたね。

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と、いうようにシステムでカバーできないところは、人が入って相手にわかりやすく・丁寧な対応をする会社だと思いました。もちろんシステムで情報を流通させることは重要ですし、システムの変革を今後自分が担っていかないといけないと思っていますが、この人間力はパーソルキャリアの文化として大事だな、と感じましたね。

 

――みなさんが目に触れるものに、共通するバリューなどが見えたのでしょうか。

正金:前職がフランス発のオープンソースをベースとした会社でした。オープンソースの世界で非常に重要な概念のひとつに「コントリビューション」、いわゆる貢献があります。コントリビューションというのは見返りを相手に求めません。今回、パーソルキャリアにジョインして、同じような空気を感じています。

いわゆる役割外業務を積極的にやる人が多い組織は強い組織です。それはオープンソースの世界でいうところの、経済的にも名声としても対価を求めないコントリビューションの概念に近いです。他社に負けないと感じたことに人間力の介在を挙げましたが、もうひとつはこのコントリビューションですね。

 

転職メディア事業部全体のITを俯瞰、最適な構造に見直す

――メディアBITA部には、どのようなオーダーが寄せられるのですか。

正金:コロナ禍の影響により、少しトーンダウンしていて、どうしても既存のものに対する改修などのPDCAが多いです。また、法制度の変更に対応するような依頼もあります。さらに生産性の向上、事業側でいろいろとフィジビリティや計測をしてみて、効率化がはかれるからIT化しようといったような話もあって、要するに法人営業のミッションである提案・受注に付随するシステムまわりで改修するというオーダーが多いですね。現在は、メディアBITA部はマネジメントクラスをのぞいて6人で対応しています。若干、人数は足りませんね。協力会社さんも非常によくやってくれるので、実際に助かっています。

 

――そういったオーダーに沿ってシステムを迅速に変えたいとなったときは、簡単にできるものですか。

正金:すぐに対応できるかどうかは内容によりますね。簡単に変えられるタイプのものだとしても、時間がかかりすぎだと感じています。もっと俯瞰して物事を見ると、さまざまなところで無駄な労力をビジネス側にかけていると感じました。それはみんなが、気がついているけれども、そこに手を入れるとなると大手術になるので躊躇しているという感じですね。

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私のミッションはメディアBITA部のマネジメントだと言いましたが、もう一つ役割は転職メディア事業部全体のITを俯瞰し、最適なアーキテクチャを考えることだと思います。実現しきるには何年もかかりますが、方向性を私が考えたいと思います。

 

――わずか6人で主力事業を支えているメンバーが、踏ん張れているポイントはどこにあるのでしょう。

正金:当社の良い文化に支えられているところがあると思います。良くなることであれば、皆さんが「いいじゃないか」と言ってくれて、あまりネガティブなことを言われません。

 事業側とIT側で優先順位など全く違う人たちと会話をしなければならないため、要求されるスキルは非常に高いです。外部の協力会社、ベンダーさんなどとも会話をしなければなりません。求人広告や人材紹介などのビジネスモデルの理解や、ツールやテクノロジーの理解、システムの理解など、様々なスキルが身に付きますが、広く浅く見渡して、それを自分で線や面に繋いでいく能力が必要です。本を読んで勉強できることも当然ありますが、話を聞き実際に見ながら、線として繋いでいかなければなりません。それはおそらく、自分の経験から導く必要があります。

その経験を頼りにしてくれる環境があるからこそ、メンバーそれぞれが頑張れているような気がします。

 

――正金さんの発言にはポジティブな視点が多いような気がしていますが。

 正金:そうですかね(笑)。確かに、基本、ポジティブな捉え方をしますね。そういった意味では、よく「パーソルキャリアのITが複雑」と言われますが、僕は一概にそうは思っていません。初期設計をした時代においては先端のものだったと思います。そこから時代が経っているので、今となっては足を引っ張ることが多くなっているだけの話で、これはおかしなことではありません。なので今は少しずつアーキテクチャを変えていこうと考えているだけです。必ずしも、みんながイノベーターになる必要はありません。それに対して僕はあまり否定的ではなく、これからどうするかを考えているという感じです。

 

――前向きに、どう変えていくかを考えているんですね。入社者の声の中には一部、レガシーなシステムや、煩雑なコミュニケーションツールにも戸惑う人は多いです…。正金さん自身はそういったことで困りませんでしたか?

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正金:育った文化の違いかもしれませんね。外資系企業などでは、コンテンツが用意されていたら、それを読んでいない方が悪いとされます。コンテンツに書いてあることを質問しても、「そこに書いてある」と答えられて終わりです。いわゆる社内規定などは読んでいることが当たり前で、それを前提として仕事をしているので、読んで理解していなければ参加する意味もありません。特別に意識をしたわけではありませんが、入社後に社内資料を読んで理解を深めたのは無意識にそうしていたのかもしれませんね。

前に勤めていた日系の監査法人は、不文律が多くありました。どこにも書いていないので、新しくジョインした人間には分かるはずがありません。しかし、当社にはそれがないので、素晴らしいと思いました。だから文句を言えないですね。

 

――今の時点で見えている目標などを教えてください。

正金:事業の求めるスピードに、ITが応えられる環境にしたいと思います。そのためには今のアーキテクチャや手順、使っている道具など見直す必要があると思います。法人営業の人たちが最も力を割くべきなのはお客様と向き合う時間だと思います。これを確保させるために、その前後で会社の業務や仕組み上やらなければならないことをいかに効率化できるか、それにより向き合うための時間をどれだけ用意させてあげられるか。それに結びつけたいと考えています。

先ほど他社に負けないと言ったのは、転職メディア事業部でいうと法人営業のリクルーティングコンサルタント(RC)の存在だと思っています。彼らの生産性を向上させるということが、最初に僕が考えたプランです。本当に今100%の力を発揮できているかというと、そうではありません。それはITが足を引っ張っているところがあると気づきました。よりリアルタイムな業務ができるようにするためには、アーキテクチャの見直しが必要となります。

RCと伴走するというのが一番バリューですよね。単にメディアに掲載をした時点でビジネスとしては終わってしまいますが、そこから母集団形成まで伴走はしなければなりません。そこから採用に行きつくまでは、次のバリューに繋げるためには時間をかけてもいいのではと思います。このバリューの繋がりを考えたときに、ITが阻害していてはいけません。ITは促進するための基盤であるべきです。今は少し追いついていないのかなと思います。逆に言えば、人が介在するビジネスモデルを支えるITが完成すれば、他社に負けないのではと思います。

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――メディアBITA部の進化がとっても楽しみになってきました!ステキなお話をありがとうございました!

(取材・文=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/撮影=古宮こうき)

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正金 秀規 Hideki Masagane

BITA統括部 メディアBITA部 ゼネラルマネジャー

1990年代にAI・自然言語の研究開発からIT業界へ入り、多数の外資系ITベンダーや監査法人系ファーム、フランスのベンチャー企業の日本法人立ち上げ等を経験。金融機関向けITとデータ中心ソリューションを自身の専門分野とし、ソリューションアーキテクト、プロジェクトマネージャー、マーケティング、コンサルタント等の様々な立場と役割を担う。働くことを選択できる社会の実現へ繋がる仕事がしたい考え、2020年5月にパーソルキャリアに入社

※2020年10月現在の情報です。