HR Techで社会を変える! 個性派ぞろいのスペシャリスト集団・デジタルテクノロジー統括部の挑戦

斉藤孝章・清田馨一郎

デジタルテクノロジー統括部は、「ビジネス領域」「エンジニアリング領域」「アナリティクス領域」それぞれの専門に特化した社員を擁し、データとテクノロジーの活用を専門とする部門。変わったバックグラウンドを持つ社員が集まるこのチームは、パーソルキャリア社内でも個性派ぞろいのスペシャリスト集団として知られています。

そんなデジタルテクノロジー統括部は、どういった目的のもと運営されているのでしょうか。また、どうして「個性派ぞろい」の部署になっているのか――。ゼネラルマネジャー の斉藤孝章と、ともに同部門を支えるシニアエンジニアの清田馨一郎に話を訊きました。

自由に、チャレンジングに、パーソルキャリアのテクノロジー活用を牽引する

——パーソルキャリアにおいて、デジタルテクノロジー統括部はどのような役割を担っているのでしょうか?

斉藤:パーソルキャリアでは、転職サービス「doda」やその他のHR Tech において、顧客により良いサービスを提供するために、データやテクノロジーの活用は欠かせないと考えています。そこで全社のテクノロジー化を牽引し、AIなどの最新技術活用を推進していくことを期待されて発足したのがデジタルテクノロジー統括部です。

テクノロジー本部 デジタルテクノロジー統括部 ゼネラルマネジャー 斉藤孝章

▲テクノロジー本部 デジタルテクノロジー統括部 ゼネラルマネジャー 斉藤孝章

斉藤:世の中では、新しいテクノロジーを採用したからこそ実現できた、新たなビジネスが続々と生まれています。私たちはテクノロジー活用を進めるだけでなく、既存事業にとらわれず第三者的視点でパーソルキャリアを見つめ、新規事業を興すこともミッションになっています。これまでのパーソルキャリアにはないものを取り入れるための組織なので、人も文化も、他部署とはちょっと変わっていると思われることも多いかもしれませんね。

——自社を「第三者的視点」で見ることというのは、どんな価値があるものなんですか?

清田:パーソルキャリアの社内ばかりを向いていると、新たな課題に直面した時、社内にある偏った知識だけでそれを解決しようとしてしまいがちで…。社内のルールや状況を過剰に配慮するのではなく、全社の事業課題を理解したうえで、一歩引いた立場からの「そもそも」論や「あるべき」論に立ち返って、新規事業を興す立場が必要なんです。こうした突破力を持っているのが、デジタルテクノロジー統括部の強みだと思っています。

もちろん新規事業だけではなく、既存事業のグロースにも取り組んでいます。直近だと、従来では技術的に難しかった企業紹介サービスのレコメンド精度や頻度を上げていくプロジェクトが進行中です。新規事業も既存事業も、同等の重要度をもって取り組んでいます。

——ほう……。つまり、かなり業務の幅が広い組織なんですね。

清田:そうですね。幅の広さや自由度はかなり高いと思います。前例がないプロジェクトに挑むことも多いですが、必要なコンセンサスはしっかり取りつつ、自分たちで事例をつくりながら進んでいく組織なのかな、と。ちょっと変わっている、一般企業だったら言うのがはばかられるような意見であっても、とにかく自分の考えを言ってみる。臆することなく発言して意見交換する文化が、当たり前にある部署だと思います。

テクノロジー本部 デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジーソリューション部 シニアエンジニア 清田馨一郎

▲テクノロジー本部 デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジーソリューション部 シニアエンジニア 清田馨一郎

志高き挑戦者集団におけるリーダーシップ

——デジタルテクノロジー統括部には、どんなメンバーが集まっているんですか?

斉藤:自分の考えをしっかり持った、個性的な人が多いですね。キャリアもユニークで、以前はゲノム研究をやっていたり、エンジニアリング系企業の管理職を経験していたり。パーソルキャリア入社前に起業していた「社長」も数名います(笑)。「会社にいれば安心」というメンタリティではなくて、パーソルキャリアの環境を活用して社会課題に取り組みたい、という意識を持っているメンバーが多いんだと思います。

メンバーはほとんどが中途入社なのですが、必要以上の上下関係や帰属意識を持つことなく、お互いを尊重してフラットに接している印象です。本音で話し合う風土があるのも、それぞれがそれぞれの経歴を持っているからこそ、お互いを自然にリスペクトできているのかな、と。

清田:いろいろな意味で、「正直な人」の集まりなんですよ。本音で話すということは、責任も伴いますが、発言内容に自信があるんだと思います。自分が実現したいことのために正直に動くからこそ、予算確保や組織運営などにおいても、斉藤さんをある種「利用」しようとするメンバーも多くて(笑)。

斉藤:それも私の大事な役目の一つですからね。必要であれば、どんどん利用してほしいと思っています。

——意欲的な挑戦者集団における理想的なリーダーの在り方ですね。その「正直」なメンバーに対して、具体的に、どのように接しているのか教えてもらえますか?

