Snowflake Intelligence 導入レポート ― セマンティックモデル × 自然言語SQL がもたらす、これからの"AI×データ”活用体験 #PERSOL CAREER Advent Calendar2025

はじめに

近年、「生成AI × データ活用」が急速に広がっています。
これまでは SQL の経験が必要だったり、ダッシュボード作成に時間がかかったりと、データ活用にはどうしても「専門職の力」が必要でした。

一方で、ビジネスの現場では「もっと気軽にデータを触れられたらいいのに」というニーズが確実に高まっています。

私たちの部門でも、こうした課題を解決するために Snowflake をカスタマーデータプラットフォーム(CDP)として導入し、顧客データを横断的に統合する取り組みを進めてきました。顧客行動データや各種タッチポイント情報の一元管理に向け、データ活用の基盤を整えています。

※参考記事:大企業でSnowflakeをCDPとして採用した話 - techtekt

しかし、データが整ってくると次に浮かぶのが、「このデータを、もっと簡単に・もっと多くの人が使えるようにしたい」という思いです。

そんな中で登場したのがSnowflake Intelligenceです。

CDP に蓄積された膨大な顧客データを、SQL のスキルがなくとも扱えるようになる可能性があり、私たちが目指す「データ活用の民主化」に向けて大きな一歩となり得ます。

この記事では、難しい技術解説はなるべく避けつつ、

  • Snowflake Intelligence を使うと何ができるのか?

  • CDPとの相性はどうか?

  • 実務でどんな場面で役立つのか?

を、実際に触ってみた所感も含めて紹介します。

Snowflake Intelligence とは?

Snowflake Intelligence(以下、SI)は、Snowflake が提供するAIアシスタント機能 です。
ユーザーはSQLを書かなくても、チャットのように質問するだけで データの取得・分析・要約・可視化 ができます。

イメージとしては

  • ChatGPT に話しかける気軽さで

  • Excel や BI ツールのような分析が

  • Snowflake のセキュアな環境で完結する

というものです。

なぜこれが新しいのか?

従来は

  1. SQLを書く

  2. テーブルを結合する

  3. データを整形する

  4. BIツールに渡してグラフ化する
    というステップが必要でした。

SIはこれらの操作を自然言語ベースで一体化し、AI が裏で最適な処理を行います。

たとえば

「今月の売上を地域別にグラフで見せて」
と入力すると、
AIがSQLを書いて実行し、表やグラフまで生成します。

こうした「専門知識を介さずに分析できる環境」が最大の特徴です。

何が便利なのか

Snowflake Intelligence の強みは、専門家にとっても、ビジネスユーザーにとってもメリットがある点です。

① SQLが書けなくてもデータに触れる

ビジネス側の方が、

  • ざっくり分析したい

  • データの雰囲気だけ見たい
    といった時に、SI は最適です。

SQLを覚える必要がないため、「データチームに毎回依頼していた軽めの分析」が自分でできる ようになります。

② 自然言語で会話できる

複雑な操作は不要で、ただ質問するだけ。

例:

  • 「直近3か月の応募数の推移を折れ線グラフで」

  • 「○○県の顧客数の内訳を表で」

  • 「この表のポイントを3行でまとめて」

言語で依頼 → AI が必要なSQLや可視化を自動生成
という流れなので、学習コストが非常に低い(ほぼ0)です。

③ 表・グラフまでワンクリックで生成

BIツールを開かずとも、Snowflake の画面内で表やグラフがその場で見られます。
※2025/12現在、棒/円/折れ線の3種のグラフに対応

④ Snowflake 内のデータ+ファイルも扱える

実はSIは、

  • CSV

  • PDF

  • テキストファイル
    など、非構造化データも検索/要約できます。

社内の問い合わせ対応や、過去資料の要点抽出などにも使えます。

実際に使ってみた

ここからは、実際に Snowflake Intelligence(SI)を触って感じたポイントを紹介します。

今回は例として、架空の「応募データ」を用いて、「直近3か月の応募数の推移を確認する」 という基本的な分析を試してみました。

ステップ1:自然言語で質問してみる

まず、SI のチャット欄にこう打ち込みます:

「直近3か月の応募数の推移を折れ線グラフで見せて」

特別な操作は必要なく、ChatGPT にメッセージを送る感覚です。

ステップ2:AIがSQLを生成し、実行まで自動で実施

数秒ほどで、SI が

  • 最適なテーブルを選び

  • 適切なSQLを生成し

  • データを取得

  • 表形式で結果を提示

  • さらに折れ線グラフまで作成
    という一連の流れを自動化してくれます。

ここまで、ユーザーは一言もSQLを書いていません。

ステップ3:結果を見やすく要約してくれる

さらに、

「この結果の要点を3行でまとめて」
とお願いすると、AI が以下のような要点を生成してくれます:

  • 直近3か月では ○月が最も応募数が多い

  • 前月比では △% 増加

  • 特定エリアの応募が全体の伸びを牽引している

業務でレポートを書く際、初稿としてそのまま使えそうなレベルです。

ステップ4:追加質問もそのまま継続できる

チャットはそのまま文脈を覚えてくれるため、

  • 「エリア別の内訳も棒グラフで」

  • 「じゃあ○○県に絞って時系列を見せて」

といった追加分析も、会話の続きとして自然に行えます。

どんな場面で役に立ちそうか?

