LLM 時代にデータアナリストの役割はどう変化するのか?‐SQL が自動生成される世界で、私たちは何を提供すべきか #PERSOL CAREER Advent Calendar2025

0. はじめに

こんにちは。本日のアドベントカレンダーを担当します宮下です。

2025年4月にパーソルキャリアに入社し、現在はクライアントプロダクト本部で法人向けプロダクトのデータ戦略の立案から推進をしております。

現在、私の所属する組織ではSnowflakeを活用し、「Snowflake Intelligence」を導入しはじめました。

近年、生成AI(LLM)の進化により、自然言語から SQL を自動生成したり、分析結果を自然言語で説明したりすることが容易になりました。

「SQL を書く人としてのデータアナリストは、いずれ価値が薄れてしまうのでは?」
一部ではこうした声を耳にすることも増えていますし、自身も今まで苦労してSQL覚えたのはなんだったんだと思った覚えがあります。

しかし結論から言えば、データアナリストの価値は薄れるどころか、より高度化し、役割は広がっていくと考えています。

本記事では、LLM で SQL が書ける時代において、データアナリストがどこで価値を発揮し、どこにシフトしていくべきかを考えてみたことを整理しました。

※本記事で述べている内容は、データアナリストという職種や既存の役割を否定するものではありません。企業の組織規模や事業フェーズ、プロダクト特性によって、データアナリストに求められる役割は大きく異なります。
また、データサイエンス領域まで踏み込んだ高度な分析やモデリングに取り組まれている方も多く存在します。
本記事では、あくまで「LLMが一般化した今後の環境変化の中で、役割がどのように広がり・変化していく可能性があるか」という一つの視点でお読みいただければと思います。

1. 問いを定義するこそが最大の価値

生成AIは SQL や可視化をつくる能力に長けていますが、“何を聞くべきか” は定義してくれません。データアナリストの最大の価値は、まさにここにあります。

  • 事業のボトルネックを特定する

  • 課題をデータで答えられる形に翻訳する

  • KPI を正しく設計する

  • 仮説 / 検証のフレームをつくる

これは 事業理解 × 文脈理解 × データリテラシー が必要な領域で、生成AIが最も苦手とする部分と考えてます。(現状は)

2. データの“意味”を理解し、誤判断を防ぐ専門性

たとえ LLM が SQL を生成しても、指標の意味やデータの粒度を理解するのは AI には難しい領域です。

  • KPI 定義が事業プロセスに即しているか

  • 実業務のフローがデータにどう反映されているか

  • 限界や前提条件を踏まえた解釈ができるか

これらは、事業の内部にいるアナリストだからこそ提供できる価値です。

3. データ品質・ガバナンスの「監査役」としての役割

生成AIは正しいデータを前提として動きますが、現実のデータは常に正しいとは限りません。

  • パイプラインの破損

  • 粒度のズレ

  • 欠損値

  • KPI 定義の誤差

  • ソースごとのレイテンシ

こうした問題を検知し、データ基盤上で「正しいデータの状態」を維持する役割は、
アナリストの重要な価値です。

“データの品質は、自動化できない資産”だと思っております。

4. 意思決定に導くストーリーテリング

どれだけ AI が文章を生成しても、

  • 経営や上位マネジメント層を説得する

  • 事業責任者の腹落ちをつくる

  • 組織を巻き込んで施策に落とす

といった 人を動かすコミュニケーション は置き換えられません。

データアナリストは、“分析者”から“データで意思決定を動かすファシリテーター” へ転換する必要があります。
これは生成AI文脈の時代より前から言われてましたね。

5. AI により分析を拡張するアーキテクトとしての価値

これからのアナリストは、AI に仕事を奪われるのではなく、AI を部下のように使いこなし、生産性を大幅にあげていく役割に進化します。

例:

  • Snowflake Intelligence で KPI 定義を生成・管理

  • Tableau Pulse でインサイトを自動配信

  • RAG 基盤で「社内データGPT」を構築

  • 生成 AI ベースの分析ワークフローを設計

  • 接客/オペレーションAI とデータ基盤の連携

つまり、
AI × データ × プロダクトのハブとなるアーキテクトという新しい職能が現れています。

6. LLM の出力の妥当性を評価する“審査員”

AI 出力の問題点は、自信満々に間違うことです。

そのために必要なのが、アナリストが持つ以下の能力:

  • ロジックの整合性を判断する

  • フィルタ漏れや集計誤りを検出する

  • KPI が事業の実態と一致しているか評価する

AI の精度を高めるための人間によるレビューとガイドが欠かせません。

これは、AI時代にむしろ需要が高まるスキルです。

7. 事業インパクトをつくる「価値創出トラック」へのシフト

最終的に、AI に置き換えにくい価値は “事業にインパクトを出せること”

  • 売上やCVRを改善できる

  • リードタイムやコストを削減できる

  • 意思決定のスピードを上げられる

  • プロダクトの利用価値を高める

SQLスキルに加えて、事業を動かせるアナリストが最も価値を持つ時代になります。
こういった文脈ではPdMに近い立場、データ寄りのPdMみたいなイメージを自分としては持っております。

まとめ

データアナリストは「問いを設計し、AI と共に事業を動かす存在」へ進化する。

AI は脅威ではなく、アナリストの価値を拡張する強力なパートナーには間違いないです。

データアナリストは、

  • 問いの定義

  • 意味の理解

  • データ品質

  • ストーリーテリング

  • AI ワークフローの設計

  • 出力の妥当性チェック

  • 事業インパクト創出

といった領域で、これまで以上に重要な役割を担っていくはずです。
もはや「データアナリスト」役割の呼称が新しく定義されるのも遠くない未来かなと思ってます。

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宮下 和磨 Kazuma Miyashita

クライアントプロダクト本部 テクノロジー統括部 テクニカルプロダクトマネジメント部 DX&AXグループ マネジャー

2025年にグループ会社から転籍しパーソルキャリアに入社。前職ではデータ領域でアナリスト・コンサルタントを経験し、 現在は法人向けプロダクトのデータ戦略の立案、推進を管轄。

※2025年12月現在の情報です。