みなさんこんにちは!テクノロジー本部 寺本です。
全社DX推進の第一歩として「人事本部におけるDX人材創出プログラム」を実施し、本プログラムを担当しております。この記事では2023年度下半期を通じて取り組んだ内容と結果をまとめて共有します。
課題感
私がこれまでの経験も踏まえて、事業会社の課題として捉えていることは、「ITプロジェクトに関わる社内人材の知識・スキル領域が分かれすぎている」ことでした。事業部門の社員は当然のことながらそれぞれの事業における専門的な知識・スキルを持っています。一方でITに関する知識は、日常業務で必須となる段階で留まっていることが多い印象です。
また、IT部門の社員はIT領域のプロではありますが、それぞれの事業領域の知識・スキルは往々にして持ち合わせていません。
ITプロジェクトを実施する際には、両部門が混ざった体制を取る事になりますが、互いの知識・スキル領域が分かれすぎている場面も多くあります。相手の領域における「言葉の意味」や「業務知識」などを身につけていないために、コミュニケーションが停滞することも、認識齟齬が起きることもありました。
もう一歩ずつ互いの領域に歩み寄れば、圧倒的にITプロジェクトの進みやすい良い組織になる・・・という個人の想いが取り組みの起点になっています。
その上に、「互いの領域の学習はキャリアパスの拡張に繋がる」、「事業環境の変化に適応するために会社としてテクノロジー知識を持った人材を増やす」などの目的も合わさって、今回のDX人材創出プログラムが開始されました。
この課題感はGoogle Cloud Next Tokyo '23 においても、弊社からお話しした内容がありますので、宜しければこちらの動画もご覧ください。
プログラム内容
これまでのITプロジェクトの実例をもとに、「もう一歩ずつ歩み寄るために必要な知識・スキル」を社内で取りまとめ、それらを習得するためのプログラムを整理しました。2023年度下半期を通して4つのプログラムを実施しています。
①プロジェクトマネジメント知識
一般的なITプロジェクトの進め方や、業務プロセスの整理など。
②ノーコードツール開発
目的は開発者の視点を経験することと、簡易アプリをIT部門に頼らず開発できる状態になること。
③BI開発
業務で活用するダッシュボードを構築すること。
④データ活用リテラシー
分析プロジェクトやBI開発のために、SQLの基礎などデータの扱いを理解すること。
人事本部の各部門からプログラムを実施しています。なお今後の展開として、チャンピオンを主軸とした周囲のメンバーへのレクチャーを予定しています。
プログラム結果
現在もプログラムは継続中ですので、全ての結果や効果が出ている状況ではありません。現時点で定量的に見えている数値と、今回のプログラム関係者による定性コメントを共有できればと思います。
定量的に見えている数値
本日までのアドベントカレンダーとして投稿された内容にもありますが、実際にAppSheetで作成されたアプリによる業務改善の効果が見えている数値としてあります。合計で、およそ268.9人日/月の工数削減を実現するアプリが生まれました。(まだ開発した直後でこれから業務適用となるアプリが多いため、見込み数値となります。)
プログラム関係者による定性コメント
- 新しいことを学べてスキルに繋がった。業務効率化することができた。普段接することの少ないメンバーとの繋がりも生まれた。(人事参加者)
- ノーコードでの開発中には、相談会などサポート体制があったことで課題を解決して作業が止まらず良かった。継続した相談先が欲しい。(人事参加者)
- データ分析や開発などの苦手意識が和らいだ。アプリ開発の面白さを知ることができた。(人事参加者)
- 人事業務の繁忙期と重なったこともあり、作業時間の確保が難しい。復習のための時間捻出も難しかった。(人事参加者)
- 人事全体でリテラシーが上がるプログラムになってほしい。(人事参加者)
- 組織課題としてプログラムの意義を十分にすり合わせできていない部分が残っている。(プログラム運営)
- プログラムを運営する立場として、内容により熟知している必要がある。(プログラム運営)
- ハッカソンで開発されるアプリが確実に業務に繋がる内容でありレベルが高い。 (プログラム協力企業)
プログラムとして当初想定していた一定の成果が見えています。また、獲得した知識の全てがすぐに業務適用される内容ではないため、今後じわじわと効いてくる部分もあるかと思います。
一方で今後に向けた改善点も見えています。プログラムの内容についての改善点だけでなく、内容以外でも組織として円滑にプログラムに取り組むために必要なポイントが浮かび上がっています。これらについては2024年4月からの取り組みに向けて修正していきたいと思います。
今後の展望
まずはここまで、全力で取り組んでいただいた人事本部からの参加者である”チャンピオン”の皆様。工数調整が難しい中で、新しい知識・スキル領域に踏み込み、プログラムを最後までやり切ったこと、率直に素晴らしいと思います。今後のITプロジェクトを想像した時に、大変心強く思います。
他にもプログラム実施にあたり多くの方々にご協力いただきました。皆様のおかげで半年間のプログラムをやり通すことができました。ありがとうございます。
本プログラムは改良の上、人事本部の中で展開を続けます。ひいては全社にも展開します。エンジニア視点でもコミュニケーションが取りやすく、さらに”はたらきやすい”環境に向かっていきます。
また一方で、逆方向の歩み寄りも実施していきます。事業会社のIT部門としては、引き続きIT領域のプロでありつつも、事業領域の知識・スキルをもう一段身につけて、一緒に事業を創っていきたいと思っています。
アドベントカレンダー最終回は、DX人材創出プログラムの運営からお送りしました。本記事をもって今回の Google AppSheetのアドベントカレンダーは終了となります!
寺本 孝太 Kota Teramoto
デジタルテクノロジー統括部 デジタルソリューション部 CODグループ マネジャー
独立系 SIer にてプログラマからキャリアをスタートし、B2C 系の Web サービスを中心にサーバーサイドの開発に従事し、SE・PL・PM を経験。その後、EC サイトや販売管理システムの刷新に携わり、2020 年にパーソルキャリアに入社。現在は、エージェント領域や法人領域を中心とした複数プロジェクトのマネジメントやデータ利活用の推進を担当。
※2024年3月現在の情報です。