
2022年9月から営業を開始した、海外開発拠点である「PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM(以下、PCT社)」。設立から2年半が経ち、組織体制や担当案件の幅が拡大しただけでなく、クオリティ面でも社内外から高い評価を得ています。これまでtechtektでは、PCT社の立ち上げをはじめ、メンバー紹介や現地視察の様子を継続的に紹介してきました。
パーソルキャリアでは、海外のグループ会社へ異動希望を出せる「グローバルチャレンジ制度」があります。
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今回は、グローバルチャレンジ制度を活用してPCT社へ異動した、ベトナムで活躍するITコンサルタントの山口佳穂にインタビュー。憧れだった海外勤務を実現した経緯をはじめ、スキル面の不安や文化の違いをどう乗り越えてきたのか、彼女を動かす原動力について話を聞きます。
「いつか」ではなく「今」。海外への憧れを叶えるグローバルチャレンジ制度
――まず、山口さんが海外を意識するようになったきっかけを教えてください。
山口:中学生の頃から、いつか海外で暮らしたいという憧れがありました。とはいえ、私が保守的な性格なこともあり、大学時代は留学やワーキングホリデーの制度を活用できず、気づけば挑戦するタイミングを逃していました。

20代後半は、コロナ禍で海外に行くどころか旅行すら難しい状況が続き、海外ではたらく夢を半ば諦めていました。しかし、2021年にパーソルキャリアへ転職した際、「グローバルチャレンジ制度」の存在を知り、「30歳までには海外に挑戦したい」という気持ちが再び強くなったんです。
ただ、入社当時はグローバルチャレンジ制度の募集要項にIT職がなく、私自身、スキル面の不安が大きかったこともあり、応募する勇気がありませんでした。2023年にIT職が追加された際も、経験のないJavaなどの開発言語が記載されていたので、「まだ今ではない」と感じて応募には至りませんでした。
――なかなか勇気を出せずにいた状況から、応募する一歩を踏み出せた決め手は何だったのでしょうか?
山口:実は2023年から1年間かけて、以前の所属組織であった採用ソリューションBITA部で大規模プロジェクトを担当していたんです。そのプロジェクトで結果を出し、社内表彰を受けたことで、「今ならチャレンジできるんじゃないか」と思えるようになりました。
また、2024年のグローバルチャレンジ制度の説明会で、制度を活用した先輩と直接話す機会がありました。その時に、募集要項のスキルがなくても、会社と相談しながら挑戦した話を聞いたんです。そこですぐに担当者や現地の方に相談したら、「気持ちがあるならぜひ挑戦してほしい」と背中を押され、ようやく覚悟が決まりました。
加えて、偶然にもその年にベトナムへ2回旅行に訪れており、現地の雰囲気や文化がすごく気に入ったことも大きかったと思います。このようなさまざまな要因が重なり、2024年11月 にグローバルチャレンジ制度を活用してPCT社へ異動し、憧れていた海外でのキャリアがスタートしました。
“新しく入った人”を歓迎する国――ベトナムで体感した文化と暮らし
――実際にベトナムで暮らし始めてみて、どんな印象を持たれましたか?
山口:想像以上に都市が発展していて、生活に不自由することはほとんどありません。日本食レストランやスーパーも多く、必要なものは一通りそろいます。最低限の英会話は勉強しましたが、それ以外に特別な準備はしていなかったので、「海外に挑戦するなら必ずこれをする」というようなハードルは感じませんでした。

また、日本にいる頃から副業でSalesforceの開発 にも取り組んでいたのですが、ベトナムへ来てもそのまま継続できています。どこにいても同じようなはたらき方ができるので、自分の住みたい場所で好きな仕事に挑戦できるのだと実感しました。
――現地のコミュニティに入るうえで、苦労されたことはありましたか?
山口:私は特殊なケースだと思いますが、ベトナムに到着した当日に社員旅行があり、初めて会う30名ほどの現地メンバーと旅行したんです。PCT社のメンバーからしても知らない日本人が急に合流する状況でしたが、日本語を話せるメンバーが丁寧にサポートしてくれたり、みんなが積極的に話しかけてくれたりして、本当に嬉しかったですね。

英語の聞き取りにもまだ自信がなく不安はありましたが、旅行中に打ち解けられたおかげで、その後のコミュニケーションもスムーズに進められています。
また、もともとベトナムには新しく入った人を歓迎する文化が根付いているようで、みんなでランチをしたり、誕生日パーティーやクリスマスなどの行事が毎月のように行われたりするんです。

そうしたイベントを通じて自然に打ち解けられるので、温かい雰囲気の中ではたらけていると感じます
エンジニアと共に新しい価値を創る。日本とベトナムを結ぶチームビルディング
――PCT社での体制や、山口さんの具体的な業務を教えてください。
山口:PCT社では、パーソルキャリアが提供するさまざまなサービスやシステムの開発ラインを、ベトナムのエンジニアと一緒にオフショアで支援しています。dodaのサイトやアプリ、社内基幹システムであるARCS、求人広告サービスにまつわるシステムなど複数のチームがあり、開発ラインごとにブリッジSEとエンジニアがセットになって取り組む体制です。

