テクノロジー活用の最大化を支援する――テクノロジー推進グループってどんなとこ?


2020年4月にテクノロジー企画部の中に新設され、社員のスムーズなツール導入/活用の支援に従事してきたテクノロジー推進グループ。2021年4月には、マネジャーとして眞鍋友和が着任しました。入社して約1年が経とうとする今、彼は何を見据え、どのような思いでマネジメントに携わっているのか。グループの紹介とともに、組織への想いを聞きました。

※眞鍋は退職していますが、本人の同意を得て、掲載を継続しています。

困りごとを一つひとつ解きほぐし、各部署に共通する最適解を探していく

――まずは、テクノロジー推進グループの概要から教えてください。

眞鍋:私たちは「全社のテクノロジー活用レベルを圧倒的に引き上げ、現場社員の生産性・エンゲージメント向上を担う」をミッションに掲げ、テクノロジー本部横断・全社横断の課題を解決することによって、テクノロジー活用の推進をサポートする役割をもつ組織です。

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現在は兼務も含めて6名、ITコンサルタント5名とエンジニア1名という体制で、社内のツール導入サポートや、エンジニアリング環境の整備などを行っています。

 

――テクノロジー活用を推進するために、課題を解決していく役割ということですが、現在のパーソルキャリアにはテクノロジー活用の面でどのような課題があるのでしょうか。

眞鍋:文化やセキュリティ、システムの問題から、「グループの中の個社」という構造の問題まで、いろいろな要素があります。

例えば、コロナ禍でビジネスを取り巻く環境が大きく変わる中、IT基盤の整備が進んできましたが、改善すべき点はまだまだあります。特に社内外との意思疎通をスムーズに行うために、オープンなコミュニケーションツールの普及や、システムとツールの連携といった環境づくりが今後も求められるはずです。

 またグループにはツールやメール環境といった「グループ標準」の機能や、全体のサポート窓口がありますが、あくまでグループ全体に対応するものであるため、個社としての機能的な要望が通りづらいことや、相談にスピーディに対応してもらう難しさもあるんですよね。

基盤があるからこそ、「もっといいものを」という視点が生まれにくいところではありますが、パーソルキャリアとして必要な機能やサポートの仕組みを単独で作りながら、より良い基盤を作っていくことが求められると考えています。

そして何より、一番の課題は「セキュリティ」と「スピーディなサービス導入」を両立すること。パーソルキャリアの各事業はお客様の大切な個人情報を扱うため、非常に複雑なシステム構成にならざるを得ません。その点をきちんと担保しつつスピーディに価値提供をしていくために、仕組みや環境、運用を変えていくことが、会社としてこれからも価値提供し続けるために欠かせない課題だと認識しています。

 

――そういった課題は、それぞれの事業部だけでなく全社で一丸となって取り組むべきだからこそ、テクノロジー推進グループという横断的な組織が必要、ということなのでしょうか。

眞鍋:事業によって扱う情報や立場の違いもあるため、各事業部で改善に取り組み、小規模なサービスを素早く立ち上げるという要素もあっていいと思いますし、そうした動きはこれまでにもありました。

ただ、それぞれの事業が成長した先で事業どうしの融合を考えるとなると、各事業部の要望とグループ全体の状況を捉えつつ、「最適なツールは何か?」「どう使うのが良いか?」を考える組織横断の視点が必要になるはず。その役割を自分たちが担うのだと、認識しています。

 

――具体的に現在どのような案件に取り組んでいるのか、教えてください。 

眞鍋:現在は、「セキュアな環境の実現」という観点で、スマートフォンを有効活用すべくEMS製品の導入〜展開をしたり、個人情報の管理や外部との情報連携のためのオンラインシステム導入を検討したりしています。

眞鍋友和

また、問い合わせの窓口を新設してサポート体制を強化しようと動いている他、「エンジニアが開発をしやすい環境とはどのようなものか」を定義し、環境改善にも取り組んできました。現在このエンジニアリング環境はフィジビリの段階にありますが、ここから本格運用に向けて拡張していくつもりです。

 

