会社の垣根を超えた「共同リサーチチーム」発足――ユーザー理解を深める勉強会事例

パーソルキャリアのUXリサーチグループの役割は、”ユーザーを深く理解し、企画開発の起点をつくる”です。複数の視点を取り入れながらユーザー理解を進めていくため、UXリサーチの内製化を支援している株式会社メンバーズ ポップインサイトカンパニーと協業する機会が多くあります。

議論やワークを通じて、双方のスキルをより高めたいという想いから、共同勉強会/ワークショップを開催しました。
今回は、株式会社メンバーズ ポップインサイトカンパニーの戸田 舞子 様とUXリサーチグループ 瀧本の2名に開催に至った背景やワークショップを通じた気付き、コンテンツ作成の裏側などを聞いてみました。

※瀧本は退職していますが、本人の同意を得て掲載をしています。

勉強会を開催するきっかけ

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瀧本:私たちは基本的にプロジェクトの課題からヒアリングし、適切なリサーチ手法を提案しているのですが、偶然、アンケート調査が適切だと判断したプロジェクトが並行して走ったことがありました。

弊社のシニアリサーチャーに日頃から、「リサーチの中でもアンケート調査は最難関」と言われていましたが、私を含めたメンバーはアンケート設計の経験はほぼありません。なかなか思うように設計できず、シニアリサーチャーの力を借りながらプロジェクトを進めるのに精一杯になったこともありました。

プロジェクトを通じて学ぶことも多かったのですが、振り返りをするなかで、シニアリサーチャーから教えて貰う以外で、メンバーのアンケート作成スキルを上げるにはどうすれば良いか、とチームで検討していたんですね。その時に、「ポップインサイトさんと一緒にやってみるとどうだろう?」という話がきっかけで、普段お世話になっている戸田さんにお声がけしました。

戸田:初めてお声がけいただいた時には、他社と勉強会を共同で実施した前例が少なく驚きましたが、ぜひやってみたいとお伝えしました。

案件だけの関わりだと、分担範囲が明確に分かれますが、勉強会の場合は、よりいっそう共通言語が増えてコミュニケーションが円滑になる取り組みになりそう、と感じました。

瀧本:そうですね。ポップインサイトさんには、UXリサーチグループが発足する前からリサーチのサポートをいただいていたこともあり、同じリサーチグループのメンバーの1人のように捉え、フラットなコミュニケーションを取れるとリサーチの質が更に高まるのでは、という思いもありました。

 

2つのトピックスの勉強会を実施

戸田:お互いの要望を話し合う中で、大きく分けて2つのテーマに分けて開催しました。1つ目はアンケート設計、2つ目はペルソナ作成です。勉強会資料はポップインサイト側で準備、ワークは一緒に進めるかたちで実施しました。

 

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アンケート設計

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ペルソナ作成ワークショップ

瀧本:アンケート設計は基礎的なインプット、ペルソナ作成はリサーチチームがリサーチプロジェクトで関わるステークホルダー理解を深めるために要望したのですが、一緒に進めることでたくさんの気付きがありましたね。

 

勉強会をやってみての気付き

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株式会社メンバーズ ポップインサイトカンパニー 戸田 舞子様

戸田:これまで自社では当たり前のように進めていたフローが、会社によって異なると具体的に知れたのが大きかったです。

例えば、分析の工程において、ペルソナを作るときの項目整理の仕方について、私たちはテンプレートに沿って情報整理するケースが多いのですが、パーソルキャリアさんの場合、プロジェクトが求める情報優先度に合わせた項目整理を重視していました。

また、勉強会の中で、一緒にワークショップをやる時間を持てたこともよかったですね。その中で、一つの課題について意見交換したり、やりとりする時間が多かったことで、お互いのリサーチに対する考えを知る機会になったのではないかと感じます。

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UXデザイン部 UXリサーチグループ 瀧本

瀧本:そうですね。契約上はどうしても受発注の関係となってしまいますが、勉強会のもともとの狙いであった、戸田さんを同じリサーチチームの1人として見ることができ、フラットなコミュニケーションによって質が高まったのではないかと思います。
私は「共同リサーチチーム」で仕事をしているように捉えていました。