斉藤:実際のところ、「こうしなさい」と直接働きかけることは少ないですね。私の仕事は、皆が自分の持ち味を活かして動きやすい環境をつくること、そして、もし部内で失敗があれば上層部に謝ることなので。

自由度の高い組織では、何ができて何がNGなのかの判断が難しく、かえって動きにくいケースもあったりするんですよ。しかし、私たちの部署には清田さんというモデルケースがいるので助かっています。職場環境について部門外のマネジャーと相談したり、社外のイベントに登壇したりと、「清田さんがあれだけのことをやっているのだから、これも大丈夫だろう」と、周囲のメンバーも行動の指針が定めやすいんだと思います。

——なるほど。そんな模範となる清田さんに逆にお伺いしたいのですが、メンバーの立場から見て、マネジャーの斉藤さんはどんな存在ですか?

清田:もし斉藤さんがいなかったら、今のようなデジタルテクノロジー統括部はできなかっただろうと思います。動きやすい部署になっているのは、そこを意識して組織づくりをしてくれた斉藤さんのおかげでしょう。メンバーに近い立場に歩み寄って、安定感を与えてくれる人です。

斉藤孝章・清田馨一郎

斉藤:いやぁ……嬉しいですね(笑)。

——お互いをリスペクトし合う、デジタルテクノロジー統括部の風土を垣間見た気がします(笑)。その他に、斉藤さんが部署のために意識して取り組んでいることはありますか?

斉藤:パーソルキャリア社内に、我々のことをもっと知ってもらうための活動ですかね。デジタルテクノロジー統括部の役割を経営陣に理解してもらうことや、個性的なメンバーを知ってもらうことに努めています。社内でのブランディングが上手くいけば、活動の幅も広がっていきますから。

あと、メンバーとの雑談の中で、業務のアイデアを聞いて回ることもあります。「明確な答えは無いけれど、頭の中でぼんやり考えていること」を率直に出してもらいたいので、あえて雑談の体で、メンバーに声をかけるんですよね。

清田:斉藤さんは、雑談の中から、その人が考えていることや意見を、想像以上に汲み取っているんですよ。以前、私が雑談中にポロッと口にした内容が、部門の中期経営計画に反映されていたこともあって……。

——雑談がそんな大きなことに昇華されることもあるんですか! しかし、そういった個性的な部署の実態を、部外の人に伝えるのはなかなか難しいことですよね。

清田:もちろん組織のブランディングは、社内だけでなく社外にも行っています。情報発信を通じて、パーソルキャリア自体と我々の部署のことを知ってもらい、ミッションに共感、マッチした方に集まってきてもらうのが一番ですから。

——なるほど。文化にあったメンバーを集める採用は、どのような基準で行っているのでしょうか?

斉藤:「ビジネス」「アナリティクス」「エンジニアリング」、いずれかの分野におけるプロフェッショナルで、その他のいずれかの分野にも興味を持っている人を、積極的に採用しています。以前は3つすべての分野に精通した人材を探していたのですが、やはりそんな人はなかなか見つからず……。なので今は、各分野いずれかのプロフェッショナルを採用する方向にシフトしたわけです。

斉藤孝章・清田馨一郎

斉藤:エンジニアは学歴に関係なく、実力で採用しています。日本では、実力があっても、学歴のフィルターで活躍の場が失われがちな面がありますよね。だからこそ、彼らの本当の実力を見定めて、適切な場所まで引き上げること。それが最終的に国のGDPを押し上げることにも繋がっていくのだろうと考えています。様々な「はたらく」を提案しているパーソルキャリアとしても、それは大きな役目ですから。

——デジタルテクノロジー統括部のビジョンや風土にマッチするか否か、どのような面で判断されているのか教えていただくことはできますか?

清田:面接では、話に「深さ」があるかを見ています。トピックを一つひとつ深堀りしながら会話していくと、その話が自身の経験に裏打ちされたものなのか、受け売りのものなのか、おのずとわかってくるんですよ。そこで話が噛み合えば、個性が強めな部署でもやっていけるだろうな、と。

斉藤:他には、その人が考えているキャリアビジョンも必ず聞くようにしています。そのビジョンはどのような意志に基づいて生まれたもので、実現のためにどう動こうとしているのか。デジタルテクノロジー統括部のメンバーは、自分が実現したいことのために周りを巻き込んで推進できる人が多い。なので、しっかりとしたビジョンを持って意見を言えないと、自分のやりたいことをできずに埋もれてしまう恐れがあるんです。

人生のすべてにつながる人材サービス事業には無限の可能性がある

――これからのデジタルテクノロジー統括部について聞かせて下さい。組織として、どのように成長していくべきだと考えていますか?