――グループとして課題解決に取り組むだけでなく、その中で周囲の部署も巻き込んでいかなければいけない難しさがありますよね。

眞鍋:そうですね。私たちが主体的に動いて、あるツールを導入することができたとしても、その後の運用の段階で「より有効に、効率的に使うには」というところは、各事業部の方々と一緒に考えて波及させていかなければいけません。

部署によって事業規模やスピード感などはそれぞれなので、そういった事情を共有していただきながら、「どうやって変えていくか」を考えて足並みを揃えていく必要があります。またそこにセキュリティの観点やグループ側との関わり合いの要素が入ると、関係部署がとても多くなるので、より難しさがあるのかなと感じます。

 

――そういった難しい条件の中で課題解決を進めるにあたり、どのようなアプローチの仕方が大切になるとお考えですか? 

眞鍋:みなさん基本的には困っているんですよね。「こうしたい」という思いがあるけれど、できずにいる。なのでまずは困りごとに耳を傾けて、「その困っていることを取り除くためには、どうしたらいいのか」を一つずつ解きほぐしながら、共通の解を見つけていくことが大切なのだと思いますが……なかなか難しいところですね。今も壁にぶつかりながら、試行錯誤して少しずつ前に進んでいる状態です。

 

自立した各領域の専門家が集まり、全体として大きな成果を生み出せる組織へ 

――テクノロジー本部のKPT(Keep, Problem, Try)をそれぞれ教えてください。まず、Keepからお願いします。 

眞鍋:6名のメンバーがさまざまな領域にそれぞれ専門的に取り組み、自主的に動いてタスクを推進してくれていることや、関係部署が非常に多い中、各部署との緻密な連携をしっかりと意識できていることが良いところだと思うので、維持しつつさらに強化していきたいです。

またツールの運用面での大変さはもちろんありますが、運用にしっかりと取り組みつつ新たな課題にも着手する、ということは着実にやっていきたいなと思っています。

 

――続いて、Problemを教えてください。 

眞鍋:求められる役割が多岐にわたりタスクも多いので、6名では足りないというのが正直なところです。新規の技術の検証や調査など、次につながる取り組みになかなか時間が割けていないのが現状なので、リソース面の工夫にも取り組んでいこうと考えています。

また6名がそれぞれにしっかりと自走してくれている良さがある反面、個別での活動が多くなり、メンバー間の連携が十分ではないなと感じる部分が多々あります。領域が異なるため、どうしても一人ひとりが専任でやることが求められますが、最終的には相互の連携が必要です。ただツールを導入すればいいのではなく、他システムとの連携などさまざまな要素を掛け合わせることによって、より良い解決策や仕組みができると思いますし、それによって活用のレベルが上がるはずですから。

より有機的に、その時々の状況に応じてメンバーどうしを結び付ける仕組みをつくり、自立をベースに全体として大きな成果を出せるという「組織化」に取り組んでいかなければと思います。

 

――それぞれが専門家として各領域に取り組みながらも、連携していくことでより便利で効率的な使い方の提案ができるようになる、ということなのですね。Tryはいかがですか? 

眞鍋:お話しした通りリソースに限りがあるので、選択と集中で効率的にタスクを推進していきたいですし、運用業務には外部に委託できる内容も多いので、そういった連携も積極的に進めていきたいと思っています。

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また組織化の面では、現在行っているメンバー間の案件共有の他に、プロジェクトの進め方を一緒に検討したり、プロジェクトの振り返りや四半期ごとの目標設定を互いに共有しあったりといった取り組みで、連携を強めていきたいですね。

 

皆がミッション実現に100%集中できる環境をつくるために――「ITの役割は非常に大きい」

――ここからは、眞鍋さんご自身の価値観にフォーカスしてお話をお聞かせください。組織のマネジメントを行う中で、大切にしていることは何でしょうか。 

眞鍋:マネジメントだけでなく仕事をする上では、要望をいただいた時に、すばやくできる限りのアクションを取ることを常に意識しています。困っていて相談に来る方は、だいたいの場合急いでいますよね。なので、その時こちらに別の仕事があったとしても、なるべく依頼を受けて、早く手を動かして助けになりたいと思うんです。

