ツギハギだからこそ面白い 自分らしい”パッチワーク型キャリア”という考え方 #Developer&Designer Advent Calendar 2024

Developer&Designer Advent Calendar 2024

はじめに

こんにちは。パーソルキャリアでサービスデザイナーをしている西尾ひとみです。

複業では、国家資格のキャリアコンサルタントの顔を持っていたりもします。

いつもはテック記事が中心ですが、今回は、エンジニア経験ありのデザイン領域の人として、少し目線を外しつつ、今年気になったテーマに触れたいと思います。

はたらく全ての人へ、閑話休題、番外編記事としてお楽しみください。

 

想定する読者

  • 最近仕事にモヤモヤしている方
  • 家庭と仕事の両立に頑張っている方
  • いろんなテーマでtechtektを楽しみたい方

期待に応えられないかもしれない読者(ごめんなさい!)

  • テック情報が見たい方
  • 前後の記事の流れで期待感をお持ちの方

さぁ、ここから本編です!

心に残る今年のテーマ

私自身、仕事もして、母もして・・・そういう生活を絶え間なくしていると、「キャリア/仕事」とか「ライフ/プライペート」とか、そういう枠組みが霞んで見えたりするこのごろ。

一方で、対価関係なく、誰かのために心や知力や体力、その時に自分にできる活動をすることは、どれも「はたらく」ことなんだなぁと自分としては確信に近い感覚を持っていたりもします。

ちょっと変わっているかもしれませんが、要は、人と関わって生きることは、大体ほとんどが、はたらくに通じるなぁと、そういう感覚で日常を過ごしています。

 

今回は、様々な葛藤や喜びとともに人生を迂回してきた私が、今年改めて共感したテーマを「パッチワーク型キャリア(※)」という造語で表現し、2つほど具体を交えてご紹介してみようと思います。

パッチワーク型キャリア:全てが自分の人生の糧になるという意味合いの造語です。

 

その1:ポートフォリオ型キャリア

一つ目は、「ポートフォリオ型キャリア」という言葉について。

このポートフォリオという言葉、特に、クリエイティブ関連の方は、作品・実績集として自分のポートフォリオを持っていることが多いのではないでしょうか。

ポートフォリオという言葉、語源をたどると、イタリア語のPortafoglio(ポルタフォリオ)、お財布のことなんだそう。(補足:Portaは「運ぶ」「支える」「保つ」の意味の接頭語で、Foglioは「紙」「紙幣」)

このポートフォリオという言葉、業界によってもちょっとづつ意味合いが違っているようです。

例えば、

  • 金融業界では、資産の組み合わせのこと
  • 教育業界では、学びのプロセスを記録したものやそれらを評価する方法のこと
  • クリエイティブ業界では、作品集のこと(最近は意図を含めて解説された物が多い印象)

こうして見ていくと、どうやら、ポートフォリオという言葉は、最終的に今見えている結果だけでなく、そこに何が内在しているのかに着目し、プロセスや背景にも価値を見出そうとする側面がありそうです。

 

私自身は、キャリアという言葉は、人生の全部を意味するものだと捉えているのですが、このキャリアという文脈においても「ポートフォリオ」という言葉を今年は多く見聞きしたように思います。

  • 例えば、ある講座の中で、神奈川大学の荻野佳代子教授は、「ポートフォリオ型キャリア」とは、複数の顔を持って生きることなんだとおっしゃっていたことが心に残りました。
  • 例えば、今年発刊のポートフォリオ型キャリアの作り方 「複業力」で変わる働き方、そしてお金と自由』という書籍も出ています。こちらは、著者の染谷さんがご自身の複合的なキャリア経験や、新しい働き方を実践する著名人のインタビューを紹介してくれており、さっきamazonで見たところ、口コミ評価4.4でした。なかなかの高評価。

 

その2:パッチワーク的なキャリア「統合的生涯設計理論」

もう一つ紹介したいのが、キャリアをパッチワークに見立てるという考え方です。

アメリカのキャリア理論家L・サニー・ハンセンは統合的生涯設計理論の中で、人生のいろいろな経験は全て自分の糧であるとして、キャリアをパッチワークに喩えました。個人的にはこの表現がとても気に入っています。

