柔軟で効率的な開発を――部署横断でエンジニア環境をゼロから構築した話

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techtektは、エンジニアリング組織としての制度や文化が醸成されていく過程を、「人」と「組織」にフォーカスしてお届けしています。そこにはまだまだ発展途上な環境や、ルールを作り始めたばかりの“リアル”をありのままにお伝えをしてきました。そんな環境を変えるべく、今回動き出したのは「柔軟で効率的な開発環境の実現」と「オフィス内/外を問わず同様のエンジニアリング業務を可能とする環境」を実現するために発足されたエンジニアリング環境構築プロジェクト。社内課題と市場の変化を捉え、どのように環境構築を検討し、またその先に目指す世界観について、キーマンである柿田、田村の2人に話を聞きました。

柔軟で効率的な開発への障壁とセキュリティの壁 

――まずは、お2人が中心になって取り組まれた、エンジニア環境構築プロジェクトの概略からお聞かせください。

田村:はい。そもそも、今回のプロジェクトでは「エンジニアの負荷軽減と開発効率の向上を図り、エンジニアリングを加速して、パーソルキャリアとしての競争力を得る基盤を作る」という事が目的でスタートしました。大前提をお伝えすると、他の記事でも度々出ていますが、弊社は個人情報や法人の顧客情報を取り扱っていることから、さまざまなルールのもと運営されています。

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リードコンサルタント 田村 孝一

ただ、エンジニアがこれらのルールをすべて守って、早く・がっつり開発していくにはいくつかの大きな障壁があると思っていまして、プロセスにおける課題としては「柔軟、効率的な開発実現の障壁」というものですね。

エンジニアは、トライアンドエラーを繰り返しながら開発してより良いサービスを創りたいではないですか。一部はすでに使えていますが、以前はクラウドサービス全盛の中で、それを使って早く試したいけれども、当社の場合には、本番ネットワーク相当のセキュリティレベル環境で開発をしているため「本当にそのサービスを使って問題がないか」を確認する利用申請(外部webサービス申請)をしなければいけません。でも、申請許可には早くて1カ月ほどかかります。その間は何もできないので、時間が止まってしまいます。

今後、技術が進歩してテクノロジードリブンで進めたいと思っても、タイムリーなキャッチアップに支障をきたしたり、コロナ禍において在宅勤務が標準化されたときに、開発エンジニアがこれまでと同様に業務継続ができる環境を用意する必要があると感じていました。

また、ネットワークに関する壁もありますね。社内ネットワークにつなげられる標準PCでは、USBも接続できないですし、セキュリティが担保できないサイト、例えばGithubなどを閲覧しようと思ってもブロックされてしまうので、情報が取りに行けないもどかしさもありますね。個人情報につながないPCであれば閲覧可能なので、2台持ち、という人も少なくありません。

 

――当社の機密情報にアクセスできるLANには開発用PCは繋げないですよね。

田村:そうです。現状の環境では、LANに接続するのに権限付与してもらったり、外部サービスをインストールためにソフトウェアの申請が必要になったり、そんな環境で開発をしています。とにかく何をやるにも時間がかかって仕方がない、権限がない、リモートで開発もできない状態でした。また、開発用に用意された“開発”がありますが、そこにはリモートから繋げない状態で、今後廃止を検討されることも聞いていましたが、その後継については特に言及がなく…。このままでは、どうにもならないと思い、デジタルテクノロジー統括部からきっかけをもらい、僕たちの方で今回のエンジニアの開発環境構築を起案したという経緯です。

柿田:我々が入社するずっと前から、こういった状況にありましたが、ここ最近、新しいエンジニアがどんどん入社してきて、声を上げる人が増えたこと、社内の方針として内製開発に舵を切っているので、内側で声が上がるようになったということです。

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リードエンジニア 柿田 一

以前のように外注が中心の体制だったら意識しないで済む話だったんだと思います。そしてこれまでの人数比率から考えてもルールが後追いで設定されているので、一部“なんとなくグレー”なまま進んできてしまった背景もあると思います。

 

――早く・がっつりと開発してもらいたい一方で、環境がそれに追い付いていない、といった印象ですね。ちなみに正しく理解をしたいんですが、申請やセキュリティが厳粛なのは、やはり私たちが個人情報を取り扱う事業会社であり、特に機微・機密情報をも保有しているので、これらを厳粛に管理しなければいけない、ということですよね?

