新たな「はたらく」を考える。 デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジービジネス部の挑戦

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前回、デジタルテクノロジー統括部についてゼネラルマネジャーの斉藤 孝章とシニアエンジニアの清田 馨一郎から、組織全体について話してもらいました。

HR Techで社会を変える! 個性派ぞろいのスペシャリスト集団・デジタルテクノロジー統括部の挑戦 - techtekt

今回はその中でも「ビジネス領域」を司る、デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジービジネス部です。テクノロジー活用を通じて、既存事業に新たな価値を創出し、新規事業を興す役割について、データ&テクノロジービジネス部 ゼネラルマネジャーの和田と同部署でエキスパートの役割を担う橋本に話を訊きました。

※この記事は2020年3月に取材したものです。

「妄想」とビジネスをつなげ、そこに情報やデータが必要―――

――デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジービジネス部について、教えてください。

和田:デジタルテクノロジー統括部には、アナリティクスチームとエンジニアチーム、ビジネスチームという3つから構成されています。

デジタルテクノロジー統括部では、テクノロジーを使って我々のサービスをどのように進化させていくかを考え、具現化していくのが基本的なミッションだと自覚しています。要するに我々が展開しているエージェント事業やメディア事業といった既存事業の進化を担いながら、新規事業のビジネスモデル考案を含めた長期的な世界観を構築するため、テクノロジーをどう活用していくかを考える部署ということですね。

中でもデータ&テクノロジービジネス部では、データを見ながら事業課題や社会の変化を感じ取り、テクノロジーの変遷などを考慮しながら、ビジネスの種を構想、企画をしています。

橋本:そうですね。部門のミッションついては和田さんの言う通り。個人的には、新しいテクノロジーを使ってトライ&エラーを繰り返しながら、新しいビジネスを作るところに面白味を感じています。

現在、私が担当している音声認識や動画解析 のプロジェクトもそうですが、新たなテクノロジーを応用することによって、既存業務の自動化が可能になったり、あるいはサービスそのものが社会の最先端に位置する“価値あるもの”に変わる可能性もあります。

つまり“こうなったら良いな”“こういう世界を実現できたらいいな”という妄想が重要になってくるんですね。“面白いから”とか“夢があるから”みたいなノリで取り組むような、そんな雰囲気があったりします。

我々はそれを「遊び」と呼んでいますが、“新しいことってどうしたら生まれるのか?”っていうことを妄想するのが得意なんです。その妄想をビジネスにつなげるために、情報やデータを集めてくるって感覚ですかね。

――「遊び」や「妄想」ですか。日常的な企業活動の中ではあまり聞くことのないキーワードですね(笑)。一般的な企業では、新規事業を展開する場合、KPIやロードマップ作成といった周到な準備が必要になったりしますが、そんな雰囲気ではないのですね。

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デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジー ビジネス部 ゼネラルマネジャー 和田 知也

和田:会社全体がテクノロジー活用について積極的かつ、挑戦的な風潮になっているので、妄想すること自体は、ある程度は許されているとは思うのですね。

でも2、3年かけても成果を出せないのであれば、それはビジネスとして、事業として許されることではありませんから、成果に対する責任と遊びが共存している状態と表現するのが正しいかもしれません。

――パーソルキャリア内でのデータ&テクノロジー ビジネス部としての立ち位置を教えてください。 

和田:未来のあらゆる選択肢のなかで、考え得るすべてのものを作る役割が私たちのポジションであると自覚しています。既存のエージェント事業やメディア事業を担っている部門のメンバーは、日々お客様と向き合って仕事をしています。もちろん営業なので、数字にコミットして前に進み、連続的な成長を考えなければなりません。一方の私たちは、どの事業部門にも属していない立場として、例えば面白いことを仕掛けて“新しい未来を創っていく”というような、別な側面から会社の成長を支えていく必要があると考えています。それは最近よく聞かれるようになったDXに近い考え方かもしれません。

