ともに成長し合える環境づくりの一環として発足した「UXリサーチチームの本棚」
リサーチグループリーダー自身がこれまでに読んできた本をオフィスに置いておき、全国どの拠点にいてもメンバーが自由に読めるような仕組みを整えました。
実際にこの仕組みを使って書籍を読んだメンバーから「リサーチチームの本棚」を利用した感想および書籍の内容をご紹介します!
オノヤスヒロ さんのプロフィール
エンジニアリング統括部 UXデザイン部 UXリサーチグループ
2021年11月入社 福岡県からフルリモート勤務中
ユーザーの視点でのサービス企画、価値創出を実現するため、ユーザーリサーチや体験設計について勉強中
「UXリサーチチームの本棚」
成長し合える環境づくりとして発足した「リサーチチームの本棚」
UXリサーチグループリーダーの坂部が保有しているUXやデザインに関連する本(約100冊)をオフィス本棚に格納し、全国どの拠点にいてもメンバー全員が自由に読めるように。
メンバーが読みたいと思った本や、オススメの本を直接読んだり借りたりするだけでなく、郵送対応もすることで全国どこに居ても気軽に読めるようにした制度
ユーザーを深く理解するための学び、書籍選定
前回記事 にて
「リサーチャーとしての専門知識もインプットしていきたいと考えているが、これから業務にてサービス開発に携わる身として、デザインの考え方・理論など、概念的な学びにも挑戦したい」
というリクエストをし、UXリサーチチームのエキスパートの坂部さんに選んでもらった書籍の一つが「ジョブ理論 : イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」です。
UXリサーチャーの職務性質上、新規サービスの企画段階やサービス改善など、プロジェクトの初期段階から価値創出に関わることが多くあります。
プロジェクトに対して、ユーザーの行動や欲求について思考し、精度の高いユーザー視点を提供するために、ユーザーの思考・行動・欲求を深く探っていく必要があります。そのため、リサーチフェーズの専門知識に限らず、ユーザーの欲求を様々な観点から分析をしていく能力が求められます。
ざっくり「ジョブ理論」とはなんだろう?
ジョブ理論の最終目標は「顧客の抱えるジョブの解決」です。
本書の中で、「ジョブ」とは「ある特定の状況で、顧客(=ユーザー)が成し遂げたい進歩」と定義されています。
従来の ”ニーズ” を重視するマーケティングとは異なり、ユーザーの深層心理や実際の行動文脈に着目し、定性的な観点から、一人一人のユーザーの利用行動に焦点を当てます。
これまでのニーズ重視のマーケティング分析は
「顧客は商品やサービスを通じて、何を成し遂げたいのか?」
という視点で分析を進めていましたが、
ジョブ理論では、ユーザー行動の源泉となる”気持ちの変化” や ”消費が必要となる状況”を解決すべき対象として「ある特定の状況で、顧客が成し遂げたい進歩」を「ジョブ」と定義したのです。
「顧客の抱えるジョブの解決、成し遂げたい進歩」を実現する方法を提供し、ユーザーの欲求を実現させることがジョブ理論のアプローチです。
これらは「JOBSメソッド」と言われ、既存の製品やサービスの体験をよりユーザーライクに改善したり、既存事業の中から、新規事業のアイデアを見つけることができるとされています。
従来のマーケティング分析のアプローチとは異なり、定性的に、より具体レベルでユーザーの欲求や行動文脈に着目し、顧客の置かれている状況や、顧客が成し遂げたい進歩を理解し、イノベーションの起点にしようというメソッドとして注目されています。
UXリサーチャーにとってのジョブ理論
ジョブ理論では「ある特定の状況で、顧客が成し遂げたい進歩」がジョブと定義されており、ジョブ理論の最終目標は、顧客の抱えるジョブの解決です。
私が注目したのは、特定の状況において持っている欲望、解決したい事柄をジョブと定義し、”ジョブ” を解決するための手段として、商品やサービスを ”雇用する”という観点です。
ユーザーを より深く知るために、顧客がサービス利用、購買行動に関してどういったプロセス、思考を持っているのかを定性的分析をかけていく。
その過程で "ニーズ"という主観で想像する、抽象的な概念ではなく ”ジョブ” として定義し、ユーザー視点を獲得していく。
ということを本書の大きなテーマと捉え、
「誰が」「何を」ではなく、「どんな場面で」「なぜ」にフォーカスを当てるのが、ジョブ理論のポイントだと理解しました。
イノベーションを生むために不可欠な要素は、顧客の特性でもプロダクトの属性でもなく、顧客が置かれている「状況」と、その状況において追求したい進歩、つまり“ジョブ”であると言えます。
UXリサーチャーとして、日頃より業務の中でユーザーと向き合い続ける中で、インタビューや定性情報の分析の際に「ユーザーが抱えている心境は、どのようなジョブだろう?」「どのような状況で、なぜ、どんなジョブを解決したいと考えているのだろう?」いう問いが自分の中に生まれ、新しい観点で物事を考えられるようになりました。
新規事業の企画やサービス改善の現場において、ジョブ理論で説明されている観点はとても意味のあるものだということを感じました。
今後も、UXリサーチチームのメンバー視点で、身になる書籍をご紹介していきたいと思います!
オノ ヤスヒロさんのプロフィール
趣味で真剣にフィルムカメラを頑張っています。自分の表現を研究中。
※2022年1月現在の情報です。