Power Platform勉強会第2弾――スピンオフ企画をやってみた

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社内外から好評を博した「Power Platform勉強会」の第2弾が、2021年9月からスタートしました。参加者により深い学びを得てもらうために、コンテンツをブラッシュアップし、提供範囲も拡大。さらにスピンオフ企画として「3日間でロボやアプリなどのプロトタイピングを作る」という何とも無謀なプロジェクトが実施されました。

この挑戦は成功したのか、そしてそこからどのような学びが得られたのか――前回同様、事務局メンバーである、佐々木、齊藤、長澤に話を聞きました。

 

※撮影時のみ、マスクを外しています。

 

コンテンツや運用体制に改善を加え、よりよい勉強会をより多くの方へ

 

――まずは、Power Platform勉強会 第2弾の概要からお聞かせください。

 

齊藤:今回は私がリーダーとして推進したので、私からお話しさせていただきます。

第2弾も前回と同様に「個人が簡単なアプリを開発するスキルを習得し、自ら業務改善を行えるようになってほしい」という思いで勉強会を行いました。構成も変わらず、「Power Platformとは」を知っていただく入門編から入り、テキストを使ってツールを学び、最終的には実務での活用を目指していただくという流れです。

BITA統括部 テクノロジー企画部 テクノロジー推進グループ コンサルタント 齊藤 玖美子の写真

BITA統括部 テクノロジー企画部 テクノロジー推進グループ コンサルタント 齊藤 玖美子

ただ前回はスモールスタートで、パーソルキャリア内、かつ佐々木さんが以前主催された勉強会の参加者の中から希望者を募る形でしたが、今回からスコープを拡大。グループ全体に向けて告知を行い、所属に関係なく誰でも参加いただけるようにしました。

 

 

――前回の好評もあり、規模が拡大されたのですね。勉強会の内容について、前回からの変更点はありますか?

 

齊藤:「各ツールを理解しても、業務フローがわからないとそもそも何を作ったらよいかもわからない」「場面に応じてどのツールを選択すべきか、使い分けが難しい」「保守運用はどうすべきか」など、第1弾で足りなかった観点を追加してコンテンツを増やしました。

その他前回ボリュームが大きすぎた部分は縮小したり、伝わりづらかった部分を噛み砕いたりと、細かなブラッシュアップも加えています。

 

企画統括部 商品企画部 商品企画第2グループ 長澤 杏の写真

企画統括部 商品企画部 商品企画第2グループ 長澤 杏

長澤:また今回はグループ全体での開催ということで、共有する事例もパーソルキャリアのものに限らず、個社の方々にも理解していただけるよう汎用性の高いものに改変したことが、大きなポイントだったかなと思います。

 

 

――齊藤さんがリーダーになられたとのことですが、事務局の体制やそれぞれの役割などについても教えてください。

 

デジタルテクノロジー統括部 デジタルビジネス部 ビジネスグループ リードストラテジスト 佐々木 慶太

デジタルテクノロジー統括部 デジタルビジネス部 ビジネスグループ リードストラテジスト 佐々木 慶太

佐々木:齊藤さんがリーダーとしてスケジュールや参加者の管理などを中心に進めてくださり、私と長澤さんが自由に動くフォワードとして、一緒に考えて意見を出していく体制になっています。

また第1弾に参加してくださった方のうち4名を、事務局に巻き込みました。初めは「私に貢献できるポイントがあるだろうか」と不安な様子でしたが、実際には定例ミーティングに参加したり参加者からの問い合わせに応えたり、勉強会で事例発表をしたりと活躍してくださっています。

こういった任意の勉強会は、強い思いを持ったメンバーが主導していくことが求められるものです。誰かが抜けたことで取り組みも終わってしまう、ということにならないよう、このコミュニティを育てていくことも意識していますね。

 

 

――第2弾の勉強会には、実際にどのくらいの方が参加されたのでしょうか。

 

齊藤:2日間かけて行う入門編には240名ほど、各ツールをテキストで学んでいく体験会には80名ほどご参加いただきました。半数以上はリアルタイムでの参加ですが、一部業務の都合で出られないために録画からキャッチアップされた方もいます。

また最後に実業務開発を実施したのですが、こちらは事務局が実業務を把握する必要性やセキュリティ上の観点から、対象をパーソルキャリア社員かつ少数に絞っており、実際に5名の方にご参加いただきました。一人ひとりにメンターをつけて開発〜振り返りを行い、先日無事に終了したところです。

予想以上に多くの方がご参加くださり、我々としても少し驚いていますが……。これまでIT・テクノロジーをテーマとしたコミュニティ「TECH Street」でPower Platformについてのセミナーをやっており、興味を持ってくださっていた方が一定数いらっしゃったのかなと。またパーソルグループ全体としての勉強会がこれまでなかったため、スコープを広げたことが功を奏した部分も大きかったのではと振り返ります。

