2021年8月、デザインファームでの豊富な経験を持つ西本が、エンジニアリング統括部 UXデザイン部 サービスデザイン第1グループのマネジャーに就任しました。
UX/サービスデザインのスペシャリストである彼が、なぜ次なる挑戦の場としてHR業界・パーソルキャリアを選び、どのような思いではたらいているのか。そして「はたらく×UX」の掛け合わせで、どのような未来の実現を思い描いているのか――率直な思いを聞きました。
- 一人ひとりが持つあるがままの姿を、自由に発揮できる環境をつくりたい――ビジョン・ミッションへの共感からパーソルキャリアへ
- ビジョン・ミッションが隅々まで浸透している組織。負けないように、デザインを育てていかなければいけない
- 「はたらく×UX」で人の本質的な価値を可視化し、“適材適所のマッチング”の実現を目指す
※撮影時のみマスクを外しています。
一人ひとりが持つあるがままの姿を、自由に発揮できる環境をつくりたい――ビジョン・ミッションへの共感からパーソルキャリアへ
――まずは、西本さんのこれまでのご経歴をお聞かせください。
西本:ファーストキャリアは求人広告の営業です。そこである程度結果を出せたタイミングで、大学で学んだ音楽や作曲に紐づく “つくる・表現する” にまつわる仕事をしようと、Webデザイナーを志すようになり、未経験から応募できる会社を探し、受託のデザインファームに入社しました。
デザインファームでは、Webディレクションを行なったりディレクター部隊の立ち上げ、プレイングマネジャーなどを経験。その後の大きな転機としては2011年頃からリーンスタートアップやデザイン思考などの手法を用いたソリューション提供を手がけたことが、現在のキャリアにつながっています。
パーソルキャリアには、デザインファーム5社を経て2021年の8月にジョインしました。
――2011年頃というとデザイン思考が広く知られる以前のタイミングかと思いますが、どのような経緯でこの手法に挑戦されるようになったのでしょうか。
西本:当時在籍していた会社が、先進的な取り組みの情報が数多く入ってくる環境だったことが大きかったと思います。
「デザイン思考という手法に則ってみるとどうなるのか」に純粋な興味が湧き、自分自身で調べたりプロジェクトの中で実践したりするようになりました。
また当時リーンスタートアップが流行り始めた頃で、海外団体の方と共同で開催するイベントのメンターにアサインされるなど、会社が機会を提供してくれていた点も後押しになったと思います。
――デザインやUXにまつわるご経験をされてきたところから、知見を活かす次のキャリアステップとしてHR業界を選ばれたのはどうしてですか?
西本:それまで「ユーザー中心のデザイン」を軸に仕事をしてきたものの、それを突き詰めることは人の欲望をエンパワメントすることにつながりかねず、環境や人間にとって必ずしもよくないのではと疑問を感じていて。他にも “バックキャスティング” や “地球中心のデザイン” などさまざまな手法がありますが、考えていく中でこれなら上手くいくだろうと思えたのが「子ども中心のデザイン」だったんです。
そこから教育に絞って転職活動をしていましたが、その過程でエージェントさんからパーソルキャリアを紹介されました。「“はたらく” に関係しない人はいない、子どももいつか通るテーマだ」と思い至り、このテーマなら自分の子どものことを想像しながらデザインできると考えました。
ただ正直なところ、もともとはHR業界に対して少しだけマイナスの先入観があり、転職先として検討はしていなかったんですよね。パーソルキャリアに入社することになったのは、エージェントさんのご紹介がなければあり得なかったご縁だったと思います。
――マイナスのイメージがあったところから、どのようにしてパーソルキャリアにジョインするまで心が動かされたのでしょうか。
西本:エージェントの方が僕の意思を大切にしてくださる利他的な方で、もともと大きな信頼を寄せていました。その方がパーソルキャリアを挙げたということは、僕の意思を汲み取ってのご紹介なのだろうと、改めてどのような会社なのかを自分で調べてみることにしたのです。
ホームページなどを見るうちに、ビジョン・ミッションが非常に共感できるものだと思えたことが印象に残っています。僕は “個の尊厳を最大限尊重する環境を作る” を人生のミッションに定めているのですが、パーソルキャリアが大切にする「キャリアオーナーシップ」にとても近しいものだと感じたことが、この会社に興味を持つ大きなきっかけになりました。
