業績最大化にコミットを――新設・デジタル企画統括部ってどんなところ?

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2020年10月、dodaエージェント事業部の配下にデジタル企画統括部が新設。しかも追う指標は“業績最大化”。男気すら感じるその指標の置き方と共に、業績最大化のためにデジタル化を加速度的に実行していくといいます。どうして事業部内に、テクノロジー部隊を置いたのか。どうして業績にコミットすることに決めたのか。dodaエージェント事業部 執行役員である大浦とデジタル企画統括部を任されることになったエグゼクティブマネジャー和田の対談から、エージェント事業本部の現状と、営業部門とテクノロジー部隊の関係性など、リアルな実情を浮き彫りにしました。 

重要なのはなぜ転職しようと思って、なぜこの求人を選んだのかという意味付け

――現在のエージェントサービスというのはどんなものなのか、まずは大浦さんから概略をお願いします。

大浦:当社のエージェント事業は、一般的には人材紹介事業と言われているサービスです。登録いただいた求職者のキャリア相談に乗りながら、お預かりしている求人とマッチングしていきます。「エージェント」と銘打っているからには、応募された個人をサポートするキャリアアドバイザー(以下、CA)と採用したいと考えている企業様をサポートしながら、一つ一つのマッチングを丁寧に行っています。

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dodaエージェント事業部 執行役員 大浦 征也

当社はこの事業を97年から始めていますが、その中でカテゴリー、領域に特化したエージェントサービスも展開してきました。例えば今でいうとアパレルやエグゼクティブハイキャリアの領域もあります。近年では、社内では「dodaプラス」という言い方になりますが、エージェントの良さとメディアとして広く告知をすることの良さをミックスさせるような、非対面の転職支援サービスも多くの方にご利用頂いています。具体的にはネットで応募をすると、お電話でその活動をサポートするというもの。業界内では「両手型」と言われるものですね。法人と個人それぞれに一人称で連絡を取りながらサポートをしています。

 

――最近は領域特化する転職サービスなども増えてきた印象です。総合的に展開しているパーソルキャリアだからこそ提供できる価値というのはどういうものでしょうか。

大浦:近年特にそうですが、やはり業種職種としての線引きが非常に曖昧になってきていると感じます。我々の感覚からすれば、同じ業界内での転職や同じ職種でそのままいく時代ではないと思いますので、線引きが曖昧だからこそ、できる限り多くの企業様に多くの可能性を、そして逆も然りで、個人の方に多くの可能性を提供したいと考えています。一般的にデパート型や百貨店型と言われますが、業種職種を幅広くご提案できたほうが良いと思います。

裏を返すとカテゴリー、領域を切っているところは「両手型」の形態をとっている企業が多いです。「両手型」は、企業のオーダーに対して合う人を探すという考え方になるので、急募での採用や限られたターゲットしか募集を検討していない場合には良い手法だと思います。一方で、我々の思想からすると個人の方のキャリアに徹底的に向き合うキャリアアドバイザーと、企業様の可能性を最大化する営業がきちんとお互いの専門性を持って、社内的には時折コンフリクトしたりするわけです。そこにこそ人材会社の価値があると思います。あえてそういうスタンスでやっています。

 

――エージェントサービスにおける現状の課題をテクノロジー領域から見たときに和田さんはどのように見ていますか?

和田:そうですね。自分たちがサービス提供をするオペレーション以上に、個人の方の状態や思っていることがパーソナライズされていて、一律のオペレーションで解決できるものではないのだろうという難しさを感じています。

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デジタルテクノロジー統括部 エグゼクティブマネジャー 和田 知也

一方で、総合的に色々な機会を提供しなくてはならないとなった時に、キャリアアドバイザーの間でも、パフォーマンスが均等に標準化されていないという現状もありました。“この場合は、何をやればいいのか?”ということが、社内で共有できておらず、どういうアドバイスをすればユーザーの方が新しい機会に巡り合い、納得しているのかということが正確につかめていないことが課題になると感じていました。

 