田村:そうです、みなさんを守るためにそういう事になっているわけですね。

 

――それがコロナによって自宅で仕事をすることになって、開発する環境が難しいと露呈してきた。そんな時に、これらの機運が高まって、田村さんがまずはアサインされた、ということですね。

田村:そうですね。しかし前段がありまして、前年度に、別の似たようなタスクで、リモートで本番データを扱いたいという話が持ち上がっていて、その時から僕も関わっていました。結局うちは、個人情報を扱う会社なので、すぐに扱えるわけではありません。 

部署の壁はそんなにない――“きっかけ”がないだけ。

――田村さんのところに話が来て、どのようにチームを構成していったのでしょうか?

田村:自分がアサインされた時も、まだ又聞きの部分もあったので、GW明けに動き出しました。本件の大元は、デジタルテクノロジー統括部(以下、DT)の清田さんが起案していたので、テクノロジー企画部、DT、インフラ基盤統括部の人を呼んで、何がやりたいのかを聞き出すところから始まりました。そこで課題感や守るべきものを整理して、とっかかりとして、どこまでできるかを確認。6月に柿田さんが入ってきて、インフラ担当としてアサインをしてもらって、スタートしましたね。なので、もともとはテクノロジー企画、DT、インフラ基盤で始めたというのが走り出しですね。

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その後、この開発環境が完成したら使いたいところはいっぱいあるだろうということで、新規サービスを担う“サービス開発統括部”にこの取り組みを相談しまして、賛同いただけたのでMTGにも入っていただきました。そこからdodaサイトの開発を担っている“プロダクト開発統括部”にも声をかけ、今の体制になりました。

 

――皆さんが声をかけながら、広がっているんですね。そうすると部署は網羅している状況なんでしょうか?

柿田:プロジェクトとしては、パーソルキャリアに所属するすべての開発エンジニアを一応スコープとしていました。しかし、先ほど田村さんからあったように職安法(職業安定法)の規定があるので、いわゆる基幹システムであるARCS(アークス)やBAKS(バックス)など、生の個人情報に直接アクセスする人たちは、法律上の問題もあり、スコープアウトするしかないのかなと思っています。

 しかしプロジェクトとして「スコープ外です」と、宣言してしまうと、「自分たちは対象外か?」という声が上がってしまうので、少なくとも我々はそれで終わりにするつもりは到底ありません。かつ、風が吹いていると言いますか、情報セキュリティ部門が、エンジニアのマネジャーかと思うくらい、エンジニアの声に耳を傾けて応援をしてくれます。エンジニアサイドから言わなくても、「こうしなければARCS、BAKSの開発チームは環境改善されないのでどうにかしないといけない」、「法律やセキュリティの観点はそれであれば考えますよ」と言ってくれます。

 

――こういった多くの部署を巻き込むプロジェクトを進めると、各所からオーダーが上がってくると思うんですが、どんな風に進めていたんでしょうか?

田村:今回はコアなメンバーを集めて、プロジェクトを進めていきましたね。本当は、バランスを取って各部署から人を集めて、タスクを振って進めた方が良いと思いますが、今回はそれができませんでした。DTが走り出して柿田さんがアサインされたから、積み上げとして技術的な面は柿田さんにお任せして、セキュリティなどの要件整理は私がやるという感じで回ってしまいました。その分は僕たちに工数がかかっているんですけどね(笑)

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本来、技術検証があるので振りたかったのですが、そこがうまくアサインのハンドリングができなかったのが私の実力不足だと思います。うまく回ってしまったことが大きかったですね。

 柿田:まあ、上手くハマってしまったということもあり、このまま走ろうとなりましたよね。

 

――お二人の関係部署もそれぞれあり、仕事のやり方も違いますよね。そこを整理してみんなが仕事をやりやすく整えるのは凄く大変かと思いますが、そのあたりどうでしょうか。

田村:元々、持っている課題感が一緒でした。最初にDTから話を聞いて、個人情報などを扱わない代わりに外部webサービス申請を廃止して、こういうことを考えていますが、どうでしょうか?という感じで話をしました。そこから展開していったので方針がぶれなかったんですね。今回は向かう方向が一致して、それでOKと賛同いただけたのが大きいと思います。

 