そのプラスの印象を持って面接に進んでみると、最初の面接でお話ししたGMの方も、二次面接でお話ししたサービスデザイングループの方も、人として好きかも、と。お二人ともまさにビジョン・ミッションを体現されている方々で、組織の隅々まで神経が通っている様を目の当たりにし、居心地が良さそうだしやりたいことができそうだと、ジョインを決めました。
ビジョン・ミッションが隅々まで浸透している組織。負けないように、デザインを育てていかなければいけない
――現在持たれている役割やミッションについて教えてください。
西本:まずはサービスデザイングループの組織開発、次いでデザイン推進活動による組織貢献が、僕に与えられているミッションです。
また個人的には、娘のためにサービスをつくることをミッションにしています。あと6,7年ほどしかないので急がなければいけませんが……組織において僕がやるべき仕事が先々自身のやりたいことにも結びつくように考えながら、組織から求められるミッションと自身のミッションの両立を意識しています。
――非常によい印象を持ってパーソルキャリアへのジョインを決められたとのことですが、実際にジョインしてから感じたギャップなどはありましたか?
西本:よい意味でのギャップはたくさんあります。素敵な面接官にお会いしても、「とはいえ組織はどうなのだろうか」と思う部分もありましたが、ジョインしてみて「本当に自由なんだ」というのが率直な感想です。こんな環境があったのか、と驚いていますね。
また僕が強く共感したビジョンとミッションが、組織全体に浸透されていることは本当にすごいなと思いました。ビジョン・ミッションを想起させる仕組みが、組織的にインストールされているんです。
――ビジョン・ミッションを想起させる仕組み、とは……?
西本:例えば評価軸の一つに「バリュー体現度」が設けられており、行動と振り返りの中でバリューを想起させるようになっていたり、イベントごとでも、必ず至るところにビジョン・ミッションの要素が散りばめられていたり。またサービスやプロダクトにおいて、顧客ロイヤルティを測るNPSなどユーザー中心の指標を重要視していることを、トップラインの方々が自分の言葉でメッセージとして発していたりするんです。
そういった仕組みづくりや習慣化は、ボトムアップで「行事にビジョン・ミッションを組み込みましょう」などと言ってもなかなか実現できることではありません。
デザイナーは、ブランディングのように何か一つの軸を通して全体を乱れなく最適化したい、という衝動を持つ生き物だと思うんです。大きな規模の会社でそれが経営の意思でできているのは、すごいことだなと。だからこそ、トップラインに負けないように僕たちがしっかりして、デザインを育てていかなければいけないと感じますね。
――反対に、驚いたギャップはありましたか?
西本:環境面ですね。大切な個人情報をお預かりする事業だからこそ、守らなければいけないセキュリティレベルは非常に高くなります。これまでの経歴の大半を占めるデザインファームは非常に自由で、新しいものがあればすぐに試すという環境だったので、不自由さを感じる部分は少なからずあります。ただ自由と責任はセットなので、これは責任なんだと前向きに捉えるようにしていますね。
――受託のお仕事から事業側にきたことで生まれた、仕事に対するスタンスや目線の変化などがあれば教えてください。
西本:基本的には変わりません。誰も経験したことのないプロセスで新しいものを一緒につくっていこうという時は、どうしても相手の視点に立ってリードしなければいけないですよね。この相手の視点に立つことは受託の時にもやっていたことなので、大きな変化はないかなと。
ただ、中にいるからこそわかることは増えますし、できることは一段深くなるなと思います。
――ビジネス・テック・クリエイティブのバランスという観点から、パーソルキャリアはどのように見えていますか。
西本:ビジネスが強くなりすぎてユーザー体験がおざなりになったり、短期的な目標を追いかけてしまいがち、などのよくある課題がある中で、そのビジネスとクリエイティブのバランスを整えたり改善していくためにはやはり成功体験が必要なのではないでしょうか。人間はこれまでと同じ行動をとった方が安全で効率的だと考えます。違うやり方をとると不安になったりすると思います。なので、「細かいプロセスを変えてこんなものが得られた」という小さな成功から事業としての成功まで、成果を出していかなければいけないのかなと思います。
「はたらく×UX」で人の本質的な価値を可視化し、“適材適所のマッチング”の実現を目指す
――パーソルキャリアにおいて、サービスデザイナーはどのような役割を担っていくべきだとお考えですか?
