今年はエンジニア×デザイナーの合同開催!サービス開発部 新卒研修2022のプログラムを聞いてみた

2022年4月、新規サービス開発を担うエンジニアリング統括部 サービス開発部とUXデザイン部に、計6名の新卒エンジニア・デザイナーが加わりました。

昨年から新卒採用をスタートし、育成カリキュラムの作成・運営を行ってきた本部署では、今年はさらにパワーアップした研修を構想。座学からより現場に近い実践まで学べる、計90間のトレーニングコースを敢行しました。

そこにはどのような想いがあったのでしょうか。今回は、研修プログラムをリードしたエンジニア、UXデザイナー、サービスデザイナー、UXリサーチャーに集まってもらい、話を聞きました。

 

【本記事のインタビュイー紹介】

高橋(サービスデザイナー):研修プログラム設計 兼 進行管理者

櫻井(サービスデザイナー):サービスデザイン業務 講師

佐々木(UXリサーチャー):UXリサーチ業務 講師

小倉(UXデザイナー):デザイナー育成担当

西澤(エンジニア):エンジニア育成担当

※撮影時のみ、マスクを外しています。

※小倉は退職していますが、本人の同意を得て、掲載を継続しています。

 

昨年の新卒メンバーの声をふまえ、実践重視のカリキュラムを新設

 

――本日はよろしくお願いします。今年、サービス開発およびUXデザイン部に6名の新卒メンバーが入社したとうかがいました。研修での様子はいかがですか?

エンジニアリング統括部UXデザイン部 サービスデザイングループ プロデューサー 高橋 靖正

高橋:エンジニア3名、デザイナー3名が入社してくださいました。研修で接する中で、個性豊かなメンバーが揃っているなという印象を持っています。

 

西澤:エンジニアの3名は、わからないことがあれば積極的に質問する・質問する前に自分でしっかりと調べる、という基本的なことをしっかりと行ってくださる方々だなと感じました。

 

佐々木:デザイナーの方々は、柔軟で前向きな印象ですね。実践的なワークにも抵抗感を示すことなく、わからない中でも頭を悩ませて「体験する中で学んでいこう」とポジティブに取り組んでくださっています。

 

――新卒の受け入れは今年が2年目になりますが、昨年の新卒研修をどのように振り返られますか?課題として捉えていたことなどがあれば教えてください。

小倉:昨年の新卒メンバーはみなさんとても優秀で、現場で活躍してくれている方々が多いのですが、「研修でしっかりと教わったものの、実際にプロジェクトに入ってみると覚えていない・知識を活かしきれないことがあった」という声が出ていました。講座をやっただけでは知見として定着しきらないという点は、課題として認識していました。

エンジニアリング統括部 UXデザイン部 デザイン第1グループ リードデザイナー 小倉 藍

また昨年はエンジニア5名・デザイナー1名というバランスだったため、6名全員でのまとまりは生まれていたのですが、それに加えてエンジニア間・デザイナー間という職種どうしのまとまりも作っていけたらより良いのでは、という思いはありましたね。

 

西澤:エンジニア側としても、研修を終えてプロジェクトに配属された後、業務で困る場面が出てきてしまったという課題はありました。昨年は初めての受け入れで不慣れだったこともあり、研修のコンテンツが少なかったのではと考えています。

エンジニアリング統括部 サービス開発部 第2グループ エンジニア 西澤 翔利

またコロナ禍を機にほぼフルリモートになっており、顔もよく知らない・あまり話したこともない相手に対して新卒メンバーから積極的に話しかけるのは難しいはずなので、コミュニケーション面を改善することも今年の課題の一つでした。

 

――そうした課題点をふまえ、今年はどのようなカリキュラムを設定されたのか教えてください。

高橋:今年は、前半は座学を中心とした各職種別のパート、後半は実践を中心とした6名合同のパート、と明確にカリキュラムを分けました。

 

櫻井:前半後半のどちらにおいても、実践を重視した内容になっています。単に知識を身につけるだけなら、本を読んだりすれば誰しもできますが、やはりそれをどう使うかとなるととても難しいと思うんです。

エンジニアリング統括部 UXデザイン部 サービスデザイン第2グループ ディレクター 櫻井 乃梨子

なので、フレームワーク1つをとっても「それをどのような場面でどのように使ったら、どのように有効か」を事例や現場での使われ方まで交えてインプットしてもらえるよう、座学でも強く意識していましたね。

 

スプリントからビジネス起案まで、現場のプロセスをくまなく実践
「失敗や怪我を早いうちから経験してもらいたい」

 

――エンジニア×デザイナー合同開催のパートについて、内容を詳しくお聞かせいただけますか?