 

 

「3日でアプリが作れる」その言葉だけでは現実味がない。まずは自分たちが体現し、驚きと面白さを感じてもらいたい

 

――今回、スピンオフ企画として「一夜城プロジェクト」を実施されたと伺っています。まずはこういった企画を始められた背景からお聞かせください。

 

デジタルテクノロジー統括部 デジタルビジネス部 ビジネスグループ リードストラテジスト 佐々木 慶太

 

佐々木:「Power Platformを非エンジニアの方々の武器にしていただけるはず」という思いは変わらず、もっと広めていくために何かできないかと考えていて。地道な積み上げ型の勉強会ももちろん大切ですが、より多くの方に知っていただくためには何かキャッチーなことがしたい、という思いから生まれたプロジェクトです。

ローコード・ノーコードの良さは「エンジニアでなくても、ものによっては一晩で作れてしまう」可能性を秘めていること。しかし理想論的にそう語られることはあっても、実際に短期間でこれだけのものができた、という事例はあまり聞いたことがありません。

だからこそそれを私たちが体現して、参加者の方々にPower Platformの素晴らしさや面白さを実感していただきたい。そんな思いで、「短期間で実業務に活かせる開発を行う」という趣旨のプロジェクトにしました。

 

――プロジェクトの内容はどのようなものになっているのでしょうか。

 

佐々木:3名の参加者を「依頼者」、私と齊藤さん、長澤さんを「開発者」としてそれぞれペアを組み、依頼者の要望をもとに開発者がアプリのプロトタイプを3日間で作成。そこから、依頼者の方々が実際にアプリを運用したりカスタマイズを行ったりする過程で、学びを深めていただくという内容になっています。

 

 

――3日間という非常に短い期間の中で、具体的にどのようなものを作られたのですか?

長澤さんの製作物の画面

長澤:私は「アンケートの回答者に対し、条件に合わせて回答内容をメールで送信したい」というご要望を受け、ご本人が試しに組まれていたフローに変更を加える形で整えていきました。「メールのCCに事務局メンバーや上長を入れる」「メールをHTMLで綺麗に書く」「フローがうまく動かない時にエラーメッセージを事務局に返す」など、不足していた要素についても追加しています。

また依頼者の方に納品した後には、私の作成したフローを見ながら同じものを組み直していただき、不明点の洗い出しとフィードバックを行うなど、読み解きのフォローアップも行いました。

 

齊藤:私は研修予約アプリを作成しました。研修を受けたい日程の選択・予約確認・変更といった機能がある他、管理者画面も作成し、データソースを読み込んで初期セットしたりメール通知・会議通知を送ったりできるようなアプリになっています。

「いずれ社内展開することを目指して汎用的なものを作りたい」という思いが依頼者の方と共通していたこともあり、エンジニアでない方でも運用がしやすいようにPower Automateをいじらなくても設定変更できるような仕組みを作ったり、機能を豊富に盛り込んだりしましたね。

作成したアプリの画面を見せる齊藤さんの写真

 

 

「やらなければいけない」ではなく「楽しいからやりたい」へ

 

――実際にプロジェクトをやってみて、いかがでしたか?

 

長澤:思っていたよりも業務の合間に時間を見つけることが難しく、内心焦っていた部分はありますが……反対に、時間を区切っていることで「この時間で組めるのはこの分量まで」という感覚を参加者の方と共有でき、業務と並行して開発を行っていくことをイメージいただけたのかなと思います。

企画統括部 商品企画部 商品企画第2グループ 長澤 杏の写真

また初めは「私にはできない」とおっしゃっていた依頼者の方でしたが、考え方や使い方を示すテンプレートをお渡しした後はご自身でできるようになって。「大幅にスキルアップできました」とフィードバックをいただくことができ、私としても嬉しい限りです。

 

齊藤:今回作ったようなものを実際にエンジニアでない方が一から作る、となると少し難しい部分もあるかもしれませんが、うまくツールを活用できるようになってほしいという思いがありました。

実際に今回の依頼者の方には、引き継ぎの際に仕様などを詳しくお伝えしており、現在は初期セット〜運用を一通りやってみていただいています。「実務で活用していこう」と部署内でも話を進めてくださっているようで、理解して活用する段階につなげていただけたのだなと嬉しく思っています。

BITA統括部 テクノロジー企画部 テクノロジー推進グループ コンサルタント 齊藤 玖美子の写真

 

 

――発案者の佐々木さんとしてはいかがですか?