もちろん分からないことも多いけれど、正確な答えではなく仮説であっても「こういう視点はどうだろうか?」と応えてみて、その中から解決策が見えてくれればいいなと思っています。そうやって対応していく中で、各部署の状況や困りごとが見えてきますし、信頼してもらうことにもつながってくるはずです。それを少しずつ積み重ねて、もっといろいろな相談をしてもらえるようになれば、より全体が見えてくるかなという思いで意識してやってきました。

 

――信頼を積み重ねて関係をつくっていくことが、プロジェクトで連携する際にも生きてくるのでしょうね。 

眞鍋:そうですね。小さな積み重ねから、先につなげていきたいなという思いがあります。 

また、チーム運営やプロジェクト推進においても同じように、課題解決のためのアクションを、なるべくその場ですぐに決断して「とりあえずやってみる」ようにしています。やってみて運用に乗らないこともたくさんありますが、まずはやろうと。

 

――そのように、「仮定であっても伝えてみる、前に進めてみる」ことを大切にされるのは、どのような理由からですか? 

眞鍋:取り組みが多岐にわたるので、とにかく前に進めていくことが求められるという側面もありますし、そもそも多くの時間を費やしても、100点の答えを導き出すことって難しいと思うんです。結局は70点?80点?という差でしかないと思うので、まずは70点でいいからやってみて、結果どうだったのかというフィードバックを受けて「じゃあ今度はこうしてみましょう」と改善する方が、着実に前に進めるのではと考えています。細かいPDCAを回すイメージですね。

また全社でツールを入れても、3年後にはそのツールがどちらかというと「足かせ」のようになっている場合もあります。なので、時間をかけてその瞬間の100点の答えを導くことよりも、「状況に合わせて、スピーディに変化していける環境」を目指す方が良いのかなと。考えるのに半年かけている間に、きっと状況も変わってきますからね。

 

――まずは変化を生み出してみよう、とさまざまなご提案をされる中で、現場の受け止め方としてはいかがですか? 

眞鍋:正直に申し上げると提案しても導入まで至らないケースが多く……セキュリティや運用上の観点から、なかなか一歩踏み出せないのだと思いますが、そこはテクノロジー本部全体の一つの課題として捉え、根本的に変えていこうとしています。

「ITだから」「事業部だから」ではなく、やり方はそれぞれに違っても大前提として進むべき方向はみんな同じはずですから、ミッションの実現により早くつなげるために必要なことを、一緒になって考えていくのみだと思っています。

やはり私たちは事業側の人間ではないので、自分たちだけでは汲み取りきれない部分も当然あって。そこは現場の方々に教えていただきながら、こちらのスキルも活用して、より良い答えにつなげていきたいです。

 

――それでは最後に、眞鍋さんが描く「テクノロジー活用が進んだ先の世界観」を教えてください。

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眞鍋:個人の思いとしては、IT・テクノロジーを使ってみんなをハッピーにしたいと思っています。

みんなが普段の業務に集中して、本当にやりたいことの実現のために100%の力を注げている。そしてそこに「セキュリティが……」「ツールが……」という懸念がない。そんな状態を理想と考えています。

これを実現するために必要なのはもちろんITだけではありませんが、ITができることは非常に大きいはずですから。私たちの活動を通してさまざまな課題を解決しながら、みなさんが全力でミッション実現に向かえるよう頑張っていきたいと思います。

――テクノロジー活用を推し進めていくからこそ、クイックな環境構築の重要性を理解しました!本日はありがとうございました!

(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈)

 

眞鍋友和

眞鍋 友和 Tomokazu Manabe

BITA統括部 テクノロジー企画部 テクノロジー推進グループ マネジャー

大学院修了後、SIerに入社し、飲料メーカーのシステム保守やカード会社の基幹システム開発などに携わる。また、在職中に日本オラクルに技術留学を行ない、DB技術を習得。複数プロジェクトでインフラ設計・構築を担当。社会人9年目に楽天に転職し、プロデューサーとして楽天市場の店舗向けサービスの企画・開発や、保守チームの管理を経験。その後、複数の会社を経験し、ECサイト開発や社内IT統括・業務改善など、幅広い分野でITに携わる。現在は退職。

※2021年6月現在の情報です。