――人を介してアドバイスをした方が良いのは間違いありませんが、確かにそこには、相談を受ける側のパフォーマンスを標準化させることも難しい課題ですね。

大浦:A社をすすめるか、B社をすすめるかは人によってのバラつき、違いがあります。実は、どちらが正しいかは神のみぞ知る領域という事になります。私の方が正しい案件を紹介できるとは限りません。世の中一般的にいう大企業へのサポートや、その人の希望にあうマッチングなら私の方が得意かもしれませんが、その案件がその人のその後のキャリアにとって本当にいい案件だったのかはわかりません。

どちらが良いかどうかは、意味付けの問題です。なぜ転職しようと思って、なぜこの求人を選んだのかという、このストーリー、意味付けをしてあげられるかがCAの価値で、この意味付け力の高低がアドバイザーのレベルの差といえます。私たちは、その意味付けにこだわりながらエージェント事業をやってきました。いわゆる“デパート型”は複雑性が高く、多くの人に多くの選択肢を提供するという意味で、業界をまたいだり、職種をまたいだり、会社規模が大きく変わると一個一個の意味付けが難しくなります。

転職サイトとdodaプラス(非対面型)とエージェント事業(人材紹介)をdodaという一つのブランドでやっていることが弊社の強みですが、一方でお互いの事業のデータを活かせてない。複雑性の高いアルゴリズムを“意味づけ”に使えてないという部分に課題を感じているのですが、人間の力で意味付けをすることが難しくなってきたため、それを後押ししてくれるデジタルな情報やテクノロジーが必要になるという話です。

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本人に自分のことを理解し、整理してもらうための手法には「フォーマルアセスメント」と「インフォーマルアセスメント」と呼ばれているものがあります。「インフォーマルアセスメント」は、キャリアカウンセリングをしながらコーチングスタイルで進めていくもので、かなりの個人差があります。一方で、適性検査などの「フォーマルアセスメント」は、その人の特性、行動を基に、テクノロジーの力で分析し、“こういう人はこういう業界に親和性がある”と答えを出してくれます。その両方のアセスメントを活かした方が早いし、正確です。

この業界で長年働くことや長時間労働によって、どれだけ数多くの件数をこなせるかどうか、が属人的な判断になってきてしまいます。以前はそれで良かったのかもしれませんが、デパート型や、業界をまたいでの転職が多くなっていたり、兼業副業が増えると、もはや経験則では解決できない。だからテクノロジーが必要になってきたということですね。

 

――そうなると、すでにそういった課題感はエージェント側にもあったということですね。 

大浦:ありましたが、気が付かないですよね。分かっていてもデジタルの力に触れたことがないので、デジタル、テクノロジーが敵のように感じていました。3.4年くらい前に、テクノロジーの話が出てきたときは、“とって変わられる”という話になっていましたね。

とはいえ、どこかで何となく“属人性の限界”を感じていて、それを自分たちも理解しているけれど、「属人的なエージェントの時代じゃない」とか外から言われると、逆に意固地になりますよね(笑)。

 

――そういう状況の中で、今回、和田さんが新しい役目としてジョインされるわけですね。

和田:敵地みたいになってきますよね(笑)。そもそもテクノロジー本部のデジタルテクノロジー統括部に来たこの1年で、そういった現状にもまれたので、よく分かりますが、テクノロジーという抽象的な言葉でコミュニケーションをすると訳が分からなくなります。

僕は元々、事業側、最後は営業企画だったので、完全にテクノロジー側の人間ではありません。営業は売り上げを追っているし、営業企画も数字をコミットしますが、僕はその時にどう定義していたかというと、営業はお客様の目の前にいて、お客様のために何とかしたい、そのために一生懸命行動をとる、その行動が未来永劫お客様にとっていいのか、その道筋があっているかどうか、その道筋をどう作っていくか、それが企画の仕事と思っていたわけですね。事業に対するモチベーションは、たぶんここにあると思っています。

それに対して、“テクノロジーを使ってもっとこういう面白いことができます”といきなり動かれても、共通言語にならないわけです。“それは僕らの考えと違います”となってしまう。ですから、ちゃんと事業とタッグを組んでデジタル化を進めるのであれば、共通言語というか、事業の課題や未来のゴールが揃っていることが重要だと思います。

