Looker(データプラットフォーム)導入事例

前段

皆さん、こんにちは。パーソルキャリアでエンジニアを務めている柳です。

今回はパーソルキャリア社内の人事本部向けに情報系システムを導入した結果をお伝えいたします。

なぜ作ったのかや、気を付けた点について振り返っていきたいと思います。

ぜひご覧ください

 

 

人事部の情報系システムをなぜ作ろうとしたか

人事データに関して部門ごと(経営層、人事部門、事業部)に課題がございました。

【経営層】

事業の全体的なKPI指標を迅速に判断したい。​

採用、離職、評価(コスト)、労務、エンゲージメントの状態をすぐに見たい。

 

【人事部門】

人事戦略に伴うビジネス課題発見とPDCAサイクルを実行していきたい。各人事データを組み合わせて分析することで、新しい施策を実行していきたい。​

 

【事業部​】

各事業の売上目標を達成するために社員人数の適正(採用)をリアルタイムで判断したい。

人事部門とデータ連携(共有)することで、シームレスに課題を発見し、解決につなげたい。

 

これらを、解決するため人事データを集約する人事データ基盤を構築しました。

更に、BI(Looker)を使って人事データを可視化する取り組みを行いました。

 

なぜLookerを採用したか

人事データは氏名や住所、給与情報等の個人情報が含まれているため、取り扱いに気を配る必要があったのですが、Looker がその要件にマッチしていたため採用に至りました。

 

Looker の特徴

・センシティブな情報が豊富であるため、アクセスのセキュリティレベルを細かく設定ができる(Looker)

・ピープルアナリティクス導入と促進をすることで、データドリブンで人事課題を解決できる(BigQuery+Looker)​

・将来的に人事部メンバー自ら、ダッシュボード作成やデータ活用をできるようになる(BI操作が比較的容易)​

 

Lookerで何を実現したか

既存ダッシュボードの Looker 移設を行いました 

既存集計をエクセルで実現していたため、Looker へ移設することは、外部企業様のご支援もあり、スムーズに移設が可能となりました。​BigQuery + Looker の組み合わせ活用により、細かなビジュアライズも表現できました。

 

現場ニーズに基づいた設計に

現場から多くのオーダーを頂きましたが、一つ一つ対応を行いました

【現場からのオーダー】

ダッシュボードの形で実現してほしいというオーダーをいただきました。

 

【取り組んだ内容】

いただいたオーダーに基づき、Lookerそのものでも一部再現可能・再現不可能なものについては、下記2点を取り組むことでカバーしました。

①BigQuery 側による柔軟なデータ加工

②LookML による細かく多彩な設定

コードベースでの柔軟で細かな設定により、既存ダッシュボードを限りなく再現しています。

 

 

ビジネスユーザーの体験価値向上のための複雑な条件設定にも対応可能

 

ユーザーエクスペリエンスを下げることなくダッシュボード構築を実現しています。これにより​複雑な条件設定も可能となります。

 

【現場からのオーダー】

​「ダッシュボードをサクサク切り替えたい」、「​ツールチップの内容をカスタマイズしたい」とのオーダーをいただきました。

 

​【取り組んだ内容】

​Looker コンポーネントを使用したタブ付きダッシュボードの構築を行いました。また、​LookML へのhtml記述によるツールチップ表示内容の編集​​も実施しております。

 

■Looker システムの課題や解決ポイント

構成管理や開発ルール等が無い状態では活用推進はできないため、各種方針をまとめました。

 

開発環境・本番環境の構成について、​各構成案のメリット・デメリットを整理し、現時点では開発モードでの切替を選択しました。

 

構成方針​

概要​

懸念点​

Looker モードで分離​

✔開発モードにて、本番環境とは異なるGitブランチで作業可能​
✔標準機能であり、事前準備が不要​

✔接続先のデータソースの本番・開発の切替に制約あり​
✔developerライセンス保有者でないと本番反映前の動作確認ができない​

モデルで分離​

✔プロジェクト内のモデルで開発環境用と本番環境用で分離する​

✔ビューが競合するため、ビューを別名で管理する​
✔モデル名はユニークにする必要があり、開発と本番で分けて管理する​

プロジェクトで分離​

✔プロジェクトで開発環境用と本番環境用で分離する​

✔Gitを開発用と本番用で分ける必要がある​

✔モデル名はユニークにする必要があり、開発と本番で分ける必要がある​
✔remote_dependencyの機能を用いてGitリポジトリ間でコピーが必要​

インスタンスで分離​

✔開発インスタンスと本番インスタンスを分離する。​

✔ダッシュボードはGit管理が必要。​

✔Eliteなど上位ディションもしくは、追加オプションが必要​

 

システム構成で気を付けた点

Looker プロジェクトの構成について

単一プロジェクト内で管理しますが、基本プロジェクトを構成し、複数チームによる開発を考慮し、ハブアンドスポーク方針としました​。

中核となるハブは、開発エンジニアグループがコードベースの開発と保守を行う​データ / ロジックがさまざまなチーム間(案件)で容易に継承できるようになっています。​

 

■Looker システムの課題や解決ポイント

人事データ基盤はセンシティブなデータを保持しているため、セキュリティ構成の検討を行いました。

 

■認証・認可関連抜粋​

①:公開データ制御​

②:データ列、カラムの権限制御​

③:利用データ・カラムの制御​

④:ダッシュボード参照制御​

⑤:メタデータの参照制御​

⑥:IP許可、認証​

 

人事データ基盤活用レイヤーイメージ​

 

今後どのようなことを実現したいか

人・業務・データ・システムを今より一段階上にステップアップ​したいです。

部署や施策ごとの縦割りのデータ可視化である状態ですが、部署や施策間のクロス活用ができるようにしたいです。また事業部門自身が活用をできるように、安全にデータを管理されている状態を目指します!

 

Google Cloud、Looker および BigQuery は Google LLC の商標です。

 

 

柳 賢二 Kenji Yanagi

デジタルテクノロジー統括部 デジタルソリューション部 人事エンジニアグループ マネジャー

大学卒業後、SIerを経て、組み込み業界に入り国内外の様々な家電メーカー様の案件に従事する。 その後、コンビニエンスストアチェーンの情報システム部門に転職し、大規模業務システムの 改善案件や、24/365の運用保守を担当する。2019年6月より現職。

※2023年10月現在の情報です。