橋本:メンバー全員が、パーソルキャリアの各事業にどのように貢献していくのか?という意識を持っているのは確かです。連続した成長を実現していくために、我々がどんな後押しができるかを真剣に考えているのですね。同時に、目先の改善だけではなく、来るべき未来に備える必要もあります。

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デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジー ビジネス部 シニアストラテジスト 橋本 久

音声認識プロジェクトもそうですが、我々は、データ解析によって各事業部の提供しているサービスの素晴らしさを明確に説明することで事業を後押ししています。これができるのも、「働く人の笑顔を見たい」という、共通した基本思想があるからですね。

“現業に携わってないからこそ見えるものがある”―――未来を創るビジネスとは

――“新しい未来を創っていく”ビジネスについて、詳しく教えてください。

和田:いくつかの切り口はあるかと思いますが、私たちが現在進行形で進めている、“マッチングの場づくりをもっと増やしていこう”という取り組みについて説明しますね。

私たちが展開しているのは、個人と法人を繋げるマッチングで、それってある程度の量に担保されたビジネスですよね。ところが、先々のことを考えると、少子高齢化が進み、労働人口が減少していくにつれ、当然のことながら転職の機会は働き方が多様化する中で選択肢は増えていきますよね。さらにいえば、転職したいと考えている方々の思いも、例えば単純に給料や企業規模だけが基準になっているわけでなく、どんどんパーソナライズされて複雑化しています。

一方で採用したい企業も、生産性や働き方改革が強く意識される時代の中で、採用を通じて人員補強をすることに重きを置くのではなく、IT投資や、それを推進するエンジニアや特殊技能を持つ社員を採用し、マネジメントすることなど、働き方の中身自体に投資する方向にシフトしています。

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従来のように求職者の属性や希望条件と法人の人材要件をマッチングさせることも重要ですが、私たちは、さらに“その人が会社に入って活躍できるのか?”といったところまで考慮した、きめ細やかなマッチングができないものか?その人が持っている嗜好性や、会社の風土を考慮するなど、様々な情報によるマッチングの可能性を追求しようと考えました。

そこで私たちが着目したのは、実際に求職者のお話をうかがい、転職支援をしているキャリアアドバイザーに蓄積されたノウハウです。求職者との間で交わされるコミュニケーション音声を収集・分析することで、きめ細やかなマッチングに必要なキャリアアドバイザーのノウハウデータが得られるのではないかと発想から生まれたのが、今回の音声データ活用という取り組みです。

橋本:蓄積されたデータから何かしらの意味のある傾向がつかめるのではないかと仮定しました。従来の紹介事業でいえば、候補者の属性やターゲット条件を組み合わせて自動配信する仕組みそのものに限界があり、そこに弊社の有能なキャリアカウンセラーやリクルーティングアドバイザーが保有するノウハウを加味することで、新しいマッチングの可能性を見いだせると仮定したのです。

――その“限界”というのは、フロント側からの声だったのか、それともデジタルテクノロジー統括部側からの提言だったのか。どちらでしょう?

橋本:両方です。現場から上がってくる課題に対して優先的に解決しようと考えるのは当然のことですが、その一方で、現業に携わっていないからこそ、外側から見えることもあると思うのです。目先の課題を解決するだけでなく、その先をどうするのか。それを考えるために、データから裏付けを取ったり、私たちが持っている過去の経験や知見から立てる仮説をベースに検討することも必要ですよね。もちろん、空論になってはいけないので、そこはきちんと現場とコミュニケーションを取りながら進めていく必要はあります。

和田:私たちのチームの中には、長く事業部門に在籍していたメンバーがいるので、まったく現場を知らないわけではありません。ビジネスの事業感覚を持っていたりするので、そのメンバーのノウハウを参考にすることもあります。

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橋本:現場からあがってくる課題に対して、私たちがより深く、広く目配りをしながらブラッシュアップした状態にして、また現場メンバーと話をすることが重要だと思うのですよね。現場の依頼を鵜呑みにせず、常にクリティカルシンキングの姿勢で整理することが必要です。私たちなりにあらかじめ調べておいて、“こういった課題があるのでは”と仮説を立てたうえで話をすることが多くあります。そこは、前職を含めたこれまでのキャリアやバックグラウンドの中で、それぞれに培われてきた技術的知見が活かされるものと感じています。

