仮想オフィス「oVice」でリモートワークの組織を超えたコミュニケーションを創造!

仮想オフィス「oVice」でリモートワークの組織を超えたコミュニケーションを創造!

リモートワークやハイブリットワークがスタンダードになりつつある昨今。物理的にオフィスで顔を合わせていた時と比べたコミュニケーションの希薄化や、在宅勤務による社員の孤立など、新しいはたらき方を取り巻く課題はまだ残っています。

パーソルキャリアでは、社員同士のコミュニケーションの活性化や、リモートワークでの入社者に対するオンボーディングやフォローの促進によって、一人ひとりが安心してパフォーマンスを発揮できる組織を実現しようと、2022年7月に仮想オフィス「oVice(オヴィス)」を導入しました。

導入にあたり、どのような仕組みの検討がなされたのでしょうか。全社横断のIT・テクノロジー支援を担うテクノロジー企画部の齊藤と髙屋敷に話を聞きました。

 

 

オンライン・オフラインが共存する世界でも通用する、新たなコミュニケーション環境

 

――まずは、今回仮想オフィス「oVice」を導入された背景から教えてください。

齊藤:リモートワークで社員どうしのコミュニケーションが少なくなっていたことから、「隣の人が何をしているかがわからない」「気軽に話しかけられない」といった声が挙がっていたことがきっかけでした。

テクノロジー企画部 テクノロジー推進グループ コンサルタント 齊藤 玖美子

テクノロジー企画部 テクノロジー推進グループ コンサルタント 齊藤 玖美子

それらを背景に、“今後、オフラインとオンラインが共存する世界が続いていく中でも通用するようなコミュニケーション環境とは?“というテーマで広報の方々とディスカッションをし、解決策を模索しはじめました。

 

――コミュニケーション課題にアプローチするソリューションがさまざまある中、仮想オフィスに着目されたのはなぜですか?

齊藤:リモートワークになってからのコミュニケーションの多くは、目的と参加者が明確な「会議」が中心です。そのため、会議用のコミュニケーションツールを設定し、決まった時間に決まったテーマをもとに対話/議論をしています。
そうではなく、 “ふらっと立ち寄って” “たまたまそこにいる人達と”会話できる環境があれば、リアルに近いコミュニケーション環境が実現できるのでは、と考え、仮想オフィスの導入を進めることになりました。

 

――導入に向け、どのように取り組みを進めていかれましたか?

髙屋敷:役割分担としては、私が検証とセキュリティ面の調整を、齊藤さんが全社展開を担当し、まずは限定した部署内での検証からスタートしました。

テクノロジー企画部 テクノロジー推進グループ コンサルタント 髙屋敷 冬威

検証は「常にログインしておく」というルールの下、1ヶ月ほど実施しました。結果として、これまでリモートでのコミュニケーションに困っていた方からはポジティブな反応をいただけた一方、家での作業中に急に声をかけられることに抵抗感を持たれる方もいらっしゃったんですよね。

そこで、利用を無理強いするのではなく、社員それぞれが望むはたらき方をサポートするものとして使ってもらおうと、運用のあり方を改善しながら導入を進めることにしました。

 

仮想オフィスは “使わなければいけないもの” ではなく、“社員が望むはたらき方をサポートするもの” に

 

――検証を経て、どのように仕組みやルールを作っていかれたのでしょうか。

髙屋敷:利用の強制はしない、といった運用のルールの他に、セキュリティ面での調整が必要でした。

パーソルキャリアではお客様からお預かりした大切な個人・企業情報を適切に管理するために、リアルのオフィスではそういった情報を扱う執務エリアやフロアを物理的に区切っており、当たり前ですが施錠管理も厳重に行っています。

仮想オフィス「oVice」でリモートワークの組織を超えたコミュニケーションを創造! 仮想オフィスではそういった情報を管理するわけではありませんが、社員同士の業務上の会話が他部署の社員に聞こえてしまうことのないように、構造を工夫しました。具体的には、全社で使えるコミュニケーションのための雑談フロアと、部署ごとの業務用フロアをつくり入室者を限定するなどです。

また「どのようにアカウントを社員に発行するか」なども、情報セキュリティ部署と細かく調整したポイントです。セキュリティの担保を最優先にしながらも、AzureADとの紐づけながらアカウント管理や運用の手間を削減しています。今後もアカウント付与の自動化を目指すなど調整を続けていきたいですね。

 

――取り組みを進める中で、特に苦労されたポイントがあれば教えてください。

齊藤:これまでオフライン環境で懸念されていなかったような点でも、やはりオンラインで新しい環境を作るとなると抵抗感や不安を持たれてしまいやすいと感じました。

例えば、重要なプロジェクトの話を他部署の方が耳にするリスクについてどのように考えるかディスカッションをしましたが、リアルのオフィスであっても同様のリスクがあることに変わりはありませんよね。反対にオンラインの方が相手のお名前が見えるので、より気をつけやすくなるとも言えるはずです。

プロジェクトの目的をふまえて、そのリスクがどのぐらいあって許容できるものなのかを見極めながらすり合わせを進めるよう意識してきたなと振り返ります。

 

「oViceでの組織の枠を超えたコミュニケーションからコラボレーションを生むこと」を目指して

 

――7月から「oVice」を活用し始めたとのことですが、現在はどのように利用されているのでしょうか。

仮想オフィス「oVice」でリモートワークの組織を超えたコミュニケーションを創造!