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私たちがやろうとしているのは、まず既存の事業に、例えば機械学習のようなテクノロジーを用いることで、人ができないところまで支援することができます、という具体的な話です。まったく新しいサービスや新しいマーケットに付加価値をつけるのが目的であれば、また話は違うと思いますが、事業にテックを活用していくというのは、そのコミュニケーションの中で、何度か試しながら進めていくことが大事なのではないかと思いますね。

 

――それを実際にやられているCAの方々にご理解いただき、浸透させていくことが第一段階として必要だし、効果を出して腹落ちをしてもらうことが重要だということですね。

和田:私はそれがないとダメだと思います。一気に2年後にゴールということではなく、一歩ずつ、“こういう世界になっていく”ということを、一緒にやる仲間、パートナーとちゃんと認識しあって、“失敗したけれどこんなことが分かったね”という関係性を作ること大事だと思っています。

 

内部にデジタルの部隊を置くのは全社員への意図したメッセージ

――そこで、今回新しく新設されたのが、デジタル企画統括部なんですね。

和田:はい。デジタル企画統括部は、営業側から異動してきたメンバーと、デジタルテクノロジー統括部のビジネス、エンジニアリンググループの一部のメンバーが兼務としてついています。機械学習によるレコメンドシステムの仕組みを創ったメンバーや、エージェント側のデータ基盤に精通しているメンバーを中心に兼務していますね。

 

――そのあたりの意図が、今回デジタル企画統括部が新設されるという形で表現されているのですね。

大浦:そうですね。元々、和田がやっていた仕事を事業部の中にも持ち込んでもらい、事業部の中で、自分たちでやっていこうというのが今回の意思決定です。今までは、名実ともに“下手したら敵”という感覚でした。やはりデジタルの組織が一つの機能、手段という位置づけ、事業として元々何をなすべきかということを考えたら、人の価値もテクノロジーの価値も手段だよね、という話に行き着きます。顧客に対して最適なものが組み合わさればいいのではと考えて、事業の中で内製しよう、兼務で来てもらおうということにしました。

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――でも、これまで通りデジタルテクノロジー統括部が外からエージェント事業を支えることもできたと思うのですが、中に組み込もうとなったのは何故でしょうか?

大浦:一つはテックの人たちに“事業理解”をしてもらおうと、テックドリブンとはいうものの事業理解がないと刺さらないというか、芯を食わないですよね。“事業理解”というのはよく聞く言葉だと思いますが、ビジネスモデルや構造を理解するだけではなく、“何故そうなっているのか”を深く理解してもらう必要があります。デジタルデータで今のところレベルがとれているものは、とれる断面で切り取った時のファクトなのですが、別の言い方をするとそこからドリルダウンしていくとそうなっている構造が整理できます。

例えばよくありがちなのが、一人当たりの応募が増えるか増えないのか、みたいな話が永遠あって、、、(笑)それをデジタルの力で紐解こうとすると、その前にどのくらいの案件を見ていて、どのくらいの案件を紹介されていて、というプロセスをたどるという、因数分解的な話になります。そういってアプローチというよりは、そこに人間心理というものが複雑に絡み合うので、実務実態を知っていてもらえば、因数分解なんてしなくても、人というのは感覚的にこうなるということが勘所として理解できるようになります。

 

――和田さんから見たときに、中に入るメリットはどんなところにあったのでしょうか?

和田:外に居ようが中に入ろうが、数字をあげるというコミットは変わらないと思っていますが、中に入る真の意味は、まず大浦さんが言ったように事業ドメインの理解です。あとは、歴史や文化を考えることも大事です。

今、営業の人たちはどういう評価をされていて、どういうモチベーションで働いているのかを理解しないといけません。理論上は、データをたくさん集めたほうがいいとなりますが、営業サイドにメリットがなければデータを入力しないという現実があるわけです。資料で見るより、現場に同行すると100倍もの情報があります。中に入ることで、そういうことを常日頃、会話の中から見つけられるのではないかと思います。

2つ目は、今回、テクノロジーを使うという既存のビジネスオペレーションに対しての挑戦が多くなると思いますが、その時に外にいると、“ここから先は事業側で”と、マネジメントを渡さなければならないケースがあります。そうではなく、私と大浦さんの間で、「ここまで責任取ります、だからやらせてほしい」という決断がしやすく、それがスピード感につながります。

