プロダクト開発の牽引者が語る――パーソルキャリアの強みと課題、そして「AIネイティブ組織」がもたらす未来

本記事では、2025年11月にパーソルキャリアに入社した白石久也のインタビューをお届けします。
これまでさまざまな企業でプロダクト開発を牽引してきた白石の視点から見えてきた「パーソルキャリアの強み」や「プロダクトの複雑さ」という課題。さらには人とAIが共存する「AIネイティブ組織」への取り組みと、今このフェーズに挑戦する面白さについて詳しく語っていただきました。

 

――本日はよろしくお願いします。まずは、白石さんのこれまでのご経歴と、現在所属されているカスタマープロダクト本部について教えてください。

カスタマープロダクト本部 プロダクト企画統括部 エグゼクティブマネジャー 白石 久也

白石:キャリアのスタートはSIerのエンジニアでした。ただ、次第に「自分で企画を考え、事業やサービスそのものを動かしたい」という思いが強くなり、ヤフー株式会社(現:LINEヤフー株式会社)へ企画職として転職することになります。

その後、約20年間ヤフーでメールサービスからソーシャルメディアの立ち上げ、会員事業の再生までさまざまなフェーズを経験しました。ヤフーの後は「toC向けサービスで養ったユーザー視点やグロースの経験をtoB領域でも発揮したい」と考え、セーフィー株式会社へ。同社ではCPOとして、クラウド型映像ソリューション事業全体の責任者を務めました。振り返ると、私の根底には「事業を成功させるために必要なことは何でもやる」というスタンスがあります。

そうした経験やスタンスを活かして、現在私が率いているカスタマープロダクト本部は、転職支援サービス「doda」とハイクラス人材に特化した転職サービス「doda X」の企画・開発・運用を担っています。

パーソルキャリアを選んだ理由:社会的意義の大きい「はたらく」の変革へ挑む

――さまざまな企業でプロダクト開発の最前線を歩まれてきた白石さんが、次の挑戦の舞台としてパーソルキャリアを選んだ理由を教えてください。

一番大きかったのは、ミッションへの共感です。パーソルキャリアのミッションには、「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」とあります。この考え方に強く惹かれました。

最近、身近な人たちが転職活動で苦労する姿をたくさん見てきました。転職先が見つからずに悩んでいる人、心身の不調を抱えながら次の仕事を探している人もいます。

そうした姿を見ているうちに、「はたらく」ということは、多くの人にとって本当に大きな悩みなんだと改めて実感しました。さらに今後は、人口減少やAIの進化によって、はたらく環境そのものが大きく変わっていきます。

そうした時代において、一人ひとりが自分のキャリアを主体的に考え、自ら選択できる状態をつくることには大きな社会的意義があると感じています。そのため、これまで培ってきた経験を活かして、この場所で挑戦したいと考えました。

圧倒的なアセットがもたらす可能性と、歴史が生んだ「複雑さ」 

――入社されて約7カ月が経った今、白石さんにとってパーソルキャリアの強みは何だと感じていますか?

スタートアップの場合は、まず存在を知ってもらうところから始めなければなりません。どれだけ良いプロダクトを作っても、使ってもらえなければ価値は生まれないからです。その点、パーソルキャリアにはすでに多くのお客さまとの接点があり、認知度も高い。さらに、マーケティングにも継続的に投資できる規模があります。これだけサービスに触れていただける機会が最初から十分に用意されているというのは、プロダクトを作る側にとって非常に大きな強みです。

この圧倒的なアセット(資産)がすでにあるからこそ、プロダクトやユーザー体験にさらなる磨きをかけることで、世の中に大きな価値を生み出せる可能性を秘めています。そこにこの会社ならではの大きな面白さがあると感じています。

 

――逆に白石さんが思う、今のパーソルキャリアの抱える課題は何だと捉えていますか? 

一番の課題は、これまでの成長の歴史が生んだ「事業構造やシステムの複雑さ」です。

例えば「doda」という一つのサービスを見ても、背景には複数の事業が存在しています。ユーザーから見れば同じ転職サービスなのに、事業側の都合で導線や顧客体験が分断されてしまうことがあり、せっかく訪れてくれたお客さまに、よりシームレスで価値ある体験を届ける余地が残されています。

また、この複雑さは組織のスピードにも影響しています。何か新しい変化を起こそうとするたびに多くの関係者との調整が必要になり、意思決定に時間がかかってしまうのです。

顧客視点への回帰と、小さく素早く試せる開発プロセスの構築

――そうした複雑さを乗り越え、次の成長につなげていくために、どこから変えていく必要があると考えていますか? 

アプローチは大きく2つあります。

1つ目は、「顧客視点に立ち返ること」です。「doda」は長い歴史の中で成長を続けてきました。その過程でさまざまな機能やサービスが追加され、提供できる価値の幅は広がっています。

一方で、その積み重ねによって構造が複雑になり、お客さまから見た時の分かりやすさが失われている部分もあると感じています。重要なのは、お客さまが自分に合った仕事と出会い、納得して次のキャリアを選べるかどうかです。だからこそ、顧客視点から体験全体を見直し、よりシンプルで滑らかなユーザー体験へと進化させていく必要があります。

2つ目は、「意思決定と開発プロセスの高度化」です。プロダクト開発は10個試して1個の大きな価値を見つける世界ですから、より小さく、素早く試せる環境作りが欠かせません。幸い、経営も現場も「中長期的に事業を成長させたい」という同じ方向を向いています。その共通認識を軸に組織間のブレーキをなくし、より速く挑戦できる環境を形にしていきたいと考えています。

テクノロジーと「人が介在する価値」を融合させるこれからの転職支援

――転職支援サービスでは、Webやアプリだけではなく、キャリアアドバイザーによる支援も含めて顧客体験がつくられています。こうした「デジタル」と「リアル」の体験を設計できることに、どのような面白さを感じていますか?