 

佐々木:私が担当したのは、Power Automate for desktopを使って、人事部の復職申請業務を自動化するという案件です。今回の納品によって、年間50時間分の工数を削減できたとお喜びの声をいただけたのですが、それ以外にもう一つ収穫がありました。

人事システムの性質上権限の管理が非常に厳しく、今回私が開発する環境をすぐにいただくことができなかったんです。そこで方針を転換し、私が指示を出しながら依頼者の方に自分で開発を進めていただくことに。11回ミーティングを重ね、15時間かけて無事完成させることができました。

効率がよいとは言えませんが、共同開発を行ったことで「こちらで要件に合うものを作って納品したものの、複雑で難しく理解いただけない」ということが起こりませんでした。ご本人が理解された上で一緒に作ったことですぐに運用に入れる状態になる、というのは新たな発見でしたね。

デジタルテクノロジー統括部 デジタルビジネス部 ビジネスグループ リードストラテジスト 佐々木 慶太

これまでの経験から、権限の付与を受けるまでに時間がかかるというのは普段の業務の中でも起こり得ることなので、なおさら「簡単なものは本人がパッと開発して、業務改善する」という世界が実現できるといいなと、改めて考えさせられる機会になりました。

 

 

――ありがとうございました。それでは最後に、今後チャレンジしたいことについてお聞かせください。

 

長澤:今回は「一夜城プロジェクト」ということで3日間の開発でしたが、率直な感想としてはもう少し時間をかけてやってみたいなと感じました。そうすることで、Power Platform全部を組み合わせたより複合的なものをご提供できますし、表層だけを自動化するのではなく「どのようなものを作れば業務改善につながるのか」まで踏み込むこともできるはず。今後はそういったところにも挑戦していけたらと思います。

 

齊藤:現在、パーソルグループ全体のテクノロジー利用を司る「グループIT本部」でも勉強会を始められているので、ぜひ連携してグループ全体により広く取り組みを波及させていけたらと思っています。

また今回の「一夜城プロジェクト」もそうですが、楽しいことをやっていきたいですね。業務の合間に「やらなければいけない」ではなく、「楽しいからやりたい」。そんな方向性に持っていくことを目指したいと思います。

 

佐々木:私も同じ思いです。役に立つコンテンツは世の中にたくさんありますが、やはり「楽しい」ことに価値があるのだと思うので。「やること自体が楽しくて、結果学びにもなっている」という状態を実現するにはどうしたらいいのかを考えながら、引き続きフォワード人材として取り組んでいきたいなと思います。

このコミュニティが「“楽しい”と人に言いふらしたくなる」ことで広がっていったら嬉しいですね。

ノーコード ローコード PowerPlatform勉強会

 

――ありがとうございました!

 

(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=小野綾子)

 

 

デジタルテクノロジー統括部 デジタルビジネス部 ビジネスグループ リードストラテジスト 佐々木 慶太の写真



佐々木 慶太 Keita Sasaki

デジタルテクノロジー統括部 デジタルビジネス部 ビジネスグループ リードストラテジスト

新卒でパーソルキャリア(旧インテリジェンス)に入社。コンタクトセンター部門でマネジメントと電話システムの運営・管理を経験後、経営企画部に異動し中期経営計画の策定や予実管理等、管理会計全般を経験。2018年に現職に異動し、主に求人広告事業においてテクノロジーを活用した企画立案と推進、及びRPAを活用したBPRを推進。また、「テクノロジーの民主化」のため、Power AutomateやモダンExcel(Power Query等)の講座を開くなど、普及に尽力している。

BITA統括部 テクノロジー企画部 テクノロジー推進グループ コンサルタント 齊藤 玖美子の写真



齊藤 玖美子 Kumiko Saito

BITA統括部 テクノロジー企画部 テクノロジー推進グループ コンサルタント

金融系SIerでインフラSEを経験後、2018年にパーソルキャリアに入社。ITリサーチグループにて全社のIT高度化に向けた技術検証等を経験。現在はテクノロジー推進グループに所属し、全社向けIT関連PJTの支援やPowerPlatform、コミュニケーションツール、チャットボット等のITツールの企画~利用展開を推進。社員のデジタル化や業務効率化の支援に奮闘中。

企画統括部 商品企画部 商品企画第2グループ 長澤 杏の写真



長澤 杏 Anzu Nagasawa

企画統括部 商品企画部 商品企画第2グループ

新卒でパーソルキャリア(旧インテリジェンス)に入社。doda求人メディア部門で法人営業を経験後、営業企画部に異動し、営業予算の策定や業務効率化等を経験。2020年10月~は本格的にBPRプロジェクトを主管し、主にアシスタント業務のRPA導入と業務フローの改善を推進。現在は、商品企画部門へ異動しているが、個人レベルで行える業務改善活動を行っている。プライベートでは、新たな知見を求めてQiitaを愛読、Youtubeで業務改善事例などを鑑賞。

※2022年1月現在の情報です。