3つ目は、業績までコミットしたいということです。外側にいると、物を作って納品しました、これをどう使うかは、事業側のマネジメント託されてしまう。私たちが良いものを作ったけれど、それを使わなければ世の中に良いサービスを提供できないのです。コスト削減や業務改善は、理論上の話にもなりやすいので、コスト削減した分や業務改善された分が生産的な時間に割り当てられているのかはわからない、という話になります。私としては、そこまでちゃんと見ながら改善できるようになるべきだと思いますし、それは中にいないとダメなのではないかと思いますね。

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大浦:事業側から見た、“中に置くこと”の意味というのは、外から変化せざるを得ないような外発動機で事業を変えるというよりも、内発的な動機のほうが、当然ドライブがかかりやすいというのはあります。テクノロジーが自分たちの味方というか、自分たちのモノだというアイデンティティはとても重要ですよね。そして、もう一つ、内部にテクノロジーデジタルの部隊を置くというのは、社員に対する明確かつ意図的なメッセージの発信でもあるわけですね。

やはり、コーポレートに紐づく、横断的な機能としてのテクノロジー部隊があり、そこにタスク毎のオーダーを出して、“新しい技術があったので取り込ませてもらう”という関係性ではなく、我々自体が“データドリブンでいく”ということを明確に意識してもらうという意図があります。私たちの会社は、全社をあげて「データドリブン」「デジタル化」という大方針に取り組んでいるわけですから、我々も明確にそういう舵を切って当然です。昔なら少し抵抗があったのかもしれませんが、今なら割と受け入れてもらえる環境にあると思います。それだけ、この2、3年の間に、DTの力によって便利になっている、昔当たり前のように手でやっていたものが、明らかに便利になってきている、それを体感してきているのは大きいですね。

 

――これまでは対立していたわけではないにしても、営業・事業サイドから見て、ちょっと離れていたテクノロジー集団というのは、最初はどういう風に映っていたのでしょうか。 

大浦:初期は無関心です。そのうち会社が明らかに、そこに力を入れてきているということがわかったので、ちょっとした嫉妬心も含めて“何なのだろう”と意識せざるを得なくなりましたね(笑)。嫉妬とか誤解という段階を抜けて、やがて価値があることがわかってきた。今はそれを、どう活かせばいいのかがまたわかっていない状況にまできたので、だから一緒になって、その答えを見つけに行くという感じですね。

 

――逆はどうでしょうか。テクノロジーの部隊から見たときに、事業・営業サイドをどのように見ていたのですか?

和田:我々の部隊は9割、中途の人たちで構成されているので、そういった視点から事業を見ると“何でこういうオペレーションになっているのだろう”、“こういう風に変えればいいのに”とシンプルに思ったりします。少しネガティブな言い方をすると、“これをやった方が絶対いいのに、何で変えないのだろう”という見え方はありますね。それは事業側の担当者の問題ではなく、伝統的に、文化的にそういうことが遅れているよねという見方です。

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もちろん、逆の見方もあって、せっかく事業側の人たちにこういう力があるのに、もったいない、ちゃんと自分たちが提案していけば、皆さんの価値向上、力を最大化できるのではないかという感覚もあって。例えばカウンセリングで話をしていることって、データ上は、カウンセリングの数でしか読み取れませんが、これをテックに置き換えると、かなり複雑な事をやっているはずです。その人の人となりを理解して、それに対してアドバイスをしていくというのは、とても複雑な事です。でも、これまでは誰も、その複雑で価値あることを科学してなかったりします。もっというと、我々の使命は、可視化をしたり、やり方を改善すれば、もっと、“この人はどういう所にマッチングするか”という可能性が広げられるのではないかと思いましたね。

 

「はたらく」を自分のものにするための力を与え続ける 

――具体的に、これからやろうとしていることを教えていただけますか。

大浦:これまでのエージェント事業というのは人VSシステム/テクノロジーだとしたときに、テクノロジーは何かということをちゃんと理解せずひとくくりとして話していたので、ものすごく無駄な手作業も人の価値と錯覚するわけです。本来は自動化すべきものと、人がやるべき部分とを可視化し、人の価値をより研ぎ澄ませていくのがテクノロジーだと思っているので、人がやるよりも速かったり、正確だったりするものは、徹底的に自動化していきます。例えば、我々が手塩に掛けてやってきたキャリアカウンセリングや企業との面接などの日程調整もその類かもしれません。

