基幹系システムエンジニア×doda開発エンジニア対談――交流を通じてみえてきた課題と学び

基幹系システムエンジニア×doda開発エンジニア対談――交流を通じてみえてきた課題と学び

転職サービス「doda」は、エージェントサービスやスカウトサービス、求人広告など幅広いサービスを提供しています。これらが安定的に稼働し、且つ転職希望者様が自分に合ったサービスを見つけやすい状態をつくるために、パーソルキャリアのエンジニアリング組織は、さまざまな組織に分かれて仕事をしています。

キャリアアドバイザーなどが使う社内の基幹システムを担うエンタープライズ開発部と、dodaにおけるすべてのサービスの入り口である「dodaサイト」の開発エンジニア。今回とあるプロジェクトをきっかけに、この2つの組織から選出されたエンジニアで合同チームが組成され、互いの領域への理解を深める機会が生まれたといいます。

交流を経て見つかったお互いの違いや共通項、そして得られた学びとは――。

 

※撮影時のみマスクを外しています。

 

“お互いのことを知らない”課題感から、連携がスタート

 

――まずは、それぞれの部署の概要を役割や技術スタックの観点から教えてください。

エンジニアリング統括部 エンタープライズ開発部 エージェントシステム開発グループ リードエンジニア 宮澤 武志

エンジニアリング統括部 エンタープライズ開発部 エージェントシステム開発グループ リードエンジニア 宮澤 武志

 

宮澤:エージェントサービスでは、転職希望者様にご登録いただいた情報や法人企業様からお預かりした求人情報を社内システムで管理し、キャリアアドバイザーやリクルーティングアドバイザーが転職活動や採用活動のご状況を把握したりマッチングを行ったりしています。
この社内システムを作っているのが、私たちエンタープライズ開発部です。技術としては、バックはC#、フロントはAngularで作っており、一番後ろにはOracleのデータベースが控えているという作りになっています。

プロダクト開発統括部 エンジニアリング部 dodaエンジニアリンググループ リードエンジニア 中澤 勝

プロダクト開発統括部 エンジニアリング部 dodaエンジニアリンググループ リードエンジニア 中澤 勝

中澤:P&M開発部は「doda」サイトの開発を担う組織です。エンタープライズ開発部が手がける社内基幹システムとのつながりという観点では、転職希望者様が利用するマイページなどを担当し、転職希望者様がキャリアアドバイザーとやりとりをして、内定までをご支援させていただく“場”となるサイトを作っていると言えます。

基本的にはJavaをメインの技術としており、Spring Frameworkを使っています。

 

 

――両組織間では、これまでどのような連携を行ってこられたのでしょうか。

中澤:プロジェクト単位で協働することはありますが、基本的にはプロジェクトを主導する部署が予算をとって外部のベンダーさんに依頼をして……と進めていたため、密な連携はありませんでした。

 

宮澤:互いにそれぞれの事業のKPIを追っているという側面もありますし、エンタープライズ開発部に内製で連携していけるだけのリソースが揃っていなかったということもありますね。

 

――そのような中で、今回連携が生まれた背景にはどのような課題感があったのですか?

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宮澤:エンタープライズ開発部の課題としては、最近ジョインしてくださった新しいメンバーが多いため「P&M開発部ってそもそもどんなところ?」「どんな人がいるの?」という部分がわかっていなかったことが挙げられます。まずは社内のエンジニアどうしで、横のつながりを作りたいなという思いがありました。

 

中澤:私も個人的に、これまでのプロジェクト体制において、お互いを知らないことによる課題が生まれていると感じていました。

お作法の相違から、エンジニア視点では「一部だけ品質やソースのコードが違う」、企画視点では「それぞれの施策の意図でサイトが構築され、ユーザー体験が統一されていない」といったことも起きています。

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こうした状況を改善するためにも、エンタープライズ開発部は私たちにとって “一番身近で知らなければいけない相手” だと思っていました。エンジニアの横連携を強化するために以前実施された “エンジニア循環施策” でも、エンタープライズ開発部に2週間の体験移籍をしていたんです。

 

――体験移籍の経験がベースになり、今回のチーム組成につながったと。

中澤:そうですね。体験移籍をしていたことで、お互いに人となりを理解できていましたし、相手が使う技術でできること・できないことなどもある程度把握できていたため、大きな労力をかけることなく取り組みをスタートできたと思います。

 

宮澤:私たちとしても、体験移籍期間に「P&M開発部はどのような動き方をしているのか」「何を重要視しているのか」など前提となる考え方をお聞きできていたのは大きかったと思います。目指す方向はそれぞれ違っていても、何を軸にしているのかはわかっていたという点で、ありがたかったですね。

 

交流を通じて見えてきた、両組織の違いとは

 

――今回の交流を通じて得られた、気づきや学びなどはありますか?