人生には、4Lという役割(家族、学び、仕事、仕事以外の余暇活動)があり、それぞれのバランスで組み合わされることで、自身にとって意味のある人生を織りなすと言ってくれています。ハンセンのイメージを借りると、傷だらけの挫折すらも今の自分を作る美しい人生の一部なんですね・・・。

私の故郷に、刺し子という技術があります。それが私にとっては和製のパッチワークのようで、端切れすらも大切にして、手仕事の美しい刺繍によって強く味わい深く補強された一枚の布に昇華する。そのイメージも相まって、この理論に愛着と物語をくれる気がします。

 

こう考えると、これまでの挫折や経験、葛藤、全部含めて、遠回り含めた「今の自分」でいい気がしてきます。そして、まだ何でもできる!という不思議な気持ちになります。サービスデザイナーという一言では説明しづらいこの職種に至るまでの全てがツギハギのようだったけれど、結果、積み重ねになっている。しかも、私は結果である現状をとても楽しんでいるという・・・。

 

「パッチワーク型キャリア」で”らしさを創る”

ここまで、2つの例を紹介しましたが、これら含めた概念を本記事では「パッチワーク型キャリア」と表現します。パッチワーク型キャリア」で考えたとき、一つの商業組織の中だけの他者評価はあまり重視していません。自分の種々の経験が糧になり、しがらみなく自分の可能性を探し続けていいんだ、という広がりを持った世界観だと私は捉えています。

振り返ると、未経験の子育てと仕事の両方をし続けるのは、嵐に船出するようなゾクゾクした不安と怖さばかりの当時だったような気がします。3度目の正直とはいかないですが、少しは肩の力を抜いて向き合えているでしょうか。

育休ブランクではなく、育休後は自信を持って人間のキャパシティが増えたよ!と新スキルをひけらかしていいんです。「家事を段取りする力」も「子どもと向き合う力」も「論理的に考える力」もそれぞれが「スキル」。

ブランクや失敗すらも丸ごと詰め込んで、今どうあるのかが大事。そう考えると、いろんな休息や遠回りもまんざらでもない気がしてきます。

 

3つの「戒め」と「面白さ」

少し清々しい気持ちになったところで、自分への戒めに、ここに至るまでのキャリアに関する教訓を3つほどメモしておきたいと思います。

  1. 親のレールや知人のつてには乗らないぞ!なんて全然思わなくていい 笑
  2. 学びの中に仕事どころかキャリアなんて言葉がなさすぎた・・・全てのつながりを意識しよう
  3. 仕事時間が自分の人生の1/3を締めているという自明と驚き(8時間 寝て、8時間 働いて、8時間 活動して、合計24時間)

 ※背景や詳細が気になる方はぜひ続編?をご期待ください笑

 

先人がたくさんいる中ではありますが、この場を借りてパーソルキャリアで私が考えるサービスデザイナーの面白さもそっと添えておきます。

  1. 様々なデザインアプローチがある中で、ケースに合わせてトライする機会がある
  2. ビジネス、クリエイティブ、テクノロジーなど横断した職種の方と関わる機会が多い
  3. 職種の領域が広めであることを環境も後押しし、自分の個性を伸ばす機会がある

おわりにかえて

ここまでお読みいただきありがとうございます。

2024年師走。「パッチワーク型キャリア」について紹介させていただきました。

 

自分の可能性を信じようとする全ての方へ

キャリアは、眼の前の仕事だけではなく、誰かのために自分が考えたり動いたりすること丸ごと。そう考えると、全部が全部、今につながる鮮やかさと強さを創ってくれている!

 

私も、エンジニアからデザイン領域へ、そしてこれから先はどこに行くのか・・・。

この先の積み重ねや変化にも、自分らしさと喜怒哀楽を持ってワクワクしていきたいなと思っています♪

alt

西尾 ひとみ Hitomi Nishio

P&M戦略本部 デザイン推進統括部 横断戦略デザイン部 戦略デザイングループ リードデザイナー

北国生まれ都内在住、3歳から17歳まで全員違う性格の3人を子育てしながらカオスな毎日を堪能中。いろんなものの中身・裏側が気になる性分。自分にとっての面白いを大事に、「頑張らない」を頑張り中。

※2024年12月現在の情報です。