西本:僕が所属する組織のミッションは新規事業開発です。キャリアオーナーシップを実現する新規事業をつくっていくことが求められます。それは一人ではなくビジネス・クリエイティブ・テックが三位一体となって進めるので、それぞれの価値発揮が最大化されるとよいサービスが作れる――
なのでまずは、三位一体になってつくるための環境づくりに貢献するというのが役割の一つになると思います。特にサービスデザイナーはワークショップやデザインスプリントなど「共創」の手法をうまく使えますし、誰よりもユーザー中心にデザインするスキルに長けているので、最低限そこをリードすることで価値発揮する必要があります。
また人間はこれまでと同じ行動をとりがちなものです。新規事業開発をテーマにしていても「新しく自分からつくりにいこう」とはなりづらいので、“サービスデザイナー” だからこそ自分たちから率先して新しい事業を起案していかなければいけないと捉えています。
――そのような役割を果たすために、サービスデザイナーにはどのような力が求められるのでしょうか。
西本:要件としてWill・Can・Mustの3要素があると思いますが、現在の採用においてはまず一番大切なMustを「UXデザインスキル」と「ファシリテーションスキル」としています。これは僕が入社する以前のサービスデザイングループにいらっしゃった2名が持つスキルでもあるので、僕たちの始まりとしてMustに設定しているという背景です。
Canについては、サービスデザインという領域がいい意味でも悪い意味でも非常に広いので、要件も広めに設定しています。例えば、事業のプランニング、マーケティング、プロダクトマネジメントなど比較的事業側の方々が持つスキルについても、デザインリサーチやクリエイティブディレクション、プロジェクトマネジメントなど受託側の方々が持つスキルについても、ウェルカムです。これらの中でも2つ以上をお持ちであることが一つの目安ですね。
――ありがとうございます。最後に、将来についてお聞かせください。「はたらく×UX」でどのようなことを実現したいとお考えですか?
西本:現在の採用、特に大企業においては行政や官僚のモデルに近い堅牢なシステムが大切にされていると感じます。基本的に全てをマニュアル化して、誰かがいなくても他の人が代わりになる。画一化されたスキルや経験があってそこに適合する人だけがゲームをプレイできる。
僕の娘たちがはたらく時に、杓子定規のエントリーマネジメントで跳ね除けられるような経験を味わうことがないように、一人ひとりにカスタマイズされた形で適材適所にマッチングできるような仕組みをつくれたらと思います。
――新たなサービスで入り口の部分に変化を起こせれば、世の中の大きなシステムのあり方自体が変わっていく可能性もあり得るというとですね。ステキなお話をありがとうございました。
(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=古宮こうき)
西本 泰司 Taiji Nishimoto
エンジニアリング統括部 UXデザイン部 サービスデザイン第1グループ マネジャー
音楽大学で作曲を学んだ後、求人広告営業を経てデザインファームに。領域を問わないUXコンサルティング、中規模~大規模のWEBサービス・サイト構築ディレクション、イベントのファシリテーション、組織開発などを主に経験。2022年からパーソルキャリアに入社し、新規サービスデザインと組織開発に従事。目下のやりたいことはキャリアオーナーシップを実現するサービスを自分の子供のために作ること。
※2022年5月現在の情報です。