宮澤:さまざまな相違点が見つかり、メンバーにとっても刺激になったと思います。特に、P&M開発部では企画と開発の距離が近く、うまく動いている印象を持ちました。エンタープライズ開発部では現状間に一部署を挟む形になっていますが、直接のやりとりができると良いなと感じます。

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またKPIを長期で定められている点は、「何のためにこの仕事をするのか?」という自分たちの存在意義が常に示されるという意味で、メンバーの気持ちをうまく掴んでいらっしゃるなと。私たちは基本的に各プロジェクトに対するKPIになっていますが、徐々に全体の絵を描けるように変わっていく必要があるなと改めて思いました。

 

中澤:エンタープライズ開発部は、業務にまつわる知識やノウハウが豊富で、「業務でこういったイレギュラーがあるから」などと業務のことをたくさん考えられているんです。そういった知見を共有できるのは、私たちのチームにとっても大きなことだったと思いますね。

他に、気づきとして一番大きかったのは開発フローの違いでしょうか。

 

――開発フローの違いについて、詳しくお聞かせください。

宮澤:特に企画の考え方・進め方の違いですね。社内システムを扱うエンタープライズ開発部では、ユーザーがある程度限定されていることもあり、企画段階で効果を予測して、ある程度の確証を持って動き出すのがスタンダードになっています。

 

中澤:やはりエージェントサービスでは、システムを使うキャリアアドバイザーさんたちを混乱させないよう、非常に細かなところまで気遣って資料や設計を固めながら進めていくことが求められるのでしょう。

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一方P&M開発部では、この2,3年でデータ系のメンバーがたくさんジョインしてくださったこともあり、やり方が大きく変わって。「データをもとに仮説を立て、まずはやってみて検証する」という流れが身についてきているんです。

例え大きなプロジェクトであっても、“すぐに作れる” ところ、“いずれ作ることになる” ところを切り出して動き出し、開発のライフサイクルを短くしていく意識が根付いているという点で、大きな違いを感じました。

 

――そのような違いが見えてきた中で、現在は連携をどのように進められているのですか?

中澤:このまま進めていこうとすると連携が難しいため、システム化するにあたって「絶対にここまでは作る必要がある」と言える根本の仕組みからまずは切り出し、実装・検証を行っていこうと思っています。現在は、予算の確保に向けて取り組みを進めています。

内製エンジニアが少なかった頃は、企画側でしっかりと内容を詰めてからベンダーさんに発注して、と進めるのが正解になっていましたが……せっかく優秀なエンジニアがたくさんジョインしてくれて体制ができてきたので。その強みを活かすためにも、企画・開発で相談しながら内製で進めていく形に、やり方を変えていけると良いのかなとは思っています。

 

お互いを深く理解した上で共通のKPIを追い、サービスの体験の最大化を目指す

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――両部署のお役割・立ち位置や事業の性質の違いなどをふまえ、今後の連携のあるべき姿をどのように考えていらっしゃいますか?

宮澤:おそらく、進め方など細かなところまで全てを決めてしまうと推進しづらくなるため、短期的であっても同じKPIを決めて追っていくのが良いのかなと思っています。それぞれが持つ異なるデータを融合して新しい目標を立てる、となるとまた難しさはありますが、お互いに対話をしながら一緒に絵を描けると強いのではないでしょうか。

 

中澤:そうですね。理想的なやり方だと思います。お互いのデータの流れなども理解した上で、データレイヤーを上手く整理していくことにもこだわりながら、そして「dodaでこうしたら、基幹システムにこんな影響が出るよね」と地続きで話しながら、描いていけると良いなと思います。

 

――組織の枠や役割を超えた交流を続けていく、その先で目指す世界観についてもお聞かせください。

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中澤:今回の例にとどまらず、各サービスとの間で合同チームを作って連携し、共通のKPIを正しく追っていきたいですよね。“あるサービスだけ声が大きい” ような状態ではなく、それぞれのサービスの体験が最大化された状態を目指したいですね。

そうすることで、「doda」のさまざまなサービスの中から転職希望者様がご自身に最も合ったサービスを見つけ、新たな “はたらく” と出会ってご活躍いただけるような世界を作っていけたらと思います。

 

――ありがとうございます。それでは最後に、お二人が今後チャレンジしたいことを教えてください。

宮澤:体験移籍や合同チームの取り組みを通じて、中澤さんから教えていただいたこともたくさんありますが、まだ実際にP&M開発部の中を見られたわけではありません。

実際に見てみることで、相手のプラスな面もマイナスな面も深く知れると思いますし、反対に自分たちの良いところも見えやすいと思うので、今度は私が行って中を見てきたいなと。そしてその上で、お互いをより理解してフォローし合えたら良いなと思います。

中澤:キャリアの観点で考えると、「doda」で一つのKPIを追うだけでなく他のソースや業務フローにも触れていくことは、パーソルキャリアのエンジニアにとって大切なポイントになるはずです。

社内基幹システムのプログラム修正なども含め、“サービスやシステムをより良くするために” はもちろんのこと、“エンジニアとしてのキャリアプランの幅を広げる” という意味でも、互いに越境し踏み込んで連携できるチーム体制を作っていきたいと思います。

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――ありがとうございました!

 

(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=古宮こうき)

 

エンジニアリング統括部 エンタープライズ開発部 エージェントシステム開発グループ リードエンジニア 宮澤 武志

宮澤 武志 Takeshi Miyazawa

エンジニアリング統括部 エンタープライズ開発部 エージェントシステム開発グループ リードエンジニア

2020年中途入社。新卒で総合家電メーカーに入社。調剤薬局向けのパッケージソフト開発に従事。事業会社としてソフトウェア開発を外に発注するのではなく、自分たちで開発を行うスタイルに共感し、パーソルキャリアへ転職。使う人がちょっと幸せになれるシステムを目指し、開発チームをまとめながらアプリケーションの設計、実装を担当する。

プロダクト開発統括部 エンジニアリング部 dodaエンジニアリンググループ リードエンジニア 中澤 勝

中澤 勝 Masaru Nakazawa

プロダクト開発統括部 エンジニアリング部 dodaエンジニアリンググループ リードエンジニア

前職は独立系SIer。携帯キャリアの業務システム開発など幅広い業務システムに携わる。2018年6月にパーソルキャリアに入社し、EFOなどdodaサイト開発に携わる。

※2022年8月現在の情報です。