はじめに
データ共通BITA部 AI推進G 23年4月中途入社の遠藤と申します。
ついに来ました!Techtektの寄稿!いやー、入社前からこのブログを購読して情報収集をしていたので、寄稿できて大変嬉しく思います。
入社して早くも9か月が経ち、すっかり会社には慣れてきました。そんな中で自身の所属するチーム、データ共通BITA部 AI推進Gの中では一番ひよっこの私が、これまでの取り組みやチームの紹介をしながら、入社してからの学びを振り返っていきたいと思います。
- はじめに
- データ共通BITA部 AI推進Gの紹介
- 具体的なプロジェクト内容
- エージェント事業におけるデータ分析支援
- プロジェクトを通して学んだこと
- 事業に入り込んだデータ分析者の自分ゴト化って何だろう?
- これから何をしていきたいか?
データ共通BITA部 AI推進Gの紹介
AI推進Gはインフラ基盤統括G データ共通BITA部の中に位置する組織になります。
パーソルキャリア内には様々なデータ活用組織が存在しますが、AI推進Gは8人ほどの少数精鋭のチームで構成されています。
各メンバーが事業の中に入り込み、データやAIをビジネスと結びつけて課題解決に挑む、データ/AIの利活用コンサルのような役割の部署になります。要件定義からデータ分析、システム導入まで、トータルに対応できる幅広いスキルを持った人が多く、実際一人で上流から下流まで何でもこなせちゃう人が集まっているのが入社した際の第一印象でした。
また、メンバーは各事業部を兼務しており事業部との距離が近いことも特徴です。事業が抱える具体的な課題に直接触れ、相手のケイパビリティに合わせて柔軟な支援ができるのも結構気に入っています。データサイエンティストに求められる3つのスキル(サイエンス/エンジニアリング/ビジネス)をバランス良く持つことが重要だと言われますが、転職面談の時も「ビジネスに貢献できるデータサイエンティストを目指したい」と言って入社したので、今やりたいことができているなと感じています。
具体的なプロジェクト内容
AI推進Gメンバーの仕事は大きく3つに分かれる認識です。
- データ分析支援業務
各事業企画メンバーと協業し施策立案や効果検証、事業KPIの向上に向けてデータ分析による支援を実施。
- 機械学習/ルールベースのシステム開発
事業企画メンバーから課題の要件ヒアリングし、機械学習やルールベースのシステム開発、運用保守、MLOpsまで実施。
- 企画/現場メンバーのデータ利活用促進
インフラ基盤統括部らしく、企画や営業現場のメンバーでもデータを用いた意思決定を可能にするためにBIやダッシュボード作成の支援を実施(他部署と連携)。
エージェント事業におけるデータ分析支援
私が最初に担当したプロジェクトは、エージェント事業におけるキャリアアドバイザー職の営業さん(以下、CAさん)向けに実施したチェンマネ(チェンジマネジメント)施策の効果検証支援でした。
このプロジェクトでは、CAさんに対して特定の施策を実施し、CAさんの行動変容を促し、それによって各CAさんのCVR(コンバージョン率)が向上するのかを検証するプロジェクトになります。
その際に難しかった点は、自社社員を対象とするチェンジマネジメントの施策になるので、明確なRCTによるA/Bテストの効果検証プロセスが適用できなかったことです。現場へ施策を展開している以上、運用やコストにより明確なA/Bテストができない事情がありました。
そんな中、ちょうどConnpass講座で他社の効果検証に関する講演を拝聴し、それにヒントを得て企画推進者と施策のメカニズムを議論するところから始めました。下記講演にも記載されている「ロジックモデル」を活用しながら施策の効果を因果推論的に検証するプロセスを踏むことで、無事施策の価値をメッセージとして提供できました。
▼以下参考にした情報
施策の事業成果への影響メカニズムを明らかにする-ロジックモデルの活用例 - Speaker Deck
Amazon.co.jp: エビデンスに基づく自治体政策入門―ロジックモデルの作り方・活かし方 : 佐藤 徹: Japanese Books
プロジェクトを通して学んだこと
このプロジェクトを通しての学びは下記2点です。
1. 顧客の課題や感覚をデータでシンプルに表現するアプローチ
