JaSST Review’23 に参加した話 #techtekt Advent Calendar 2023

はじめに

パーソルキャリア エンジニアリング統括部で QAエンジニアをしている吉満です。

プライベートでは3児の母で、毎日不確実性と戦っています。子育てど真ん中の私にとって、パーソルキャリアでの柔軟な働き方は、大きな支えとなっています。

今回は、先日(12/1)にオンライン参加させていただいた「JaSST Review’23」の内容を少しご紹介したいと思います。

 

JaSST Reviewとは

正式名称は「ソフトウェアレビューシンポジウム

毎年各地で、JaSSTという「ソフトウェアテスト」のシンポジウムが開催されているのですが、その中でもレビューにフォーカスを当てて開催されているイベントです。

今回の開催テーマは「開発を加速するためのレビュー設計」でした。

(※JaSTTの公式HPはこちら

 

なぜ、JaSST Review'23に参加したか

JaSST Reviewに参加した理由は以下2つです。

  • レビューの強化、レビューの質向上を目指すためのヒントを得たかったから。
  • 以前聴講した(JaSST Review 実行委員会の)風間さん、安達さんの講演に学びが多かったから。

 

講演内容

  • 講演1:レビュー体系化の経過報告:レビュー体系とレビューアーキテクチャー(JaSST Review'23 実行委員会)
  • 講演2:チーム一丸となったテストと品質のためのチーム変革戦術(Lisi Hocke)

JaSST Review'23 レポート(講演資料あり)

講演1では、レビュー体系化の背景と現在地、講演2では、Lisiさんが課題の多い組織をどのように変えていったかという内容でした。多くの学びがありましたが、中でも印象的だった2点をお伝えします!

 

その1:「レビュー観点」の活用

講演1では、レビューがうまくいかない原因のひとつに「ぼんやり行うアドホックなレビュー」があげられていました。たしかに、普段の開発ライフサイクルの中でレビューを実施していますが、「レビューの目的は何か?」「どういう視点でレビューするのか」きちんと定まっていないことって多いですよね。ぼんやり行うレビューだと、リソースをかけても有効なレビューにはつながりません。そこで、効果的なレビューを行うために「レビュー観点」を活用しましょう、という話がありました。
「レビュー観点」ってなに?

レビュー観点とは、レビューの意図や目的を段階的に詳細化したものです。

(非常にわかりやすかったので講演資料を引用させていただきました)

例えば「使用性を確保する」というレビュー目的に対して、以下のようなレビュー観点があがります。目的に応じた「レビュー観点」があると、集中してレビューが実施できますね。

  • 一貫した構造や用語がしようされているか?
    • ボタンの配置、ボタンの名称など
  • 利用者にわかりやすい導線となっているか?
    • 利用者は、人事?営業?学生?高齢者?
    • 遷移先の画面、文字の大きさ

レビュー観点のメリットとしては以下が述べられていました。

  • 優先度の高い欠陥・不備を見つけやすい(欠陥の早期発見
  • チーム内でレビューの分担が可能になる(誰でも同じ視点で
  • 有効指摘のノウハウを再利用しやすくなる(有識者依存を低減

 

レビュー観点といってもどのプロダクトにも当てはまる型があるわけではなく、「レビュー目的」を基軸とした「レビュー観点の導出」を行うことが重要であるとのことです。本講演を聞いて、まずは、レビュー目的の整理、そして目的に紐づくレビュー観点導出を進めていきたいと思いました。

 

その2:チーム文化が品質に直結する

講演2は、AgileTestingDayでも講演されているLisi Hockeさんという方が、課題の多いチームにジョインしてチームを良い方向に変革していったという話でした。

チームの課題

Lisiさんがジョインしたチームにはこのような課題があったそうです。

  • デリバリー品質が悪い

  • 役割横断間のコミュニケーションが欠如している

  • 可視化できていない

  • 多くのメンバーが関わっているが、タスクの管理ばかりに関心がある

 

どのように、組織を変えていったのか?

Lisiさんが、まず行ったこととして、これらの課題を「チームごと」として捉えること、ソロワークから、チームで動いているんだという意識を根付かせたそうです。

講演の中でLisiさんの「チーム変革の12の戦術」の紹介がありました。これはあくまでもLisiさんのツールボックスであって、どのチームにも当てはまるものでは無いと思いますが、その中でも印象に残った言葉を紹介します。

  • PEOPLE FIRST(人が中心)
    • 信頼関係のおける人間関係を作る
      • チームメンバーに興味を持つ
      • うまくいっていることを賞賛する
      • ハンズオン、一緒に作業を行う
  • OPTIMIZE FOR FLOW(フローを最適化する)
    • より早くコラボレーションするやり方を見つける(アイデアからデリバリーまで)
    • フローの中で待ち時間があれば、そこを改善する
    • 新しいことをはじめるのを止めて、チーム全体で今あるものを終わらせる
      • 一つのことに集中して終わりにする
      • たくさんの仕掛かりを抱えるのはフラストレーションが溜まり速度低下の原因に
      • 急がば回れ
  • A BIT BETTER EVERY DAY(毎日ちょっとだけよくする)
    • 毎日ちょっとだけ改善する、昨日よりも少しだけ良く
    • 完璧を求めない「もう十分」であればOK
      • 共有も早くできて、皆にプレゼンし、フィードバックがもらえる

講演の中で、より良い品質をもたらすためには、チームの文化が重要だと言っていましたが、本当にその通りだと思います。技術的な向上ももちろん必要ですが、チームで品質を作り込むことの大切さをあらためて感じました。

 

今回、JaSST Review'23で得た学びを、実際の現場でもぜひ活かしていきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

吉満 恵子 Keiko Yoshimitsu

エンジニアリング統括部 サービス共通基盤グループ リードエンジニア

2023年5月パーソルキャリアに入社し、QAエンジニアとして、品質向上のための施策を推進中。

※2023年12月現在の情報です。