
- はじめに
- Snowflake Intelligence とは?
- 何が便利なのか
- 実際に使ってみた
- どんな場面で役に立ちそうか?
- 導入時に工夫したポイント(導入Tips)
- 導入して気づいた「良い点」と「課題」
- 最後に:Snowflake Intelligence がもたらす未来
はじめに
近年、「生成AI × データ活用」が急速に広がっています。
これまでは SQL の経験が必要だったり、ダッシュボード作成に時間がかかったりと、データ活用にはどうしても「専門職の力」が必要でした。
一方で、ビジネスの現場では「もっと気軽にデータを触れられたらいいのに」というニーズが確実に高まっています。
私たちの部門でも、こうした課題を解決するために Snowflake をカスタマーデータプラットフォーム(CDP)として導入し、顧客データを横断的に統合する取り組みを進めてきました。顧客行動データや各種タッチポイント情報の一元管理に向け、データ活用の基盤を整えています。
※参考記事:大企業でSnowflakeをCDPとして採用した話 - techtekt
しかし、データが整ってくると次に浮かぶのが、「このデータを、もっと簡単に・もっと多くの人が使えるようにしたい」という思いです。
そんな中で登場したのがSnowflake Intelligenceです。
CDP に蓄積された膨大な顧客データを、SQL のスキルがなくとも扱えるようになる可能性があり、私たちが目指す「データ活用の民主化」に向けて大きな一歩となり得ます。
この記事では、難しい技術解説はなるべく避けつつ、
-
Snowflake Intelligence を使うと何ができるのか?
-
CDPとの相性はどうか?
-
実務でどんな場面で役立つのか?
を、実際に触ってみた所感も含めて紹介します。
Snowflake Intelligence とは?
Snowflake Intelligence(以下、SI)は、Snowflake が提供するAIアシスタント機能 です。
ユーザーはSQLを書かなくても、チャットのように質問するだけで データの取得・分析・要約・可視化 ができます。
イメージとしては
-
ChatGPT に話しかける気軽さで
-
Excel や BI ツールのような分析が
-
Snowflake のセキュアな環境で完結する
というものです。
なぜこれが新しいのか?
従来は
-
SQLを書く
-
テーブルを結合する
-
データを整形する
-
BIツールに渡してグラフ化する
というステップが必要でした。
SIはこれらの操作を自然言語ベースで一体化し、AI が裏で最適な処理を行います。
たとえば
「今月の売上を地域別にグラフで見せて」
と入力すると、
AIがSQLを書いて実行し、表やグラフまで生成します。
こうした「専門知識を介さずに分析できる環境」が最大の特徴です。
何が便利なのか
Snowflake Intelligence の強みは、専門家にとっても、ビジネスユーザーにとってもメリットがある点です。
① SQLが書けなくてもデータに触れる
ビジネス側の方が、
-
ざっくり分析したい
-
データの雰囲気だけ見たい
といった時に、SI は最適です。
SQLを覚える必要がないため、「データチームに毎回依頼していた軽めの分析」が自分でできる ようになります。
② 自然言語で会話できる
複雑な操作は不要で、ただ質問するだけ。
例:
-
「直近3か月の応募数の推移を折れ線グラフで」
-
「○○県の顧客数の内訳を表で」
-
「この表のポイントを3行でまとめて」
言語で依頼 → AI が必要なSQLや可視化を自動生成
という流れなので、学習コストが非常に低い(ほぼ0)です。
③ 表・グラフまでワンクリックで生成
BIツールを開かずとも、Snowflake の画面内で表やグラフがその場で見られます。
※2025/12現在、棒/円/折れ線の3種のグラフに対応
④ Snowflake 内のデータ+ファイルも扱える
実はSIは、
-
CSV
-
PDF
-
テキストファイル
など、非構造化データも検索/要約できます。
社内の問い合わせ対応や、過去資料の要点抽出などにも使えます。
実際に使ってみた
ここからは、実際に Snowflake Intelligence(SI)を触って感じたポイントを紹介します。
今回は例として、架空の「応募データ」を用いて、「直近3か月の応募数の推移を確認する」 という基本的な分析を試してみました。
ステップ1:自然言語で質問してみる
まず、SI のチャット欄にこう打ち込みます:
「直近3か月の応募数の推移を折れ線グラフで見せて」
特別な操作は必要なく、ChatGPT にメッセージを送る感覚です。
ステップ2:AIがSQLを生成し、実行まで自動で実施
数秒ほどで、SI が
-
最適なテーブルを選び
-
適切なSQLを生成し
-
データを取得
-
表形式で結果を提示
-
さらに折れ線グラフまで作成
という一連の流れを自動化してくれます。
ここまで、ユーザーは一言もSQLを書いていません。

ステップ3:結果を見やすく要約してくれる
さらに、
「この結果の要点を3行でまとめて」
とお願いすると、AI が以下のような要点を生成してくれます:
-
直近3か月では ○月が最も応募数が多い
-
前月比では △% 増加
-
特定エリアの応募が全体の伸びを牽引している
業務でレポートを書く際、初稿としてそのまま使えそうなレベルです。
ステップ4:追加質問もそのまま継続できる
チャットはそのまま文脈を覚えてくれるため、
-
「エリア別の内訳も棒グラフで」
-
「じゃあ○○県に絞って時系列を見せて」
といった追加分析も、会話の続きとして自然に行えます。
どんな場面で役に立ちそうか?