一方で、カウンセリングの中でのヒアリングの手法やコミュニケーションの取り方も、どこか職人の世界のような感覚があって、実は育成するのには限界があるわけです。これも、その人がどういう人なのか、その人が保持しているスキルのベースぐらいは、ある程度テクノロジーの力を借りて傾向を示してあげても良いわけです。もしくは、応募する企業の方向性の提示/分類であればおおむねのパターンを見せてあげて、それを土台にアドバイスをする。そういうことは、人の価値を研ぎ澄ませるという意味でとても価値があることです。社内的には「増能化」と呼んでいますが、「自動化」「増能化」というフレーズでいくつかのテーマを整理しています。

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何が最後に残るのかと言うと、一つは、先ほど説明した意味付け、ストーリー、そして、「これがいい」と言って背中を押してあげられる力です。あと、大切なのは日常的に励まし続ける、話を聞き続けるという行為ですよね。こういう事もすごく価値があると思います。人と人との接点に価値をもって、それ以外の部分はテックに置き換えていくことで、人が介在する価値の提供をよりスピーディーに行っていける体制を築いていかないといけないと感じていますね。

 

――人としての力が発揮できるところはドンドン力を発揮できる、そういう感覚ですね。テクノロジー部隊がやるべきことのイメージはある程度固まってきているということでしょうか。

和田:まずは一歩一歩かと思います。自動化できるところは自動化してみるということですよね。あとは、今、気になっていることとすれば、カウンセリングが対面ではなくなってきていること。オンラインではカウンセラーが目の前で話している情報を取りにくいのではないかとか、一方で応募する側のモチベーションも働き方を気にするようになっていますよね。求人票には「オンラインOK」とか「在宅勤務OK」などと書いてあるのですが、それがマッチングとしてきちんと使えていないのです。技術の変化ではなく世の中の変化に対して、テックがしっかりついていって、その変化に対応する最適なマッチングの在り方に先手を打たないといけないと思います。

大浦:もちろん実験的要素もあって、これがうまくいくと横展開、他の事業に移っていく可能性もあります。私個人的な事でいうと、非対面のdodaプラスに行き、メディア事業に行き、その後マーケに行き、戻ってきているので、やはりエージェント事業で使いきれていないデータは、メディアの事業に行くととても価値があるとか、逆にメディアでは当たり前に使われているものがエージェントでは使われていないということがよくあります。そういった意味でいうと、エージェントで何か形が出来ると、そこで抽出された、人ならではの価値が、一見、関係ないかのように見えるメディア事業の応募をとる企画に移植できるということはあり得るでしょうね。

――多くの場合こういったミドル部門では、業績までは責任を持たないケースが多いので、今回お二人が業績にとことんミッションを置いたところに男気を感じるのですが(笑)何か意思があっての事なのでしょうか。

和田:これは結構私の意思が強いのですが、2つ論点がありました。事業に中から入ってやるという事を明確にメッセージするなら、それが一番わかりやすかったというのがひとつ。そのメッセージの送り先は、デジタル統括内のメンバーですね。やはり中に入ったからには、きちんとそこにコミットすべきだと、変化に対してメッセージを出さなければと考えました。

もう一点、本当に業績にインパクトを与えるという時に、工数削減は2段階進まないと業績に反映しないですよね。何かの工数を削減した、その空いた工数を何に充てるか、それで初めて市場に届いて売り上げとなる、こういう考え方ですが、それでは遠いわけです。だから、それは効率的か?と言われてしまうと、その後に何をするかを僕らのところでコントロールできなくなるので、ちゃんとミッションを業績におこうと考えました。

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大浦:和田と同じく、シンプルに最終目的が果たせないと、その施策は意味のないものになるので、事業部に組織を置く以上、当然、業績を意識する以外の選択肢はありません。メンバーは業績を出すために頑張っていて、そのためにテクノロジーの力を借りたいと皆思っているので、変なプロセスに置くよりも、メンバーと同じものを追ってもらった方が良いというシンプルな話です。