齊藤:常に誰かがいてコミュニケーションをとっているというよりは、業務の合間に息抜きとして見にいったり、BGMを流せるスペースで作業をしたり、といった目的で個別活用されるケースが多いようです。

 

髙屋敷:これまでは、いつも限られた方々とのみミーティングをする状態でしたが、oViceが導入されて隣の部署の方とご飯を食べる機会が生まれるなど、変化が起きています。そういった使い方ができるということを、これから入社される方々にもアピールしていきたいですし、マネジャーなど迎え入れる側の方々にも活用してもらえたらと思っています。

 

――感触や皆さんからの反応としてはいかがですか?

 

齊藤:月間ユニークアクセス数が1,000名を超え、累計ログイン数も6,000名を超えるなど、社員のおよそ5人に1人が一度はアクセスしたことがあるような状況となっています。1日あたりでみると、20〜40名ほどがアクティブの状態ですね。

2023年3月までに、月間のユニークが500名に達すればいいなと思っていたため、想定外の反響でした。

パーソルキャリアバーチャルオフィス。いくつものコンテンツが用意されており、コミュニケーションのきっかけづくりをしている。

アンケートを実施してみると、「リアルに近いコミュニケーションがとれた」「仮想オフィスで、いつもは見えない相手の働いている様子が見えて、私も頑張ろうと思えた」といった意見がみられました。検証時には導入に前向きでない方もいたため、どう受け止められるか非常に心配でしたが、思っていた以上にポジティブな反応をいただけて嬉しかったですね。

 

――現段階で課題だと捉えられていることはありますか?

齊藤:目指すのは「今までになかった組織外とのコミュニケーションからコラボレーションを生むこと」ですが、現在はまだ人が少なく対話が生まれづらい場面があるため、まずは皆さんにoViceを使ってもらうことが必要だと思っています。

 

髙屋敷:今ログインしていただいている方に継続して利用してもらえるように、また新たに使ってくださる方を増やせるように、まずは入ってきて面白いと感じてもらうことが大切です。現在は、齊藤さんや広報の方々と連携しながら、広報活動や新しいイベントの企画に取り組んでいます。

 

齊藤:11月は学びの月間、12月は年末年始のイベント月間などと、まずは使っていただくきっかけを作って認知を高めていきたいですね。その先で、組織外の方とコミュニケーションをとれるイベントに力をいれて取り組み、新しいコミュニケーションの形を作っていければと思っています。

 

――今回の取り組みを通して得られた、気づきや学びがあれば教えてください。

髙屋敷:検証に主担当として携わり、検証結果をふまえて全社展開につなげる経験ができたことは、大きな学びになりました。

仮想オフィス「oVice」でリモートワークの組織を超えたコミュニケーションを創造!

齊藤:私は、ITツールは導入して終わりではないということに改めて気付かされました。今はoViceに期待をいただいていますが、この先使われなければ意味がありませんから、ここがスタートです。今後の運用や企画をしっかりやっていきたいなと思っています。

 

――ありがとうございます。それでは最後に、今後チャレンジしたいことをお聞かせください。

髙屋敷:社員の「はたらく」を面白くすることが、私のテーマです。セキュリティの観点とうまく折り合いをつけながら、より良い環境づくりに力を注いでいけたらと思っています。

 

齊藤:パーソルキャリアのミッションである、個人がキャリアオーナーシップをもってはたらける状態を実現するには、横のつながりやコラボレーションが大切だと思っています。その土台となる情報のオープン化やコミュニケーションの活性化を進めるために、ITを活用して何ができるのかを引き続き考えていきたいと思います。

仮想オフィス「oVice」でリモートワークの組織を超えたコミュニケーションを創造!

――ありがとうございました!

 

(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=古宮こうき)

 

テクノロジー企画部 テクノロジー推進グループ コンサルタント 齊藤 玖美子

齊藤 玖美子 Kumiko Saito

BITA統括部 テクノロジー企画部 テクノロジー推進グループ コンサルタント

金融系SIerでインフラSEを経験後、2018年にパーソルキャリアに入社。ITリサーチグループにて全社のIT高度化に向けた技術検証等を経験。現在はテクノロジー推進グループに所属し、全社向けIT関連PJTの支援やPowerPlatform、コミュニケーションツール、チャットボット等のITツールの企画~利用展開を推進。社員のデジタル化や業務効率化の支援に奮闘中。

 

テクノロジー企画部 テクノロジー推進グループ コンサルタント 髙屋敷 冬威

髙屋敷 冬威 Toi Takayashiki

BITA統括部 テクノロジー企画部 テクノロジー推進グループ コンサルタント

独立系SIerに新卒入社し、組み込みSEとして車載器開発に携わる。2021年にパーソルキャリアに入社し、テクノロジー推進グループに配属。PowerPlatformを利用した業務支援、仮想オフィス、コミュニケーションツールのセキュリティ施策など担当。

 

※2022年12月現在の情報です。