転職は人生の中でも大きな意思決定の一つであり、その時の選択によって、その後のキャリアや人生が大きく変わる可能性があります。だからこそ、「求人を紹介して終わり」ではなく、安心して意思決定できる状態をつくることが必要なのです。

その意味では、単純に機能を増やしたり、効率化したりするだけでは実現できない価値があります。プロダクトによってより良い体験をつくりながら、人が介在することでしか生み出せない価値も届けていく――その両方を組み合わせられることが、この事業ならではの面白さです。

 

――テクノロジーが進化する中で、転職支援の領域では、人とプロダクトはどのような関係になっていくと考えていますか?

テクノロジーの進化によって将来的には変わるかもしれませんが、現時点では、転職という重要な意思決定をテクノロジー(システム)だけで完結させるのは難しいと感じています。

転職支援では、お客さまのこれまでの経験や置かれている状況を理解したうえで、「本当にやりたいことは何なのか」「他に選択肢はないのか」と問いかけます。そうした対話を通じて、お客さま自身も気づいていなかった可能性が見えてくるといった部分は、今でも人にしかできない価値です。

一方で、人が介在するサービスには、担当者によって提供できる価値に差が生まれてしまう課題もあります。ある担当者は非常に良い支援ができる一方で、別の担当者では同じレベルの価値を提供できないかもしれません。本来であれば、どのお客さまにも一定以上の体験を届ける必要があります。

そのため、人による支援の質を底上げするためにテクノロジーを使うことが、これからの転職支援のあり方だと考えています。

人とAIが共にはたらきやすい環境をつくる「AIネイティブな組織」

――カスタマープロダクト本部では「AIネイティブな組織」を掲げていると以前の福島さんの記事でも語られていました。白石さんは、AIネイティブな組織とはどのような状態だと考えていますか?

AIネイティブという言葉からは、プロダクトへのAI活用や業務効率化をイメージする方も多いと思います。しかし、組織という観点においては、AIが動きやすい環境を整備することだと捉えています。AIは魔法のように何でも理解してくれるわけではありません。AIが力を発揮するためには、情報が整理され、必要な知識へたどり着ける状態になっている必要があります。

例えば、「情報の置き場所を明確にする」「用語の定義を統一する」「情報をAIが理解しやすい形で蓄積していく」――そうした環境整備がAIネイティブな組織の土台になります。

また、AIに何かを依頼する時は、背景や文脈を伝えるほど良い結果が返ってきます。これは人間同士のコミュニケーションでも同じです。つまり、AIが理解しやすい情報は、人にとっても理解しやすい情報でもあるのです。

そのため、AIネイティブな組織を目指すことは、単にAIを活用することではなく、人とAIの両方がはたらきやすい環境をつくることだと捉えています。

 

――AIネイティブな組織への進化を進める中で、どのように変革を推進していこうと考えていますか?

この数年で多様な視点を持つ人材が増え、「会社を変えてやる」「伸びしろしかない」と本気で話している人たちがいます。そのため、AI領域については私が細かく指示を出すことはほとんどありません。やりたいと思っている人たちを信じて任せる方が、自ら考え、より良い形にしてくれることが多いんです。 

これまでの経験上、指示を出しすぎると現場のテンションは下がり、結果としてアウトプットの質も下がってしまいます。挑戦したい人たちが力を発揮できることが大切です。そうした環境を整えることで、変化を後押ししていきたいと思います。

 

――今のパーソルキャリアには、どのようなマインドを持っている人が向いていると思いますか?

自分なりの理想像を持っている人ですね。「こうありたい」「こんなものをつくりたい」というイメージを持ち、それを本気で信じられることです。変化を起こす時は、まず理想を描くところから始まります。

そしてもう一つは、それを形にする実行力です。さまざまな関係者と議論しながら進める必要があり、思った通りに進まないこともあります。その状況を面白がりながら前に進めていける胆力が必要です。

意思の強さと言ってもいいですし、諦めない力と言ってもいいかもしれません。理想を描き、周囲を巻き込みながら変化を形にしていける人にこそ向いていると思います。

大きな「伸びしろ」と変革の当事者になれる面白さ

――最後に、パーソルキャリアに興味を持っている方へメッセージをお願いします。

すでに仕組みが完成している会社であれば、やるべきことや進むべき方向が定まっており、そこから学べることも多くあります。一方で、いまのパーソルキャリアには、事業にも組織にもまだまだ大きな「伸びしろ(改善の余地)」があります。

何より魅力的なのは、経営陣を含めた組織全体に「変わらなければいけない」という強い共通認識があることです。外からの意見にも真摯に耳を傾ける文化が根づいているため、自身の提案によって実際に大きな変化を起こすことができます。

これほど大規模な事業基盤を持ちながら、組織のドラスティックな変革に当事者として関われる機会は滅多にありません。「自ら手を挙げ、事業や組織を動かしていきたい」という熱意を持った方にとって、これ以上ないほど面白い環境だと思います。


 
 

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白石 久也 Hisaya  Shiraishi

カスタマープロダクト本部 プロダクト企画統括部 エグゼクティブマネジャー

大学卒業後、SIerを経て2002年にヤフー株式会社(現:LINEヤフー株式会社)入社。プロダクトマネージャー・事業責任者を歴任後、2022年にセーフィー株式会社へ入社しCPOとしてプロダクト全体を統括。その後、パーソルキャリア株式会社へ。趣味はAIを活用したアプリ開発。

※2026年7月現在の情報です。