リモートワーク推進も当たり前の水準に! 社員の“はたらく”を支える組織の挑戦

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エンジニアはもちろん、パーソルキャリアで働くすべての社員のために“はたらきやすい”環境をつくる――そんな“当たり前”のようで“難しい”ミッションを掲げるテクノロジー企画部をフォーカス。

一体、どのような期待に対してどのような価値を返そうとしているのか。ゼネラルマネジャーの廣へのインタビューを通じて、テクノロジー企画部の奮闘ぶりを追いました。

※この記事は2020年3月に取材したものです。

エンジニアが働きやすい環境を作るため“水面下”で進めること

——まずは、廣さんが在籍されているテクノロジー企画部の紹介をお願いします。

廣:元々は、BITA統括部の下に紐づいていたIT部が、この4月の組織改変によってテクノロジー企画部として生まれ変わりました。IT企画、IT推進、RPA推進の3つのグループそれぞれに役割がありますが、共通するキーワードは「横串」ですかね。

例えば、IT企画が行っているのは、事業に紐づいているIT組織の横串連携や、プロジェクトマネジメントを実施する際の品質の均一化や底上げだったり、あるいはIT投資をする際には投資基準を決定し、健全な投資ができるようにガバナンスを効かせる役割もあります。事業でいうところの“事業企画”みたいなことを一手に引き受けているチームですね。

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他にも色々な役割があって、ホールディングスのグループITと調整して線引きのルールを決めたり、情報セキュリティと連携してアドバイスをしたり、申請書類の支援をしたりすることも。BITA組織をより良くするためにキックオフを運営することもありました。

それが今回、IT企画からテクノロジー企画に変わったことで、さらに役割が広がりました。これまではBITA統括という組織だけを見ればよかったのですが、テクノロジー本部全体を視野に入れ、横串を入れる立場となりました。

これまでは、既存のルールや基準をいかにして守ってもらうのか?を考える立場にありましたが、今度は新しいテクノロジー組織のあり方をマネジメントやガバナンスという側面で描きにいく、そんな役割になったと自覚しています。

 

——これまではIT部という立ち位置の中でBITA統括部の横串連携をしている印象がありました。元々、何か課題があったのか、それとも他の目的があってそういった動きをしていたのでしょうか。

廣:各事業部の中にIT部門が入り込んでいると、どうしても事業側の要望を叶えるといところに目線がいってしまい、ネットワークもそこで完結してしまいがちです。それぞれに良い取り組みをしていても横展開できず、情報共有が滞って、IT部門全体としての高度化が出来なくなる恐れがありました。そこで私たちが間に入らせてもらって情報共有ができるようになると「それはうちでも使えるかもしれない、出来るかもしれない」という単純な話から連携が生まれます。グループとしての動きを伝えることで価値が生まれると考えていました。

 

——これまでは、IT部としてどのようなオーダーを受けてこられたのですか。

廣:IT推進チームには、全社、およびバックオフィスに対するIT導入がミッションとして与えられていました。バックオフィスという観点ではRPA推進チームと同じようにみえるかもしれませんが、RPA推進はBPRを軸にして、必要なソリューションをRPA化していくイメージ。でも、ケースによってはRPA以外のソリューションを導入しなければならない場合もありますよね。例えば、人事部門がExcelで休職者の管理をしていたとして、MicrosoftのPower Appsという簡単にアプリが作れるソリューションを活用すれば、画面を見やすくして検索もしやすくできる。そういった提案や導入のサポートを行うのが、これまでのIT推進の役割だったわけですね。

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それがテクノロジー企画部テクノロジー推進グループという立場に変わると、そこにエンジニアの環境改善というミッションが加わってきます。例えばエンジニアは世の中に出回っているSaaS製品を駆使しながら生産性を上げています。ところが現状では、自分が前職で使っていたものや評判が良いものなどを含めて、各々がバラバラに活用しているので、テクノロジー本部として、“これが標準だ”と言えるような指針を打ち出せたら良いと思っているのですね。あるいは、地味な取り組みかもしれませんが、“外部WEB申請代行”みたいな制度を設けることで開発環境が改善されると思っていますし、エンジニアもグローバルな目線を持たなければならないという意味では価値あることだとは思っています。

——エンジニアのための環境やルールが未整備だからエンジニアが苦労していると…?