高橋:デザインスプリントを実践し、5日間で0から新卒メンバーだけで新規サービス案を創り仮説検証まで行ってもらいます。その後①デザイナーは後工程をつくる ②エンジニアはデザイナーのつくったものを受け取って構築を行う ③サービスデザイナーやリサーチャーはそれを事業計画に落とし込む……と、現場で実際に行っているプロセスをくまなく経験していただきました。

合同開催のカリキュラム自体は昨年もありましたが、昨年は必要な知識を一通り“広く浅く”伝えることをテーマとしています。そこから、今年は「プロフェッショナリズムをしっかりと身につけること」をテーマに据え、より実践範囲を広げています。

 

――実践を重視している研修の中でも、そこまで現場の業務に近い内容を経験してもらうことにはどのような意図があるのでしょうか。

高橋:実際に現場で新規サービスを起案するとなると、スプリントを一度回したレベルのものではまだまだ粗いんです。市場や競合について知り、自分たちのサービスのユニークさを突き詰めて、とあれもこれも考えなければいけなくなります。そういった悩みを、あえて新卒入社したばかりのタイミングから経験してもらうことが、思考のプロセスを成熟させていく上でプラスになると考えた、というのが一つの要素としてあります。

エンジニアリング統括部 UXデザイン部 UXリサーチ第2グループ サブマネジャー 佐々木 晋哉

佐々木:実際に現場で使われるプロセスの中で学ぶのが一番身になりますからね。

今回は、新卒メンバー・未経験での中途入社メンバーの育成に両用できるプログラムをつくろうと意識していたため、現場に近い実践内容を組み込んでいくことには賛成でした。

 

西澤:エンジニアの場合、学生時代からインターンなどでWebサイトやアプリケーションの開発を経験してきた方が多いんです。ほとんどが何かしらのサービスを開発するという一連の工程をある程度わかっているメンバーなので、「それを実際に現場でやるためにはどのレベルまで持っていかなければいけないか」を伝えたい、という意図がありました。

もちろんレベルの高い内容ではありますが、パーソルキャリアで事業貢献することはもちろん、エンジニアとしてレベルアップすることにもつながるはずです。学ぶことが面白くて楽しくて、だからこそ吸収できる、という場になればと思って研修を行っていました。

 

――現場と同様のプロセスを体験していただく中で、研修のゴールはどこに設定されているのでしょうか。

高橋:つくって発表して終わりではなく、本部長や部長クラスが実現可否を判断する「審査会」に起案することをゴールとしています。

もちろん、投資が絡む以上は新卒研修であっても正しく評価がなされます。そういった実際の審査会を経験してもらうことが、今後サービス開発を行っていく中で非常に有意義なのではと考えました。

 

佐々木:新しいサービスを開発するということは、、怪我をしながら進まないと学べないことが多い領域だと思います。UXリサーチを例にとれば、インタビュー手法を頭で理解していても実際にやるとできないことが多かったり、ベストなパフォーマンスをしたと思っても、結果を分析してみると不足に気がついたり。日々学びの連続で、私自身もまだまだ学び続けているんですよね。だからこそ、研修でも失敗や怪我を早いうちから経験してもらうことを重視しています。

高橋:そうですね。研修で成功体験を得てほしいというよりは、どのくらいのレベルのものであれば審査会に出せるのか、自分たちがつくったものがどのように評価されるのかを、身をもって知ってもらいたいという思いですね。

 

 

研修は、講師にとって学び直しの場であり、新たな気づきや視点をもらえる場でもある

 

――現場と同様の内容を経験していく新卒メンバーに対し、サポートや“怪我”のケアはどのように行われているのですか?

佐々木:面接時から、新規事業にまつわる実務ではほとんどが失敗経験であることをしっかりとお伝えしているので、失敗しながらも諦めないメンバーが多いですが、都度「怪我したね、でもいい怪我だったね」と認めることは大切にしています。

 

西澤:エンジニアは、新卒メンバー1名に対して歳の近い専属メンターが1名つく形で、毎日1on1を行いながら悩みを話しやすい環境をつくってケアしています。

特に、エンジニアはサービスづくりの中で一番後の工程を担当するため、研修中につくりきれなかった時に最も責任を感じやすい立場であると言えます。そのため「そうならないためにも前工程をコントロールしていこう」とフォローしていましたね。

 

 

小倉:デザイナー側も、スプリント中はエンジニアと同様にメンターとの1on1を行ってきましたが、今後はよりチームの中に溶け込んでコミュニケーションをとっていってほしいため、徐々にメンターから離れてチームに相談事を流すように切り替えを行っています。

櫻井:加えて、今年の新卒メンバーはとても一生懸命に受け止めようとしてくださる方々で、悩みやわからないことも「もっと頑張らなければ」と抱えてしまう傾向にあったため、研修のボリュームや理解度については丁寧なキャッチアップを心がけて。みなさんの反応や、研修を進めるにあたっての注意点などをシートにまとめて、メンターさんとの共有も行っていましたね。

 

――最後に、みなさんが教える側に立ってみて得られた気づきや変化などがあればお聞かせください。

佐々木:自分が過去に学んできたことを初学者にもわかりやすいように表現したり、そのアウトプットしたものに対するみなさんの反応を見たりする過程が、自分自身の学びにつながった感触があります。特に、暗黙知になってしまっているものや理解が曖昧になっていた部分に気がつけたことが大きかったです。