清田:転職サービスの品質を向上させるため、データ活用の取り組みをより一層進めていきたいですね。今チャレンジしているのは、音声データの活用 です。キャリアアドバイザーとの面談等の音声を可視化し分析することで、求職者のパーソナリティを深く理解し、よりマッチした仕事を紹介できるようになると考えています。

斉藤:既存事業の利便性を高めるだけでなく、働くことにまつわる社会課題にも目を向けて、常に何ができるのかを模索し続けていきたいと考えています。特に、これから先しばらく直面する課題は、労働人口の減少です。社会全体の働き方が変わる中で、パーソルキャリアも新しい役割を果たしていくことが期待されています。人材紹介サービスを通して人の流動性を高めることは、その中でも大きな役割になっていくだろうと思っています。

清田:例えば、履歴書だけで当人の魅力や実力を判断するのは本当に正しいことなのかな?、と思ってるんです。本当の”人となり”を伝えるためには、職歴だけでなく、ボランティア活動や勉強してきたことなど、履歴書に書けない情報までを経歴として、正しく伝えるべきです。

ところが現在のキャリア情報は、学歴・職歴と分断されてしまっていますよね。この問題は、ブロックチェーン技術を使って、過去の活動を逆引きでつなげられる「eポートフォリオ」等のサービスで解決することができるだろうと考えています。これが実現すれば、企業にとっても信用リスクと採用コストを下げるメリットが生まれるはずです。

――そうすると、パーソルキャリアは、転職のような「人生のある瞬間だけ」で接する会社ではなくなっていきそうですね。

清田:そう。働くことにまつわるすべての接点が、パーソルキャリアの領域になっていきます。「働く」ことは、学生時代や老後も含めて、人生のすべてに関わるテーマ。ということは、パーソルキャリアの事業領域は「人の一生のすべて」だと言っても過言ではないのです。それに伴って、「○○テック」と呼ばれるものもすべて業務領域と考えられるようになるので、デジタルテクノロジー統括部が手がける領域は、ものすごく広いと思います。

斉藤孝章・清田馨一郎

――そのようにして、社会への貢献度を高めていくにあたって、デジタルテクノロジー統括部は、今後さらにどのように進化していくべきだと考えていますか?

清田:残念ながら、現状では、「パーソルキャリアはテクノロジーも扱っている」と広く認知してもらえていないので、まずは、テクノロジー界隈におけるパーソルキャリアの知名度を高めていくために、社外へのアピールを継続していかなければなりません。

実は外部のテック系イベントに、パーソルキャリアのスポンサードをもらって登壇したのは私が初めてなんです。これも、必要だと思って自発的に動いたことなので、部のメンバーにも積極的に社外に出ていってもらいたいですし、出ていきやすい環境を整備したいと考えています。

斉藤:社内は、まずITを使いこなせるよう啓蒙することで、テクノロジーへの感度を高めていくことからすすめていきます。

清田:それに伴って、データガバナンス整備を働きかけていくことも重要ですね。人材サービス事業は、たくさんの個人情報を扱っていますが、テクノロジー活用によって、扱う情報の幅がより広がっていきます。慎重に取り扱わなければならないのは言うまでもないことですが、それは「気をつけましょう」と呼びかけたりするだけでは不十分です。セキュリティ管理に対しても「テクノロジーでどんなフォローができるか」を考え、より良い方法を実現させていかなければなりません。

斉藤:新たな課題や、パーソルキャリアや社会が求めていることに対して、従来の概念にとらわれない立場で、テクノロジーとビジネスの両輪でどうバランスをとっていくか。それを考え続けていくのがデジタルテクノロジー統括部の役目だと思っています。

(文=加藤学宏/編集=ノオト/写真=西田優太)

斉藤孝章・清田馨一郎

斉藤孝章

斉藤孝章 Takaaki Saito

テクノロジー本部 デジタルテクノロジー統括部 ゼネラルマネジャー

大学卒業後、自動車業界を経て、コンサルティング業界、EC業界、人材業界などのITガバナンス及びIT戦略・設計に従事する傍ら、管理職として組織構築に貢献。2016年にパーソルキャリア(旧インテリジェンス)に入社。同社のミッションである「人々に“はたらく”を自分のものにする力を」の実現をテクノロジードリブンでリードする。

清田馨一郎

清田馨一郎 Keiichiro Seida

テクノロジー本部 デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジーソリューション部 シニアエンジニア

システム開発会社で、PGから叩き上げでPMまで経験し、案件も大手企業基幹システムからソーシャルゲーム開発までと幅広く経験。2014年に株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)へ入り、現在は、ビジネスに機械学習を活用するプロジェクトのアーキテクト・開発者として、企画からサーバ保守まで従事。

※2020年1月現在の情報です。