プロダクト開発の激流を乗り越えた9ヶ月 #PERSOL CAREER Advent Calendar2025

 

こんにちは。HR forecaster(https://note.hr-forecaster.jp/)という社内外に転職マーケットデータを提供するサービスでPdM(プロダクトマネジャー)をしている友田と申します。

今年は私が担当するHR forecasterにとって、そして私自身にとって、組織と事業方針の大きな波に直面した一年でした。しかし、その激動の中でこそPdMとしての役割やプロダクトを守るということを深く学んだ気がします。本記事ではこの9ヶ月間のリアルな出来事とそこから得た教訓を振り返りたいと思います。

組織変更と開発体制の「静かな再構築」(4月)

春、サービスの立ち上げから尽力されてきたサービスオーナーの異動という大事件がありました。

最古参としての責任感

そして気づけば私がディレクター職(PdM、カスタマーサクセス、マーケター)の最古参に・・・これまでPdMとしてプロダクト開発寄りで仕事をしてきましたが、ちょうど同時期にビジネス寄りのメンバーも抜けたことでビジネス側にも関わることが増え、サービスの舵取りの難しさを実感しました。

チームの心理的安全性の確保

報告ラインが変わり、新しい上司との連携構築が急務となる中で、最も注力したのは開発スクラム方式の変更です。複数機能を擁するHR forecasterの全体のハブとなっていたサービスオーナーが抜けることで君主制から共和国制に移行することを決めました。体制変更がわかった3月から丁寧に調整し、変化の波でメンバーが過剰に動揺したり、チームの信頼関係が瓦解したりしないよう必死でした。すでに出航している船ですから、体制を崩さずに作り直すのには細心の注意が必要です。

久しぶりにオフィスで前サービスオーナーに会い、「お、俺が抜けて頑張っているみたいじゃん」と言われた時は「必死なんですよ!大変だったんですよ〜!」と泣きそうになりました・・・

リリースとクローズの間に立つPdMの葛藤(8月〜9月)

夏は新しいチャレンジの成功と、苦渋の決断が交錯する時期でした。

社内版AI機能の手応え

8月には、初のLLM(大規模言語モデル)と社内データを学習した内製AIを利用した「求人票AIアドバイザー」を社内向けにテストリリース。対象職種は限定的でしたが、良好なフィードバックを得て、今後の改善点も見えました。

事業方針の転換

しかし同時期に、KPIが伸び悩んでいた社外版のクローズが決定されました。

毎年恒例のプロダクト方針を共有する合宿直前というタイミングは、個人的にも非常に悩ましく、サービスを守り切れなかったというメンバーと前サービスオーナーへの申し訳なさが残りました。この時期はまだチーム全体には公開はせず、一部メンバーで社外版クローズ対応の策を練り始めました。

チームへの通達と注力点の明確化

9月、開発メンバー全体に社外版クローズを共有しました。幸い、チームが既に社内版の大型機能開発に注力していたため、大きな動揺は見られず、建設的な議論に繋げられたことは一つの救いでした。次に注力すべきポイントを明確に示し続けることの大切さを再認識しました。

LLM機能のリリースと拡大する役割(10月)

秋になり、今度はプロダクト開発組織全体の大規模な組織変更があり、再びサービスオーナーや報告ラインが変わるという激しい変化がありました。

社内初のLLMリリース

その波の中で、パーソルキャリア初のLLMを利用した「求人票AIアドバイザー」を社外リリース
社内先行リリースからの機能改善を経て、職種を大幅に拡大して展開しました。技術的な成果としては喜ばしいものでしたが、社外版クローズ方針のため積極的なプロモーションができなかったのは、正直なところ心残りです。このリリースがあと2ヶ月早ければ・・・とプロダクト開発におけるスピード感と経営陣への期待値コントロールの重要性を痛感しました。

CS業務の兼任とクローズに向けての具体化

クローズはまだ先の来年3月なのに、あっという間にCSメンバーの異動が決まり、PdMである私と押川さんでCS業務を回し始めました。PdM2年目の押川さんは社外版クローズの主担当という重積を背負い、共に社外版クローズに向けてタスクや日付を具体化していきました。彼女の体験記はきっと記事化されることでしょう。

機能継続に向けた「土壇場の交渉」(11月〜12月)

やっと本格的に秋が来た頃、私は最大の試練を迎えました。

担当機能クローズの危機

11月、HR forecasterが来期の予算編成で重点テーマから外れ、社内版の継続開発自体が困難となりました。

その上私が担当する求人票機能は保守工数削減と他プロダクトとの機能重複のためクローズの打診を受けました。金曜日の昼に話を聞いて、午後の記憶はありません・・・終業後は無為にゲームをして、早々にふて寝したことだけ覚えています。

翌朝、10時間ぐらい寝て気持ちを切り替えた私は1日かけて「機能をクローズしない」ためのシナリオを練り上げ、部長と統括部長にDMし、月曜朝に2人との会議をねじ込みました。

延命と機能整理

決死の直談判の結果、 継続開発停止は覆らずとも、「機能継続」という最低限のラインは死守できました。

しかしここから新たな苦しみが始まります。継続をもぎ取った求人票機能ですが来期の追加開発ができないため、中途半端な機能を整理し、再構成する必要がありました。

何を隠そう求人票機能は私が初めて企画から携わってリリースした機能。それは、自身のプロダクト開発の至らなさと向き合いながらメスを振るい、同時に日々出来上がってくる削除予定の追加機能の受け入れテストをする、と非常にメンタルを削られる日々でした。
しかも社内のAIプロジェクトの取りまとめの任を受け、新組織の環境整備PJTにもアサインされ、ストレスにより毎週土曜は寝込み、日曜はオンラインセールで爆買いし、部屋は届いた荷物で大荒れというループに突入しました・・・

ついに達観

冬も深まり、注文するのは自分のものではなく友人の子ども達へのクリスマスプレゼントに変わってきた頃、一周回って腹が据わりました。来期以降も残す機能の追加開発に残された時間はあと3ヶ月ちょっと。どこまでやれるか、延長戦のない戦いの始まりです。

もうあとはブラックフライデーで買った冬服を着て頑張るしかありません!

結びに:それでもプロダクト開発が好き

この9ヶ月は私が社会人になって有数の激動の日々でした。私たちはこれまで組織、事業、技術の激流に晒され、厳しいFBをもらい、利用数値に一喜一憂し、泥臭くプロダクトを進化させ、新しい価値を生み出してきたと自負しています。

こんなに苦しくても私はまた来年の今頃もプロダクト開発を続けていると思います。
次は何をつくろうかな!

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友田麻子 Asako Tomoda

クライアントプロダクト本部プロダクトマネジメント統括部PdM2部

2021年に中途でパーソルキャリアに入社。個人向けサービス立ち上げのPMOの後、2022年からHR forecasterに参画。歴任してきたイベント実行委員長の座を最近後輩に譲り、ちょっと寂しい気分。

※2025年12月現在の情報です。