私の主な業務は、ブリッジSEとして日本側のPMやITコンサルタント、 とベトナムのエンジニアを繋ぐことです。エンジニアの中には日本語を話せないメンバーもいるため、ディレクターから要望や仕様変更があれば、ブリッジSEがその意図を整理してエンジニアにわかりやすく伝えます。開発がスタートしたら進捗管理や質問対応など、プロジェクトを円滑に進めるための橋渡しを担っています。
――現地での技術的な研修や勉強会は、どのように行われているのでしょうか?
山口:パーソルキャリアが主催する短いプレゼンテーションを行う会(LT会)やテクノロジー系の勉強会に、PCT社のエンジニアも積極的に参加しています。さらに、パーソルキャリアで実践するナレッジ管理や振り返りのミーティングを、ベトナムのエンジニアが自主的に取り入れ、学習会や情報共有をしています。みんなが意欲的に取り組んでくれるので、私としても非常に心強いですね。
――言葉のニュアンスや文化の違いなどで、コミュニケーションのすれ違いは起きませんか?
山口:伝え方に注意していても、実は意図が通じていなかったという状況はどうしても起こります。これまでにも、開発途中に「これを教えてほしい」と相談され、日本の担当者に確認して伝えたら、すでに解決していたというケースがありました。

こうした小さなズレは起こりやすいので、事前に「更新情報を共有してね」と声をかけたり、こちらから定期的に「進捗どう?」と細かく確認しています。お互いの認識をそろえるためには、相手の人となりに合わせて気を配ることが大切だと感じますね。
ただ、文化や考え方が違う以上、完全に防ぐことは難しいので、問題が起きても「しょうがない」と割り切り、臨機応変に対応することが重要です。
――PCT社での山口さんの役割について、どのように捉えているか教えてください。
山口:私の役割は、パーソルキャリアのカルチャーや目指す方向性を、ベトナムのメンバーへしっかりと伝えていくことです。言語が異なるため文章自体は理解できても、その背景にある意図まではなかなか把握しにくいと思っています。
一方で、パーソルキャリアの中でdodaシステムが果たす役割や目的を正しく理解すれば、単にユーザー目線で改善するだけでなく、より踏み込んだ開発が可能になると考えています。そのためにも、まずはベトナムのブリッジSEにパーソルキャリアのカルチャーをしっかり浸透させ、エンジニアたちが快適に開発へ取り組める環境づくりを進めたいですね。
組織拡大中のPCT社で得られるチャンスを活かし、海外×マネジメントの両立を目指す
――海外勤務を経験して、仕事観やはたらき方の意識はどのように変わりましたか?
山口:パーソルキャリアとして日本にいた頃と、はたらき方そのものは大きく変わりません。むしろ、「海外にいるだけで自然に成長できるわけではない」と強く感じました。自分の意思を持って「今しかできない挑戦」をしないと、結果的に拠点が変わっただけで終わってしまいます。

PCT社は、この1年で人員が20名 ほど増え、現在はブリッジSEが15名 、エンジニアが40名 ほど在籍する体制になりました。新規案件を受けるたびに必要なスキルや人数を検討して採用を進めるため、次々と開発ラインが立ち上がっています。そのため、立ち上げ期だからこそ取り組めることや、新しい施策を企画して営業するといったことにチャレンジすれば、着実に成長できると考えています。
――PCT社の体制が拡大している中、山口さんは今後どのようなチャレンジをしたいと考えていますか?
山口:現在はメンバーとしてブリッジSEの 業務に取り組んでいますが、将来的にはマネジャーとしてマネジメントや組織づくりにも挑戦したいです。PCT社の価値をどう高めるか、組織をどう成長させるかといったことを考えていきたいと思っています。海外勤務とマネジメントの両方を経験することで、今後も海外に関わる仕事に携わり続けたいですね。
――ありがとうございます。それでは最後に、海外でのはたらき方を考えているエンジニアやITコンサルタントにメッセージをお願いします。
山口:もし海外ではたらくことに憧れがあるなら、ぜひ一度チャレンジしてほしいですね。私自身も長らく踏み出せずにいましたが、いざ行動してみたら「意外に何とかなる」という実感が得られました。
パーソルキャリアのグローバルチャレンジ制度は2年間の任期が設定されており、帰国後もキャリアをリセットせずに次のステップへ進めます。「もっと海外で取り組みたい」と思えば、PCT社に残る選択肢もある。こうした柔軟な仕組みこそが、グローバルチャレンジ制度の最大の魅力だと思います。
「いつか海外に挑戦したいけれど不安」という方は、まず会社説明会に参加して実際の雰囲気を感じてみてください。

――ありがとうございました!
(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=嶋田純一)

山口 佳穂 Kaho Yamaguchi
PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM ブリッジSE(BrSE)
大学では法学部で法律を勉強していたがIT業界に興味を持ち、2018年に新卒で商社系SIerに入社。その後、SaaSベンチャー企業の営業戦略推進部にてSalesforceを使った業務改善施策の推進を担当。2021年1月にパーソルキャリアへ入社。入社後は採用ソリューション事業部におけるSalesforceの開発に従事、2024年11月からグローバルチャレンジ制度にてパーソルキャリアテックスタジオベトナム(PERSOL CAREER TECH STUDIO VIETNAM COMPANY LIMITED)へ出向。
※2025年3月現在の情報です。