振り返り、という話でいくと我々リサーチチームでは、プロジェクト終了後、1週間以内に30分程度の振り返りミーティングを設けています。

「Y:やったこと」「W:わかったこと」「T:次にやること」を話すYWTというフレームワークに沿ってメイン担当者が発表し、振り返るものです。

アンケート設計の勉強会後のYWTでは「データを活用してどのようにプロジェクトを進めればいいかという視点が大事」「リサーチの依頼元によってアンケート項目が変わる」など、たくさんの気付きが出ました。

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アンケート設計の勉強会後、「Y:やったこと」「W:わかったこと」「T:次にやること」を振り返る

そこから、「要件を詰めるタイミングで何を明確にしておくと良いか、項目を先に出しておく必要がある」と考え、リサーチチーム内で、アンケート調査のヒアリングの際に確認しておくべき項目はなにか?を言語化し、整理しました。

この整理した項目を使って、依頼元への確認漏れがないか、視点で抜けているところはないかなどのチェックが自発的にできるようになったのです。

具体的な行動に落とし込まれ、実務に生かすきっかけになったのがリサーチチームにとっても財産ですね。

戸田:このYWTの内容を共有いただいて、ヒアリングの際に確認する項目が私にとっても共通言語になったので、やりとりがよりスムーズになったと感じています。

 

共同リサーチチームでの振り返り

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瀧本:今回、勉強会2つを終えたタイミングでは戸田さんとも一緒にYWTに取り組みましたよね。

戸田:はい、初めてで、どう進めているのかなと思っていましたが、会話しながら振り返るのが新鮮でした。

瀧本:勉強会の場なので、ぜひフラットにお話を伺えたらと思っていて。会話していると、勉強会への気付きと、戸田さんご自身の進行への気付きとが出てきましたね。

戸田:私にとっては、勉強会を通じてファシリテーションスキルを上げたいと感じていた部分もあり、自身の課題が見えつつも、チャレンジできた機会になったこともお話させてもらいました。

また、こういった勉強会の場を持てたこと自体、とてもよかったと感じています。普段の業務の進め方やリサーチのTipsなどを情報交換できたのももちろんですが、一つの課題を同じ目線で考えることでの学びが得られたと思います。

瀧本:お話する中で、戸田さんから「Y:わかったこと」として、「実際のリサーチ案件で行う難しさはあるものの、互いにディスカッションをする時間を持つことで、より理解を深めて仕事ができるのではないか」とお話いただいたのがとても嬉しかったです。

 

今後の取り組みについて

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戸田:今回の勉強会で終わりではなく、引き続き行っていきたいという気持ちがありますね。

ゴールとして、情報交換や提供だけではなく、双方のリサーチスキルのブラッシュアップと相互理解というところを大事にしながら行いたいです。

実案件でも、リサーチプロジェクト終了後に進め方に関する振り返り時間をとる、というのも良いのではと思いました。

瀧本:嬉しいお言葉ありがとうございます!今後、リサーチチームもメンバーを拡充していく予定で、メンバーのスキルアップ文脈でぜひ勉強会でも協業できればと思っています。

勉強会がお互い切磋琢磨しあえる場になり、実案件に還元していけるのが理想だと思いますので、今後ともよろしくお願いします!

 

――ありがとうございました!

株式会社メンバーズ ポップインサイトカンパニー 戸田 舞子 様

戸田 舞子 Maiko Toda

株式会社メンバーズ ポップインサイトカンパニー リサーチャー

2016年4月にポップインサイト入社。UXリサーチャーとしてユーザテストの企画、インタビュー設計・実査、分析、レポーティングなど、UXリサーチに関する業務全般を担当する。これまで、大手通信会社のUX改善支援や大手インターネットサービスにおけるコンセプト策定調査などに従事。HCD-Net認定人間中心設計スペシャリスト。

エンジニアリング統括部 UXデザイン部 UXリサーチグループ ディレクター 瀧本 はろかの写真

瀧本 はろか Haroka Takimoto

エンジニアリング統括部 UXデザイン部 UXリサーチグループ ディレクター

前職のITベンチャー(CtoCマッチングサイトプラットフォーム)では新規事業立ち上げ・事業開発に従事。非リサーチャーへのリサーチ知見共有・育成にも携わり、リサーチチームの社内・外への広報やPRにも力を入れている。現在は退職。

※2021年10月現在の情報です。