――このプロジェクトに限らず、“新しい未来を創るビジネス”の難しさって、どういった点にあると思われますか?うまくいかないビジネスの事例があったら教えてください。 

和田:そうですね…。“ビジョン追いすぎ問題”みたいなものはありますかね(笑)。例えば、“求人票を自動化できたらいい”というテーマがあったとしますよね。それって夢物語ではないですか。だって、求人票を作るという行為そのものに本来は価値があるわけではないですか。もちろん、その中にいくつかの業務プロセスがあるので、人が時間をかけるべきところは、そのまま人が時間をかけて価値を生むようにしておけばよいし、自動化することで価値が生まれる業務は自動化すればいい。それをきちんと区切って考える必要があります。

ビジョンを持ち、夢を描くことは良いけど、抽象的なままいきなり実現しようとするとビジネスになりにくいので、事象を具体化して、少しずつ取り組みを前に進めることをしないといけないですね。

――長期にわたり、範囲も広いプロジェクトであればあるほど、価値の返し方が難しいように思えますが、データ&テクノロジービジネス部として配慮している部分はありますか。 

橋本:その時点で、どのような価値があるかというのは仮説ベースで分かりますが、分析によって生まれる価値は、実際に現場で使ってもらわなければ実感できないものです。

ところが、ビジネスの流れを変えなければならないケースであったり、カスタマイズが必要な場合もあります。変える場合にもコストがあり、なかなか現場が動かないという現場もあります。そこは難しい部分ではあります。

今回の音声ソリューションの場合、導入してしばらく経って、分析結果が出てからその価値が発揮されるものです。単純にカウンセリングの履歴を残すだけであれば、人が手入力をしたほうが早いですが、音声をテキストで残しておくことで各々のパフォーマンスの差が分かり、分析すると「こういうことを言っているからハイパフォーマーだ」ということが見えてきます。

カウンセリング記録の入力という目的から、そこから引き出された傾向を教育に使用するというものに変わります。そこで、はじめて大きな価値を返すことができるので、“少し先に良いことがあるから使ってみないか”と提案して理解してもらうしかありません。

現場は協力的ですが、難しいのは事業側で優先される軸が我々と違うところで設定されているという点です。例えば現場では何かのKPIを追っているとします。そこに音声テキストをマッチングに活かすと提案したら、“それどころではない”と言われてしまうのがオチです。

そもそもKPIを上げるのであれば、短期的なところと中長期的なところでこのような可能性があると説明します。そこである程度の登り方について合意してもらえれば、事業側に短期的な価値を提供するよう努力して、その裏側の研究領域で中長期的に考えていくのがベターかと思っています。

――お互いの立場や目標が違うだけに、なかなか難しい問題ですね。

橋本:現場に音声をテストしてもらいたいときに、時間がないと断られることが何度もありました。しかし、プロジェクトをやめなかったのは、その先がありそうな気がしていたからです。

私たちが提供している価値は、HR領域において“人が人を動かす力”だと思っています。なので、優秀なキャリアアドバイザーのノウハウは蓄積すべきと考え、そこに価値があると確信していました。ある意味したたかでも研究領域として、別の切り口で機能を付け加えながら実際に使ってもらったり、自分のなかで温めてきたのです。音声の資産性について言及していた経営陣もいたので、それを励みにしながら淡々と進めてきましたね。

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和田:賛同者を作るというのは、我々にとって大事な仕事かもしれません。

橋本:賛同者を得るために私が行っていたのは、まず、私たちが提供しようと考えている価値に対して近い考えを持っているか?価値観や温度感の確認から入ります。

そして、人手による作業を少しずつ機械化してみせる。有用性は変わりませんし、音声もテキストも変わらないけど、使うシーンが違うだけで、実はそこに価値が生まれたりしますから、それを利用者に実感してもらうようにします。