廣:まあ、正直、そういう部分はあったかと思います(笑)。けっこう、エンジニアの皆さんが苦労している様子を目にしてきたんですよね…。なかなか答えが出ないからと、私のところに相談にくる方もいます。中には“それって実は一発で終わるのに…”と思うこともあって、情報共有さえできていれば済むことだと感じていました。

もちろんセキュリティ上、必要な申請は当然やってもらうとして、私たちテクノロジー企画としては、テクノロジー本部内のテクノロジー活用を推進する立場なので、グローバルにおける開発状況などを鑑みて、良さそうなソリューションをリストアップして外部審査を通していけるような状況になれば貢献度も高まるのではないかと思うのですよ。

そういった意味では、社内にどのような力を持っているエンジニアがいて、これから何をやろうとしていて、そのために何が必要なのか?何が困っているのかを把握する必要があると思っているのですね。なので、まずは皆さんに協力していただき、泥臭いヒアリングをする必要があると考えています。あくまで仮定ですが、そこからもしかしたら、“優秀な人はいるけれど、それが必ずしも統合されて集約されておらず、連携して力を発揮できているわけではないかもしれない”という現状が見えてくるかもしれません。そんな状態が改善できれば、会社の未来の力へと変えていける可能性があります。

わずか2週間で臨時VPNを構築。それを可能とした底力 

 

——廣さんが率いるIT部と言えば、先日、臨時VPNの構築に尽力されたことも記憶に新しいところですが、あの話はどのような流れからオファーが入ったのでしょうか。

廣:2月末頃、社内でコロナウィルスに関する危機管理本部が立ち上がりましたが、その1週間ほど前からすでに、経営層から話がありました。元々、私たちが使用しているVPNの上限人数はわずか200人で、社員数5000人に対して明らかに不足していました。これまでも台風や大雪の日には繋がりにくくなるという状態にありましたよね。ところが基盤そのものが古いので、これ以上の増強はできない。もしもオフィスが閉鎖するとなれば、少なくとも1000人単位でリモートワークをしなければならないので、VPNを別で作るのか、もしくは既存のものを拡張するのか、その手立てを考えてほしいと言われました。

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役割としては私が情報セキュリティを含めた全体調整と統括を担当し、AWS推進のメンバー2名に技術的な部分を見てもらおうという話になりました。

 

——かなりハードルの高そうなオファーですね(汗)。

廣:そうですね(苦笑)。まず、クリアしなくてはいけなかったのが、情報セキュリティの壁でしたね。一般の社員については、リモートワークで個人情報を扱ってはいけないというルールがあります。なので、例えば中途採用者の履歴書が見れなかったり、dodaに登録しているお客様の情報が見れなかったり、そもそも基幹システムにアクセスができないようになっているのですね。もちろん厳粛にデータを守り、管理しながら、それらのセキュリティを解除するかどうかという問題に対して、どのように調整しくのがベターかという点に悩みました。 

技術的に拡張が無理だと言われているので、追加をしなくてはならないのですが、新たにVPNを契約したとしても1か月ほどはかかってしまいます。現に、ホールディングスのグループITがようやく新しいVPNを提供し始めていますが、やはり契約から1か月が経過していますね。だから、最初に「来週までに」と期限を提示されて時には“いやいやいや”と(笑)。また、もしも全社で利用できるVPNを導入できたとしても、どのようにコントロールするのか?という問題もありました。申請はどうするのか?どのようなルールを設けて運用するのか?問題は山積みでしたが、その一方で“もしも実現できたら面白いだろうな”とも思っていましたね。

——“面白い”と?

廣:私たちは普段、障害対応もしていますが、そういう時には、関係者全員が一つの目的に向かって動き目の前の課題をクリアしていきます。なので通常では突破できない壁も突破できるかもしれない、そう考えたら、ちょっと面白そうだなと(笑)。

——「来週までに」と言われて、どのように立ち回ったのですか?