――共通するものがあれば、部署、カルチャーが違ってもそれは障壁にはならないという話ですね。

柿田:今回について言えば、エンジニアが共通して持っている課題に対する解をもたらす、という利害関係の一致がありましたが、しかし部署によってアクセルの踏み方、変化球が投げられるかどうか、という違いがあるとは思います。私のいるDT統括部などは、手を替え品を替え、いろんな変化球を投げて実現しようとするところですが、基幹システムを持っている方々はルールに乗っ取って真正面からいきましょうという進め方をされます。そこのバランスを取る所がPMとして一番難しかったのではないかと思います。

田村:私はあまり細かい所は考えていないのですが、方向があっていれば、細かいやり方は各部署がスケジュール内にやればいいとしか考えていませんでした。それで何かあれば、PMの私が責任を取って謝罪をすればいい、としか考えていませんでしたね(笑)。

 

――各部署を客観的にとらえて進める柿田さんと、全体を俯瞰する田村さん。なんだか二人のやり取りがイメージできてきました。逆にお互いの進め方を見てきていかがですか?

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柿田:田村さんが仰っていましたが、やはり各部署いろんな色があるので、1個1個全力で立ち向かうと自分が疲れてしまうわけです(笑)。ある程度自分の色は消して、ニュートラルにいないといけないと感じましたね。

 田村:僕は自分を出すよりも、長い物には巻かれろというタイプです(笑)。しかし柿田さんは違って、情報セキュリティとの対応方法を見てもわかりますね。相手に同意しつつ、相手の立場に立ちながらも自分を出すという感じでしょうか(笑)。うまいですよね。

 

――一緒にやっていくから、お互いの手の内が見えてきますよね。

柿田:そうなんですよ。大体一緒にやっていると、「あ、今日はこのキャラクターでいくのね。じゃあ僕はこのキャラクターで行こう」ってなるんですよ(笑)。

田村:そうですね。最初はタスク分担くらいしか決めていませんでしたよね。もともとテクノロジー企画として僕が情報セキュリティ回りを担当し、技術的なことはエンジニアの方にお任せしたいということだけコンセンサスをとった感じですね。あとは、うまい具合にはまっていってくれた感じです。

 

――お二人がそれぞれで役割を意識しながら進めてこられたんですね。企画側や情報セキュリティなど他部署とはどのように進めてきたのですか?

田村:最初に情報セキュリティとは話をして、特に時間を要してしまう外部webサービスの申請なく進められるか、必ず守らなきゃいけないことは何なのか、ということの整理から始めました。個人情報や顧客情報を守ることが大前提なので、その情報を取り扱わないという条件であれば申請がなくても進められることがわかり、そこからスムーズにスタートできました。

 

――その時にはすでに柿田さんもジョインされていたのですか?

柿田:いたのですが、最初の上席のミーティングの後でジョインしてもらった感じですね。案件の主案は田村さんが勤務されているテクノロジー企画部です。私は、テクノロジー企画部に兼務していないのですが、どんどん勝手に入り込んでいる状態ですね(笑)。でも、セクションを分けて役割分担を明確にしない方が、線引きされないからやりやすいと思っています。あなたは、ここの部ではないのだから、入ってこないでという話は基本的にありませんね。

 

――これまでの取材でも情報セキュリティとのやりとりにはお互いの守るべきポイントが異なることから、進捗が難航する話も聞きましたが、いかがでしたか?

田村:正直に言うと、今回のプロジェクトを通して、情報セキュリティがこういう考えなのか!ということが初めてわかりました。何となく、私のイメージでは、“セキュリティは一番大事だから、IT活用は関与しない”!“スタンスなのかと勝手に思っていました(笑)。でも、このプロジェクトを通じて、まったくそんなことがなかったんですよね。

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柿田:部署が違うから役割が違うということもありますからね。各々が考えてやっているので意見の違いがある事は当たり前の話ですよ。だからそれを理解しながら進めることが大事ですよね。

 

――今回ハレーションが起こらずに上手くいった理由はなんでしょうか。

柿田:偉い人や経営向けに説明がある場合、資料を用意しますよね。前々日くらいまでふわっとしていて、“田村さん、本当に大丈夫かな”と思う時がありましたが、今日は集中してやると決めた場合は、しっかり仕上げてくるわけです。

田村:いやいや、追い込まれないとやらないだけですから(笑)。

柿田:ここ一番、って時はちゃんと仕上げてくる。そういうのもわかると安心感、信頼が積みあがってきて、今日ここに至るという話かもしれませんね(笑)。

 

――特に田村さん、今回のプロジェクトを前に進めるモチベーションの源泉はどこにあったのかを聞きたいです。エンジニアが開発しにくい環境というのはだいぶ前から言われている中、この3カ月くらいで成し遂げられたのは、どういった理由からでしょうか?