ここでは、実際に役立つシーンをいくつか紹介します。
① ビジネスサイドのアドホック分析
-
「会議前にざっくり数値を確認したい」
-
「KPIの直近の動きをざっと把握したい」
-
「数分で結果がほしい」
というケースでは、SQLを書ける人を待たずに、自分で判断できます。
② ダッシュボードでは「微妙に足りない」追加分析
みなさんの会社でも「ダッシュボードではこの切り口が見られない」という場面はあるはずです。
SI を使えば、
-
任意のフィルタ
-
任意のグラフ形式
で追加分析できるため、担当者の「ちょい足し分析」に最適です。
③ チャットでの資料作成サポート
SI は「説明文の生成」が得意です。
-
週次レポートの初稿作成
-
社内共有用の要点整理
-
KPIの動きの要約
など、文章作成の手間を大幅に減らせます。
④ 過去資料・PDF の検索/要約
非構造化データにも対応しているため、
-
PDF資料から要点だけ欲しい
-
仕様書の該当箇所を検索したい
-
契約書から特定の条文内容を探したい
など、資料リサーチの負担も減らせます。
導入時に工夫したポイント(導入Tips)
SI を導入するにあたり、私たちの部門では「いきなり全社展開する」のではなく、いくつか小さな工夫を取り入れました。
① スモールスタートで「成果が出しやすい領域」に注力した
まずは、利用頻度が高く、ビジネスインパクトが大きい領域に絞って AI エージェントを開発しました。
たとえば、
-
Snowflake 内のデータカタログを検索するエージェント
-
KPI 分析を補助するエージェント
など、ユーザーのニーズが明確な領域から着手しました。
② 利用ログをモニタリングし「よく使われるニーズ」を可視化した
SI のログを取得・可視化し、
-
どんなプロンプトが頻繁に投げられているか
-
どの分析パターンが繰り返し利用されているか
といった利用傾向を把握できる仕組みを構築しました。
ある程度パターンが見えてきたら、定常モニタリングの整備につなげたりと、継続的なアップデートが可能になりました。
③「使われ続ける状態」をつくるための運用を最初から意識した
SI の特性上、「導入しただけでは定着しない」ことが予想されたため、
-
ガイドライン整備
-
使い方テンプレートの準備
-
使われ方を継続的に観察する仕組み
など、最初から運用面も意識しました。
大掛かりなものではなく、「まず使ってみてもらうための最低限のサポート」に集中したことで、利用ハードルを下げることができました。
導入して気づいた「良い点」と「課題」
実際に触ってみて、SI には明確なメリットがありつつ、
「ここは事前準備が必要」と感じた点もありました。
【良い点】
① データ活用のスピードが大きく向上する
日常的な分析はほぼ自然言語で完結し、待ち時間の大幅な削減が期待できます。
② ビジネスユーザーの自走が進む
データチームに依頼するほどでもない分析を、「自分で」行えるようになることで、組織全体の動きが早くなることが期待できます。
③ レポート作成業務が軽くなる
初稿を SI に作ってもらい、人間が仕上げるスタイルが定着すると、業務負荷が大きく減ります。
【課題】
① データ構造が整理されていないと、回答精度が落ちる
-
テーブルが多い
-
カラム名がわかりにくい
-
意味が曖昧
の状態だと、AI が正しいSQLを書けない場合があります。
→ データモデリングやセマンティックモデル整備が重要
② 利用ルールや権限設計は必須
特に内部情報を扱う場合は、
-
どのユーザーが
-
どのデータにアクセスしてよいか
の整理が欠かせません。
→ ロールによるアクセス制御が必須
③ 万能ではない前提で運用する必要
AI が出した結果をそのまま信じるのではなく、人間が最後にチェックする仕組みが必要です。
最後に:Snowflake Intelligence がもたらす未来
Snowflake Intelligence は、単なるSQLを生成するツールではありません。
データ活用の主役を、専門職だけでなく全社員に広げるツール
と言っても過言ではありません。
-
データ分析のハードルが下がり
-
ビジネスのスピードが上がり
-
データチームはより高度な業務に集中できる
そんな未来が、すぐそこまで来ています。
まだ進化途中の機能ですが、AI × データ基盤が一体化する時代の入り口として、非常に大きな可能性を感じるプロダクトでした。
今後のアップデートにも期待したいと思います。

黄倉 大輔 Okura Daisuke
テクノロジー統括部 テクニカルプロダクトマネジメント部 DX&AXグループ
2025年にパーソルキャリアに中途入社。前職でのデータ領域のコンサルタント経験を活かし、法人向けのダイレクトソーシングサービスである「doda ダイレクト」でDX推進、データ領域を担当しています。
※2025年12月現在の情報です。