廣:もちろん通常は1か月ほどかかるということは上層部も理解していて、そのうえで“何とかしたい”という思いがあることはくみ取りました。最終的には、“2週間後には環境があるようにしてほしい”と言われて、そこで合意しましたね。技術的に本当に無理なら、それまでだと思いましたが、アサインされたメンバーの中にデータベースに詳しい人が2人もいたので、どうにかなるなと思っていました。

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同時に、この機会に会社が変わることに関して面白さと使命感を覚え、それが“何とかやりきろう”と思える着火点になったのかもしれません。こういうことって、平時においてはコストや情報セキュリティの壁があるので、どうしても後回しにしてしまいがちではないですか。台風の時だって乗り越えたんだから、“今は必要ないよね”って思われがちですし。今回の件は、突貫でもいいから、なんとかやれる方法を探してほしいと言われていました。いつもは制約条件がたくさんある中での作業となりますが、今回はとにかく、スピード感を持って前に進めることが優先されていたので「よっしゃー!」という感じでした(笑)。

“守っていたら、いつの間にか攻めている”状態をつくる 

——結果的には、目的を達成したわけですが、その成功要因を自己分析すると?

廣:そうですね。皆さんの期待よりも3日ほど早く開通し、顧客情報に関わる社員については、厳粛なルールを引きながら、問題なく業務遂行ができるようにしました。結果的には3000人まで利用可能な臨時VPNを開通することができました。今回の成功要因は、やはり役割分担がうまくハマったのかなと思っています。AWSに詳しい方に、臨時VPNの構築に専念してもらって、グループITの経験者には、ホールディングスとパーソルキャリアの間でAWSの領域のすみ分けや作業の進め方について調整をしてもらいました。要するに私たちだけでなくグループITにも動いてもらわないと進まない作業もあったので。そして私は全体統括という立場で対策本部に入っていたので、周囲の関係各所と現状把握と共有に努めていました。

——お話をうかがっていると、IT企画の仕事って、単純に守るだけでなく、守るために攻めることも必要なのだなって思いました。

廣:そうですね。個人的には守っているだけでは価値がないと考えているので、できるかぎり攻めたいと思っています。ただ攻め方が特殊なのですよ。“守っていたら、いつの間にか攻めてる”みたいな、そんな状態になっているのが理想ですね。

とはいえ、ルール無視の“攻め”は絶対にあり得ませんが、縛られているだけではダメ。そのルールの解釈を一緒に考えながら「私たちはここまで出来る」ということをグループITや情報セキュリティに対して言っても問題ない組織にしたいと思います。私たちが危なっかしい組織でいると反対されてしまうので、ルールを守りつつも、額面通りの解釈だけではなく、プラスαの解釈によって実行することが価値を生んでいることを実証できるようになれば良いと思っています。

——それは廣さんやテクノロジー企画部に対する信頼の問題なのか、それとも話の持っていき方によって解決することなのか、どちらでしょう?

廣:その両方だと思いますよ。話の持っていき方も角が立たないように意識していますし、守るべきところは守っているから信頼されるのだと思います。そして、それを口だけで終わらせないってことも重要ですよね。

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向いている方向は皆同じで、会社やグループを良くしたいとか、社会貢献をしたいって思いは共通意識としてどこかにあると思うのですよね。たまたま検討の過程で、そのようなルールという形になってしまっただけの話で、根底にある本質的な部分が守られている提案であれば、誰もが理解できる納得できるような気がします。

——今回の仕事をやり切って、率直にどのような思いを持ちましたか。

廣:改めて自分たちの技術力や総力を再確認できた、そんな貴重な機会になった気がします。みんなで集中すると2週間で結果を出せると分かったことで、自信にも繋がりましたね。

今後の仕事に活かせるかどうかという観点でお話をすると、今回の問合せ対応はIT企画部で担当したのですが、営業部門の方から問合せの電話をいただくたびに、アルバイト領域でBITAの障害対応やanのお客様対応も担当していた人が手順書を分かりやすくバージョンアップしてくれました。こういった細やかでスピーディな対応って必要だなって思いましたね。 

私自身、これまで体験してきた障害対応のようにマイナスをゼロにするような仕事でなく、今回のようにマイナスをプラスに持っていくポジティブな仕事を体験できて、本当に良かったと思っています。

——ありがとうございました!

(インタビュー・編集=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/執筆=The Text Factory(エーアイプロダクション)/撮影=古宮こうき)

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廣 泰介 Taisuke Hiro

テクノロジー本部 BITA統括部 テクノロジー企画部 ゼネラルマネジャー

2006年にパーソルキャリア(旧:インテリジェンス)に新卒入社。キャリアアドバイザー、営業企画部門を経て、2012年よりシステム(BITA)部門へ配属。

2015年にマネジャー着任。2020年より現任。 

※2020年5月現在の情報です。