田村:本音で話しますね。あまりにも忙しすぎて、モチベーションを考える余裕がありませんでした(笑)。時間とタスクに追われていたということが1つ目としてあります。2つ目が、僕のポリシーですが、お金をもらっている以上は、やりたいことはやりたいけど、やらなきゃいけないことはやる、といって自分を抑えて仕事もします。3つ目は、やれば役に立つよねというのは、みんな分かっているので、これからどうなるかわかりませんが、やればいいことがあるかもしれないと思いました。

 

――モチベーションということもそうですが、最初の時点で、課題意識を共有して、何を解決しに行くのかを明確にすることで、進めていける、ということなんですね。

田村:はい。なんというか…同じ会社じゃんって思っているんですよね。先ほどから部署の壁という事を言っていますが、確かにそれはあります。ただ、他社と協業するよりは簡単だと思います。会社間であれば、

最大限努力して、失敗しても“ごめんなさい”で次に進められる。もちろん巻き込んだ社員の工数などはありますけど、そのものはごめんなさいで済みます。接点があって、始めてしまえば、壁はそんなに無いと思います。その”とっかかり”があるかどうかですよ。やってみたらそんなことない、ってなると思いますよ。

 

エンジニアが働きやすい環境作りにこれだけ積極的な会社はない

――柿田さんはいかがでしたか。入社されて間もないなかでアサインされたプロジェクトですよね。

柿田:まずインフラ絡みであるという点では、自分がずっとやってきた領域なので技術的な心配はありませんでした。まあ、冷静に落ち着いて出来ることを気負わずにやろうという感じで入っていきましたが、朗らかな懐の深いゼネラルマネジャー、後はマネジャーやエキスパートのサポートもとても大きかったと思います。お互いのレポートラインのところでも余計な事を考えさせられない、自分のやるべきことに特化させてもらえたが故にすごくスムーズに入れたと思います。

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以前のインタビューでセクショナリズムの話をさせていただきましたが、そういう事が本当にないです。クロスオーバーのコミュニケーションを円滑にする上で、大事な要素かと思います。

 

――なるほど。自分の力を最大限発揮するために、周りのサポートも大切ですし、セクショナリズムがないことも重要ですね。少し「これから」の話を教えてください。今後の変化でいうと、LANの影響を受けない環境が出来上がりつつある、という認識で合っていますか。

田村:本番環境と切り離したいが、本番から開発側にものをもっていけないと困りますよね。ハブを使って移送が出来るようにしましょうということを検討しています。 

柿田:Slackなどはこれからですね。コミュニケーションツールなどはまさにそうです。開発環境で使えないとなると、今までできていたのに何でできなくなるのか、業務が回らないなどという話が出てくると思いますので、少しずつ仕組を入れていきながら、アプリケーションごとに利用を許可していってもらうようなかたちで考えています。

田村:11月からフィジビリ運用をスタートし、来年の4月に本番展開予定なので、そこまでに対応できたら嬉しいですね。

 

――最終的な理想形は、開発環境と機密情報を取り扱うLAN側の環境がシームレスになるということでしょうか。

柿田:このプロジェクトの第一の目的は、セキュリティ担保だけではなく、“エンジニアにとっていかに効率的に柔軟に開発ができるようにするか”です。本当に必要最低限のところだけ縛って、後は自由に開発できるようにする――つまり本当に最低限、締めないといけない個人情報だけは、絶対に守らないといけないということです。

分かりやすくいうと、守らないといけないボトムラインは、すごくシンプルですね。あとは、そこを守りながら、それ以外は自由に使わせてあげるようにというところを、設定にどう落とすかというところを半年くらいかけて僕の方で注入していくという、そういう流れですね。

