
皆さん、こんにちは👋
パーソルキャリアの法人向けプロダクト開発組織でゼネラルマネジャーを担当している西澤です。
突然ですが、皆さんの会社のエンジニア勉強会、盛り上がってますか?
これらを主催するような立場の方だと、以下のような悩みは多いのではないでしょうか。
- マンネリ気味
- 発表者がなかなか集まらない
私自身、エンジニアの勉強会というものは規模問わずいくつか主催側に回った経験があるのですが、勉強会自体の必要性、意義は感じつつもそれを持続させる仕組みは難しいと感じています。
現在、我々の組織のエンジニアコミュニティ内で運営している「ナレッジシェア会(以降ナレシェア会)」と呼んでいる勉強会も1年半ほど前まで存続の危機に瀕していました。発表者が集まらない状態が続いており、常に閑古鳥が鳴いていました。
現在進行形ではありますが、その状況から改善すべく、いくつかの施策を実行しました。その結果以前と比較して、安定的に勉強会運営を続けられるような形にはなりましたが、新たな課題も見えてきました。
この記事では、我々が勉強会を活性化に向けてどのようなアクションをとったのかの改善プロセスと、新たに見えてきた課題について共有させていただきます。
ナレシェア会とは
パーソルキャリアの中で特定の開発環境に属するエンジニアで毎週1時間開催している勉強会です。(参加者はピークで30名程度)
発表内容は業務内外で得た技術的な内容はもちろんですが、その他にもその人のキャリアの歴史や財務諸表の読み方など、技術以外の働く上で必要な知識もスコープとしており、結構広めな話題を取り扱っています。
立て直し以降は以下のような目的を掲げています。
- 職能組織としてのプロダクトを超えた情報共有文化を残したい
- 自組織以外のプロダクトの事例を知ることで新しい技術の知見の習得、自組織の改善に繋げてほしい
- 自組織のエンジニア以外との関係性構築の場にしてほしい
最終的に、パーソルキャリアのエンジニア組織の中で技術交流が活発に行われており、プロダクトを超えた技術交流が当たり前の文化になっている状態を目指す、という大義名分を掲げて活動しています。
冒頭書いた通り、この勉強会自体がコミュニティのような形態です。
2〜3年前までは1つの組織だったのですが、組織再編を経て今はコミュニティの形で落ち着いています。
存続の危機に瀕したナレシェア会
前述した通り、組織がバラけてコミュニティとしてナレシェア会を運営する期間が1〜2年ほどありました。
しかし、組織が分かれて以降、その目的が曖昧になっていくことで組織毎の業務状況などが優先されどんどん形骸化が進んでいきました。
勉強会自体は割とエンジニアの中では当たり前の文化になりつつありますが、組織の力学というのは強く、文化醸成には大きなインパクトを与えました。
結果として、以下のような課題を抱えていました。
- 目的が曖昧で慢性的に発表者がいない
- 「何のためにやるのか」が不明確になり、進んで発表する人がごくわずかな状態が続いていました。
- 運営負担の偏り
- 発表の手が挙がらない状態が続き、会を運営することに対する運営チームのモチベーションの低下やその打ち手を考えることの負担が高く、二重苦のような状態に陥っていました。
- 発表への高いハードル
- 組織が分かれたことで、時間が経てば経つほど、人の入れ替えにより発表に対する心理的な抵抗感が強くなり、発表する内容の質をこだわる雰囲気が出てきました。
- 一方的なコミュニケーション
- 上記と関連して、発表したがリアクションが少なく発表者の発表することに対する効力感が高まらない状態でした。
- 情報流通の偏り
- 一部の「ギバー体質」の発表者に情報発信が依存してしまい、組織全体として情報流通が健全に機能しているとは言えない状態でした。
効果がないなら止めてしまえ、という意見もあると思います。
ただ、私自身はパーソルキャリアに入社してから先人の方々が得てきたナレッジに助けられることが多かったですし、このコミュニティをなくしてしまうことでいよいよ組織が完全に縦に分断されてしまうような感覚がありました。
パーソルキャリアは元々ベンダーへ委託して開発するスタイルでしたが、この10年弱内製化に向けて取り組んできました。10年という期間で各開発組織に内製のエンジニアが根付いたことは大きな進歩だと感じています。一方まだまだ我々の組織は伸び代が大きく、情報流通には課題が残っていると感じます。
色んなエンジニアと交流し、エンジニアが育つ文化を作り上げていくために、ナレシェア会を続けていく意義はあると感じています。
カルチャーを守るための再設計 - 我々が実行した打ち手
我々はコミュニティ運営の立て直しに着手しました。
まず、最初に取り組んだのは、この立て直しを推進する「運営チーム」を新たに募ることでした。
それまでは持ち回り制の定型業務として運用されていましたが、ナレシェア会に対してフォロワーシップを発揮し、積極的に発表などで会を支えてくれていたメンバーを中心に声がけしました。
コミュニティゆえに、組織として強制力を持って進めづらい課題なので、意思を持ってナレシェア会を運営できるような体制へ変えることがスタートでした。
その上で運営チームで議論を重ねて、以下の施策を実行していきました。
1. 目的の再定義と運営の再設計
