プライベートで動画配信システムを内製化して2年運用した話 #PERSOL CAREER Advent Calendar2025

はじめに

こんにちは、新規サービス開発統括部 エンジニアの今井です。

本記事は、筆者がプライベートで開発している動画配信システムについてご紹介するものです。弊社での事例ではありませんのでご留意ください。

親族の会社(教室ビジネス)では、生徒向けに動画オンデマンド配信を行っており、当初はVimeoを利用していました。しかし、年間1,000件規模のアップロードがあり、月額コストが高額になっていたことが課題でした。

「動画配信システムを自前で開発できないか?」という話が持ち上がり、開発に着手。約2年間運用してきた中での試行錯誤と学びを共有します。

導入前の構成

開発前は、以下のようなシンプルな構成でした。

導入前の構成
  • 動画ホスティング:Vimeo
  • 会員サイト:SaaS(Vimeoの埋め込みプレイヤーで視聴)

Vimeoは使いやすく安定していましたが、アップロード件数が増えるにつれてコストが課題となりました。

そのためVimeoに変わるシステムを内製で開発することになりました。

新規開発の対象

Ver1:初期構成(Lambda + ffmpeg)

開発の第一歩として、以下の構成でシステムを構築しました。

コンポーネント 技術選定
管理画面(Frontend) Vercel
認証・DB・バックエンド Supabase
動画保存先 ストレージサービス
動画変換処理 AWS Lambda + ffmpeg(Lambdaレイヤー)

動画ファイル(mp4, mov)をHLS形式に変換し、ストレージに格納する構成です。

発生した課題

Lambdaの処理時間上限(15分)に抵触

数GBの動画ファイルでは、ffmpegによるHLS変換処理が15分を超えてしまい、処理が完了しないケースが発生しました。これは致命的な問題であり、動画変換処理の見直しが必要となりました。

Ver2:AWS MediaConvert導入

Lambdaの制限を回避するため、動画変換処理をAWS MediaConvertに移行しました。

改善点

  • 処理時間の制限がなくなった:長時間の動画でも問題なく変換可能に
  • 安定性が高い:今回紹介する中で最も安定したソリューションでした

発生した課題

コストが月額数万円に

MediaConvert自体は非常に安定していましたが、件数が増えると月額数万円規模のコストが発生しました。Vimeo時代と比較すれば安価ではあるものの、さらなるコスト削減を検討することにしました。

Ver3:VPSでのCPU処理

コスト削減を目指し、VPSを契約してffmpegによるCPU処理(h264エンコード)を行う構成に変更しました。

発生した課題

処理性能の限界

  • CPUの処理性能に制約があり、同時処理数を稼げない
  • 並列数が限界を超えると順番待ちが発生し、処理完了までに長時間かかる

CPU処理ではスケーラビリティに限界があることを痛感しました。

Ver4:オンプレミスGPU処理(現在)

現在は、オフィス内に自前のGPUマシンを設置し、GPU処理による高速化を実現しています。

  • 使用GPU:AMD Radeon RX 7600(VRAM 8GB)
  • エンコード:AMFエンコーダー(h264_amf)によるハードウェアエンコード

改善点

  • 処理時間の大幅短縮:従来30分以上かかっていた処理が3〜4分で完了
  • ランニングコストの削減:動画変換処理ではクラウドサービスへの従量課金がなくなった

現状の課題

  • GPUの性能制約:ハードウェアの制限により、同時に1つの動画しか処理できない
  • ハードウェア管理コスト:物理機器のメンテナンスが必要
  • 冗長性がない:1台構成のため、障害時のリスクあり

現状は1社での利用に限定されており、ある程度のダウンタイムは許容される環境のため運用できていますが、商用化を見据えると安定性の向上が必要です。

Ver5:今後の展望

今後は以下の改善を検討しています。

  • サーバーの並列化:複数台構成により同時処理数を向上
  • 可用性の向上:冗長構成による障害耐性の強化
  • データセンターへの移設:利用企業が増えた場合、停電リスクの低いデータセンターへの移設も視野に

まとめ

2年間の動画配信システム開発を通じて、以下のような変遷をたどりました。

バージョン 方式 主な課題
導入前 Vimeo(SaaS) コストが高額
Ver1 Lambda + ffmpeg 処理時間上限(15分)
Ver2 MediaConvert 月額数万円のコスト
Ver3 VPS + CPU処理 処理性能の限界
Ver4 オンプレGPU 冗長性・管理コスト

自前で開発したことで大幅なコスト削減を実現できましたが、その過程ではさまざまな技術的課題に直面しました。特に動画変換処理は、処理時間・コスト・スケーラビリティのバランスが難しく、用途に応じた最適解を探る必要があります。

今後も改善を続けながら、商用化に向けた安定性向上に取り組んでいく予定です。

 

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今井 陽介 Imai Yosuke

新規サービス開発統括部 デザイン&エンジニアリング支援部 新規エンジニアリングG

前職まで社内SEとして製造業システムや営業支援システムを担当し、SIerではWebシステムの開発・保守を経験。現在は新規サービス領域でテックリードを務め、フロントエンド、バックエンド、インフラ構築まで幅広く担当。

※2025年12月現在の情報です。