人材業界のビジネスモデルやプロセスは非常に複雑で、それに対するドメイン知識がない不十分な中で、企画から施策の内容をヒアリングし、必要な分析に落とし込むことは非常に難しかったです。
データ分析で示唆を出しても、現場経験が長いプロフェッショナルの前には「当たり前」と淘汰されることもあります。
そこで今回は、施策を「ロジックモデル」というフレームワークで整理し、CAさんの行動と因果関係をシンプルに表現し、企画と分析者で共通認識を立てながらプロジェクトを進めていきました。
このフレームワークは、顧客の課題や暗黙知を引き出して、データで分析可能な要件に落とし込むのに非常に有効なツールだと感じました。
2. ビジネスへ貢献するためにはデータ分析だけではなく泥臭い定性評価も不可欠
データ分析だけではビジネスへの貢献は限られると気づきました。特に現場の定性的な評価を泥臭く取ることがビジネスに重要な意味を持つことを実感しました。
今回は分析担当である私が、CAさんの行動変容の有無をデータで評価し、さらに、その中から何人かピックアップし企画推進者の方がCAさんにインタビューを実施し、要因分析を行っていきました。興味深いことに、インタビューをしてみると、行動変容のレベル感の違いによりCAさんの本施策への向き合い方や意識の違いが見られました。
定量データの分析だけだと納得度が低かったのが、インタビューによる定性評価も加えたうえでメッセージを出すことで、現場マネージャーの結果の納得度を上げる工夫も行いました。
もちろんCAさん一人一人の細かな行動がデータで観測できるような段階ではまだありませんが、こういった詳細な営業行動データも可視化できるようになった時、企業としてとしてはより一層好転しそうだなという手応えも得られました。
事業に入り込んだデータ分析者の自分ゴト化って何だろう?
実は僕自身、前職でデータやAIの専門知識がある中での転職ではありませんでした。前職では、製造業でプロダクトのエンジン開発をしながら市場のマシンデータを解析して担当プロダクトのトラブル解決や性能向上を主に従事していました。そのため、データを活用した業務に割り当てられる工数は全体の3割ぐらいだったと思います。
しかし、前職で行なっていた業務は、今自分が協業している企画メンバーの業務と似てるなと感じています。多くのステークホルダーの間に立って要求整理や顧客折衝し、責任を持ち複数の選択肢から意思決定をすることはとても怖く、勇気が必要な仕事だと思います。自分自身、前職でプロダクト開発をしていて、企画メンバーの気持ちがとても分かるなと思いました。
なのでデータを扱うエンジニアやアナリストが事業に入り込み、企画メンバーである実行責任者と同様に責任を持ち、「自分ゴト化」しながら進めることで、ビジネスが良い方向に向かえばいいなって思います。自分が出したデータで、最終的に決断する意思決定がポジティブな方向に行ったらよいですよね。
ちなみに、AI推進Gを作ったCIOの片山さんの言葉で、チームが大切にしている考えがあります。
「企画に寄り添った支援」という表現よりも
「企画と同じ目線で成果を自分ゴト化して一緒にやっていく」視点が持てることを目指し企画メンバーと連携を行う
この言葉が結構気に入ってて、AI推進Gの各メンバーが大切にしている理念だと思います。
これから何をしていきたいか?
データ分析業務では、徐々にエージェント関連のドメイン知識がついてきて、企画メンバーが納得いく示唆出しができるようになってきました。
また、今期からは企画メンバーだけではなく、営業現場のマネージャーとも対話しながらデータ分析結果を説明する機会も増えてきました。
その際に感じたことは、「データ分析で求める示唆は、各個人により全く異なる」ということです。
この会社は様々な人の力により、データリテラシーの高い人材はデータを活用できる環境が整いつつあります。しかし、営業や現場レベルではまだまだデータを用いた意思決定ができる環境ではありません。今後は自分が向き合っている企画メンバーだけではなく、より広い範囲にデータドリブンな影響を与えられるようなシステム開発にもトライしていきたいですね。
遠藤 壮 So Endo
インフラ基盤統括部 データ共通BITA部 AI推進G エンジニア
2023年4月に中途入社。前職では製造業で市場マシンデータを用いた故障検知技術開発やプロダクト開発に従事。 現在、主にエージェント事業におけるデータ/AIの利活用推進を担当。
※2023年12月現在の情報です。