パーソルキャリアのエンジニアリング組織であるテクノロジー本部が立ち上がって、約4年。最近では社外のカンファレンスやイベントへの登壇機会が増え、新規サービス開発からインフラ、データサイエンス、QAなどまで、さまざまなテーマで学びの共有を行っています。
本連載では、そんな登壇の機会において弊社社員がどのような準備をしているのかをご紹介していきます。
第2回となる今回話を聞くのは、パーソルグループ内のテックイベントや勉強会をはじめ、さまざまな場での登壇経験を持つサービス開発部 シニアエンジニアの吉次洋毅です。彼が築いた講演とその準備のスタイルとは――
- 聴き手から話し手に回ることが、学ぶこと、思考や経験を整理し理解を深めることにつながる
- 自分が経験したことや理解していることを、筋道立ててありのままにお伝えする
- 発信によって得られた実績や評価は、自分の足で歩いていく“力”になる
聴き手から話し手に回ることが、学ぶこと、思考や経験を整理し理解を深めることにつながる
――まずは、吉次さんのこれまでの登壇経験について教えてください。
吉次:広く “人前で話す” という意味では、学生時代に学会などで研究成果の発表を行っていたのがスタートです。その後就職してからは、技術やプロジェクトマネジメント関連の勉強会・カンファレンスから、グループ内や社内の勉強会、個人的に開発したプロダクトのコンテストへの持ち込みなどまで、さまざまな場に立たせていただいてきました。
基本的には、勉強会で自分自身の経験や取り組み、興味があるものについてお話しすることが多いですね。
――どのようなきっかけで勉強会に登壇されるようになったのでしょうか?
吉次:勉強会の開催・登壇枠募集のお知らせを見て、そのとき自分が興味を持っているテーマとマッチするもの、自分の経験が語れそうなものに応募してみたのがきっかけです。最近ではありがたいことにお声がけいただいて登壇する機会も増えましたが、当初は自分からアプローチしていました。
――興味があるテーマについて “聴く” のではなく “話す” 側に立たれる理由やモチベーションとは、どのようなものですか?
吉次:若手の頃にさまざまな勉強会に参加していて、前に立って話されている方が輝いて見えたことが印象に残っており、当時抱いた「自分もやれたらいいな」という思いが今もモチベーションになっていると思います。
また率直にお話しすると……エンジニアとして価値発揮するために勉強し続けなければいけないと思いながらも、やる気や推進力を保つのがなかなか難しいときもある。そんなときに登壇の場を設けることで、「この日までにより理解を深めて勉強会に臨もう」と自分を駆り立て、学ぶ姿勢を持ち続けられているのかなとも感じますね。
自分が経験したことや理解していることを、筋道立ててありのままにお伝えする
――ここからは、吉次さんが普段行われている登壇準備について詳しく聞かせてください。特に勉強会で講演をされる場合、どのように準備を進めているのでしょうか。
吉次:勉強会の場合は、実はプレゼンの準備や資料作成において特別なことはしていないんです。ストーリーの大まかな流れを考えて、目次レベル、もしくはもう少し詳しいくらいの粒度でトピックを挙げ、その各トピックに対してスライドを作っていきます。
――講演テーマをもとに、どのようにストーリーを組み立てられるのですか?
吉次:具体的なターゲットの指定がある場合は、マーケットインの考え方で「どのようなお話が刺さりそうか」と考えていきますが、そうでない限り、基本的には「取り組みのプロセスを振り返りながら、筋道立ててお話ししていこう」と考えます。
そもそも私は、個別の技術要素にフォーカスして深掘りするようなお話よりも、もう少し抽象的な課題に対して「どのように向き合ってどのように解決したか」をベースとしてお話しすることが多いんです。
だからこそ自然と、特別な組み立て方や作り込みをせず、自分の持つ “資産”、つまり自分が経験したことや理解していることを用いて、ありのままにお伝えしていこうという感覚になるのかもしれませんね。
例えばQA組織の立ち上げと取り組みについての講演では、立ち上げの背景にあった課題から、取り組みやその体制・工夫のポイント、振り返り、今後の展望、と順を追ってお伝えしました。
おそらく同じような状況に置かれている会社やチームはさまざまなところにあると思うので、私たちの経験から「どのような課題やつまずきが生まれやすいか」「それに対してどのようにアプローチするか」を一例として知り、選択肢の一つとして参考にしていただけたらという意図があります。
――資料作成について、こだわりがあれば教えてください。
吉次:テーマなどによってさまざまではありますが、基本的には必要最低限の内容をシンプルにまとめています。
また最近では資料が公開されることも多いので、読むだけである程度わかるレベルの情報を「SpeakerDeck」 に載せる・アニメーションは使用しない などの工夫で、後で資料として参照しやすいようにしています。
そうすることで、「ここは後で読んでみてください」とお伝えした上で話すスピードを少し速めたり、一部内容を飛ばしたりと、講演時間との兼ね合いの中での臨機応変な対応もとりやすくなるはずです。
登壇資料を特別公開!
発信によって得られた実績や評価は、自分の足で歩いていく“力”になる
――勉強会に登壇されたことによる変化や反響などがあれば教えてください。
吉次:登壇することで自分の頭の中を整理でき、取り組みの振り返りとしても役立ちますし、「振り返ってみるとここがイマイチだったよね」という点を課題として次の取り組みに活かせるようになったとも感じます。
また反響という点では、自分が思っていた以上に講演に共感してもらえたり、学びを得てもらえたりすることがあるのだなと。自分の経験が誰かの役に立つという意識が生まれ、振る舞い方が変わったことはよかったなと思いますね。
もちろんポジティブなものだけでなくネガティブなご意見をいただくこともありますが、「いろいろな考え方や解釈のされ方がある」という前提を再認識して仕事に臨めるようになり、登壇の経験が身になっている感覚です。
――最後に、登壇のご経験を通じて感じること、得られた気づきなどがあればお聞かせください。
吉次:自分が経験したことや考えたことを外に対して発信することで、世の中の開発者とある意味で接点を持ち、取り組みを一つの実績として残して客観的に評価いただけるようになる。これは、社内で業務に臨むだけでは得られないものだと感じています。
その実績や評価は自分自身の実質的な力や “資産” になり得るものだと思うので、この先キャリアを築いていく中で いざというときに自分の足で歩いて行けるように、発信の取り組みを続けていければと思います。
――ありがとうございました!
(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈)
吉次 洋毅 Hiroki Yoshitsugu
エンジニアリング統括部 クライアントサービス開発部 HRサービスエンジニアリング第1グループ シニアエンジニア
2014年に高専専攻科を修了後、飲食店検索サービスを提供するWeb企業に入社。PHPをメインにバックエンドの領域の開発やプロジェクトマネジメントに従事。2016年にインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。「doda AIジョブサーチ」の開発などを経て、現在はSalariesの開発を担当している。
※2023年7月現在の情報です。