これらを繰り返していくと“使ってみたい”という部署が出てきて、そこからトライ&エラーを繰り返しながら、使える状態に持っていくという流れです。

和田:理解者を作るというのは、結局、人と仲間になるということです。人と仲間になる条件って二つあると思っていて、まずひとつはゴールが同じであること。

その思いは、この会社の社員全員が共有しているはずなので、例え疑問を持っていたとしても、同時に“どうすればいいのか”という意見や思いも絶対に持っているはずです。なので、私たち企画と彼らの思いをどのようにしてくっつけるかを考えれば良いのです。また役割分担も重要ですよね。ゴールを共有して役割分担が明確になっていれば、自然に前に進めます。このコミュニケーションしかないと思っています。

――今後はどのような展開が待っているのでしょう。部門としてのビジョンをお聞かせください。

和田:デジタルテクノロジー統括部とデータ&テクノロジービジネス部は、会社の経営に重要なファクトを司る部署だと自覚。データテクノロジーという文化を他部門にも伝えていかなければなりませんよね。そういった意味でも、この組織の影響力を大きくしていきたいですし、組織自体も大きくしていきたい。他の部署にもデータテクノロジーという文化を伝えていくことも、役割として持たなければいけないと思っています。

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橋本:そうですね。前身のデータソリューション部を含めると3年が経過して、役割も大きく変わってきたような気がします。今は事業としていかに我々のサービスを売上やコスト削減に使ってもらい、ビジネスを回せる仕組みを作っていくフェーズに入ってきています。だからこそ仲間づくりは重要で、“データから妄想ができる人”であったり、“妄想を具現化して事業にどのように貢献できるかを一緒に考えてくれる方”にジョインしていただきたいですね。 

――この部署で活躍するためには、どんなマインドやスキルセットが必要でしょうか。

和田:採用要件として大事にしているのは、商売っ気やビジネス感覚です。

ロジカルシンキングやクリティカルシンキングのスキルはもちろん持っていて欲しいのですが、ただ単純に課題を抽出して、それを解決しただけというエピソードでは足りない。筋の良さを一番大事にしているかもしれませんね。

採用面接でも、その点に留意していて、例えば「あなたのミッションはどのようなものだったか」という質問をしたとします。それに対して「コンサルティングでアウトプットして成果物を上げた」という答えだけでは弱いと思っていて、どのような最終成果まで携わったのか、いかなる困難があって、どのようにして立ち向かったのかということを質問しています。

私たちは事業会社で事業を進めていく仲間なので、コンサルティングで終わっては意味がありません。課題を解決したうえで、どのような利益が生まれるのかというところまで見えなくてはならないと思っています。課題解決による利益創出までいかなければ、それは単なる机上の空論として扱います。要するに、現場のプロセスまで知ることが重要なのですよ。

パーソルキャリアはビジョンに対するコミットメントが高い会社であることは間違いないので、私たちはもっと利益であったり、ビジネスの部分にコミットメントしていくべきだと考えています。ビジョンのためにどのような夢を描くかは比較的パワーをかけて議論するのが好きな人たちが集まっているので、そこにさらに“ビジネス成立”を意識したパワーを注入する、そんな存在に私たちがなっていければと思います。

――ありがとうございました。

(インタビュー・編集=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/執筆=The Text Factory(エーアイプロダクション)/撮影=古宮こうき)

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和田 知也 Tomoya Wada

テクノロジー本部 デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジー ビジネス部 ゼネラルマネジャー

2003年にパーソルキャリア入社。アルバイトや転職の採用支援領域にて、メディア・商品・営業企画のミドル部門を中心にキャリアを歩む。
2019年にデジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジー ビジネス部のゼネラルマネジャーに着任

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橋本 久 Hisashi Hashimoto

テクノロジー本部 デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジー ビジネス部 シニアストラテジスト

大学院卒業後、大手コールセンターのアウトソーサーに入社、様々な業種のコールセンターに蓄積されるデータの利活用プロジェクトを手がける。その後、本格的にビッグデータをビジネスで活用するシステムインテグレータの会社に転職。主にGoogleCloudPlaltformを軸としたソリューションの企画設計と業務改善を担当。

※2020年5月現在の情報です。

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