
はじめに
こんにちは。パーソルキャリアが提供する『doda』の法人向けプロダクトのプロダクトマネジャー(PdM)を務めている金野(かねの)です。
最近は、小学生の我が子と、とある漫画をどちらが先に読破するか競争しています。今のところ我が子が圧勝中ですが、私のプロジェクトマネジメント能力を練り上げて、最終巻あたりで追い抜く計画を立てています。
アドベントカレンダー6日目は、「PdMの1on1」について。テーマはタイトルのとおり、「ナラティブ(物語)で景色をそろえる」。これはPdMの本業である「プロダクトの文脈合わせ」とほぼ同じ構造だと思っています。
1on1でやりたいことは「景色合わせ」
私が所属するPdM組織は現在12名で構成されており、自分はサブマネジャーとしてジュニア〜ミドル層のメンバーを中心にマネジメントをしています。
定期的に1on1をするメンバーには、最初に必ず「1on1でやりたいこと」をすり合わせています。
1on1は「景色合わせ」の場。KPI(重要業績評価指標)、個人目標(MBO)、日々のタスク、キャリア、人生の幸福まで、話題のスコープは広めです。
PdMがステークホルダーと景色合わせするのと同じで、メンバーの思いや漠然とした不安を知り、互いの景色をそろえることで、チームの連動性が高まります。
つまり、1on1はメンバー本人のための時間であり、正解をもらう場でも、承認を取りに来る場でもないと伝えるようにしています。(伝えてなかったらごめんなさい)
※ちなみに先月の1on1件数を数えてみたら34件!気づかないうちにけっこうやってますね
沈黙を「待つ」1on1の効用
聞き手に回りはじめた頃、沈黙があるとすぐに話を埋めてしまうタイプでした。たった数秒の無言で、「やばい、気まずい!」とつい口を挟んでしまう。
でも、ある日あえて沈黙を受け入れてみたんです。
あるメンバーとの1on1で、「自身のアウトプットがプロダクトオーナーの求める品質とズレていて、想定以上にやり取りの往復が発生してしまう」という相談を受けたときのこと。
私はすぐに原因分析に入るのをやめて、「それって、他のプロジェクトでも同じことが起きそうですか?」とだけ聞いて、あえて沈黙を作りました。10秒、20秒、30秒……。
相手がじっと考えて、ようやく口を開いたんです。
「……あ、もしかすると、ゴールや目的のすり合わせが十分でなかったことが原因かもしれません。」
その瞬間、心の中で思いました。なるほど、沈黙が正しい答えだったのかと!
いまは、1on1を「答えを提示する時間」ではなく「考えを熟成させる時間」と捉えています。こちらが話すより、相手自身が気づくほうが、ずっと強い。
構造化の前に「物語」を聞く
PdMはつい、構造化モードに入りがちです。演繹!帰納!MECE!といったフレームワークを使いたくなるもの(もちろんそれはそれで大事)。
たとえば「最近チームの雰囲気が悪くて……」という相談を構造だけで捉えると、
- 課題は本当にチームの雰囲気?
- 原因はコミュニケーション不足?
- 施策は1on1を増やすこと?
- ステークホルダーは誰?
と、正しさだけを拾いにいく世界に突入しがちです。すると、本人の見ている景色がまったく見えない。
そこで私はまず、こう聞くようにしています。
- 何が起きているように見える?
- どの瞬間に違和感を覚えた?
- 一番困っているのは誰?
こうした問いは、当事者のナラティブを立ち上げる問いです。
PdMにとって、ナラティブを扱うことは、構造化と同じくらい大事。むしろナラティブがそろっていないと構造化もズレがち。
たとえば「KPIは悪くないのに満足度が低い」という状況も、構造だけで捉えると新機能の利用率、調査サンプルの偏り……とロジカルな仮説が浮かびますが、ユーザーインタビューで何気なく出た一言から本質が見えることがあります。
ロジックより、物語がヒントをくれる瞬間は意外と多いと考えます。
ナラティブから文脈を一緒に組み立てる
同じ課題でも、背景・関係性・チームの状況が違えば意味が変わります。だからトピックの最初に、
- どんな経緯で出てきた話?
- どの瞬間に違和感を持った?
など、つい見逃しちゃうような小さな兆しを丁寧に聞きます。
PdMの仕事は「問題」の前に「文脈」を扱うこと。文脈とは、当事者が何を見て、何を感じ、どこでつまずいたかという一連の物語のことであり、これが物事の前提や制約条件になります。
1on1は、そのプロセスを一緒にたどるための小さな対話の場です。このことに気づいて、すごい早さで成長した人も何人もいました。
おわりに
1on1をしていると、相手の思考を整理しているつもりが、実は自分の景色も整っていた、ということがよくあります。PdMの仕事が「プロダクトの文脈合わせ」なら、1on1は「人の文脈合わせ」。やっていることは思いのほか似ています。
PdMの仕事は、正しい答えを急いで出すことではなく、良い問いと適度な沈黙で「物語を合わせる」こと。
今日も、いい感じの沈黙を楽しみに1on1に向かいます。

金野 純平 Jumpei Kaneno
クライアントプロダクト本部 プロダクトマネジメント統括 PdM3部 サブマネジャー
Webディレクターとしてキャリアをスタート。Eコマース、BtoC メディアの企画・ディレクション・運用を経験。2024年よりパーソルキャリアにて「dodaダイレクト」などマッチングドメイン領域におけるPdM組織のサブマネジャーを務める。