ここでは、実際に役立つシーンをいくつか紹介します。

① ビジネスサイドのアドホック分析

  • 「会議前にざっくり数値を確認したい」

  • 「KPIの直近の動きをざっと把握したい」

  • 「数分で結果がほしい」

というケースでは、SQLを書ける人を待たずに、自分で判断できます。

② ダッシュボードでは「微妙に足りない」追加分析

みなさんの会社でも「ダッシュボードではこの切り口が見られない」という場面はあるはずです。

SI を使えば、

  • 任意のフィルタ

  • 任意のグラフ形式
    で追加分析できるため、担当者の「ちょい足し分析」に最適です。

③ チャットでの資料作成サポート

SI は「説明文の生成」が得意です。

  • 週次レポートの初稿作成

  • 社内共有用の要点整理

  • KPIの動きの要約

など、文章作成の手間を大幅に減らせます。

④ 過去資料・PDF の検索/要約

非構造化データにも対応しているため、

  • PDF資料から要点だけ欲しい

  • 仕様書の該当箇所を検索したい

  • 契約書から特定の条文内容を探したい

など、資料リサーチの負担も減らせます。

導入時に工夫したポイント(導入Tips)

SI を導入するにあたり、私たちの部門では「いきなり全社展開する」のではなく、いくつか小さな工夫を取り入れました。

① スモールスタートで「成果が出しやすい領域」に注力した

まずは、利用頻度が高く、ビジネスインパクトが大きい領域に絞って AI エージェントを開発しました。
たとえば、

  • Snowflake 内のデータカタログを検索するエージェント

  • KPI 分析を補助するエージェント

など、ユーザーのニーズが明確な領域から着手しました。

② 利用ログをモニタリングし「よく使われるニーズ」を可視化した

SI のログを取得・可視化し、

  • どんなプロンプトが頻繁に投げられているか

  • どの分析パターンが繰り返し利用されているか

といった利用傾向を把握できる仕組みを構築しました。

ある程度パターンが見えてきたら、定常モニタリングの整備につなげたりと、継続的なアップデートが可能になりました。

③「使われ続ける状態」をつくるための運用を最初から意識した

SI の特性上、「導入しただけでは定着しない」ことが予想されたため、

  • ガイドライン整備

  • 使い方テンプレートの準備

  • 使われ方を継続的に観察する仕組み

など、最初から運用面も意識しました。

大掛かりなものではなく、「まず使ってみてもらうための最低限のサポート」に集中したことで、利用ハードルを下げることができました。

導入して気づいた「良い点」と「課題」

実際に触ってみて、SI には明確なメリットがありつつ、
「ここは事前準備が必要」と感じた点もありました。

【良い点】

① データ活用のスピードが大きく向上する

日常的な分析はほぼ自然言語で完結し、待ち時間の大幅な削減が期待できます。

② ビジネスユーザーの自走が進む

データチームに依頼するほどでもない分析を、「自分で」行えるようになることで、組織全体の動きが早くなることが期待できます。

③ レポート作成業務が軽くなる

初稿を SI に作ってもらい、人間が仕上げるスタイルが定着すると、業務負荷が大きく減ります。

【課題】

① データ構造が整理されていないと、回答精度が落ちる

  • テーブルが多い

  • カラム名がわかりにくい

  • 意味が曖昧
    の状態だと、AI が正しいSQLを書けない場合があります。

→ データモデリングやセマンティックモデル整備が重要

② 利用ルールや権限設計は必須

特に内部情報を扱う場合は、

  • どのユーザーが

  • どのデータにアクセスしてよいか

の整理が欠かせません。

→ ロールによるアクセス制御が必須

③ 万能ではない前提で運用する必要

AI が出した結果をそのまま信じるのではなく、人間が最後にチェックする仕組みが必要です。

最後に:Snowflake Intelligence がもたらす未来

Snowflake Intelligence は、単なるSQLを生成するツールではありません。

データ活用の主役を、専門職だけでなく全社員に広げるツール
と言っても過言ではありません。

  • データ分析のハードルが下がり

  • ビジネスのスピードが上がり

  • データチームはより高度な業務に集中できる

そんな未来が、すぐそこまで来ています。

まだ進化途中の機能ですが、AI × データ基盤が一体化する時代の入り口として、非常に大きな可能性を感じるプロダクトでした。

今後のアップデートにも期待したいと思います。

*

黄倉 大輔 Okura Daisuke

テクノロジー統括部 テクニカルプロダクトマネジメント部 DX&AXグループ

2025年にパーソルキャリアに中途入社。前職でのデータ領域のコンサルタント経験を活かし、法人向けのダイレクトソーシングサービスである「doda ダイレクト」でDX推進、データ領域を担当しています。

※2025年12月現在の情報です。