 

――最後の質問になります。社内の話だけではなく、エージェントサービスとテクノロジーがうまく組み合わさることにより、どういう世界観が実現できるのでしょうか。

大浦:シンプルに2つあります。私たちは「人々に“はたらく”を自分のものにする力を」とミッションを掲げているわけですが、そこで定義しているものは、今の日本に必要なものは、「はたらく」を自分のものにするための力だと言っているわけですね。その力というのは、見方によれば、仕事を選べる能力という事かもしれないですが、我々なりの定義はご自身の事をよく知っている、自分の可能性を信じている、そういう力だとも思っています。

ですから、エージェント事業は「納得感ある意思決定を支援するサービスにしよう」と言っておりますが、その納得感を持ってもらうためには、自分のことをよく分かっている、社会のことをよく分かっていると納得して、自分で決めるという経験が必要です。そして、自分次第で叶えられるんだという自己効力感があることで、はたらくを自分のものにすることができます。

だからこそ、社会を知るため、自分を知るためにもテクノロジーの力が必要で、その両方が合わさると、全員が死ぬほどhappyかはわかりませんが、少なくともどうすれば「はたらく」を自分のものにする力が手に入るのかを知るヒントは提供できるのではないかと思っています。多分、キャリアみたいなものに対する正解やゴールをみんな追い求め続けるのでしょうけれど、答えはみつからない。だから、みんな自分の人生に前向きな希望を持っている状態にあることが必要で、それを人の価値とデジタルで実現できれば良いというのがひとつ。

もうひとつは、そうはいっても、マッチング事業、転職支援をやっているこの部署では、人の価値観や企業のアイデンティティ、“はたらく”にまつわる苦労など、ものすごいエキスを持っています。ここで得られるエキスを、「転職」だけではなく、日常性にあるサービスなどを通じて、適切にユーザーに還元していかなければいけません。転職サービスを提供するものとして得られたこれまでの知見やデータを十分に活用し、また人が介在したことによって得られた価値を融合し、転職サービスのさらなる価値向上とともに、新しい“はたらく”サービスを創り、ミッション実現に近づけていきたいと思っています。

人はこういう時に苦しい、こういう経験をするとhappy、それらは転職活動支援をすることで得られるもの、そうした情報をテクノロジー化することによりデータとして蓄積すると、そのエッセンスを活かすことができる、これが我々の未来に向けた構想です。ミッションと、もうひとつ日常性のあるサービス、この2つを実現していきたいと思っています。

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――お二人がどんな経緯で意思決定を重ねたのかとてもよくわかりました!ありがとうございました!

(取材・文=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/撮影=古宮こうき) 

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大浦 征也 Seiya Ooura

dodaエージェント事業部 執行役員

2002年、株式会社インテリジェンス(現社名:パーソルキャリア株式会社)入社。 人材紹介事業に従事。法人営業として企業の採用支援、人事コンサルティング等を経験した後、キャリアアドバイザーに。 転職希望者のキャリアカウンセリングやサポートに長年携わる。担当領域は多岐にわたり、これまでに支援した転職希望者は 10,000人を超える。 その後、複数の部門の総責任者、営業本部長、事業部長などを歴任。 2017年から約3年間、転職サービス「doda」の編集長を務める。2019年10月から現職。 社外にてJHR(一般社団法人人材サービス産業協議会)キャリアチェンジプロジェクト、ワーキンググループメンバー、 SHC(公益財団法人スポーツヒューマンキャピタル)理事にも名を連ねる。

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和田 知也 Tomoya Wada

デジタルテクノロジー統括部 エグゼクティブマネジャー

2003年にパーソルキャリア入社。アルバイトや転職の採用支援領域にて、メディア・商品・営業企画のミドル部門を中心にキャリアを歩む。2019年にデジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジー ビジネス部のゼネラルマネジャーに異動。2020年10月に同部門エグゼクティブマネジャー 兼 dodaエージェント事業部 デジタル企画統括部 エグゼクティブマネジャーに着任。主に既存事業のビジネス変革の責任者として従事。

※2020年11月現在の情報です。

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