私がかつて自分の先生からもらった「この分野では60歳を超える方でも、教えることを通じて学び続けている」という言葉の意味を、はっきりと実感できる経験でした。

 

櫻井:私も佐々木さんと同様に、知識を自分の中で整理して構造化し改めて眺めることが学び直しの機会になったなと思いますし、他の方の講座を覗いてみる中で知識の幅が少し広がったなと感じます。

またワークや宿題をみていると、「このフレームを、そこに当てはめてそんなことを感じたのか」と驚くような彼らならではの視点があり、新しい発見が得られる楽しさもありました。

 

西澤:まだまだ自分自身学ぶべきことが多い中で、足りない知識をインプットしてアウトプットする経験はとても貴重で学びあるものでした。加えて、フルリモートで働いている日常ではなかなか関われないような方々とたくさん接し、コミュニティが一気に広がったことも一つの収穫だったなと思います。

 

――小倉さん、高橋さんはいかがですか?

小倉:昨年と今年とでは新卒メンバーの色も全然違っていますし、今年入ってくださった3名の中でも人によって学び方や考え方、サポートを必要とする度合いなどはそれぞれで。実践パートを多めにとったことで、一人ひとりに合わせた研修がしやすかったという点はよかったのかなと思いながらも……。教え方を一人ひとりによって変えていくことの難しさを感じて、今年もまだ100点とは言えないなと捉えています。来年はどうしていこうかな、というところですね。

 

高橋:実践をやってみると、デザイナーが3名いるからこその視点の違いが見えたり、自分とは全く異なる方向性や深さの考え方がみられたり。私も皆さんと同じく、とても面白くみさせていただき、新しい気づきや考え方をもらえたなと思っています。

また昨年はデザイナー1名エンジニア5名で仲の良いチームに、今年はデザイナー3名エンジニア3名で昨年とはまた違ったまとまり方に、と関係性のあり方が面白いなと思っていて。事業をつくっていく中でのチームのあり方がどのような形になっていくのか、楽しみでもありますね。

 

――次回は、エンジニア・デザイナーそれぞれの研修コンテンツについて詳しくお聞かせいただければと思います。本日はありがとうございました!

 

(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影=古宮こうき)

 

 

高橋 靖正 Yasumasa Takahashi

エンジニアリング統括部UXデザイン部 サービスデザイングループ プロデューサー

2020年3月にテクノロジー本部エンジニアリング統括部UXデザイン部サービスデザイナーとして入社。 前職は、デジタルマーケティング企業にてプランナー、UXディレクターとして勤務。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)にて、デザイン思考とシステム思考アプローチのイノベーション研究、組織心理学をベースとしたチームパフォーマンスの研究を行う。アカデミックと実践における両輪のアプローチを得意とする。

櫻井 乃梨子 Noriko Sakurai

エンジニアリング統括部 UXデザイン部 サービスデザイン第2グループ ディレクター

2021年9月パーソルキャリア入社。新卒ではメーカー知財に入るが、人間中心のプロダクト開発がしたく、育休、海外駐在でキャリアが途切れながらもデザインベンチャーにてUXデザイナーへキャリアチェンジ。フリーランスなどを経て現職。家族や子育てなどのライフイベントの中でもキャリアオーナーシップが持てる人を増やすサービス創出したい3児の母。

佐々木 晋哉 Shinya Sasaki

エンジニアリング統括部 UXデザイン部 UXリサーチ第2グループ サブマネジャー

新卒で総合メーカーに入りエンジニアとして研究所に所属、その後研究開発型ベンチャーを経て、商品開発コンサルのベンチャーに勤務し、デザイン思考やリーンスタートアップなどのイノベーションプロセスに出会う。キャリアをデザイン軸に移したいと考え、UI/UXコンサルファームを経て、前職ではIT企業の中でUXDを推進するUXリサーチャーとして活動し、UXリサーチの専門組織を拡大しているパーソルに興味を持ち2022年1月に入社。

小倉 藍 Ai Ogura

エンジニアリング統括部 UXデザイン部 デザイン第1グループ リードデザイナー

2019年12月にテクノロジー本部エンジニアリング統括部UXデザイン部 デザイン第1グループのリードデザイナーとして入社。後進育成や採用活動も行う。入社前は、正社員と兼業で複数のスタートアップのUI/UXデザイナーを担当したり、Design Crossの運営に参加。現在は退職。

西澤 翔利 Shori Nishizawa

エンジニアリング統括部 サービス開発部 第2グループ リードエンジニア

前職、前々職ともに事業会社の社内SEとして従事していた。主にRuby on Rails, Vue.jsをメインとしたシステム開発を行っていた。よりエンジニアが多い環境で開発に注力したいという気持ちが強くなり、2021年4月にパーソルキャリアにジョイン。現在は「HR forecaster」の開発を担当。

※2022年8月現在の情報です。