冒頭に記載した通り、改めて以下の目的、ゴールを設定しました。
- 目的
- 職能組織としてのプロダクトを超えた情報共有文化を残したい
- 自組織以外のプロダクトの事例を知ることで新しい技術の知見の習得、自組織の改善に繋げてほしい
- 自組織のエンジニア以外との関係性構築の場にしてほしい
- ゴール
- パーソルキャリアのエンジニア組織の中で技術交流が活発に行われており、プロダクトを超えた技術交流が当たり前の文化になっている状態を目指す
各組織のマネジャー陣も巻き込み、これらのナレシェア会自体の目的を再定義しました。
これをもとに運営方法も再設計し、今までは有志による挙手制だったものをプロジェクト毎の持ち回り制に変更し、定期的に情報が流通するようにしました。人数の少ないチームには発表頻度を調整するなど、細かな調整をし運営をしています。
元も子もない話をすると、正直これが一番効いたのでは、と感じます(笑)。
社内でコミュニティのような運営形態を取ると、何かの組織戦略に紐づいているわけではないので動かしづらいのですが、参加組織の組織長の意思決定を促すことでスムーズに進むのと、そちらの方が組織として健全だと感じたためです。
2. ナレシェア会が効果的に運営できているかの定量効果測定
なんであれ、この手の施策を継続的に運営していくことは難しいです。
頼りがないのは良い知らせなんて話はありますが、コミュニティ運営には熱量が大切で、マンネリは大敵です。
特に不満もないけど、良い話も出てこない状態になると運営としては不安が付きまといます。
「このままで良いのか」「何か新しいことをやった方が良いのでは」と考え、運営の負担がどんどん増えていく、、、負のループの突入です。
この問題に対し、運営メンバーの主観で左右されないように客観的に効果を判断するための指標を設定しました。
- 参加頻度
- 満足度
- 学習意欲向上件数
- 学びの業務への活用件数
勉強会版DORAメトリクスと今名付けました(笑)。
初回はそれぞれの指標に「大体これぐらいいくのでは?」と数値の見立てを設けて計測しました。これらのデータを定期的に計測し、事実に基づいて改善サイクルを回せるようにしています。
3. 発表しやすい雰囲気作り
心理的安全性の高い場を作ることも重要なテーマでした。その一環として、会の最後に5分間の「Thanks会」という時間を設けました。
弊社は基本的にほぼフルリモート(チーム・組織による)なメンバーが多いため、日頃の業務でお世話になった人へ気軽に感謝を伝え合う時間としてあったのですが、発表者への賞賛コメントも送るように運用を変更しました。
発表者側からするとどのような心境の変化があったかは人それぞれ感じ方が異なると思いますが、会全体の温かい雰囲気作りには繋がっていれば良いなと思います。
4. 今後の企画検討
このナレシェア会というコミュニティに愛着を持ってもらえると良いなと思い、普段のナレシェア会とは異なる形式のイベントの実施をしました。
第1回は今年の9月にAIエージェントハッカソンを行いました。こちらは別記事で投稿予定ですのでお楽しみに!
データが示す良い兆しと、次なる課題
地味ですが、これらの取り組みを行うことで変化がありました。
まず何よりも情報が継続的に流通することになったのは成果だと感じています。
またそれぞれの指標についても概ね目標値を達成しており、毎回参加は半数超え、2回に1回の参加も含めると9割が参加している状態まで回復しました。
また参加満足度も8割を超えていたり、ナレシェア会を通して学習意欲が増える層も7割強と、このイベントの意義を感じる結果になりました。
一方、課題と感じる点も明らかになりました。
最大の課題は、内発的動機付けの強化です。現状は良くも悪くも持ち回り制による「やらされ感」を感じるケースもあると思います。
「発表したい」まではいかなくても「発表者少ないなら発表してもいいか」ぐらいまで全体的に変化していくことが理想です。
また、「目的がまだ曖昧に感じる」という声も一部にはあり、再定義した目的を浸透させていく必要性も感じています。マンネリ化を防ぎ、会をさらに盛り上げていくためには、言い出しっぺであるマネジャー層のより積極的な関与も不可欠だと感じています。
加えて、こういったギバーな文化を適切に評価に組み込むなどの意識改革、評価基準の見直しも必要かもしれません(なかなか難しいところですが、、、)。
義務的な要素を少しずつ減らし、誰もが気軽に集まって学び合える、そんな姿を目指して今後も改善を続けていきます。
運営チームからのコメント
今回立て直しの初期から関わってくれている、熊切さん、深澤さん、吉満さんに、なぜこの活動に参加したのか、振り返ってみてどうだったのか、インタビューしてみました。
熊切さん
- Q. 運営チームに参加しようと決めた時の、率直な気持ちを教えてください。
- 私は唯一立て直し前から運営に参加しており、会自体をやめるかを検討していた1人でした。私個人の意見として内製エンジニアには環境に適用するようサービスをブラッシュアップをし続ける視点と知識が必要だと感じています。そのためには情報発信・交流は欠かせないという強い意志のもとナレシェア会の立て直しを図りました。
- Q. 新しい運営方法を考える上で、一番こだわったポイントや、大事にしたことは何ですか?