単純に、エンジニアに向けて最適な環境を配って終わりではなく、結局、エンジニアの業務が効率化された、改善されたなどの結果が伴わないと無駄な投資で終わってしまいます。そこはきっちり意識する必要があります。みんなが望んでいたことではありますが、使い勝手が悪いと浸透しません。

田村:やってみたけれども効率できないとなったら、みんな戻ってしまいます。改善しただけでは、自然にユーザー数が増えるわけではありません。結果に現れるのは、これからですよね。

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柿田:世の中にカスタマーサクセスマネジャーみたいなタイトルが出てきていますよね。ローンチして終わりではなくて、その後が大事ですよ。今は、環境がやっとできたに過ぎないわけですから。

 

――ちなみにこの2人だからこそ、これから新しく入ってくるエンジニアに伝えたいメッセージがあればお願いします。

柿田:エンジニアが働きやすい環境を日々作り出していく、改善していくことにこれだけ積極的な会社は無いと思います。先ほども言いましたが、情報セキュリティ部門も同じように思っています。私が情報セキュリティ部門の人だったら絶対に妥協しないですよ。評価基準はどれだけ守ったか、どれだけ事故をゼロにしたかですから、寄り添う必要はありませんよね。しかし、その立場のエキスパートの方が我々の方の立場に立って考えてくれます。言葉にはしていませんがとても感謝しています。そういう環境がとても整っていると思います。

 

――これからも変化していくという事を理解していただかないといけないですね。田村さんはいかがでしょうか?

田村:正直、一般的な事業会社の情シスとは違うと思います。メリットがあってそれを説明できるのであれば、何でもやらせてもらえるという風潮があるのかなと思います。例えば、売り上げに貢献してこうやっていきたいですというような自分の意思があれば何でもできるのではないかというのはあります。的確になにがダメだったかフィードバックしてくれる人が上にいると思いますので、確かにエンジニアの方にとっては働きやすい環境にあるとは思います。

 

――11月からPoCが始まります。直近で見据えている世界観、未来像があったらお聞かせください。

田村:本番側とのコミュニケーション、守る物は守ってコミュニケーションが取れる、今はPC2台持ち前提なのですが、これを開発端末だけで済むようになれば嬉しいなと思います。あとはデータの話ですよね。この人でなければできないという属人的な話を無くし、誰でもできるようにしたいのですが、セキュリティの壁、法律の壁があります。ですので、ここで開発をしつつ、コミュニケーションをLAN側と取りますというところを短期目標にしました。最終的にどこまでやるかはまたみんなで話をしないとなりませんね。

柿田:これからワーケーションみたいなことが始まるかもしれません。場合によっては「やりたいです」という人が出てくるかもしれませんよね。また外国の人も増えています。我々日本人の考え方や文化と違う人が入ってくるかもしれないので、そういう人たちが働きたいやり方に応えられないといけないと思います。

今は、個人情報を触ってサービスを拡張させる、集客力のあるプロジェクトがdodaなので、そことつなげることが構想としてありますが、法律的な壁があるのも確かです。でも、パーソルキャリアとしても、場所にとらわれない働き方を実現できる環境を用意したい。だから、まずは個人情報に触っていない所で技術の検証を重ねながら、そこをクリアした上で次の段階に進んでいこうという発想です。そういう意味でも、第一歩のプロジェクトですね。

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――これからの時代に即した“働き方”を実現するために重要なプロジェクトですね。応援しています!素敵なお話をありがとうございました!

(取材・文=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/撮影=古宮こうき)

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田村 孝一 Koichi Tamura

インフラ基盤統括部 システム共通BITA部 IT基盤グループ 兼 BITA統括部 テクノロジー企画部 テクノロジー推進グループ リードコンサルタント

SIer、ITコンサルティング会社、製品ベンダーにて開発やPM、技術コンサルティングを経験。2017年7月に株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に入社。現在はテクノロジー企画とIT基盤を兼務し、環境整備やシステム切り替えのプロジェクトなどを担当。

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柿田 一 Hajime Kakita

デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジーソリューション部 エンジニアリンググループ リードエンジニア

2020年6月入社。金融系のシステム保守からキャリアをスタートさせ、2社目のシンクタンクではPMとしてインフラ開発全般に関わる案件に幅広く従事。直近ではシンガポールに駐在し現地ベンダーを率いて顧客調整、予算管理、プロジェクト推進、チームビルディングなどを担当。

※2020年12月現在の情報です。