- どんな施策でも当たり前を0から作るところが一番負荷が高いと考えています。そんな中で文化作りのために持ち回り制に踏み切ったところが一番のこだわりポイントであると感じています。また私は司会も担当しているのですが、アイスブレイクや発表者への一言コメントなどを通じて少しでも発表してよかったと感じてもらえる場づくりも気をつけています。
- Q. 以前と比較して、今のナレシェア会の雰囲気をどんな風に感じていますか?
- 発表のサイクルが生まれ、みんなで会を作るという雰囲気を前より感じるようになりました。またサンクス会で発表者に対するコメントによりそれがより推進されたように思います。
深澤さん
- Q. 運営チームに参加しようと決めた時の、率直な気持ちを教えてください。
- パーソルキャリアに入社する以前から、こうしたナレシェアの文化のある組織に行きたい、と考えておりました。入社後、せっかくのナレシェア文化を失いたくないので、自ら運営に参加することにしました。
- Q. 新しい運営方法を考える上で、一番こだわったポイントや、大事にしたことは何ですか?
- 持続可能性が大事だと考えています。発表者はもちろん、運営も含めて、無理なく楽しくナレシェアが行える環境を目指しています。また、ナレシェアを当番制にしたことで発生する強制力がネガティブに働きすぎないよう、発表者が最終的に「発表してよかった」と思ってもらえるような取り組みを進めています。
- Q. 以前と比較して、今のナレシェア会の雰囲気をどんな風に感じていますか?
- まだまだ改善の余地はありますが、良くなったと思います。日々の業務の中でナレシェアのネタを考えてくれる人が増えたのではないでしょうか。
吉満さん
- Q. 運営チームに参加しようと決めた時の、率直な気持ちを教えてください。
- エンジニア間でプロダクトを超えた情報共有の場があるっていいな、そういう文化を支えていきたいなと思い、運営チームに参加することに決めました。それと、西澤さんをはじめ、熊切さん、深澤さんの熱量が私の背中を押したのは間違いありません。
- Q. 新しい運営方法を考える上で、一番こだわったポイントや、大事にしたことは何ですか?
- ナレシェア会を持続可能な会にするために、参加者と運営側の「負荷軽減」は大事にしています。発表のハードルを少しでも下げて、多くの人に発表する機会を持ってもらいたいと考えています。あと、発表者に感謝の気持ちを伝えるように心がけています。リアクションスタンプ多め&Thanks会の賞賛コメントで感謝を伝えています。
- Q. 以前と比較して、今のナレシェア会の雰囲気をどんな風に感じていますか?
- 以前は発表は挙手制としてましたが、現在、チームごとの持ち回り制にしたことで、発表者に偏りが無くなり、主体性を持って参加してくれる人が増えたように感じています。
最後に
今回は、我々の社内勉強会「ナレッジシェア会」の立て直しについてお話ししました。
今やエンジニアにとって当たり前の勉強会という文化も運営してみると苦労の連続です。
勉強会のメリットは分かるし、やった方が良いことも間違いない。始めることも意外とできる。でも続けることが難しい。
今回立て直しにあたって「各社どのように勉強会を運営しているんだろう?」と調べてみたのですが、意外とナレッジが外に出ていなくて困った記憶があります。
この経験がどこかのエンジニア組織のお役に立てれば幸いです。
まだまだ弊社のアドベントカレンダーは続きます。次回もお楽しみに👋

西澤 翔利 Shori Nishizawa
クライアントプロダクト本部 テクノロジー統括 プロダクト開発1部
2021年4月にパーソルキャリアに入社。新規サービス開発部門にエンジニアとしてジョイン。2025年4月から法人向けdoda機能を始めとした複数の法人向けプロダクト開発組織に着任。

熊切 俊夫 Toshio Kumakiri
クライアントプロダクト本部 テクノロジー統括 プロダクト開発1部
2023年4月新卒でパーソルキャリアに入社。現在はHR forecasterのインフラを中心としたサービス基盤構築に従事。

深澤 泰平 Taihei Fukasawa
はたらく未来図構想統括 PERSOL_MIRAIZ部 MIRAIZエンジニアリンググループ
2023年5月にパーソルキャリアに入社。運用保守チームやSREチームを経て、現在はMIRAIZの開発チームリード。

吉満 恵子 Keiko Yoshimitsu
ITガバナンス本部 ITアーキテクチャ統括 品質推進部
QAエンジニアとして大手メーカーやITベンチャー企業などさまざまなプロダクトの品質保証を担当し、テスト方針策定、プロセス改善、アジャイルQAの推進をリードした。2023年パーソルキャリアに入社。現在は、自社ITの品質保証や意識を向上させる場づくりを担当している。
※2025年12月現在の情報です。
